2017/08/31(木) - 02:51
アンダルシアを見下ろす標高2,120mの1級山岳カラル・アルト天文台に向かう登りで総合争いが過熱。エステバン・チャベスらが失速する中、23歳のミゲルアンヘル・ロペスが自身初のステージ優勝を果たし、クリストファー・フルームがマイヨロホをキープ。ヴィンチェンツォ・ニーバリが総合2位に浮上した。
ブエルタはイベリア半島最南端のアンダルシア州に入った。第11ステージは終盤にかけて1級山岳ベレフィケ峠(長さ13.2km/平均8.6%)と1級山岳カラル・アルト天文台(長さ15.5km/平均5.9%)を連続してクリアする難関山岳コース。獲得標高差は今大会最大クラスの3,490mで、最終的に選手たちは標高2,120mまで登り切る。
2日連続でスタート地点に到着した選手たちを迎えたのは冷たい雨。気温18度のロルカの街をスタートしてすぐにこの日もアタック合戦が始まり、すでに総合タイムを失っているロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が果敢に逃げを試みた。
逃げグループの先行が始まったのはレース開始から1時間が経ってから。バルデやボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)という健脚揃いの14名が先行を開始し、好天であれば真っ青な海が広がるアンダルシアの薄暗い海岸線を離れて内陸に向かう。バルデが逃げに乗った一方で、容赦なく降る雨の影響でドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)はレースを去っている。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのは2006年に1級山岳カラル・アルト天文台山頂フィニッシュでステージ優勝を飾っているイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)で、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)から5分54秒遅れの総合18位。レース中盤にタイム差が4分半まで広がりを見せたが、チームスカイの集団牽引によってバーチャルマイヨロホがフルームからアントンに渡ることはなかった。
フィニッシュまで60kmを切り、この日最初の難所である1級山岳ベレフィケ峠の麓が近づくとチームスカイに代わってオリカ・スコットがメイン集団のペースアップを開始する。このオーストラリアチームの集団牽引によって長さ13.2kmの本格的な登坂開始を前にタイム差は1分20秒まで縮小。タイム差が40秒まで縮まったところで(頂上まで10kmを残して)サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)が先手を打った。それと同時にメイン集団はチームスカイ6名(ロペス、ローザ、モスコン、プールス、ニエベ、フルーム)によるコントロールに戻る。
続いてメイン集団を抜け出したダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)は、イェーツとともに先頭を走るバルデとジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)、サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)に追いつき、メイン集団から2分のリードを築いて1級山岳ベレフィケ峠をクリアする。雨が止み、小康状態となった下り区間で先頭はイェーツ、バルデ、アタプマの3名に。
逃げトリオとメイン集団のタイム差が2分45秒まで広がったところで1級山岳カラル・アルト天文台の登坂がスタート。長さ15.5kmの登坂が始まるとすぐ、イェーツの脱落によって先頭はアタプマとバルデの2名に絞られる。後方でタイム差を急速に縮めたメイン集団の中では熾烈なアタックが始まった。
頂上まで11kmを残してアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が活発にアタックを開始。ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)にアシストされたフルームが落ち着いて対応した一方で、総合3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)や総合6位ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が脱落する。やがて、総合2位のエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)も失速した。
ニーバリ、コンタドール、フルーム、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)の7名で形成された精鋭グループは、残り7km地点で先頭のバルデとアタプマを吸収。9名に人数を増やした精鋭グループが後続を引き離しながら気温9度のカラル・アルト天文台に向かって突き進んだ。
残り2kmで勾配が増したところでニーバリが再び加速すると精鋭グループにセレクションがかかり、残り1kmサインを前にロペスがカウンターアタックするとコンタドール、ケルデルマン、ザカリン、ニエベが脱落。食らいつくフルームとニーバリを振り切ったロペスが緩斜面で距離を広げ、後続に14秒差をつけてフィニッシュに飛び込んだ。
ニーバリを徹底マークしたフルームは無理にロペスを追わず、追いついたケルデルマンとの三つ巴スプリントでステージ2位(ボーナスタイム6秒)を獲得。フルームを基準に計算すると、コンタドールとザカリンは17秒遅れ、デラクルスは1分遅れ、チャベスは1分51秒遅れ、ロッシュに至っては4分以上遅れて頂上にたどり着いている。
「雨によって想像以上にエネルギーを消費した厳しいステージだった。チームとして開幕からずっと勝利を追い求め続けた成果がようやく出たことを嬉しく思う。最後の登りはあらかじめチェックしていたので、落ち着いて残り1kmの急勾配区間までタイミングを待ったんだ」。今大会を代表する難易度の山岳ステージでグランツール初ステージ優勝を飾った小柄なコロンビアンクライマーは喜ぶ。
23歳のロペスは2016年ツール・ド・スイスで総合優勝を果たしており、これが自身2度目のグランツール出場。この日の勝利によって総合トップ10圏内に浮上したロペスは「このまま選手として成長を続けたい。昨年のブエルタは落車リタイアに終わったけど、今年はとても落ち着いてレースに挑めている。ファビオ(アル)と一緒に引き続き総合成績とステージ成績を狙うよ」と語っている。
ニーバリとケルデルマンを除く総合ライバルたちからリードを奪うことに成功したフルームは「今日の結果にはとても満足している。総合争いにおいて極めて重要な日になった。ステージ優勝を狙ったものの、ステージ2位は文句なし。ロペスの強烈なアタックにはとても付いていけなかった。今日最も素晴らしい走りをしたのは彼だ」と、若い勝者を讃えた。
「作戦通りにレースが進まないこともある。今日重要なことは挑戦したこと。でも寒さの影響か、結果を残せなかった」と言うチャベスを追い抜いて、ニーバリがフルームと1分19秒差の総合2位に浮上。フルームは「今日最も重要だったのはヴィンチェンツォ・ニーバリに先行させないこと。エステバン・チャベスが脱落し、アルベルト・コンタドールが限界を迎える中、ニーバリだけは前に行かせないように最大限集中したよ」と、後半戦に入って調子を上げる2010年の総合優勝者を警戒する。フルームの総合リードは広がったが、総合2位以下は依然として混戦状態が続いている。
ブエルタはイベリア半島最南端のアンダルシア州に入った。第11ステージは終盤にかけて1級山岳ベレフィケ峠(長さ13.2km/平均8.6%)と1級山岳カラル・アルト天文台(長さ15.5km/平均5.9%)を連続してクリアする難関山岳コース。獲得標高差は今大会最大クラスの3,490mで、最終的に選手たちは標高2,120mまで登り切る。
2日連続でスタート地点に到着した選手たちを迎えたのは冷たい雨。気温18度のロルカの街をスタートしてすぐにこの日もアタック合戦が始まり、すでに総合タイムを失っているロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が果敢に逃げを試みた。
逃げグループの先行が始まったのはレース開始から1時間が経ってから。バルデやボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)という健脚揃いの14名が先行を開始し、好天であれば真っ青な海が広がるアンダルシアの薄暗い海岸線を離れて内陸に向かう。バルデが逃げに乗った一方で、容赦なく降る雨の影響でドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)はレースを去っている。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのは2006年に1級山岳カラル・アルト天文台山頂フィニッシュでステージ優勝を飾っているイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)で、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)から5分54秒遅れの総合18位。レース中盤にタイム差が4分半まで広がりを見せたが、チームスカイの集団牽引によってバーチャルマイヨロホがフルームからアントンに渡ることはなかった。
フィニッシュまで60kmを切り、この日最初の難所である1級山岳ベレフィケ峠の麓が近づくとチームスカイに代わってオリカ・スコットがメイン集団のペースアップを開始する。このオーストラリアチームの集団牽引によって長さ13.2kmの本格的な登坂開始を前にタイム差は1分20秒まで縮小。タイム差が40秒まで縮まったところで(頂上まで10kmを残して)サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)が先手を打った。それと同時にメイン集団はチームスカイ6名(ロペス、ローザ、モスコン、プールス、ニエベ、フルーム)によるコントロールに戻る。
続いてメイン集団を抜け出したダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)は、イェーツとともに先頭を走るバルデとジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)、サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)に追いつき、メイン集団から2分のリードを築いて1級山岳ベレフィケ峠をクリアする。雨が止み、小康状態となった下り区間で先頭はイェーツ、バルデ、アタプマの3名に。
逃げトリオとメイン集団のタイム差が2分45秒まで広がったところで1級山岳カラル・アルト天文台の登坂がスタート。長さ15.5kmの登坂が始まるとすぐ、イェーツの脱落によって先頭はアタプマとバルデの2名に絞られる。後方でタイム差を急速に縮めたメイン集団の中では熾烈なアタックが始まった。
頂上まで11kmを残してアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が活発にアタックを開始。ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)にアシストされたフルームが落ち着いて対応した一方で、総合3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)や総合6位ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が脱落する。やがて、総合2位のエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)も失速した。
ニーバリ、コンタドール、フルーム、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)の7名で形成された精鋭グループは、残り7km地点で先頭のバルデとアタプマを吸収。9名に人数を増やした精鋭グループが後続を引き離しながら気温9度のカラル・アルト天文台に向かって突き進んだ。
残り2kmで勾配が増したところでニーバリが再び加速すると精鋭グループにセレクションがかかり、残り1kmサインを前にロペスがカウンターアタックするとコンタドール、ケルデルマン、ザカリン、ニエベが脱落。食らいつくフルームとニーバリを振り切ったロペスが緩斜面で距離を広げ、後続に14秒差をつけてフィニッシュに飛び込んだ。
ニーバリを徹底マークしたフルームは無理にロペスを追わず、追いついたケルデルマンとの三つ巴スプリントでステージ2位(ボーナスタイム6秒)を獲得。フルームを基準に計算すると、コンタドールとザカリンは17秒遅れ、デラクルスは1分遅れ、チャベスは1分51秒遅れ、ロッシュに至っては4分以上遅れて頂上にたどり着いている。
「雨によって想像以上にエネルギーを消費した厳しいステージだった。チームとして開幕からずっと勝利を追い求め続けた成果がようやく出たことを嬉しく思う。最後の登りはあらかじめチェックしていたので、落ち着いて残り1kmの急勾配区間までタイミングを待ったんだ」。今大会を代表する難易度の山岳ステージでグランツール初ステージ優勝を飾った小柄なコロンビアンクライマーは喜ぶ。
23歳のロペスは2016年ツール・ド・スイスで総合優勝を果たしており、これが自身2度目のグランツール出場。この日の勝利によって総合トップ10圏内に浮上したロペスは「このまま選手として成長を続けたい。昨年のブエルタは落車リタイアに終わったけど、今年はとても落ち着いてレースに挑めている。ファビオ(アル)と一緒に引き続き総合成績とステージ成績を狙うよ」と語っている。
ニーバリとケルデルマンを除く総合ライバルたちからリードを奪うことに成功したフルームは「今日の結果にはとても満足している。総合争いにおいて極めて重要な日になった。ステージ優勝を狙ったものの、ステージ2位は文句なし。ロペスの強烈なアタックにはとても付いていけなかった。今日最も素晴らしい走りをしたのは彼だ」と、若い勝者を讃えた。
「作戦通りにレースが進まないこともある。今日重要なことは挑戦したこと。でも寒さの影響か、結果を残せなかった」と言うチャベスを追い抜いて、ニーバリがフルームと1分19秒差の総合2位に浮上。フルームは「今日最も重要だったのはヴィンチェンツォ・ニーバリに先行させないこと。エステバン・チャベスが脱落し、アルベルト・コンタドールが限界を迎える中、ニーバリだけは前に行かせないように最大限集中したよ」と、後半戦に入って調子を上げる2010年の総合優勝者を警戒する。フルームの総合リードは広がったが、総合2位以下は依然として混戦状態が続いている。
ステージ成績
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 5:05:09 |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:00:14 |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
5位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:31 |
6位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
7位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | |
8位 | ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) | |
9位 | ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 0:01:02 |
10位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:01:14 |
11位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 0:01:17 |
15位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:01:32 |
17位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 0:02:05 |
21位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | 0:03:26 |
28位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | 0:04:17 |
34位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:09:13 |
DNF | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) | |
敢闘賞 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 45:18:01 |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:19 |
3位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 0:02:33 |
4位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:02:36 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:02:37 |
6位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:02:38 |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:02:57 |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 0:03:01 |
9位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 0:03:55 |
10位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:04:11 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 78pts |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 75pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 53pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 38pts |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 21pts |
3位 | ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 18pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 5pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) | 21pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 26pts |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 135:24:05 |
2位 | アスタナ | 0:01:49 |
3位 | チームスカイ | 0:07:40 |
Amazon.co.jp