2016/12/29(木) - 17:55
2016年の国内ロードシーンを振り返るシリーズを3回に分けてお届け。第1弾では、伊豆大島と修善寺で開催されたアジア選手権から、5月のツアー・オブ・ジャパンまでをプレイバック。
1月
別府史之が奈良県布目ダムでのロードレースに優勝したアジア選手権から、じつに8年ぶりに日本でアジア選手権が行われた。毎年アジア地域で行われる同大会だが今年は東京都大島町でロードレースが、静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームでトラックレースがそれぞれ行われた。男子エリートロードは強風の中ラスト40kmにわたってチェン・キンロ(香港)を約10秒差で新城幸也(ランプレ・メリダ)が追う展開になったがチェンはそのまま逃げ切り新城は2位、そして別府史之(トレック・セガフレード)が3位に。チェンはロードTTとトラック1種目の合計3冠を達成し3月にオリカ・バイクエクスチェンジと契約する。
女子はまずエリートロードTTで萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が2位に0.21秒の僅差で優勝。ジュニアロードでは下山美寿々(大阪教育大付属高校天王寺校)が優勝と幸先良いスタート。そして日本が萩原、與那嶺恵理(フォルツア・ヨネックス)ら4人で臨んだエリートロードは、両名が入った4人の逃げでのスプリント勝負となり3位4位に。有利な展開に持ち込みながらもチームプレーが機能せず、2位までに入れば得られたオリンピック枠1つは獲得できず。
東京オリンピックの会場となる伊豆ベロドロームに会場を移してアジア選手権のトラックレースが行われた。オムニアムで橋本英也(鹿屋体育大学・NIPPO)が逆転優勝、スクラッチでは倉林巧和(日本体育大学大学院)と梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が優勝。ジュニア男子ポイントレースで世界チャンピオンの今村駿介(祐誠高校)が圧勝。そして男子エリートチームパーシュート(窪木、一丸、近谷、原田)は4分03秒819の日本新記録を樹立し2位に。結果を出した中距離系とは対照的に短距離系は振るわず課題を残すことに。
2月
国内では初となるトラックの中距離種目専門チームである、鹿屋体育大学発のプロチーム「CIEL BLEU KANOYA(シエルブルー・カノヤ)」が発足した。同大院を3月に卒業する上野みなみと塚越さくらがメンバーとなり活動。その後に塚越はリオ・オリンピックにオムニアムで出場、上野も11月のトラックワールドカップで2戦続けて2位となる快進撃を続けている。
3月
ロンドンで行われたトラック世界選手権で橋本がポイントレースで歴代最高となる5位に。終盤に落車骨折しながらも走り抜き快挙を達成。リオ・オリンピックのオムニアム出場枠をかけて橋本と窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)が競うがのちに窪木が選ばれることに。
3月20日、いよいよ国内ロードシーズンがJプロツアー宇都宮クリテリウムで始まった。1万3千人の観客を集める中、地元宇都宮ブリッツェン鈴木譲が優勝しチームにとって3年越しの悲願を達成。また女子は吉川美穂(ライブガーデン・ビチステンレ)がスプリントで制し成績を積み上げていく。
熊本県山鹿市での高校選抜ロードは主導権を握った大町健斗(安芸府中高校)が圧勝、女子は細谷夢菜(浦和工業高校)がトラックも含め3冠達成。なおこの2週間後に熊本地震が発生する。
4月
和歌山県旧白浜空港滑走路で行われたJプロツアー白浜チームTTは、マトリックスパワータグが秒差の争いを制し優勝。これに宇都宮ブリッツェン、チーム右京と続き、この3チームが11月のおきなわまで国内レースで鎬を削ることになる。続く同群馬CSC連戦では、今シーズンからチーム右京に加入したジョン・アベラストゥリが豪快なスプリントを見せて2連勝。アベラストゥリは集団にさえいれば絶対に勝つ強さをこののちも見せる。
5月
2日目に京都ステージが入り8日間8ステージとなったツアー・オブ・ジャパン(UCI2.1)。その京都ステージは平日にもかかわらず5万人もの観客を集めた。イランを含む逃げが早々に決まったため波乱は起きず集団スプリントに。南信州ステージは内間康平(ブリヂストンアンカー)が50kmを逃げたが残り600mで集団が吸収。ここまで大きな差がつかないまま富士山ステージへ。ここでオスカル・プジョル(チーム右京)が歴代2位の38分48秒という好タイムで優勝し一躍リーダーに。2位にはキナンサイクリングチームのマルコス・ガルシアが続きその次にイラン勢というかつてない展開に。
そして続く伊豆ステージ、2月に大腿骨を骨折した新城が奇跡の優勝を遂げる。今シーズンはおろか選手生命の危機さえ可能性のあった大けがからの劇的復活勝利に会場は大歓声に包まれた。新城はこれでツール・ド・フランス出場を確定的にする。総合争いはリーダーのプジョル自身がコントロールするなどの結果変動なく、プジョルが個人総合優勝、ガルシアが2位と国内チームが結果を出した。チーム右京は結成5年目にして1クラスのTOJで総合優勝の快挙だ。
text:高木秀彰
1月
別府史之が奈良県布目ダムでのロードレースに優勝したアジア選手権から、じつに8年ぶりに日本でアジア選手権が行われた。毎年アジア地域で行われる同大会だが今年は東京都大島町でロードレースが、静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームでトラックレースがそれぞれ行われた。男子エリートロードは強風の中ラスト40kmにわたってチェン・キンロ(香港)を約10秒差で新城幸也(ランプレ・メリダ)が追う展開になったがチェンはそのまま逃げ切り新城は2位、そして別府史之(トレック・セガフレード)が3位に。チェンはロードTTとトラック1種目の合計3冠を達成し3月にオリカ・バイクエクスチェンジと契約する。
女子はまずエリートロードTTで萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が2位に0.21秒の僅差で優勝。ジュニアロードでは下山美寿々(大阪教育大付属高校天王寺校)が優勝と幸先良いスタート。そして日本が萩原、與那嶺恵理(フォルツア・ヨネックス)ら4人で臨んだエリートロードは、両名が入った4人の逃げでのスプリント勝負となり3位4位に。有利な展開に持ち込みながらもチームプレーが機能せず、2位までに入れば得られたオリンピック枠1つは獲得できず。
東京オリンピックの会場となる伊豆ベロドロームに会場を移してアジア選手権のトラックレースが行われた。オムニアムで橋本英也(鹿屋体育大学・NIPPO)が逆転優勝、スクラッチでは倉林巧和(日本体育大学大学院)と梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が優勝。ジュニア男子ポイントレースで世界チャンピオンの今村駿介(祐誠高校)が圧勝。そして男子エリートチームパーシュート(窪木、一丸、近谷、原田)は4分03秒819の日本新記録を樹立し2位に。結果を出した中距離系とは対照的に短距離系は振るわず課題を残すことに。
2月
国内では初となるトラックの中距離種目専門チームである、鹿屋体育大学発のプロチーム「CIEL BLEU KANOYA(シエルブルー・カノヤ)」が発足した。同大院を3月に卒業する上野みなみと塚越さくらがメンバーとなり活動。その後に塚越はリオ・オリンピックにオムニアムで出場、上野も11月のトラックワールドカップで2戦続けて2位となる快進撃を続けている。
3月
ロンドンで行われたトラック世界選手権で橋本がポイントレースで歴代最高となる5位に。終盤に落車骨折しながらも走り抜き快挙を達成。リオ・オリンピックのオムニアム出場枠をかけて橋本と窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)が競うがのちに窪木が選ばれることに。
3月20日、いよいよ国内ロードシーズンがJプロツアー宇都宮クリテリウムで始まった。1万3千人の観客を集める中、地元宇都宮ブリッツェン鈴木譲が優勝しチームにとって3年越しの悲願を達成。また女子は吉川美穂(ライブガーデン・ビチステンレ)がスプリントで制し成績を積み上げていく。
熊本県山鹿市での高校選抜ロードは主導権を握った大町健斗(安芸府中高校)が圧勝、女子は細谷夢菜(浦和工業高校)がトラックも含め3冠達成。なおこの2週間後に熊本地震が発生する。
4月
和歌山県旧白浜空港滑走路で行われたJプロツアー白浜チームTTは、マトリックスパワータグが秒差の争いを制し優勝。これに宇都宮ブリッツェン、チーム右京と続き、この3チームが11月のおきなわまで国内レースで鎬を削ることになる。続く同群馬CSC連戦では、今シーズンからチーム右京に加入したジョン・アベラストゥリが豪快なスプリントを見せて2連勝。アベラストゥリは集団にさえいれば絶対に勝つ強さをこののちも見せる。
5月
2日目に京都ステージが入り8日間8ステージとなったツアー・オブ・ジャパン(UCI2.1)。その京都ステージは平日にもかかわらず5万人もの観客を集めた。イランを含む逃げが早々に決まったため波乱は起きず集団スプリントに。南信州ステージは内間康平(ブリヂストンアンカー)が50kmを逃げたが残り600mで集団が吸収。ここまで大きな差がつかないまま富士山ステージへ。ここでオスカル・プジョル(チーム右京)が歴代2位の38分48秒という好タイムで優勝し一躍リーダーに。2位にはキナンサイクリングチームのマルコス・ガルシアが続きその次にイラン勢というかつてない展開に。
そして続く伊豆ステージ、2月に大腿骨を骨折した新城が奇跡の優勝を遂げる。今シーズンはおろか選手生命の危機さえ可能性のあった大けがからの劇的復活勝利に会場は大歓声に包まれた。新城はこれでツール・ド・フランス出場を確定的にする。総合争いはリーダーのプジョル自身がコントロールするなどの結果変動なく、プジョルが個人総合優勝、ガルシアが2位と国内チームが結果を出した。チーム右京は結成5年目にして1クラスのTOJで総合優勝の快挙だ。
text:高木秀彰
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