2016/08/09(火) - 01:32
ラスト500mで集団は一つとなりここからジョン・アベラストゥリ(チーム右京)が他を圧倒するスプリントでJプロツアー4勝目。Jユースツアーチャンピオンは福田圭晃(横浜高校自転車競技部)に。
ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)が圧倒的なスプリントを見せる photo:Hideaki TAKAGI
35度の暑さとの戦い
8月7日(日)、長野県宮田村での連戦2日目はクリテリウム。緩傾斜地の1周3.2kmの周回コースは1か所小さな上りを含み、”短いロードコース”と言えるもの。気温は35度まで上がるが湿度は35%ほどと低い。日陰は幾分しのげるがそれでも高い気温と、澄んだ空気での強い直射日光は選手を苦しめる。
P1クラスタは予選2組を通過した50名により決勝が行われた。序盤から各チームの激しいアタックの応酬となる。スプリントに実績を持つジョン・アベラストゥリ(チーム右京)を軸に、逃げたいチームとスプリント勝負に持ち込みたいチーム右京の攻防と言ってよい。序盤から各チームのスプリンターもアタック合戦に参加する。
2周目、スプリンターも前へ出る。阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)がアタック photo:Hideaki TAKAGI
3周目、入部正太朗(シマノレーシング)とホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が抜け出す photo:Hideaki TAKAGI
4周目で17人の先頭集団が形成
1周目からよく動くのは阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)。2周目には入部正太朗(シマノレーシング)とホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が抜け出すが増田成幸(宇都宮ブリッツェン)らが吸収。個人総合リーダーのホセ・ビセンテと2位の増田をめぐる戦いもレース中に見られる。
3周目中盤から佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がペースを上げ、4周目の上りで阿部が抜け出すとこれに木村圭佑(シマノレーシング)と安原大貴(マトリックスパワータグ)が合流。その3人に14人が合流し17人の逃げができる。宇都宮ブリッツェンは5人、チーム右京はアベラストゥリを含む4人、マトリックスパワータグ4人、シマノレーシング2人、愛三工業レーシングチーム1人、那須ブラーゼン1人だ。
4周目後半で15人の先頭集団ができる photo:Hideaki TAKAGI
5周目、先頭集団から増田成幸(宇都宮ブリッツェン)とホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が抜け出す photo:Hideaki TAKAGI
5周目に阿部嵩之ら3人の逃げ
5周目にはここからホセ・ビセンテと増田が抜け出すシーンも。この2人が吸収されたタイミングで木村がアタック。これに阿部そして堀孝明(宇都宮ブリッツェン)が合流し3人の逃げができる。この中では阿部が強力にけん引し、堀と木村でのスプリント勝負を意識する。20秒前後の差のメイン集団はチーム右京が先頭を引く。
7周目に逃げの3人のうちの堀がパンクし脱落。先頭2人と20秒差の11人の構図に。先頭は2人になってもペースは落ちず、メイン集団を引くチーム右京もサルバドール・グアルディオラとベンジャミ・プラデスが脱落する。残るアシスト1人の畑中勇介が先頭を引き8周目に差は10秒まで詰まるが安定させるため再び20秒差に広げる。
6周目、抜け出した先頭3人 photo:Hideaki TAKAGI
7周目、メイン集団はチーム右京勢が引く photo:Hideaki TAKAGI
ラスト500mで集団は一つに
ここからはマトリックスパワータグも先頭で牽引するが牽制も入り、逃げ続ける先頭2人との差は縮まらない。畑中がここでメイン集団を強力に引いてラスト500mでようやく先頭2人を吸収しスプリント体制へ。チーム右京はアシスト全員が脱落しアベラストゥリただ一人となっていたが、先行した入部をラスト150mでかわすと、番手につけていた吉田隼人(マトリックスパワータグ)を引き連れたままフィニッシュ。群馬2戦と湾岸クリテに続きJプロツアー4勝目を挙げた。
最終周回、メイン集団は畑中勇介(チーム右京)が引いて先頭2人を追い詰める photo:Hideaki TAKAGI
ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)がJプロツアー4勝目を飾る photo:Hideaki TAKAGI
4周目にできた17人の逃げはアタックとブリッジに成功した選手だけの集団であり非常に強力だった。そこにアベラストゥリが入ったのが勝因の一つ目。そこからアタックした3人も強力で、チーム右京はラスト500mの時点で3人いたアシスト全員が脱落していたが、最後はアベラストゥリ自身の別格のスプリント力で勝利した。
前半戦を終えて個人総合リーダーはホセ・ビセンテ、チーム総合は宇都宮ブリッツェンが首位だがそれぞれその差はわずか。後半戦スタートは8月27日からの山口県での2連戦。ここからふたたび熾烈な戦いが始まる。
Jユースツアーチャンピオンが決定
年間4戦あるJユースツアーはこのみやだクリテリウムが最終戦。スタートからアタックがかかり各選手が攻撃する。数人が抜け出す場面もあるが差は5秒以内で基本的に一つの集団で推移する。動くのは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、福田圭晃(横浜高校自転車競技部)、秋山幸輝(Honda栃木JET)、平林飛都(松山聖陵高等学校)ら。特に織田が多くアタックを繰り返すが逃げるには至らない。スプリント勝負となり織田とともに積極的に動いていた秋山が優勝した。リーダーの福田は5位に入り、個人総合優勝が確定した。
Yクラスタ 1周目、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、福田圭晃(横浜高校自転車競技部)らがペースを上げる photo:Hideaki TAKAGI
Yクラスタ 2周目、秋山幸輝(Honda栃木JET)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)らが抜け出す photo:Hideaki TAKAGI
Yクラスタ 秋山幸輝(Honda栃木JET)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
Yクラスタ Jユースツアーチャンピオンは福田圭晃(横浜高校自転車競技部)に決定 photo:Hideaki TAKAGI
結果
P1クラスタ 32.0km
Fクラスタ 坂口聖香(パナソニックレディース)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)48分32秒
2位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
3位 入部正太朗(シマノレーシング)
4位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
5位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
6位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)+01秒
E1クラスタ 大場政登志(弱虫ペダルサイクリングチーム)がラスト2周を逃げ切って優勝 photo:Hideaki TAKAGI
E2 奥山太郎(エルドラード・エスペランサ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
E3クラスタ 高山恭彰(MAX SPEED 97 GOKISO)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
Yクラスタ 22.4km
1位 秋山幸輝(Honda栃木JET)36分47秒
2位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位 平林飛都(松山聖陵高等学校)
Jユースツアーチャンピオン(決定) 福田圭晃(横浜高校自転車競技部)
Fクラスタ 16.0km
1位 坂口聖香(パナソニックレディース)28分02秒
2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位 ドス・サントス・サンドラ(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)+27秒
Jフェミニンツアーリーダー 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)
E1クラスタ 22.4km
1位 大場政登志(弱虫ペダルサイクリングチーム)35分18秒
2位 岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)+03秒
3位 松木健治(クラブシルベスト)+04秒
4位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)+05秒
5位 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
6位 安立和貴(チームフィンズ)
Jプロツアーランキング 第13戦終了時点
個人総合
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)9116点
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)8598点
3位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)7016点
チーム総合
1位 宇都宮ブリッツェン 23752点
2位 チーム右京 23174点
3位 マトリックスパワータグ 19702点
photo&text:高木秀彰
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35度の暑さとの戦い
8月7日(日)、長野県宮田村での連戦2日目はクリテリウム。緩傾斜地の1周3.2kmの周回コースは1か所小さな上りを含み、”短いロードコース”と言えるもの。気温は35度まで上がるが湿度は35%ほどと低い。日陰は幾分しのげるがそれでも高い気温と、澄んだ空気での強い直射日光は選手を苦しめる。
P1クラスタは予選2組を通過した50名により決勝が行われた。序盤から各チームの激しいアタックの応酬となる。スプリントに実績を持つジョン・アベラストゥリ(チーム右京)を軸に、逃げたいチームとスプリント勝負に持ち込みたいチーム右京の攻防と言ってよい。序盤から各チームのスプリンターもアタック合戦に参加する。
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4周目で17人の先頭集団が形成
1周目からよく動くのは阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)。2周目には入部正太朗(シマノレーシング)とホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が抜け出すが増田成幸(宇都宮ブリッツェン)らが吸収。個人総合リーダーのホセ・ビセンテと2位の増田をめぐる戦いもレース中に見られる。
3周目中盤から佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がペースを上げ、4周目の上りで阿部が抜け出すとこれに木村圭佑(シマノレーシング)と安原大貴(マトリックスパワータグ)が合流。その3人に14人が合流し17人の逃げができる。宇都宮ブリッツェンは5人、チーム右京はアベラストゥリを含む4人、マトリックスパワータグ4人、シマノレーシング2人、愛三工業レーシングチーム1人、那須ブラーゼン1人だ。
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5周目に阿部嵩之ら3人の逃げ
5周目にはここからホセ・ビセンテと増田が抜け出すシーンも。この2人が吸収されたタイミングで木村がアタック。これに阿部そして堀孝明(宇都宮ブリッツェン)が合流し3人の逃げができる。この中では阿部が強力にけん引し、堀と木村でのスプリント勝負を意識する。20秒前後の差のメイン集団はチーム右京が先頭を引く。
7周目に逃げの3人のうちの堀がパンクし脱落。先頭2人と20秒差の11人の構図に。先頭は2人になってもペースは落ちず、メイン集団を引くチーム右京もサルバドール・グアルディオラとベンジャミ・プラデスが脱落する。残るアシスト1人の畑中勇介が先頭を引き8周目に差は10秒まで詰まるが安定させるため再び20秒差に広げる。
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ラスト500mで集団は一つに
ここからはマトリックスパワータグも先頭で牽引するが牽制も入り、逃げ続ける先頭2人との差は縮まらない。畑中がここでメイン集団を強力に引いてラスト500mでようやく先頭2人を吸収しスプリント体制へ。チーム右京はアシスト全員が脱落しアベラストゥリただ一人となっていたが、先行した入部をラスト150mでかわすと、番手につけていた吉田隼人(マトリックスパワータグ)を引き連れたままフィニッシュ。群馬2戦と湾岸クリテに続きJプロツアー4勝目を挙げた。
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4周目にできた17人の逃げはアタックとブリッジに成功した選手だけの集団であり非常に強力だった。そこにアベラストゥリが入ったのが勝因の一つ目。そこからアタックした3人も強力で、チーム右京はラスト500mの時点で3人いたアシスト全員が脱落していたが、最後はアベラストゥリ自身の別格のスプリント力で勝利した。
前半戦を終えて個人総合リーダーはホセ・ビセンテ、チーム総合は宇都宮ブリッツェンが首位だがそれぞれその差はわずか。後半戦スタートは8月27日からの山口県での2連戦。ここからふたたび熾烈な戦いが始まる。
Jユースツアーチャンピオンが決定
年間4戦あるJユースツアーはこのみやだクリテリウムが最終戦。スタートからアタックがかかり各選手が攻撃する。数人が抜け出す場面もあるが差は5秒以内で基本的に一つの集団で推移する。動くのは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、福田圭晃(横浜高校自転車競技部)、秋山幸輝(Honda栃木JET)、平林飛都(松山聖陵高等学校)ら。特に織田が多くアタックを繰り返すが逃げるには至らない。スプリント勝負となり織田とともに積極的に動いていた秋山が優勝した。リーダーの福田は5位に入り、個人総合優勝が確定した。
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結果
P1クラスタ 32.0km
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Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
Yクラスタ 22.4km
1位 秋山幸輝(Honda栃木JET)36分47秒
2位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位 平林飛都(松山聖陵高等学校)
Jユースツアーチャンピオン(決定) 福田圭晃(横浜高校自転車競技部)
Fクラスタ 16.0km
1位 坂口聖香(パナソニックレディース)28分02秒
2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位 ドス・サントス・サンドラ(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)+27秒
Jフェミニンツアーリーダー 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)
E1クラスタ 22.4km
1位 大場政登志(弱虫ペダルサイクリングチーム)35分18秒
2位 岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)+03秒
3位 松木健治(クラブシルベスト)+04秒
4位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)+05秒
5位 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
6位 安立和貴(チームフィンズ)
Jプロツアーランキング 第13戦終了時点
個人総合
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)9116点
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)8598点
3位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)7016点
チーム総合
1位 宇都宮ブリッツェン 23752点
2位 チーム右京 23174点
3位 マトリックスパワータグ 19702点
photo&text:高木秀彰
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