ロデーズの600m登りスプリントでベルギー勢を下したマイケル・マシューズがステージ優勝。ポジションを落とした状態で登りに挑んだファビオ・アルがタイムを失い、クリストファー・フルームがマイヨジョーヌを奪回した。



ひまわり畑を通過するマイヨジョーヌのファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ひまわり畑を通過するマイヨジョーヌのファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第14ステージツール・ド・フランス2017第14ステージ ©GEOATLASツール・ド・フランス2017第14ステージツール・ド・フランス2017第14ステージ ©A.S.O.
ブラニャックにあるエアバス社の前を通過ブラニャックにあるエアバス社の前を通過 photo:Tim de Waele / TDWsport
中央山塊(マシフ・サントラル)を走るツール第14ステージ。トゥールーズをスタートする前半は比較的平坦だが、後半にかけて2つの3級山岳を含む細かいアップダウンが組み込まれている。しかもロデーズのフィニッシュ地点はパンチのある登り基調。残り600mから平均勾配9.6%の登りが続くためピュアスプリンター向きではない。

正式スタートとともにトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)がアタックすると、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、マキシム・ブエ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、ティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ)の3名がすぐにジョイン。レト・ホレンシュタイン(スイス、カチューシャ・アルペシン)が出遅れながらも追走の末に合流し、14km地点で先頭では5名の逃げグループが形成された。

3分まで広がったタイム差をすぐに詰めにかかったのはBMCレーシングで、サンウェブとバーレーン・メリダもここに合流する。登れるスプリンターやパンチャーを抱えるこれらのチームの集団コントロールによってタイム差が2分前後で推移したままレースは進んだ。

逃げグループから遅れること2分でスプリントポイント(55.5km地点)に差し掛かったメイン集団ではこの日1回目のスプリントが繰り広げられ、マイヨヴェールを着るマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)がマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)を下している(それぞれ10ポイントと9ポイント獲得)。途中リタイアしたファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)を欠くメイン集団が、逃げる5名を2分遅れで追う展開のままレースは後半に入った。

逃げグループを形成するトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)ら5名逃げグループを形成するトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)ら5名 photo:Tim de Waele / TDWsport
マイヨジョーヌを着て走るファビオ・アル(イタリア、アスタナ)マイヨジョーヌを着て走るファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport集団前方を固めるサンウェブ集団前方を固めるサンウェブ photo:Tim de Waele / TDWsport
BMCレーシングとサンウェブを先頭に走るメイン集団BMCレーシングとサンウェブを先頭に走るメイン集団 photo:Tim de Waele / TDWsport
サンウェブとBMCレーシングを先頭に並木道を走るサンウェブとBMCレーシングを先頭に並木道を走る photo:Kei Tsuji / TDWsport
後半のアップダウン区間に入ってもサンウェブとBMCレーシングが集団コントロールを続け、横風が吹いたことも影響してピュアスプリンターたちが脱落していく。先頭では徐々に脚の差が出始め、デヘントとヴォクレールの2人が逃げを継続。2つの3級山岳はいずれもデヘントの手に渡っている。

メイン集団とのタイム差が縮まりつつある中、デヘントがヴォクレールを置き去りにして単独での逃げを敢行した。ペースを上げて追撃するメイン集団相手に最後まで抵抗したデヘント。しかし残り20kmで1分というリードは小さすぎた。ステージ敢闘賞を獲得したデヘントは残り13kmで吸収されている。

細かい登りと下りを繰り返すコースで続いてトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がアタックを仕掛けたものの、サンウェブが世界TTチャンピオンの動きを封じる。カチューシャ・アルペシンは攻撃の手を緩めず、続いてマウリス・ラメルティンク(オランダ)がアタック。ここにダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)とニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)がチェックに入り、遅れてピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)も合流した。

協調体制を築けない先頭4名はペースが上がらず、チームスカイ率いるメイン集団によって吸収。そこからはディメンションデータやクイックステップフロアーズが主導権を握り、ロデーズの街に向かうダウンヒルをハイスピードでこなした。チームメイトに守られたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が集団前方をキープした一方で、単騎のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)はポジションを落としてしまう。

フラムルージュを過ぎ、残り600mのコーナーを曲がって登りに突入するとまずベルギーチャンピオンのオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)がアタック。登りで徐々に勢いを失ったナーセンに代わって先頭に立ったのは前ベルギーチャンピオンのフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)だった。

しかし新旧ベルギーチャンピオンの登りスプリントはいずれも伸びず、残り200mで今度はグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が先頭を奪う。すると、コーナー外側から鋭く加速したマシューズがヴァンアーヴェルマートに並び、登りの頂上を目視で確認してから下を向いてスプリントを継続。登りでヴァンアーヴェルマートを振り切ったマシューズが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。

残り13km地点まで逃げ続けたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)残り13km地点まで逃げ続けたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele / TDWsport
グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)を抜いて先頭に立つマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)を抜いて先頭に立つマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
登りスプリントで勝利したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)登りスプリントで勝利したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Tim de Waele / TDWsport
25秒遅れでフィニッシュしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)25秒遅れでフィニッシュしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ツールで2年連続ステージ優勝を飾ったマシューズは「すべてが作戦通りだった。チームは一日中メイン集団の先頭に立って状況をコントロール。逃げグループとのタイム差を抑え込むために力を使ったので最後はチームメイトから孤立すると思っていたけど、最後まで2〜3人が自分の周りにいてくれた」と、チームメイトに感謝する。

マシューズはこの日と同じフィニッシュレイアウトの2015年第13ステージで17位。リベンジを達成したマシューズは「2年前もこのロデーズで勝利を狙っていたのに、落車で肋骨を4本折った状態だったので勝負できなかった。だからこのステージに舞い戻って、勝利で締めくくるなんて夢のようだ」と語っている。ステージ優勝によってマイヨヴェールのキッテルとの差は99ポイントまで縮まっている。

集団前方のステージ7位(1秒遅れ)でフィニッシュしたフルームに対し、登り始めの時点で後方に沈んでいたマイヨジョーヌのファビオ・アル(イタリア、アスタナ)はステージ30位(25秒遅れ)。これにより総合成績が逆転し、フルームがマイヨジョーヌに返り咲いた。

「2年前にこのフィニッシュを経験していたことが大いに役立った。マイヨジョーヌ奪回はチームワークの賜物。無線を通してチームメイトから『アルの位置が悪い』と聞いて、登りでプッシュし続けた。ツールも後半に入り、1秒も無駄にできない状況が続いている。マイヨジョーヌに再び袖を通すことは信じられない気持ちだ」と、再びマイヨジョーヌに袖を通したフルーム。第14ステージを終えて総合2位アルとのタイム差は18秒。総合争いは依然として僅差の状態が続いている。

2年連続でステージ優勝を飾ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)2年連続でステージ優勝を飾ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsportマイヨジョーヌを取り返したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを取り返したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
H3
ツール・ド・フランス2017第14ステージ結果
ステージ成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 4:21:56
2位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 0:01
4位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
5位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
7位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) 0:05
118位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) 12:03
敢闘賞 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 59:52:09
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 0:18
3位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール) 0:23
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) 0:29
5位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 1:17
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) 1:26
7位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 2:02
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 2:22
9位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) 5:09
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 5:37
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 373pts
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 274pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 187pts
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 179:42:14
2位 アージェードゥーゼール 19:07
3位 モビスター 1:02:31

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