2017/04/21(金) - 10:55
50名の集団スプリントに持ち込まれたツアー・オブ・アルプス第4ステージ。総合成績に影響するボーナスタイムを狙ったオールラウンダーたちのスプリントで、マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール)が勝利した。
イタリア・トレンティーノ=アルト・アディジェ州北部に位置するボルツァーノをスタートするツアー・オブ・アルプス第4ステージ。標高1,363mの1級山岳パッソ・メンドラと1級山岳フォルチェラ・ディ・ブレズを越え、リンゴの一大産地として知られるクレスに向かう165.3kmコースで行われた。
レース序盤に形成された5名の逃げグループは2つめの1級山岳フォルチェラ・ディ・ブレズで崩壊。単独で登りアタックを成功させたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF)が頂上を先頭通過し、下り区間でキリアン・フランキーニー(アメリカ、BMCレーシング)が追いついて先頭は2名に。
このGPMフォルチェラ・ディ・ブレズではメイン集団でも動きが見られ、ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)のアタックに続いてティボー・ピノ(フランス、エフデジ)を含む総合上位陣が集団から抜け出すことに成功。しかしチームスカイの集団牽引によってピノらの動きは封じ込められた。
タイム差をキープしながら逃げる先頭ピラッツィとフランキーニーを追って集団を飛び出したユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼール)は、30分間におよぶ長い単独追走の末に先頭にジョイン。3名に人数を増やした先頭グループは、チームスカイが牽引するメイン集団から1分リードで残り5kmを切った。
タイム差と残り距離を考えると逃げ切りも十分に考えられたが、フィニッシュ手前の約3kmは下り基調(勾配-1%)の幹線道路。アスタナやキャノンデール・ドラパックが集団のペースを上げるとタイム差は勢いよく縮まり、先頭3名は残り1kmアーチを前に吸収される。アージェードゥーゼールとエフデジというフレンチチームによるリードアウト争いを経て、残り150mで総合3位ピノがスプリントを開始した。
ステージ優勝者に与えられるボーナスタイム10秒を狙って好位置からスプリントしたピノだったが、「(総合2位)ポッツォヴィーヴォのライバルであるピノのボーナスタイム獲得を阻止することが自分の役目だった」というモンタグーティがピノに並び、ここにローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)も加わって横並びでフィニッシュ。わずかな差で先着したモンタグーティが片手を突き上げた。
「チームはステージ優勝を飾るなんて予想していなかったと思う。ドアを閉めようと思えば閉めることができたはずなのに、進路を塞がずフェアにスプリントしたピノに感謝している」と、スプリント勝利を飾ったモンタグーティは語る。
モンタグーティは2011年に加入したアージェードゥーゼールのジャージでの初勝利。最後の勝利はデローザ・スタックプラスティック時代の2010年ジロ・ディ・カラブリアまで遡る。「7年間も勝利から遠ざかっていたので、出場を熱望していたこのレースでその悪い流れを断ち切ることができてよかった。このレースはジロ・デ・イタリアの最高の準備レース。今年は去年よりも良い状態でジロに挑めそうだ」。
ステージ2位のピノはボーナスタイム6秒を獲得し、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)を抜いて総合2位に浮上した。総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)とのタイム差は13秒に縮まっている。
総合タイムを失いながらもリーダージャージを着て最終ステージに挑むことになったトーマスは「今日はライバルチームがプレッシャーを与え続けるハードなレースだった。チームメイトの献身がなければリーダージャージを失っていたと思う。明日もライバル全員が全開で挑んでくるはず。好調なピノだけでなく、警戒すべき選手がトップ10に揃っている」と、気を緩めない。「ジロ・デ・イタリアにはランダとダブルエース体制で挑む予定で、3週目に良い状態のどちらかがエースを担う。2枚のカードで挑むことでプレッシャーを和らげることができるし、強力なチームも揃っている。ここ数年間チームスカイはジロでツキに見放されているけど、今年は良い流れに乗りたい」。
ツアー・オブ・アルプス最終ステージはスマラーノからトレントまでの192.5kmで開催。残り34km地点に登場する標高1,650mの1級山岳ヴァソン・モンテボンドーネ(全長22km/平均5.2%)で激しいアタック合戦が繰り広げられることになりそうだ。
ツアー・オブ・アルプス2017第4ステージ結果
1位 マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール) 4h56'38"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
5位 ジョセ・メンデス(ポルトガル、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
7位 ラリー・ワーバス(アメリカ、アクアブルースポート)
8位 ユーリ・フィロージ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 マッテーオ・ブザート(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)
10位 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
個人総合成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 15h36'40"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +13"
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +16"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +21"
5位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +31"
6位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) +36"
7位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック) +39"
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +42"
9位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) +46"
10位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +48"
山岳賞
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 33pts
2位 ダヴィデ・オリコ(イタリア、サンジェミニMG) 20pts
3位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF) 18pts
ヤングライダー賞
1位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック) 15h37'19"
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) +17"
3位 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ) +1'24"
チーム総合成績
1位 キャノンデール・ドラパック 46h51'56"
2位 アージェードゥーゼール +1'21"
3位 アスタナ +1'44"
text:Kei Tsuji
イタリア・トレンティーノ=アルト・アディジェ州北部に位置するボルツァーノをスタートするツアー・オブ・アルプス第4ステージ。標高1,363mの1級山岳パッソ・メンドラと1級山岳フォルチェラ・ディ・ブレズを越え、リンゴの一大産地として知られるクレスに向かう165.3kmコースで行われた。
レース序盤に形成された5名の逃げグループは2つめの1級山岳フォルチェラ・ディ・ブレズで崩壊。単独で登りアタックを成功させたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF)が頂上を先頭通過し、下り区間でキリアン・フランキーニー(アメリカ、BMCレーシング)が追いついて先頭は2名に。
このGPMフォルチェラ・ディ・ブレズではメイン集団でも動きが見られ、ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)のアタックに続いてティボー・ピノ(フランス、エフデジ)を含む総合上位陣が集団から抜け出すことに成功。しかしチームスカイの集団牽引によってピノらの動きは封じ込められた。
タイム差をキープしながら逃げる先頭ピラッツィとフランキーニーを追って集団を飛び出したユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼール)は、30分間におよぶ長い単独追走の末に先頭にジョイン。3名に人数を増やした先頭グループは、チームスカイが牽引するメイン集団から1分リードで残り5kmを切った。
タイム差と残り距離を考えると逃げ切りも十分に考えられたが、フィニッシュ手前の約3kmは下り基調(勾配-1%)の幹線道路。アスタナやキャノンデール・ドラパックが集団のペースを上げるとタイム差は勢いよく縮まり、先頭3名は残り1kmアーチを前に吸収される。アージェードゥーゼールとエフデジというフレンチチームによるリードアウト争いを経て、残り150mで総合3位ピノがスプリントを開始した。
ステージ優勝者に与えられるボーナスタイム10秒を狙って好位置からスプリントしたピノだったが、「(総合2位)ポッツォヴィーヴォのライバルであるピノのボーナスタイム獲得を阻止することが自分の役目だった」というモンタグーティがピノに並び、ここにローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)も加わって横並びでフィニッシュ。わずかな差で先着したモンタグーティが片手を突き上げた。
「チームはステージ優勝を飾るなんて予想していなかったと思う。ドアを閉めようと思えば閉めることができたはずなのに、進路を塞がずフェアにスプリントしたピノに感謝している」と、スプリント勝利を飾ったモンタグーティは語る。
モンタグーティは2011年に加入したアージェードゥーゼールのジャージでの初勝利。最後の勝利はデローザ・スタックプラスティック時代の2010年ジロ・ディ・カラブリアまで遡る。「7年間も勝利から遠ざかっていたので、出場を熱望していたこのレースでその悪い流れを断ち切ることができてよかった。このレースはジロ・デ・イタリアの最高の準備レース。今年は去年よりも良い状態でジロに挑めそうだ」。
ステージ2位のピノはボーナスタイム6秒を獲得し、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)を抜いて総合2位に浮上した。総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)とのタイム差は13秒に縮まっている。
総合タイムを失いながらもリーダージャージを着て最終ステージに挑むことになったトーマスは「今日はライバルチームがプレッシャーを与え続けるハードなレースだった。チームメイトの献身がなければリーダージャージを失っていたと思う。明日もライバル全員が全開で挑んでくるはず。好調なピノだけでなく、警戒すべき選手がトップ10に揃っている」と、気を緩めない。「ジロ・デ・イタリアにはランダとダブルエース体制で挑む予定で、3週目に良い状態のどちらかがエースを担う。2枚のカードで挑むことでプレッシャーを和らげることができるし、強力なチームも揃っている。ここ数年間チームスカイはジロでツキに見放されているけど、今年は良い流れに乗りたい」。
ツアー・オブ・アルプス最終ステージはスマラーノからトレントまでの192.5kmで開催。残り34km地点に登場する標高1,650mの1級山岳ヴァソン・モンテボンドーネ(全長22km/平均5.2%)で激しいアタック合戦が繰り広げられることになりそうだ。
ツアー・オブ・アルプス2017第4ステージ結果
1位 マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール) 4h56'38"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
5位 ジョセ・メンデス(ポルトガル、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
7位 ラリー・ワーバス(アメリカ、アクアブルースポート)
8位 ユーリ・フィロージ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 マッテーオ・ブザート(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)
10位 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
個人総合成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 15h36'40"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +13"
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +16"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +21"
5位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +31"
6位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) +36"
7位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック) +39"
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +42"
9位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) +46"
10位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +48"
山岳賞
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 33pts
2位 ダヴィデ・オリコ(イタリア、サンジェミニMG) 20pts
3位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF) 18pts
ヤングライダー賞
1位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック) 15h37'19"
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) +17"
3位 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ) +1'24"
チーム総合成績
1位 キャノンデール・ドラパック 46h51'56"
2位 アージェードゥーゼール +1'21"
3位 アスタナ +1'44"
text:Kei Tsuji
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