2017/08/13(日) - 06:27
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュの開催地域を走る山岳コースで行われたビンクバンク・ツアー第6ステージ。雨を伴うクイーンステージでティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)とトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)の逃げ切りが決まった。
メイン集団の先頭を陣取るBMCレーシングやチームスカイ photo:LC / TDWsport
並んで走るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)とティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:LC / TDWsport
リエージュの南に広がる丘陵地帯が第6ステージの舞台。距離のある登りが14ヶ所も設定された203.7kmコースはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを彷彿とさせるもの。獲得標高差は3,000mオーバーだ。
スタート後1時間にわたって繰り広げられたアタック合戦の結果、先頭ではトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、キャノンデール・ドラパック)、ローリー・スザーランド(スペイン、モビスター)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)という強力な6名逃げが形成される。
タイム差は5分30秒まで広がったものの、総合で1分強しか遅れていないマルティンらの先行を好ましく思わない総合系チームの集団牽引によってタイム差は縮小傾向に。多くのスプリンターたちがリタイアする中、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がアシストとしてメイン集団を牽引した。
レースが本格的に動き始めたのはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュにも登場するコート・ド・サンロッシュの登り。ここでティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)がペースアップするとメイン集団の人数は一気に減る。先頭ではゲオゲガンハートらが抵抗を見せたものの、勢いあるメイン集団には敵わずに吸収された。
雨のアップダウンコースを走るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)ら photo:LC / TDWsport
続いて動いたベルギーチャンピオンのオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)は20秒ほどのタイム差を得て独走したものの、雨に濡れたコースでそのリードは広がらない。ボーナスタイムが設定された「ゴールデンキロメーター」が近づくとペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターアタックし、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)とともにナーセンを抜いて先頭に立った。
こうして始まったサガンとウェレンスの決定的な先行だったが、タイミングの悪いパンクが世界チャンピオンを襲う。道が細く、チームカーが前に上がれないタイミングだったためサガンは前輪をパンクさせたままレースを続行せざるを得ない状況に。後続の選手たちにも追い抜かれたサガンがようやく前輪を交換した時には、先頭ウェレンスから1分ものタイムを失っていた。
サガンの脱落後も快調に飛ばしたウェレンスには、細分化された後続グループからトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)だけが追いつくことに成功する。追走集団を牽引したサガンは他選手の協力を得ることができず、先頭とのタイム差は広がるばかり。サガンはカメラに向かって親指を立てて苛立ちをアピールした。
雨によって完全にウェットなコースでウェレンスとデュムランはハイペースを刻み続け、追いすがるグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)、ナーセン、ブノートらとのタイム差をキープしながらフィニッシュまで逃げ切った。
最後はスプリント一騎打ちに持ち込まれ、デュムランを下したウェレンスがステージ優勝。17秒遅れのステージ3位にはヴァンアーヴェルマートを下したストゥイヴェンが入り、サガンやリーダージャージのラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)を含む集団は1分42秒遅れでフィニッシュにたどり着いている。
トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)との一騎打ちで勝利したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:LC / TDWsport
ステージ3位争いを繰り広げたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:LC / TDWsport
「今日は雨と風を伴う自分が好きなコンディションだった。チームの作戦通り、残り30kmからハードな展開に持ち込んで、集団の人数が絞り込まれたタイミングでサガンとともに残り25kmでアタック。サガンがパンクで脱落してからは、追いついてきたトム(デュムラン)と強力して走った。先週このコースを試走した父親からフィニッシュの様子を聞いていたので、最終コーナーを先頭で抜けるべきだと分かっていた」とウェレンスは語る。
最終ステージを前にリーダージャージはデュムランの手に。「ゴールデンキロメーター」でボーナスタイム9秒を獲得し、さらにステージ優勝で10秒を加算したウェレンスが4秒差の総合2位、ヴァンアーヴェルマートが46秒差の総合3位。積極的に動きながらもパンクでチャンスを失ったサガンは2秒差の総合2位から1分48秒差の総合8位まで順位を下げている。
総合首位デュムランは「最後はティム(ウェレンス)に食らいつくのに必死だった。このリーダージャージ獲得は2日間にわたってサンウェブがレースを作った結果。リーダージャージを守るために明日は戦略的に動く必要がある。4秒差をかけた激しいバトルになるはず」と、好調なウェレンスを警戒する。
対してウェレンスは「今日は終盤にかけてトムの調子がそこまで良いように見えなかった。でも実際に彼に4秒差をつけてフィニッシュするのは簡単なことじゃない。明日はゴールデンキロメーターのボーナスタイムも重要になってくる。トムと自分は石畳のスペシャリストではないので、早めにレースが動くような展開ではライバルたちも総合の土俵に上がってくるかもしれない」と予想する。翌日の最終ステージはベルギーのフランドル地方を走る191.3km。ボズベルグやミュール・ファン・ヘラールツベルヘンなどの急坂を含むミニ=ロンド・ファン・フラーンデレンで総合争いは決する。
集団内でフィニッシュし、表彰台に向かうペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:LC / TDWsport
リーダージャージを獲得したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:LC / TDWsport
![メイン集団の先頭を陣取るBMCレーシングやチームスカイ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389569.jpg)
![並んで走るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)とティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389543.jpg)
リエージュの南に広がる丘陵地帯が第6ステージの舞台。距離のある登りが14ヶ所も設定された203.7kmコースはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを彷彿とさせるもの。獲得標高差は3,000mオーバーだ。
スタート後1時間にわたって繰り広げられたアタック合戦の結果、先頭ではトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、キャノンデール・ドラパック)、ローリー・スザーランド(スペイン、モビスター)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)という強力な6名逃げが形成される。
タイム差は5分30秒まで広がったものの、総合で1分強しか遅れていないマルティンらの先行を好ましく思わない総合系チームの集団牽引によってタイム差は縮小傾向に。多くのスプリンターたちがリタイアする中、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がアシストとしてメイン集団を牽引した。
レースが本格的に動き始めたのはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュにも登場するコート・ド・サンロッシュの登り。ここでティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)がペースアップするとメイン集団の人数は一気に減る。先頭ではゲオゲガンハートらが抵抗を見せたものの、勢いあるメイン集団には敵わずに吸収された。
![雨のアップダウンコースを走るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)ら](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389621.jpg)
続いて動いたベルギーチャンピオンのオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)は20秒ほどのタイム差を得て独走したものの、雨に濡れたコースでそのリードは広がらない。ボーナスタイムが設定された「ゴールデンキロメーター」が近づくとペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターアタックし、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)とともにナーセンを抜いて先頭に立った。
こうして始まったサガンとウェレンスの決定的な先行だったが、タイミングの悪いパンクが世界チャンピオンを襲う。道が細く、チームカーが前に上がれないタイミングだったためサガンは前輪をパンクさせたままレースを続行せざるを得ない状況に。後続の選手たちにも追い抜かれたサガンがようやく前輪を交換した時には、先頭ウェレンスから1分ものタイムを失っていた。
サガンの脱落後も快調に飛ばしたウェレンスには、細分化された後続グループからトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)だけが追いつくことに成功する。追走集団を牽引したサガンは他選手の協力を得ることができず、先頭とのタイム差は広がるばかり。サガンはカメラに向かって親指を立てて苛立ちをアピールした。
雨によって完全にウェットなコースでウェレンスとデュムランはハイペースを刻み続け、追いすがるグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)、ナーセン、ブノートらとのタイム差をキープしながらフィニッシュまで逃げ切った。
最後はスプリント一騎打ちに持ち込まれ、デュムランを下したウェレンスがステージ優勝。17秒遅れのステージ3位にはヴァンアーヴェルマートを下したストゥイヴェンが入り、サガンやリーダージャージのラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)を含む集団は1分42秒遅れでフィニッシュにたどり着いている。
![トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)との一騎打ちで勝利したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389557.jpg)
![ステージ3位争いを繰り広げたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389593.jpg)
「今日は雨と風を伴う自分が好きなコンディションだった。チームの作戦通り、残り30kmからハードな展開に持ち込んで、集団の人数が絞り込まれたタイミングでサガンとともに残り25kmでアタック。サガンがパンクで脱落してからは、追いついてきたトム(デュムラン)と強力して走った。先週このコースを試走した父親からフィニッシュの様子を聞いていたので、最終コーナーを先頭で抜けるべきだと分かっていた」とウェレンスは語る。
最終ステージを前にリーダージャージはデュムランの手に。「ゴールデンキロメーター」でボーナスタイム9秒を獲得し、さらにステージ優勝で10秒を加算したウェレンスが4秒差の総合2位、ヴァンアーヴェルマートが46秒差の総合3位。積極的に動きながらもパンクでチャンスを失ったサガンは2秒差の総合2位から1分48秒差の総合8位まで順位を下げている。
総合首位デュムランは「最後はティム(ウェレンス)に食らいつくのに必死だった。このリーダージャージ獲得は2日間にわたってサンウェブがレースを作った結果。リーダージャージを守るために明日は戦略的に動く必要がある。4秒差をかけた激しいバトルになるはず」と、好調なウェレンスを警戒する。
対してウェレンスは「今日は終盤にかけてトムの調子がそこまで良いように見えなかった。でも実際に彼に4秒差をつけてフィニッシュするのは簡単なことじゃない。明日はゴールデンキロメーターのボーナスタイムも重要になってくる。トムと自分は石畳のスペシャリストではないので、早めにレースが動くような展開ではライバルたちも総合の土俵に上がってくるかもしれない」と予想する。翌日の最終ステージはベルギーのフランドル地方を走る191.3km。ボズベルグやミュール・ファン・ヘラールツベルヘンなどの急坂を含むミニ=ロンド・ファン・フラーンデレンで総合争いは決する。
![集団内でフィニッシュし、表彰台に向かうペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389600.jpg)
![リーダージャージを獲得したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/08/13/20176235-389589.jpg)
ステージ成績
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) | 5:04:36 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
3位 | ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | 0:00:17 |
4位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | |
5位 | ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
6位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ) | 0:00:20 |
7位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | |
8位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:42 |
9位 | セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック) | |
10位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) | |
17位 | ラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ | |
21位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
54位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:12:29 |
個人総合成績
1位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 20:27:49 |
2位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) | 0:00:04 |
3位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:46 |
4位 | ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | 0:00:52 |
5位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:02 |
6位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | 0:01:09 |
7位 | ラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ | 0:01:46 |
8位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:48 |
9位 | ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター) | 0:02:13 |
10位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:02:15 |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 104pts |
2位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | 55pts |
3位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | 55pts |
コンバティビティ賞
1位 | ピート・アレガールト(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | 64pts |
2位 | エルマー・レインダース(オランダ、ルームポット) | 48pts |
3位 | ローレンス・デヴリーズ(ベルギー、アスタナ) | 26pts |
チーム総合成績
1位 | ロット・ソウダル | 61:31:36 |
2位 | トレック・セガフレード | 0:02:12 |
3位 | サンウェブ | 0:04:36 |
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