2016/07/17(日) - 09:09
20万円強というリーズナブルなカーボンホイールラインナップを揃え、2014年にトライスポーツが取り扱いをスタートしたことで注目を集めているホイールブランド「ブラックインク」の製品をインプレッション。リムハイト45mmのクリンチャーモデル「BLACK FIFTY C」を試してみた。
black inc(ブラックインク)というブランドネームに聞き慣れない方も少なくないだろう。新興ホイールブランドと聞くと近年勢いを増す台湾や中国ブランドが浮かぶかもしれないが、同社の本拠地はデンマーク。カーボンホイールを専門的に開発・生産しており、日本にはトライスポーツによって2014年から展開が開始されているブランドだ。
同社のテーマは空力性能、耐久性、軽量性という3要素をバランス良くミックスし、かつ熟練した職人の手で組み上げられたホイールをリーズナブルな価格で提供すること。一般ユーザーが手を出しにくい過度な軽量品ではなく、レースからトレーニングまで気兼ねなく使用できるカーボンホイールを、先進の素材を使い実現するという目標を持って活動しているのだ。
もちろん飽くなき性能追求にも熱心であり、今年からイギリス籍のプロコンチネンタルチームであるワンプロサイクロングへのサポートを開始。これまた注目を集めるFACTOR(ファクター)のバイクにセットされたことも、機材フリークの熱き眼差しが注がれる理由の一つになっている。
製品面で注目すべきは、現在欧米で主流となりつつあるのワイドタイヤ向けの設計を全製品に取り入れていること。23~27mmのタイヤ幅と組み合わせることで、トータルで優れたエアロダイナミクスが発揮できる独自のリム形状を採用しており、特に30°程と大きなヨー角から吹いてくる風に対して乱流を抑える効果に期待できるという。
今回テストを行ったBLACK FIFTY Cは45mmのリムハイトを持つエアロクリンチャーモデルで、外装式のニップルなどブランドテーマの一つである耐久性にも配慮した作り。スポークは優れた軽量性と強度を兼ね備えた定番のサピムCX-RAYのストレートプル仕様で、フロントが20本(ラジアル組)、リアが24本(左右とも2クロス組)というスタンダードな構成も安心感をプラスする。
回転性能の要であるハブも自社製(日本入荷当初はDTスイス製であった)にすることでコストを抑え、かつベアリングには回転部品のチューンアップ用として定評あるセラミックスピード製品を組み合わせるなど、コストパフォーマンスを上げるうえでメリハリのある部品構成も興味深い。
様々な工夫を凝らしたBLACK FIFTY Cの重量は前後1,465gと、45mmリムハイトのクリンチャーモデルとしては十分な仕上がり。しかも23万円というプライスタグを踏まえれば、その価値はより貴重なものとして捉えられるはずだ。果たして、トッププロチームが愛用する、その意味、その価値とは如何に。今回のテストはBLACK FIFTY Cにヴェロフレックスの「Master 23C」をセットして行った。
ー インプレッション
カチッとしていてよく回るホイールですね!性能面でのバランスも良く取れていますし、ネガティブな部分を見つけることはできませんでした。価格も23万円とリーズナブルですし、この価格帯のカーボンクリンチャーホイールもここまで性能が上がってきたんだな、と思わされました。
乗り味としてはペダリングに対して微妙にタメのあるフィーリングなのですが、幅広リムの効果もあってか横剛性は確かなものです。下りのコーナーで体重を掛けていってもヨレがありませんし、通じて超軽量ホイールのような不安も一切感じませんでした。安価ながら、さすがはプロチームに使われているだけの性能はありますね。
重量に関して言えばアンダー1,500gと、軽い!と言えるほどではありません。チューブラーに対して外周部が重いクリンチャーですから、テスト前には登りが重いだろうと考えていたのですが、パワーを掛けてあげればしっかりと応えてくれる。もちろん各社のハイエンドホイールと比べれば性能差はありますが、値段以上のパフォーマンスは感じました。ブレーキもしっかりと効きますし、オールマイティに使える製品ですね。
加えてベアリングにセラミックスピード製品が使われていることも、購買意欲をそそる好ポイント。実際に回転もスムーズですし、リムハイトや若干タメのあるフィーリングも相まってスピードの上がり方が伸びやかに感じました。ラチェット音は意外と大きいのですが、人によってはやる気を上げるポイントでもあります(笑)。
ルックスもシンプルでカッコ良いですし、45mmというリムハイトの存在感は完成車のフォルムをより武闘派っぽく見せてくれます。個人的にもカーボンホイールのリムはこのくらいが一番良い。
比較的リーズナブルなカーボンクリンチャーホイールですが、レース用としての性能も十分です。コストパフォーマンスを考えたら、日常使いからレースまで使ってナンボの製品ではないでしょうか。そういう意味では外出しのニップルなど、メンテナンスしやすい点も高評価でした。
ブラックインク BLACK FIFTY C
リム高さ:45mm
リム幅:最大部分27mm、ブレーキ面部分26mm
重 量:フロント670g、リア795g
フロントハブ:オリジナルハブ+セラミックスピード製ベアリング20H
リアハブ:オリジナルハブ+セラミックスピード製ベアリング24H、シマノ11s
スポーク:SAPIM CX-RAY(ストレートプル)
付属品:11s・10s変換スペーサー、バルブエクステンダー、専用ブレーキパッド、クイックレリーズ、ホイールバッグ
価 格:230,000円(税抜)
ー インプレッションライダーのプロフィール
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップスタッフとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。スペシャライズVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで愛車は多岐に渡る。
CWレコメンドショップページ
bicycle store RIDEWORKS
ウェア協力:マヴィック
シューズ協力:ジロ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
black inc(ブラックインク)というブランドネームに聞き慣れない方も少なくないだろう。新興ホイールブランドと聞くと近年勢いを増す台湾や中国ブランドが浮かぶかもしれないが、同社の本拠地はデンマーク。カーボンホイールを専門的に開発・生産しており、日本にはトライスポーツによって2014年から展開が開始されているブランドだ。
同社のテーマは空力性能、耐久性、軽量性という3要素をバランス良くミックスし、かつ熟練した職人の手で組み上げられたホイールをリーズナブルな価格で提供すること。一般ユーザーが手を出しにくい過度な軽量品ではなく、レースからトレーニングまで気兼ねなく使用できるカーボンホイールを、先進の素材を使い実現するという目標を持って活動しているのだ。
もちろん飽くなき性能追求にも熱心であり、今年からイギリス籍のプロコンチネンタルチームであるワンプロサイクロングへのサポートを開始。これまた注目を集めるFACTOR(ファクター)のバイクにセットされたことも、機材フリークの熱き眼差しが注がれる理由の一つになっている。
製品面で注目すべきは、現在欧米で主流となりつつあるのワイドタイヤ向けの設計を全製品に取り入れていること。23~27mmのタイヤ幅と組み合わせることで、トータルで優れたエアロダイナミクスが発揮できる独自のリム形状を採用しており、特に30°程と大きなヨー角から吹いてくる風に対して乱流を抑える効果に期待できるという。
今回テストを行ったBLACK FIFTY Cは45mmのリムハイトを持つエアロクリンチャーモデルで、外装式のニップルなどブランドテーマの一つである耐久性にも配慮した作り。スポークは優れた軽量性と強度を兼ね備えた定番のサピムCX-RAYのストレートプル仕様で、フロントが20本(ラジアル組)、リアが24本(左右とも2クロス組)というスタンダードな構成も安心感をプラスする。
回転性能の要であるハブも自社製(日本入荷当初はDTスイス製であった)にすることでコストを抑え、かつベアリングには回転部品のチューンアップ用として定評あるセラミックスピード製品を組み合わせるなど、コストパフォーマンスを上げるうえでメリハリのある部品構成も興味深い。
様々な工夫を凝らしたBLACK FIFTY Cの重量は前後1,465gと、45mmリムハイトのクリンチャーモデルとしては十分な仕上がり。しかも23万円というプライスタグを踏まえれば、その価値はより貴重なものとして捉えられるはずだ。果たして、トッププロチームが愛用する、その意味、その価値とは如何に。今回のテストはBLACK FIFTY Cにヴェロフレックスの「Master 23C」をセットして行った。
ー インプレッション
カチッとしていてよく回るホイールですね!性能面でのバランスも良く取れていますし、ネガティブな部分を見つけることはできませんでした。価格も23万円とリーズナブルですし、この価格帯のカーボンクリンチャーホイールもここまで性能が上がってきたんだな、と思わされました。
乗り味としてはペダリングに対して微妙にタメのあるフィーリングなのですが、幅広リムの効果もあってか横剛性は確かなものです。下りのコーナーで体重を掛けていってもヨレがありませんし、通じて超軽量ホイールのような不安も一切感じませんでした。安価ながら、さすがはプロチームに使われているだけの性能はありますね。
重量に関して言えばアンダー1,500gと、軽い!と言えるほどではありません。チューブラーに対して外周部が重いクリンチャーですから、テスト前には登りが重いだろうと考えていたのですが、パワーを掛けてあげればしっかりと応えてくれる。もちろん各社のハイエンドホイールと比べれば性能差はありますが、値段以上のパフォーマンスは感じました。ブレーキもしっかりと効きますし、オールマイティに使える製品ですね。
加えてベアリングにセラミックスピード製品が使われていることも、購買意欲をそそる好ポイント。実際に回転もスムーズですし、リムハイトや若干タメのあるフィーリングも相まってスピードの上がり方が伸びやかに感じました。ラチェット音は意外と大きいのですが、人によってはやる気を上げるポイントでもあります(笑)。
ルックスもシンプルでカッコ良いですし、45mmというリムハイトの存在感は完成車のフォルムをより武闘派っぽく見せてくれます。個人的にもカーボンホイールのリムはこのくらいが一番良い。
比較的リーズナブルなカーボンクリンチャーホイールですが、レース用としての性能も十分です。コストパフォーマンスを考えたら、日常使いからレースまで使ってナンボの製品ではないでしょうか。そういう意味では外出しのニップルなど、メンテナンスしやすい点も高評価でした。
ブラックインク BLACK FIFTY C
リム高さ:45mm
リム幅:最大部分27mm、ブレーキ面部分26mm
重 量:フロント670g、リア795g
フロントハブ:オリジナルハブ+セラミックスピード製ベアリング20H
リアハブ:オリジナルハブ+セラミックスピード製ベアリング24H、シマノ11s
スポーク:SAPIM CX-RAY(ストレートプル)
付属品:11s・10s変換スペーサー、バルブエクステンダー、専用ブレーキパッド、クイックレリーズ、ホイールバッグ
価 格:230,000円(税抜)
ー インプレッションライダーのプロフィール
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップスタッフとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。スペシャライズVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで愛車は多岐に渡る。
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ウェア協力:マヴィック
シューズ協力:ジロ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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