2017/04/24(月) - 10:42
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)の4勝目で幕を下ろした第103回リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。春のクラシックシーズンを締めくくる最古参レースに挑んだ選手たちのコメントをお伝えします。
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
この勝利をミケーレ・スカルポーニに捧げたい。彼とは長年親密な仲だった。若くして交通事故でこの世を去るなんて本当に心が痛んだ。ニュースを見たときは信じることができなかったし、状況を飲み込めなかった。自分だけではなく、チーム全体が、自転車界全体がショックを受けた。この勝利で得た賞金はすべてミケーレの家族に捧げたい。
完璧な1週間を締めくくる歴史的な勝利だ。水曜日のフレーシュと同様にモビスターは序盤からレースをコントロール。逃げグループの人数が多かったので他のチームの協力も得た。さもなくば逃げ切りを許してしまったと思う。ペースが速かったので最後は全員が限界を迎えていた。
最後のアンスの登りで独走に持ち込んだマーティンは強力で、そのまま逃げ切りかねない勢いだった。自分は飛び出すべきタイミングを計算しながら待機して残り500mで加速。最初はアルバジーニが食らいついてきたけど、かまわず加速を続けた。そしてマーティンに追いつき、5秒ほど息を整えてからスプリントしたんだ。状況が状況なだけに、これまでの4勝の中で最もスペシャルな勝利。最後はミケーレに背中を押された気分だった。
4勝目をアピールするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:TDWsport
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
今回クイックステップフロアーズは若いメンバーでの出場だったけど、彼らは誠心誠意最大限の力をもってアシストしてくれた。最後の(アンスの)登りは自分向きなので、番手を下げたアレハンドロ(バルベルデ)が前を塞がれているのを確認してアタック。全力で加速したけど、残念ながらアレッサンドロを振り切ることはできなかった。また2位という結果になってしまった。
また2018年も勝つためにここに戻ってきたい。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュは子供の頃からずっと見ていて、愛してやまないレースなんだ。自分よりも強い選手に負けたので、2位という結果には失望していない。チームが強力にサポートしてくれたことに満足している。春のクラシックシーズンを通してクイックステップフロアーズは常にレースを動かした。良い勝利を飾り、良い結果を残してきた。誇りをもって春のキャンペースを終えることができる。
3位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
今日は逃げグループが大きなリードを得て先行。モビスターが状況をコントロールすると予想したけど、タイム差がなかなか縮まらなかったのでチームスカイは他の数チームとともに協力した。レース後半は常にペースが速かったので、集団から誰も飛び出せない状況が続いた。登りで良い感触を得ていたので、すべてのアタックに反応する自信があったけど、ダン(マーティン)とアレハンドロ(バルベルデ)が動いた時、自分は後方に埋もれてしまって反応できなかった。
セルジオ(エナオ)は素晴らしいアシストぶりを見せてくれたよ。調子が良いことを彼に告げると、彼は最後までアシストに徹してくれた。彼との連携は抜群だった。アルデンヌの1週間を通してチームスカイは存在感を見せたと思う。彼らのおかげで手にした表彰台を誇らしく思うし、また勝つためにこのリエージュに戻ってきたい。
表彰台 2位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)、1位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、3位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:TDWsport
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
今日はワレン(バルギル)で勝負する作戦だったものの、最後から2つめの登りで彼は本調子でないことを伝えてきた。チームメイトに背中を押されることによってモチベーションが戻ることがよくあるので、そこから何とか彼を勇気づけようと鼓舞したんだ。でも最後の登りでワレンが今日は彼の日ではないと無線を通して再度伝えてきたので、自分で勝負することに決めた。
そこからフィニッシュまでは単純な生き残りをかけたサバイバルだった。全力で集団に残ってスプリントに絡んだけど表彰台にはわずかに届かず。スーパーハードな展開の末に4位という結果を残せたことに満足しているよ。
マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ) photo:CorVos
5位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
バルベルデは別の惑星からやってきたような好調ぶり。5位という結果には満足している。勝負どころでは常に先頭で展開できたし、開幕迫るツール・ド・ロマンディが楽しみだ。
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
最終コーナーを抜けた時点で3位を狙えると思った。でも向かい風が吹く平坦区間で苦しんでしまい、自分よりもスプリント力のある数名の選手に追い抜かれてしまった。自分の脚質でできる限りの走りをしたので、結果には悔いはない。今日はこの順位(6位)が最高の結果だったと思う。これから少しの休養を挟んでからスペインのシエラネバダで高地トレーニングを行い、6月のクリテリウム・デュ・ドーフィネでレースに復帰する予定。
7位 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)
アルデンヌ3連戦すべてでトップ10フィニッシュという結果は悪くないけど、表彰台を狙っていたので失望感もある。自分の役目はエナオとバルベルデのアタックに反応することだった。戦略的にチームはできる限りのことをした。チームメイトたちの献身に応えたかったけど、物足りない7位という結果に終わってしまった。
最後は決定的な動きに反応できず、バルベルデを先行させてしまったことが悔やまれる。サンニコラでアタックに反応した代償だ。今思えば、あの状況では集団内で待機すべきだったのかもしれないけど、最終的にメンバー3名を集団に残すことができたので悪くない。アダム・イェーツはジロ・デ・イタリアに向けて良い調子を示したし、チームのこれからに繋がる走りだったと思う。
11位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
自分のレースには満足している。最後まで比較的大きな集団で進行する展開は自分にとって好都合だった。今日のような展開では最後に脚に力を残していた選手が勝つ。自分も力を残していたつもりだったけど、2月のオンループ・ヘットニュースブラッドから始まった長いクラシックシーズンの終盤なのでフレッシュさに欠け、強い選手たちのアタックには反応できなかった。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで勝つためには違った準備が必要だと気付いたよ。来年またチャレンジするかもしれない。
今までのキャリアの中で最も成功した春のクラシックシーズンだった(オンループ優勝、クールネ2位、ストラーデビアンケ2位、サンレモ21位、E3優勝、ヘント優勝、ロンド2位、ルーベ優勝、アムステル12位、リエージュ11位)。今日は落胆しないために全力を出しきりたかった。クラシックシーズンを終えてまだ自分がUCIワールドツアーランキングの首位であることを嬉しく思う。
アスタナのラルス・ミカエルセン監督
チームにとって特別な1日だった。こういう状況の中でレースに集中する方法なんて教科書に載っていない。欠場することも考えたが、チームはミケーレ(スカルポーニ)を讃えるためにスタートし、全力で戦うことで一致した。チーム一丸となって最大限の走りをしたと言える。
ヤコブ(フルサング)はミケーレのために走りきることだけを考えていた。もちろん結果を残すことができれば良かったものの、一番大事なのは100%の力でミケーレのために走りきったこと。数日前にミケーレと今日のレースの作戦について話しあったばかりだった。だからヤコブには走りきる使命があったんだ。
アスタナの選手たちを先頭にリエージュ中心部のサンランベール広場をスタート photo:TDWsport
選手コメントは各チームのレポートより。
text:Kei Tsuji
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
この勝利をミケーレ・スカルポーニに捧げたい。彼とは長年親密な仲だった。若くして交通事故でこの世を去るなんて本当に心が痛んだ。ニュースを見たときは信じることができなかったし、状況を飲み込めなかった。自分だけではなく、チーム全体が、自転車界全体がショックを受けた。この勝利で得た賞金はすべてミケーレの家族に捧げたい。
完璧な1週間を締めくくる歴史的な勝利だ。水曜日のフレーシュと同様にモビスターは序盤からレースをコントロール。逃げグループの人数が多かったので他のチームの協力も得た。さもなくば逃げ切りを許してしまったと思う。ペースが速かったので最後は全員が限界を迎えていた。
最後のアンスの登りで独走に持ち込んだマーティンは強力で、そのまま逃げ切りかねない勢いだった。自分は飛び出すべきタイミングを計算しながら待機して残り500mで加速。最初はアルバジーニが食らいついてきたけど、かまわず加速を続けた。そしてマーティンに追いつき、5秒ほど息を整えてからスプリントしたんだ。状況が状況なだけに、これまでの4勝の中で最もスペシャルな勝利。最後はミケーレに背中を押された気分だった。
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2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
今回クイックステップフロアーズは若いメンバーでの出場だったけど、彼らは誠心誠意最大限の力をもってアシストしてくれた。最後の(アンスの)登りは自分向きなので、番手を下げたアレハンドロ(バルベルデ)が前を塞がれているのを確認してアタック。全力で加速したけど、残念ながらアレッサンドロを振り切ることはできなかった。また2位という結果になってしまった。
また2018年も勝つためにここに戻ってきたい。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュは子供の頃からずっと見ていて、愛してやまないレースなんだ。自分よりも強い選手に負けたので、2位という結果には失望していない。チームが強力にサポートしてくれたことに満足している。春のクラシックシーズンを通してクイックステップフロアーズは常にレースを動かした。良い勝利を飾り、良い結果を残してきた。誇りをもって春のキャンペースを終えることができる。
3位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
今日は逃げグループが大きなリードを得て先行。モビスターが状況をコントロールすると予想したけど、タイム差がなかなか縮まらなかったのでチームスカイは他の数チームとともに協力した。レース後半は常にペースが速かったので、集団から誰も飛び出せない状況が続いた。登りで良い感触を得ていたので、すべてのアタックに反応する自信があったけど、ダン(マーティン)とアレハンドロ(バルベルデ)が動いた時、自分は後方に埋もれてしまって反応できなかった。
セルジオ(エナオ)は素晴らしいアシストぶりを見せてくれたよ。調子が良いことを彼に告げると、彼は最後までアシストに徹してくれた。彼との連携は抜群だった。アルデンヌの1週間を通してチームスカイは存在感を見せたと思う。彼らのおかげで手にした表彰台を誇らしく思うし、また勝つためにこのリエージュに戻ってきたい。
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4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
今日はワレン(バルギル)で勝負する作戦だったものの、最後から2つめの登りで彼は本調子でないことを伝えてきた。チームメイトに背中を押されることによってモチベーションが戻ることがよくあるので、そこから何とか彼を勇気づけようと鼓舞したんだ。でも最後の登りでワレンが今日は彼の日ではないと無線を通して再度伝えてきたので、自分で勝負することに決めた。
そこからフィニッシュまでは単純な生き残りをかけたサバイバルだった。全力で集団に残ってスプリントに絡んだけど表彰台にはわずかに届かず。スーパーハードな展開の末に4位という結果を残せたことに満足しているよ。
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5位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
バルベルデは別の惑星からやってきたような好調ぶり。5位という結果には満足している。勝負どころでは常に先頭で展開できたし、開幕迫るツール・ド・ロマンディが楽しみだ。
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
最終コーナーを抜けた時点で3位を狙えると思った。でも向かい風が吹く平坦区間で苦しんでしまい、自分よりもスプリント力のある数名の選手に追い抜かれてしまった。自分の脚質でできる限りの走りをしたので、結果には悔いはない。今日はこの順位(6位)が最高の結果だったと思う。これから少しの休養を挟んでからスペインのシエラネバダで高地トレーニングを行い、6月のクリテリウム・デュ・ドーフィネでレースに復帰する予定。
7位 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)
アルデンヌ3連戦すべてでトップ10フィニッシュという結果は悪くないけど、表彰台を狙っていたので失望感もある。自分の役目はエナオとバルベルデのアタックに反応することだった。戦略的にチームはできる限りのことをした。チームメイトたちの献身に応えたかったけど、物足りない7位という結果に終わってしまった。
最後は決定的な動きに反応できず、バルベルデを先行させてしまったことが悔やまれる。サンニコラでアタックに反応した代償だ。今思えば、あの状況では集団内で待機すべきだったのかもしれないけど、最終的にメンバー3名を集団に残すことができたので悪くない。アダム・イェーツはジロ・デ・イタリアに向けて良い調子を示したし、チームのこれからに繋がる走りだったと思う。
11位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
自分のレースには満足している。最後まで比較的大きな集団で進行する展開は自分にとって好都合だった。今日のような展開では最後に脚に力を残していた選手が勝つ。自分も力を残していたつもりだったけど、2月のオンループ・ヘットニュースブラッドから始まった長いクラシックシーズンの終盤なのでフレッシュさに欠け、強い選手たちのアタックには反応できなかった。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで勝つためには違った準備が必要だと気付いたよ。来年またチャレンジするかもしれない。
今までのキャリアの中で最も成功した春のクラシックシーズンだった(オンループ優勝、クールネ2位、ストラーデビアンケ2位、サンレモ21位、E3優勝、ヘント優勝、ロンド2位、ルーベ優勝、アムステル12位、リエージュ11位)。今日は落胆しないために全力を出しきりたかった。クラシックシーズンを終えてまだ自分がUCIワールドツアーランキングの首位であることを嬉しく思う。
アスタナのラルス・ミカエルセン監督
チームにとって特別な1日だった。こういう状況の中でレースに集中する方法なんて教科書に載っていない。欠場することも考えたが、チームはミケーレ(スカルポーニ)を讃えるためにスタートし、全力で戦うことで一致した。チーム一丸となって最大限の走りをしたと言える。
ヤコブ(フルサング)はミケーレのために走りきることだけを考えていた。もちろん結果を残すことができれば良かったものの、一番大事なのは100%の力でミケーレのために走りきったこと。数日前にミケーレと今日のレースの作戦について話しあったばかりだった。だからヤコブには走りきる使命があったんだ。
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選手コメントは各チームのレポートより。
text:Kei Tsuji
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