2017/09/09(土) - 16:10
オーストラリア、ケアンズで開催中のMTB世界選手権。昨日までの大会2日目、3日目の日本代表選手の結果を、JCFに掲載された鈴木雷太代表監督によるレポートを元にお伝えする。
大会2日目:XCO男女ジュニア
大会2日目はXCO 男女ジュニアの決勝が行われた。XCOのコースは1周4.3km。灼熱で固められた一本のトラックが右へ左へ上に下にとうねりながら続くコース。試走など一人で走るにはスムーズで気持ちよくエキサイティングなパートもある変化に富んでいるが、集団となると前走者のすさまじい砂埃が立ち上がり、一瞬にして視界を消し去ってしまう難しさもある。
女子ジュニアは800mのスタートループ+4周の18.8kmで13時から行われた。日本からは川口うらら(龍野高校/Sonic-Racing)と山田夕貴(滝川西高等学校/TEAM BG8)の2名がエントリー。川口は先日アメリカで開催されたUCIジュニアシリーズでも優勝しており、スタートは2列目からスタート。スタートループは13位で一本の蛇のようにつながる集団で通過し本コースへ。
下りの得意な川口はセクションでのポジションアップを狙っていったが、砂埃で視界が遮られ後輪をパンク。ピットにて後輪を交換して32位まで落ちてしまった。しかしそこからの追い上げは素晴らしく28位、25位、24位とポジションを上げてゴールした。最終ラップが一番タイムもよかったことから、パンク後退後前走者を抜いていくのが障害になっていることがタイムからもわかる。
山田はスタート位置と同じくらいで集団後方で本コースへ入っていった。途中ネットに引っかかる落車などもあったが、攻める場所と落ち着いていく場所を見極める制度が徐々に上がり、ギリギリではあったが初完走を果たした。
男子ジュニアはスタートループ+5周 23.1kmで15時にスタートした。日本からは北林力(Proride)、村上功太郎(松山工業高校)、神永真一(Proride)の3名でのエントリー。スタート位置から密度が高く最初のポジション争いを全員が意識しているのがわかるほどだ。ファーストコーナーではやはり小さめであったが落車があった。北林が28位を日本勢の先頭に数珠繋ぎの集団で本コースへ。密度と速度が速い分砂埃がすごい。
北林が1周目の後半に落車をしてしまい、頭を打ち脳震盪でリタイヤとなってしまった。村上は2周目後半で後輪を岩にヒットさせてパンクさせてしまい、3周目最初のピットでホイール交換。神永はほぼ最後尾からのスタートながらストップアンドゴーの多い集団最後尾でしっかりと粘った走りを見せた。4周目はパンクで後退した村上と同じ5人パックで走りゴールは村上50位、神永51位でゴールした。
予想はしていたが抜きどころがなくコースのほとんどが狭い為、最初のスタートループの位置取りが重要であることを再認識したとともに、森の中でも密度の高い集団で走れる技術が不足しているのも浮き彫りとなる厳しい結果であった。
※男子ジュニアは地元オーストラリアのキャメロン・ライトが、女子ジュニアはオーストリアのラウラ・スティッガーが勝利した。
大会3日目:XCO男子U23、DHI 男子ジュニアシーディングラン・男子エリートタイムドセッション
大会3日目となる9月8日はDHI 男子ジュニアシーディングランと男子エリートタイムドセッションが午前に行われ、午後は男子U23のレースが行われた。
14時30分から行われたXCO 男子U23はスタートループ+本コース6周の27.4kmで行われた。スタートグリッドについてからの殺気立った空気や、密集度はエリート顔負けの雰囲気だった。いかにこのレースが特別で、このコースがファーストコーナーを曲がってからのシングルトラックの位置取りが重要かといったことを感じた。日本からは平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)、上野蓮(MASAYA YOUNG RIDERS)、山田将輝(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)の3名。平林と上野はほぼ中央から、山田は最右からのスタートとなった。
凄まじい密集度とスピードそして砂埃を立ててレースはスタートした。山田が右列からの流れにしっかりと乗ってスタートでジャンプアップし28位で本コースへ。しかしハイスピードと砂埃で前が見えない中後輪をパンクしてしまいピットストップ。単独となって再スタートを切ったが焦りもあり下りで後輪を再度パンクしてしまい80%ルールで終了となった。
上野は最後尾からのスタートだったが、前回の北米遠征からの課題である「一人で走らない」「集団で走る」をとにかく実行し、最後2周は一人で走ることが多くなったが、ギリギリ最終走者でゴールした。期待が持たれた平林だったがスタートループで目の前での落車回避でストップしたこともあって54位からの追い上げを強いられた。とにかく前を追うしかない状況で抜けるところで抜いていくことを繰り返し、54-54-50-43-43-41と追い上げ続け41位でゴールした。
今回のレースはパンクラッシュであり、特に前半はテックエリアでも各国大忙しの状況だった。このカテゴリーはエリートに負けないレースをしており、UCIレースにもっと参加しポイントをしっかりと獲得してからでないとスタート位置で負けてしまっていて、毎レース後方スタートでは苦しいレース展開を余儀なくされるままなので、複数年の計画によってUCIレースを転戦する必要があると感じたレースであった。
※男子U23レースはニュージーランドのサムエル・ゲイズが優勝して2連覇を飾った。
DHI男子ジュニアの井岡佑介(重力技研/GLcomponents)は、シーディングランで細かいミスがあったものの全体を通じてまとめる走りで8位。宇津孝太郎(&stream…小川輪業)はキャンバーコーナーでスリップダウンしてしまい46位となった。DHI男子エリートの九島勇気(玄武/MONDRAKER)と井本はじめ(Sram/Santacruz)は無難な走りで、九島57位、井本60位。清水一輝(Patrol Mountain Downhill Team)はクラッシュもあり64位で終えた。
report:鈴木雷太/JCF
photo:UCI
大会2日目:XCO男女ジュニア
大会2日目はXCO 男女ジュニアの決勝が行われた。XCOのコースは1周4.3km。灼熱で固められた一本のトラックが右へ左へ上に下にとうねりながら続くコース。試走など一人で走るにはスムーズで気持ちよくエキサイティングなパートもある変化に富んでいるが、集団となると前走者のすさまじい砂埃が立ち上がり、一瞬にして視界を消し去ってしまう難しさもある。
女子ジュニアは800mのスタートループ+4周の18.8kmで13時から行われた。日本からは川口うらら(龍野高校/Sonic-Racing)と山田夕貴(滝川西高等学校/TEAM BG8)の2名がエントリー。川口は先日アメリカで開催されたUCIジュニアシリーズでも優勝しており、スタートは2列目からスタート。スタートループは13位で一本の蛇のようにつながる集団で通過し本コースへ。
下りの得意な川口はセクションでのポジションアップを狙っていったが、砂埃で視界が遮られ後輪をパンク。ピットにて後輪を交換して32位まで落ちてしまった。しかしそこからの追い上げは素晴らしく28位、25位、24位とポジションを上げてゴールした。最終ラップが一番タイムもよかったことから、パンク後退後前走者を抜いていくのが障害になっていることがタイムからもわかる。
山田はスタート位置と同じくらいで集団後方で本コースへ入っていった。途中ネットに引っかかる落車などもあったが、攻める場所と落ち着いていく場所を見極める制度が徐々に上がり、ギリギリではあったが初完走を果たした。
男子ジュニアはスタートループ+5周 23.1kmで15時にスタートした。日本からは北林力(Proride)、村上功太郎(松山工業高校)、神永真一(Proride)の3名でのエントリー。スタート位置から密度が高く最初のポジション争いを全員が意識しているのがわかるほどだ。ファーストコーナーではやはり小さめであったが落車があった。北林が28位を日本勢の先頭に数珠繋ぎの集団で本コースへ。密度と速度が速い分砂埃がすごい。
北林が1周目の後半に落車をしてしまい、頭を打ち脳震盪でリタイヤとなってしまった。村上は2周目後半で後輪を岩にヒットさせてパンクさせてしまい、3周目最初のピットでホイール交換。神永はほぼ最後尾からのスタートながらストップアンドゴーの多い集団最後尾でしっかりと粘った走りを見せた。4周目はパンクで後退した村上と同じ5人パックで走りゴールは村上50位、神永51位でゴールした。
予想はしていたが抜きどころがなくコースのほとんどが狭い為、最初のスタートループの位置取りが重要であることを再認識したとともに、森の中でも密度の高い集団で走れる技術が不足しているのも浮き彫りとなる厳しい結果であった。
※男子ジュニアは地元オーストラリアのキャメロン・ライトが、女子ジュニアはオーストリアのラウラ・スティッガーが勝利した。
大会3日目:XCO男子U23、DHI 男子ジュニアシーディングラン・男子エリートタイムドセッション
大会3日目となる9月8日はDHI 男子ジュニアシーディングランと男子エリートタイムドセッションが午前に行われ、午後は男子U23のレースが行われた。
14時30分から行われたXCO 男子U23はスタートループ+本コース6周の27.4kmで行われた。スタートグリッドについてからの殺気立った空気や、密集度はエリート顔負けの雰囲気だった。いかにこのレースが特別で、このコースがファーストコーナーを曲がってからのシングルトラックの位置取りが重要かといったことを感じた。日本からは平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)、上野蓮(MASAYA YOUNG RIDERS)、山田将輝(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)の3名。平林と上野はほぼ中央から、山田は最右からのスタートとなった。
凄まじい密集度とスピードそして砂埃を立ててレースはスタートした。山田が右列からの流れにしっかりと乗ってスタートでジャンプアップし28位で本コースへ。しかしハイスピードと砂埃で前が見えない中後輪をパンクしてしまいピットストップ。単独となって再スタートを切ったが焦りもあり下りで後輪を再度パンクしてしまい80%ルールで終了となった。
上野は最後尾からのスタートだったが、前回の北米遠征からの課題である「一人で走らない」「集団で走る」をとにかく実行し、最後2周は一人で走ることが多くなったが、ギリギリ最終走者でゴールした。期待が持たれた平林だったがスタートループで目の前での落車回避でストップしたこともあって54位からの追い上げを強いられた。とにかく前を追うしかない状況で抜けるところで抜いていくことを繰り返し、54-54-50-43-43-41と追い上げ続け41位でゴールした。
今回のレースはパンクラッシュであり、特に前半はテックエリアでも各国大忙しの状況だった。このカテゴリーはエリートに負けないレースをしており、UCIレースにもっと参加しポイントをしっかりと獲得してからでないとスタート位置で負けてしまっていて、毎レース後方スタートでは苦しいレース展開を余儀なくされるままなので、複数年の計画によってUCIレースを転戦する必要があると感じたレースであった。
※男子U23レースはニュージーランドのサムエル・ゲイズが優勝して2連覇を飾った。
DHI男子ジュニアの井岡佑介(重力技研/GLcomponents)は、シーディングランで細かいミスがあったものの全体を通じてまとめる走りで8位。宇津孝太郎(&stream…小川輪業)はキャンバーコーナーでスリップダウンしてしまい46位となった。DHI男子エリートの九島勇気(玄武/MONDRAKER)と井本はじめ(Sram/Santacruz)は無難な走りで、九島57位、井本60位。清水一輝(Patrol Mountain Downhill Team)はクラッシュもあり64位で終えた。
report:鈴木雷太/JCF
photo:UCI
H3
MTB世界選手権2017
XCO 男子U23結果
1位 | サムエル・ゲイズ(ニュージーランド) | 1h17'46" |
2位 | アラン・ハサリー(南アフリカ) | +11" |
3位 | マキシミリアン・ブランドル(ドイツ) | +51" |
4位 | セバスティアンフィニ・カールステンセン(デンマーク) | +1'26" |
5位 | ミラン・ヴァダー(オランダ) | +1'33" |
41位 | 平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN) | +6'36" |
61位 | 上野蓮(MASAYA YOUNG RIDERS) | +11'59" |
66位 | 山田将輝(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM) | -4Lap |
XCO 男子ジュニア結果
1位 | キャメロン・ライト(オーストラリア) | 1h07"56" |
2位 | ジョエル・ロス(スイス) | +35" |
3位 | ホールデン・ジョーンズ(カナダ) | +44" |
4位 | ジュリ・ザノッティ(イタリア) | +48" |
5位 | デーヴィッド・リスト(ドイツ) | +57" |
50位 | 村上功太郎(松山工業高校) | +9'25" |
51位 | 神永真一(Proride) | +9'43" |
DNF | 北林力(Proride) |
XCO 女子ジュニア結果
1位 | ラウラ・スティッガー(オーストリア) | 1h03'27" |
2位 | ロアナ・ルコント(フランス) | +15" |
3位 | ナディア・グロッド(スイス) | +1'41" |
4位 | マリカ・トーヴォ(イタリア) | 2'01" |
5位 | フランツィスカ・コーク(ドイツ) | +2'21" |
24位 | 川口うらら(龍野高校/Sonic-Racing | +7'39" |
34位 | 山田夕貴(滝川西高等学校/TEAM BG8) | +14'32" |
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