大分連戦初日はJR大分駅前のクリテリウム。序盤から逃げた12人のスプリントを鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が制し、開幕戦に続いて今シーズンのクリテリウム2勝目を挙げた。



鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)がスプリントを制して優勝鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)がスプリントを制して優勝 photo:Hideaki TAKAGI
3年目を迎えたOITAサイクルフェス!!!の初日10月29日(土)はJプロツアー第22戦「おおいた いこいの道クリテリウム」。JR大分駅南側に面する一等地が会場。現場は大分市が行なった大分駅南土地区画整理事業でつくられた、大分いこいの道芝生広場をメイン会場とし、周辺の一般公道がレースコース。

E2クラスタは橋本聖子日本自転車競技連盟会長がスターターE2クラスタは橋本聖子日本自転車競技連盟会長がスターター photo:Hideaki TAKAGI佐藤樹一郎大分市長も市民パレード走行に参加佐藤樹一郎大分市長も市民パレード走行に参加 photo:Hideaki TAKAGI

市民パレード走行には佐藤樹一郎大分市長やP1選手たちも参加し賑やかに。P1クラスタは予選2組上位計70名とオープン参加で大分県出身の黒枝咲哉(鹿屋体育大学)が決勝へ進出。30周33.0kmのレース。序盤から各チームの攻防が始まる。よく動くのは入部正太朗(シマノレーシング)だ。

序盤に12人の逃げができる

4周目に中島康晴(愛三工業レーシングチーム)がアタックすると、鈴木譲、吉田隼人(マトリックスパワータグ)、入部、畑中勇介(チーム右京)の5人が先行する。さらに下島将輝(那須ブラーゼン)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)、堀孝明(宇都宮ブリッツェン)、トム・ボシス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)、田窪賢次(マトリックスパワータグ)そして最後に吉岡直哉(那須ブラーゼン)が合流し7周目には12人の逃げが完成する。

吉田、入部、下島、畑中ら有力選手に加え宇都宮ブリッツェンも3名送り込み、主要各チームはこの逃げを容認する。メイン集団はマトリックスパワータグがコントロール。逃げに吉田を入れたことと、ホセ・ビセンテ・トリビオのルビーレッドジャージキープのため、そしてライバルの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を逃がさないためだ。

福岡のチーム、VC Fukuokaにとっては準地元のレース福岡のチーム、VC Fukuokaにとっては準地元のレース photo:Hideaki TAKAGI3周目、積極的に走る入部正太朗(シマノレーシング)3周目、積極的に走る入部正太朗(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI

8周目、12人が逃げる8周目、12人が逃げる photo:Hideaki TAKAGI16周目、黒枝咲哉(大分県選抜/鹿屋体育大学)・黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)兄弟がメイン集団先頭を引く16周目、黒枝咲哉(大分県選抜/鹿屋体育大学)・黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)兄弟がメイン集団先頭を引く photo:Hideaki TAKAGI

12人の逃げは50秒差にまで広がり、1周の平均ラップ1分24秒なので直線では前が見えるほどに。メイン集団からは黒枝咲哉(大分県選抜/鹿屋体育大学)・黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)兄弟らが抜け出しを試みるも成功しない。タイム差はこのような動きで30秒から50秒の間を行き来する。

JR大分駅前が会場JR大分駅前が会場 photo:Hideaki TAKAGI
12人のままスプリント勝負へ

終盤になってもタイム差は変わらず逃げ切りが見えてくる。ラスト5周に入りここで先頭から入部がアタックするが、これを吉岡がチェックして逃がさない。吉岡は下島のスプリントのためのアシストだ。逃げ12人の中では吉田が最もスプリント力があるが皆がマークして自由に動けない。

ラスト500mの並びは田窪、鈴木、入部、中島、吉田そして下島だ。ここから鈴木が先頭に立ち、フィニッシュへ向けて右カーブのイン側を閉めながら向かい風のロングスパートに入る。鈴木の番手につけていた入部そして中島は失速し吉田はアウト側へ回るが届かず鈴木が優勝。3位には今シーズン好調の下島が入った。

昨年は宇都宮ブリッツェンが最初から最後まで鉄壁のコントロールを行い、このレースで引退した青柳憲輝が優勝、大久保陣が2位に入っていた。今年は意外にも序盤で勝ち逃げが決まり、そしてスプリントの位置取りのうまかった鈴木が優勝。宇都宮ブリッツェンはチームとして2連覇を達成した。

25周目、先頭からアタックした入部正太朗(シマノレーシング)を吉岡直哉(那須ブラーゼン)がチェック25周目、先頭からアタックした入部正太朗(シマノレーシング)を吉岡直哉(那須ブラーゼン)がチェック photo:Hideaki TAKAGI田窪賢次(マトリックスパワータグ)先頭でラスト500m田窪賢次(マトリックスパワータグ)先頭でラスト500m photo:Hideaki TAKAGI

メイン集団はホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)先頭でフィニッシュメイン集団はホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)先頭でフィニッシュ photo:Hideaki TAKAGI臨機応変に作戦を変えて優勝した宇都宮ブリッツェン臨機応変に作戦を変えて優勝した宇都宮ブリッツェン photo:Hideaki TAKAGI

優勝した鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)

「小集団のスプリントで(宇都宮も)勝てている感じはあるのですが、自分はロードレースで勝つということを目指しています。勝てたことでスプリント力の強化はできているのかなと思います。今日はスプリント力のあるメンバーがそろった逃げでしたが、このまま逃げ切りになっても阿部選手堀選手とうまく連携できると思っていました。スプリントは2番手からでインを閉めながらです。自分のタイミングでかけだせば日本の選手ではまくられない自信が出てきました」

3位の下島将輝(那須ブラーゼン)

「主要チームの入った逃げがありこれは決まると思い一人で踏んで追いつきました。終盤に入部さんが絶対に行くと思っていたので、吉岡さんに対応をお願いしていました。最終コーナーが6番手くらいで後ろだったので、次は絶対に前で勝負したいです。普段からスプリントを想定した練習をしており、強いチームメイトと走れていることが大きいと思います」

中間ポイント2回とも獲得の畑中勇介(チーム右京)中間ポイント2回とも獲得の畑中勇介(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGIP1 表彰P1 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

女子は那須萌美(チームヤーボー)が優勝

女子はアタックがかかるも集団のまま速いペースで進み、スプリント勝負を女子競輪志望の那須萌美(チームヤーボー)が圧倒的な力で制した。
「こんなにたくさんの人の前で走れて満足です。今日は逃げができずスプリントの展開になったのでよかったです。高校時代は陸上の7種競技をやり、自転車は3年ほど前から始めています」と優勝した那須は語る。今年の5月から女子競輪を目指して練習しているという。

F 那須萌美(チームヤーボー)が優勝F 那須萌美(チームヤーボー)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIF 表彰F 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

結果

P1クラスタ 33.0km
E1 設楽彗斗(ネクストリーム・うどん棒)が優勝E1 設楽彗斗(ネクストリーム・うどん棒)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIE2 生田目修(イナーメ信濃山形‐EFT)が優勝E2 生田目修(イナーメ信濃山形‐EFT)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIE3 フィニッシュE3 フィニッシュ photo:Hideaki TAKAGI1位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)41分59秒
2位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
3位 下島将輝(那須ブラーゼン)
4位 入部正太朗(シマノレーシング)
5位 畑中勇介(チーム右京)
6位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
7位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)
8位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 
9位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)
10位 トム・ボシス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)+01秒

Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

Fクラスタ 16.5km
1位 那須萌美(チームヤーボー)26分23秒
2位 中里友香(VICTOIREしまなみ)
3位 矢野智子(モジュマ エリアゼロナナゴ)+01秒

Jフェミニンツアーリーダー 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)

E1クラスタ 26.4km
1位 設楽彗斗(ネクストリーム・うどん棒)35分31秒
2位 内山雅貴(Pinazou Test Team)+04秒
3位 所司純一(モジュマ エリアゼロナナゴ)+05秒
4位 石堂大悟(VICTOIREしまなみ)
5位 小泉亮一(Honda栃木JET)
6位 井上無我(フィールズ・オン・アース山口)+06秒

E2クラスタ 16.5km
1位 生田目修(イナーメ信濃山形‐EFT)22分16秒
2位 中村俊佑(チームヤーボー)
3位 三浦正志(チームヤーボー)+12秒
4位 宮成國仁(津末レーシング)+15秒
5位 小野琢万(サイクルフリーダム・レーシング)+16秒
6位 山岡健人(TEAM LUPPI)

E3クラスタ 11.0km
1位 杭田翔太(SAUCE DEVELOPMENT)15分14秒
2位 藤村修平(チームヤーボー)
3位 山崎博志(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
4位 井清大樹(TRAILBLAZER)
5位 仲山大地(セレクシオン南九州)
6位 中村邦男(ウィズラン)

photo&text:高木秀彰

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