2017/05/24(水) - 20:16
ツアー・オブ・ジャパン4日目の美濃ステージが行われ、ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)がステージ優勝。マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がリーダージャージを守った。序盤から逃げ続けた初山翔(ブリヂストンアンカー)は山岳ポイントを加算し、山岳賞ジャージを維持した。
ツアー・オブ・ジャパン第4ステージの舞台となるのは、岐阜県美濃市。今年10回目の開催となる「美濃ステージ」の名物は、スタート地点の 「うだつの上がる街並み」だろう。今年もスタート前のセレモニーでは地元の子供達のパフォーマンスが披露され、スタート前の緊張を和らげた。
レースは長良川沿いを行く1周21.3kmの周回コースを6周半する139.4km。登りは山岳賞が設定された1ヶ所のみで、あとは平坦基調なコースだ。天気は前日までとはうって変わって朝から曇り。気温は20℃から23℃ほどで過ごしやすい一日となった。時折雨がパラパラと落ちてくる事もあったが、傘は要らない程度で済んだ。
パレードスタートから周回コースに入ったところで、山岳賞ジャージを着る初山翔(ブリヂストンアンカー)が飛び出す。これに孫崎大樹(日本ナショナルチーム)が続き、集団は2人の逃げを見送る。
「昨日レースが終わった後は今日は休みたいと思っていたけれど、チームとしても山岳賞ジャージを東京まで維持することにしたので、今日はポイントを獲るために行きました。」と言う初山。その初山の動きを予測し、「スタートからずっと初山さんをマークしていました。」と言う孫崎と2人の逃げは、最大で7分40秒まで広がる。このタイム差は、初山がバーチャルリーダー、孫崎がバーチャル2位となるほど大きなものだ。
レース序盤はリーダージャージのマルコ・カノラのNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール。後半に入るとユナイテッドヘルスケアや愛三工業レーシング、マトリックスパワータグなど、ステージ優勝を狙うチームが前に出てきて、逃げ集団を追走する。
初山は目標通り2回の山岳賞をトップ通過すると踏むのをやめ、メイン集団に戻る。一方孫崎は、4周目の2回目の山岳賞が終わった時点でまだ2分以上の差があった事もあって単独で逃げ続ける。それでも孫崎の抵抗は5周目の登りまでで、ペースの上がった集団に飲み込まれた。
その孫崎を吸収したカウンターで、椿大志(キナンサイクリングチーム)が単独アタック。メイン集団に10秒ほどの差をつけて最終周回の6周目に入る。しかし登りの手前までに集団が吸収し、勝負は集団でのスプリントに持ち込まれた。1km以上ある長良川沿いのホームストレートでのスプリント勝負を制したのは、ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)。昨年の美濃ステージ優勝のアンソニー・ジャコッポ(アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)を抑え、雪辱を果たした。
昨年の2位が悔しかったと言うアベラストゥリは、「最後のスプリントは出遅れてしまったけれど、ユナイテッドヘルスケアの選手がスピードを上げていったのでその後ろについて前に出た。昨年2位だった美濃ステージで優勝出来て本当に嬉しい。」と、1年越しの優勝を喜んだ。アベラストゥリはポイント賞争いでマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)に並んだ。今日は次点でポイント賞ジャージを着ていたが、自分の物にする可能性も見えてきた。
一方、この日の敢闘賞に値する逃げを見せた孫崎。「今回のツアー・オブ・ジャパンでは出来るだけ逃げに乗って行こうと考えていました。今日は初山さんが動くだろうから、ついて行けば逃げが成功する確率が高くなるだろうと思っていました。1回で決まるとは思わなかったのですが、集団がペースダウンしてくれたのと初山さんが強かったので、長く逃げ続ける事が出来ました。もうちょっと逃げの人数がいれば楽だったかなとは思いましたが。」と、この日のレースを振り返る。「明日からは厳しいステージが続いて今日のように目立つ事は難しくなるだろうけれど、しっかり粘ってチャンスがあればまた動けるようにしたい。これで終わりではないので、気を引き締めていきます。」と、明日からのステージに意欲を見せた。
孫崎と一緒に逃げた初山はレース後の記者会見で「自分は山岳賞を獲るために逃げました。2回目の山岳賞の後に集団に戻った事で、若い孫崎選手が勝つ可能性を潰してしまった事は申し訳ないと思っています。でも自分はプロとして山岳賞ジャージを東京まで守るために動いたので、そこは理解して欲しいと思います。」と、コメントした。
ツアー・オブ・ジャパンは全日程の半分が終了。個人総合順位はマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が首位を維持している。首位から1分以内の差には35人がひしめいている状態。昨年優勝のオスカル・プジョル(チーム右京)は30秒差の総合6位、昨年2位のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)は38秒差の総合18位など、総合上位を狙っているであろう選手は大きく遅れる事なく前半のステージを終えている。
日本勢では、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が、30秒差の総合8位を筆頭に、土井雪広(マトリックスパワータグ)が36秒差の11位、西薗良太(ブリヂストンアンカー)と入部正太朗(シマノレーシング)が37秒差につけている。
明日は長野県飯田市での南信州ステージ。厳しいアップダウンがあり、個人総合争いをする上で落とせないステージだ。また、山岳賞ジャージを着る初山が、明日のステージでどれだけポイントを加算できるかにも注目したい。富士山ステージでの結果が影響しにくいほどのリードを築く事を初山自身公言しており、明日も逃げに乗ってくる可能性が高い。
南信州ステージは午前9時15分にスタートする。
ツアー・オブ・ジャパン2017第4ステージ美濃 結果
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京) 3時間22分4秒
2位 アンソニー・ジャコッポ(アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) +0秒
3位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ)
4位 セバスチャン・アエド(ユナイテッドヘルスケア)
5位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位 シモン・サジノック(アタッキ・チームグスト)
7位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
8位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
9位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
10位 窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合順位
1位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 9時間21分13秒
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京) +5秒
3位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ) +23秒
4位 ロビー・ハッカー(アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) +27秒
5位 セバスチャン・アエド(ユナイテッドヘルスケア)
6位 オスカル・プジョル(チーム右京) +30秒
7位 ネイサン・アール(チーム右京)
8位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
9位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京) +31秒
10位 イヴァン・サンタロミータ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +33秒
個人総合新人賞
1位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ) 9時間21分36秒
ポイント賞
1位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 68p
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京) 68p
3位 セバスチャン・アエド(ユナイテッドヘルスケア) 50p
山岳賞
1位 初山翔(ブリヂストンアンカー) 25p
2位 山本大喜(日本ナショナルチーム) 6p
3位 孫崎大樹(日本ナショナルチーム) 6p
チーム総合
1位 チーム右京 28時間5分4秒
2位 NIPPOヴィーニファンティーニ +7秒
3位 アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス +14秒
text&photo:Satoru.Kato
photo:Hideaki.Takagi
ツアー・オブ・ジャパン第4ステージの舞台となるのは、岐阜県美濃市。今年10回目の開催となる「美濃ステージ」の名物は、スタート地点の 「うだつの上がる街並み」だろう。今年もスタート前のセレモニーでは地元の子供達のパフォーマンスが披露され、スタート前の緊張を和らげた。
レースは長良川沿いを行く1周21.3kmの周回コースを6周半する139.4km。登りは山岳賞が設定された1ヶ所のみで、あとは平坦基調なコースだ。天気は前日までとはうって変わって朝から曇り。気温は20℃から23℃ほどで過ごしやすい一日となった。時折雨がパラパラと落ちてくる事もあったが、傘は要らない程度で済んだ。
パレードスタートから周回コースに入ったところで、山岳賞ジャージを着る初山翔(ブリヂストンアンカー)が飛び出す。これに孫崎大樹(日本ナショナルチーム)が続き、集団は2人の逃げを見送る。
「昨日レースが終わった後は今日は休みたいと思っていたけれど、チームとしても山岳賞ジャージを東京まで維持することにしたので、今日はポイントを獲るために行きました。」と言う初山。その初山の動きを予測し、「スタートからずっと初山さんをマークしていました。」と言う孫崎と2人の逃げは、最大で7分40秒まで広がる。このタイム差は、初山がバーチャルリーダー、孫崎がバーチャル2位となるほど大きなものだ。
レース序盤はリーダージャージのマルコ・カノラのNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール。後半に入るとユナイテッドヘルスケアや愛三工業レーシング、マトリックスパワータグなど、ステージ優勝を狙うチームが前に出てきて、逃げ集団を追走する。
初山は目標通り2回の山岳賞をトップ通過すると踏むのをやめ、メイン集団に戻る。一方孫崎は、4周目の2回目の山岳賞が終わった時点でまだ2分以上の差があった事もあって単独で逃げ続ける。それでも孫崎の抵抗は5周目の登りまでで、ペースの上がった集団に飲み込まれた。
その孫崎を吸収したカウンターで、椿大志(キナンサイクリングチーム)が単独アタック。メイン集団に10秒ほどの差をつけて最終周回の6周目に入る。しかし登りの手前までに集団が吸収し、勝負は集団でのスプリントに持ち込まれた。1km以上ある長良川沿いのホームストレートでのスプリント勝負を制したのは、ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)。昨年の美濃ステージ優勝のアンソニー・ジャコッポ(アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)を抑え、雪辱を果たした。
昨年の2位が悔しかったと言うアベラストゥリは、「最後のスプリントは出遅れてしまったけれど、ユナイテッドヘルスケアの選手がスピードを上げていったのでその後ろについて前に出た。昨年2位だった美濃ステージで優勝出来て本当に嬉しい。」と、1年越しの優勝を喜んだ。アベラストゥリはポイント賞争いでマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)に並んだ。今日は次点でポイント賞ジャージを着ていたが、自分の物にする可能性も見えてきた。
一方、この日の敢闘賞に値する逃げを見せた孫崎。「今回のツアー・オブ・ジャパンでは出来るだけ逃げに乗って行こうと考えていました。今日は初山さんが動くだろうから、ついて行けば逃げが成功する確率が高くなるだろうと思っていました。1回で決まるとは思わなかったのですが、集団がペースダウンしてくれたのと初山さんが強かったので、長く逃げ続ける事が出来ました。もうちょっと逃げの人数がいれば楽だったかなとは思いましたが。」と、この日のレースを振り返る。「明日からは厳しいステージが続いて今日のように目立つ事は難しくなるだろうけれど、しっかり粘ってチャンスがあればまた動けるようにしたい。これで終わりではないので、気を引き締めていきます。」と、明日からのステージに意欲を見せた。
孫崎と一緒に逃げた初山はレース後の記者会見で「自分は山岳賞を獲るために逃げました。2回目の山岳賞の後に集団に戻った事で、若い孫崎選手が勝つ可能性を潰してしまった事は申し訳ないと思っています。でも自分はプロとして山岳賞ジャージを東京まで守るために動いたので、そこは理解して欲しいと思います。」と、コメントした。
ツアー・オブ・ジャパンは全日程の半分が終了。個人総合順位はマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が首位を維持している。首位から1分以内の差には35人がひしめいている状態。昨年優勝のオスカル・プジョル(チーム右京)は30秒差の総合6位、昨年2位のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)は38秒差の総合18位など、総合上位を狙っているであろう選手は大きく遅れる事なく前半のステージを終えている。
日本勢では、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が、30秒差の総合8位を筆頭に、土井雪広(マトリックスパワータグ)が36秒差の11位、西薗良太(ブリヂストンアンカー)と入部正太朗(シマノレーシング)が37秒差につけている。
明日は長野県飯田市での南信州ステージ。厳しいアップダウンがあり、個人総合争いをする上で落とせないステージだ。また、山岳賞ジャージを着る初山が、明日のステージでどれだけポイントを加算できるかにも注目したい。富士山ステージでの結果が影響しにくいほどのリードを築く事を初山自身公言しており、明日も逃げに乗ってくる可能性が高い。
南信州ステージは午前9時15分にスタートする。
ツアー・オブ・ジャパン2017第4ステージ美濃 結果
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京) 3時間22分4秒
2位 アンソニー・ジャコッポ(アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) +0秒
3位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ)
4位 セバスチャン・アエド(ユナイテッドヘルスケア)
5位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位 シモン・サジノック(アタッキ・チームグスト)
7位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
8位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
9位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
10位 窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合順位
1位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 9時間21分13秒
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京) +5秒
3位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ) +23秒
4位 ロビー・ハッカー(アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) +27秒
5位 セバスチャン・アエド(ユナイテッドヘルスケア)
6位 オスカル・プジョル(チーム右京) +30秒
7位 ネイサン・アール(チーム右京)
8位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
9位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京) +31秒
10位 イヴァン・サンタロミータ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +33秒
個人総合新人賞
1位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ) 9時間21分36秒
ポイント賞
1位 マルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 68p
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京) 68p
3位 セバスチャン・アエド(ユナイテッドヘルスケア) 50p
山岳賞
1位 初山翔(ブリヂストンアンカー) 25p
2位 山本大喜(日本ナショナルチーム) 6p
3位 孫崎大樹(日本ナショナルチーム) 6p
チーム総合
1位 チーム右京 28時間5分4秒
2位 NIPPOヴィーニファンティーニ +7秒
3位 アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス +14秒
text&photo:Satoru.Kato
photo:Hideaki.Takagi
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