「今季初めてマテューとのバトルに勝てた」。重たい泥区間が続いたシクロクロスワールドカップ第5戦で、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)が独走勝利。マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)はメカトラの遅れを取り戻せず2位に終わった。



にこやかな表情を見せるマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)にこやかな表情を見せるマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVosスタートラインに並んだワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)	スタートラインに並んだワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) photo:CorVos


国内のシクロクロス熱が野辺山に集中する中、ドイツ北部にあるニーダーザクセン州の街ツェーフェンではUCIシクロクロスワールドカップ第5戦が開催された。ツェーフェンの森に囲まれた芝生広場は、雨に濡れると非常に重たい泥コンディションになることで有名。もとより斜面を登り降りするパワーコースであり、前日までの雨によって乗車を拒む、深く重い泥区間があちこちに生まれた。

スタートダッシュで前方に躍り出たのはラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア)。しかしここまでのワールドカップで全勝しているマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)が、世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)を従えて加速。コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア)やマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)がここに続いた。

ファンアールトによるファーストアタックは封じられ、後方からトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)が追いついてくる。すると矢継ぎ早に、乗車もままならない泥区間でファンアールトが再び仕掛けた。

チェーン落ちによって大きく遅れたマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)チェーン落ちによって大きく遅れたマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos長い登り区間を走るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)長い登り区間を走るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) photo:CorVos

泥しぶきをあげて走るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)泥しぶきをあげて走るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) photo:CorVos
対抗したいファンデルポールだったが、このタイミングで痛恨のチェーン落ちに見舞われ、更に復旧に手間取ったことで18番手まで後退してしまう。これをチャンスと読んだファンアールトが強烈なペースアップを敢行し、アールツら2位グループとの距離を徐々に広げていく。

しかしファンデルポールもビッグギアを踏み倒し、驚異的なペースアップでポジションを回復させていく。4周目にはアールツ、ファンケッセル、そしてファントーレンハウトという3名による2位グループをキャッチした。「突然のチェーン落ちで貴重なタイムを失ってしまった。2位グループを捕まえて飛び出そうと思ったけれど、快調に飛ばすワウトにはもう届かないと判断。確実に2位となれるように切り替えた」とファンデルポールは語っている。

泥を得意とするクラース・ファントルノート(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)が7位に食い込む泥を得意とするクラース・ファントルノート(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)が7位に食い込む photo:CorVos久々にトップ10に顔を出したトム・メーウセン(ベルギー、ベオバンク・コレンドン)久々にトップ10に顔を出したトム・メーウセン(ベルギー、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos

18番手からの追い上げを強いられたマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)	18番手からの追い上げを強いられたマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos最後にファンデルポールを捉えたトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)最後にファンデルポールを捉えたトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) photo:CorVos


「彼の追い上げも脅威だったものの、自分もメンタル的に崩れず、タイム差を一定に保つことができた」という世界王者は、最後まで最大のライバルとの差を40秒程度に固定。平均スピード18km/h台というヘビーコンディションの戦いを制した。

「今日は今シーズン初めてマテューとのバトルに勝つことができた。長いラン区間や深い泥など非常にタフなコースだったけれど、試走を重ねたことでコースを攻略できたと思う」と、ライバルのアクシデントをきっかけにリードを築き、一定間隔の攻防戦を制したファンアールトは言う。「もちろんマテューのバッドラックは残念だけど、彼を待つ選択肢は僕にはなかった。シクロクロスとは常にリスクがつきものの競技だから。今日は速度が遅かったので、ミスをリカバリーできるチャンスは誰にでもあった」。

独走勝利を飾ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)	独走勝利を飾ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) photo:CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2017-2018第5戦表彰台UCIシクロクロスワールドカップ2017-2018第5戦表彰台 photo:CorVos
その後方ではアールツが最終盤にファンデルポールの背中を捉えたものの、「できるだけポイントを稼いでおきたかった」というファンデルポールは再加速して一蹴。序盤から積極的な走りを見せたファンケッセルが4位、泥と相性が良いベテラン、クラース・ファントルノート(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)が7位に食い込んだ。

UCIシクロクロスワールドカップ2017-2018第5戦
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) 1h07’32”
2位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) +47”
3位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) +50”
4位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +1’39”
5位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス) +1’57”
6位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス) +2’16”
7位 クラース・ファントルノート(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス) +2’25”
8位 マルセル・マイセン(ドイツ、ステイラーツ・ベットファースト) +2’34”
9位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・フィデア) +2’42”
10位 トム・メーウセン(ベルギー、ベオバンク・コレンドン) +2’46”
text:So.Isobe
photo:CorVos

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