アメリカ、オーストラリア、そして日本人選手による三つ巴の戦いは、サミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)の登りアタックで決着。野辺山史上最も白熱した女子レースの模様を紹介します。



エリート女子レースがスタート。エミリー・カチョレック(アメリカ、Squid Bikes)がホールショットエリート女子レースがスタート。エミリー・カチョレック(アメリカ、Squid Bikes)がホールショット photo:Makoto.Ayano
午前中に開催された一般カテゴリーから試走時間とシングルスピードを挟み、13時30分に号砲が鳴り響いた女子エリート。35名という過去最大人数のエントリーであり、アメリカとオーストラリアからも2名ずつが加わったことで非常にハイレベルなレースが展開された。

真っ先に駆け出していったのは、4名体制で乗り込んできたSquid Bikesのリーダーであるエミリー・カチョレック(アメリカ)。ここに今井美穂(CO2 bicycle)とエイプリル・マクドノー(オーストラリア、Flanders JBlood)、與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope)そしてサミエル・ルーネルズ(アメリカ、Squid Bikes)が続き、5名の先頭パックを組んで進行した。

エリート女子 サミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)ら5名が先頭パックを形成エリート女子 サミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)ら5名が先頭パックを形成 photo:Kei Tsujiエリート女子 泥のついたバイクをピットで交換するサミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)エリート女子 泥のついたバイクをピットで交換するサミエル・ルーネルズ(Squid Bikes) photo:Kei Tsuji

ペースを上げて3名に絞り込むサミエル・ルーネルズ(アメリカ、Squid Bikes)ペースを上げて3名に絞り込むサミエル・ルーネルズ(アメリカ、Squid Bikes) photo:Makoto.Ayano
やがてルーネルズのハイペースに対してカチョレックと與那嶺が遅れ、先頭は3名。「かなりキツかったけれど、表彰台を海外勢に独占されたくないと思っていた」と言う今井が、パワフルに走る海外勢に食らいついた。

ギャラリーを沸かせる華麗な走りで周回していく今井とマクドノー、そしてルーネルズ。途中の林間区間でルーネルズが前転、今井と接触したマクドノーが落車するアクシンデントも起こったものの、それぞれのミスを挽回し、3人一かたまりのまま最終周回へ。その後ろではカチョレックが與那嶺からリードを奪い、スタートで出遅れた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)と宮内佐季子(ClubLa.sistaOffroadTeam)、西山みゆき(東洋フレーム)の3名が激しい6位争いを展開した。

エリート女子 4番手を走る與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope)エリート女子 4番手を走る與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) photo:Kei Tsujiエリート女子 サミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)を先頭に最終周回へエリート女子 サミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)を先頭に最終周回へ photo:Kei Tsuji


すると、終始落ち着いた表情を崩さなかったルーネルズが「高速サーキットですごく自分向きだった。自分の持ち味である登坂力を活かそうと思った」と、緩く長い舗装路直登でアタック。今井は3番手に入っていたため反応できず、数秒の差が生まれる。これが勝負の決定打となった。

2名の猛追を抑え込み、残り距離をミスなくこなしたルーネルズが野辺山初日に勝利。その数秒後、スプリントで今井を振り切ったマクドノーが2位、持ち前のスキルで互角に渡り合った今井が、相性の良い野辺山で3位表彰台を確保した。

エリート女子 追いすがる2名を振り切ったサミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)エリート女子 追いすがる2名を振り切ったサミエル・ルーネルズ(Squid Bikes) photo:Kei Tsuji
スプリントで2位に入ったエイプリル・マクドノー(オーストラリア、Flanders JBlood)スプリントで2位に入ったエイプリル・マクドノー(オーストラリア、Flanders JBlood) photo:Makoto.Ayanoエリート女子 優勝カウベルをゲットしたサミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)らエリート女子 優勝カウベルをゲットしたサミエル・ルーネルズ(Squid Bikes)ら photo:Kei Tsuji


「今年2月のシクロクロス東京で初めて日本のレースを走り、たくさんの応援をもらったので日本のことが好きになった。とても寒くてウォーマー無しでは走れなかったけれど、この美しい野辺山で勝てて嬉しい」とはルーネルズ。今年はピストバイクによるクリテリウムレース、レッドフック・クリテリウムでの優勝を狙って乗り込みを強化していたという。

4位争いは與那嶺を着実に引き離したカチョレックに軍配が上がり、そこから1分20秒遅れた6位には唐見が入った。野辺山史上最も白熱した女子レースを終え、会場の興奮が最高潮に達したまま男子エリートレースの火蓋が切って落とされた。
Raphaスーパークロス野辺山2017 UCIエリート女子
1位 サミエル・ルーネルズ(アメリカ、Squid Bikes) 44'05"
2位 エイプリル・マクドノー(オーストラリア、Flanders JBlood)
3位 今井美穂(CO2 bicycle) +02"
4位 エミリー・カチョレック(アメリカ、Squid Bikes) +26"
5位 與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) +38"
6位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1'50"
7位 宮内佐季子(ClubLa.sistaOffroadTeam) +2'00"
8位 西山みゆき(東洋フレーム) +2'02"
9位 松本璃奈(TEAM GRM) +3'27"
10位 フィオナ・モーリス(オーストラリア、SPEEDVAGEN X MAAP) +3'47"
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji

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