2016/06/25(土) - 23:45
最終周回の8周目、登り区間でアタックした小林海(まりの)が全日本ロードU23を制した。フィニッシュまで10kmほどの地点で独走を開始するとすぐにタイム差を広げ、2位徳田優に1分03秒の大差をつけ圧勝。3位には松本祐典が入った。
U23 小林海(Team KUOTA C.PAULINO)がTTとダブルタイトル獲得 photo:Hideaki TAKAGI
10周から8周へ短縮
全日本選手権ロード2日目は6月25日(土)午前中にU23が、午後に女子エリートが行われた。
U23はコンチネンタルチームや大学生が主体のクラス。当初10周だったが荒天による遅れを予測して8周95.2kmに減らされてのスタートに。時折強めの雨が降ったりやんだり、そして強風が吹く天候に。
1周目の登り区間からペースが上がり集団が分断される。岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)、岡本隼(日本大学)、椙田明仁(EQADS)が抜け出す場面があるも鹿屋体育大学がこれを吸収。2周目も鹿屋体育大学がトレインを組み3周目の上りで徳田優がアタック。これに反応した選手たち15名ほどで先頭集団を形成。
U23 1周目終盤、鹿屋体育大学がトレインを組む photo:Hideaki TAKAGI
U23 2周目上り、徳田優(鹿屋体育大学)、小橋勇利(シマノレーシング)らが抜け出す photo:Hideaki TAKAGI
U23 3周目の先頭集団、小林海(Team KUOTA C.PAULINO)が積極的に展開する photo:Hideaki TAKAGI
U23 5周目下り区間の先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI
5周目、先頭は6人に絞られる
その後は上りのたびにふるいがかかり人数が減る。5周目後半、補給地点のあたりから小林がアタックすると5名だけが反応し6人の先頭集団に。メンバーは小林、徳田、松本祐典(明治大学)、小橋勇利(シマノレーシング)、野本空(明治大学)。小林と徳田が先行する場面があるも6人にまとまる。
U23 5周目終盤、小林海(Team KUOTA C.PAULINO)がアタック photo:Hideaki TAKAGI
U23 6周目、5人の先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI
最終周回登りで小林海がアタック
最終周回の8周目、登り区間で小林がアタック。6人体制は崩壊し小林に最後まで食らいついた小橋も離れ、ここからフィニッシュ地点までの10kmを小林は独走する。すぐにタイム差を広げ、海沿いの強風区間も力強いペダリングは衰えず、2位徳田に1分03秒の大差をつけ圧勝。
U23 8周目上り、アタックした小林海(Team KUOTA C.PAULINO)と食らいつく小橋勇利(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI
2周目に決まった先頭集団が上りのたびに数を減らす展開で推移したがその中心は小林、徳田、小橋、松本、岡、岡本らJCF強化合宿や強化指定選手たち。彼らは合宿でお互いの脚質を知っているからこその攻防を繰り返した。
優勝した小林は常に集団の動きの中心人物で、「ゴールまで連れていきたくない選手は岡本と(岡)篤志」と明言したように、自分の力を信じて得意の展開に持ち込んだことが大きい。徳田と松本も攻撃に加わった上りを得意とする北桑田高校の先輩後輩だ。4位となったが、アタックした小林に最後まで食らいついた小橋の気迫も評価できよう。
U23 8周目上り、下からアタックする小林海(Team KUOTA C.PAULINO) photo:Hideaki TAKAGI
U23 残り10km、独走態勢を築く小林海(Team KUOTA C.PAULINO) photo:Hideaki TAKAGI
優勝した小林海(Team KUOTA C.PAULINO)のコメント
U23 2位徳田優(鹿屋体育大学)、3位松本祐典(明治大学) photo:Hideaki TAKAGI
U23 表彰 photo:Hideaki TAKAGI「レースはキツかった。ただ、昨日勝ったのでリラックスしてレースに挑めた。事前にレースの事は考えないようにしている。どうなるかわからないので、その時その時、臨機応変に冷静に動いていこうと思っている。今日は中盤6人になった時にはこれは勝ったなと思った。
(序盤は)最初17人くらいになった時、このメンバーで行くのは嫌だった。そこで焦らず、途中ゴール前グダグダになったところでペースを上げたら後ろと開いて。そこでついてきたのが松本(祐典)とか(徳田)優とか脚のあるメンバーだったので、「これで行っちゃおう」と声かけて上りで踏んで、差が開いた。
勝利を確信したのは最後の上りを登り切って差が開いた時。レースが短くなるのは嫌だった。知ったのはレース開始20分前だったので『うそー最悪やん、スプリントになったら嫌だな』と思っていた。しかしレースが始まってみると思いの他早く分断されたので、良しと思った。
(チャンピオンジャージの重みは)ナショナルチャンピオンと言うだけでリスペクトのされ方も違うし、履歴書に書くものがやっと増えたなと(笑)。ただ、実際にはこれだけでは何も決まらない。日本のレースよりシーズン後半のスペインのレースで結果を出したいので、それだけを考えている。今回はその一歩にはなった。
6名になった時の力関係はわかっていて、自分が一番強いなと思っていた。あのメンバーでナショナルの遠征などに行っていて、誰がどれだけ脚があるか知っているので。
(ヘルメットのデザインは)お寿司とドラゴン。中トロ持っているドラゴンで、スシドラゴン。なんとなく決まって、よしそれで行こうってなって(笑)。スシドラゴンっていい感じにダサいなと。」
最後上りで逃げて、強風の中10km逃げないといけない状況で後ろが追ってきたら、と言う不安はなかったか、という質問について、
「(不安は)なかった。僕に上りでついてこれない人は平地でもついてこれないと思っているので、全く怖くなかった。差が開くと思って踏んでいた。」
「(自転車を始めるきっかけは)痩せるために始めた。17の時。それまで運動してなくて、84kgまで太った。やるならちゃんとやりたいなと思ったので、松戸のSPACE ZERO POINTに入って、すぐに実業団レースを走り始めた。高校は関東第一を3ヶ月で辞めて遊びまわって(笑)。それから自転車始めて荒川などを走っていたら『俺強いんじゃね』と思って(SPACE ZERO POINTの)佐藤さんのところに行ってお願いした。強いなって…調子乗ってただけなんですけど(笑)。
スペインを拠点にし始めたのは、アンダーでVAX RACINGで1年走っていた時。スペインに2ヶ月行ってみたら『これはもうこっちに来るしかないな』と思い『来年は絶対こっちだ』と決めてそれからずっと走っている。アンダー2年目、19歳で。所属したのはアストリアス地方のチームで、それが今のチーム(Team KUOTA C.PAULINO)。
スペインには水曜日に戻る。日本のキャニオンのプレゼンで通訳として紹介されて以来仲良くしてもらっているホアキン・ロドリゲスには報告したい。あ、でも報告したくないな。勝ったら髪切るって約束しちゃったので(笑)。」
全日本選手権ロードレース U23 リザルト
1位 小林海(Team KUOTA C.PAULINO) 2h38'58
2位 徳田優(鹿屋体育大学) +1'03
3位 松本祐典(明治大学) +1'05
4位 小橋勇利(シマノレーシング) +03'02
5位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +03'06
6位 岡本隼(日本大学) +03'17
7位 西村大輝(シマノレーシング) +03'18
8位 小林和希(明治大学) +03'19
9位 西尾勇人(那須ブラーゼン) +03'23
10位 石井駿平(鹿屋体育大学) +03'38
photo:Hideaki TAKAGI、Kei TSUJI
text:Hideaki TAKAGI、Yuichiro HOSODA

10周から8周へ短縮
全日本選手権ロード2日目は6月25日(土)午前中にU23が、午後に女子エリートが行われた。
U23はコンチネンタルチームや大学生が主体のクラス。当初10周だったが荒天による遅れを予測して8周95.2kmに減らされてのスタートに。時折強めの雨が降ったりやんだり、そして強風が吹く天候に。
1周目の登り区間からペースが上がり集団が分断される。岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)、岡本隼(日本大学)、椙田明仁(EQADS)が抜け出す場面があるも鹿屋体育大学がこれを吸収。2周目も鹿屋体育大学がトレインを組み3周目の上りで徳田優がアタック。これに反応した選手たち15名ほどで先頭集団を形成。




5周目、先頭は6人に絞られる
その後は上りのたびにふるいがかかり人数が減る。5周目後半、補給地点のあたりから小林がアタックすると5名だけが反応し6人の先頭集団に。メンバーは小林、徳田、松本祐典(明治大学)、小橋勇利(シマノレーシング)、野本空(明治大学)。小林と徳田が先行する場面があるも6人にまとまる。


最終周回登りで小林海がアタック
最終周回の8周目、登り区間で小林がアタック。6人体制は崩壊し小林に最後まで食らいついた小橋も離れ、ここからフィニッシュ地点までの10kmを小林は独走する。すぐにタイム差を広げ、海沿いの強風区間も力強いペダリングは衰えず、2位徳田に1分03秒の大差をつけ圧勝。

2周目に決まった先頭集団が上りのたびに数を減らす展開で推移したがその中心は小林、徳田、小橋、松本、岡、岡本らJCF強化合宿や強化指定選手たち。彼らは合宿でお互いの脚質を知っているからこその攻防を繰り返した。
優勝した小林は常に集団の動きの中心人物で、「ゴールまで連れていきたくない選手は岡本と(岡)篤志」と明言したように、自分の力を信じて得意の展開に持ち込んだことが大きい。徳田と松本も攻撃に加わった上りを得意とする北桑田高校の先輩後輩だ。4位となったが、アタックした小林に最後まで食らいついた小橋の気迫も評価できよう。


優勝した小林海(Team KUOTA C.PAULINO)のコメント


(序盤は)最初17人くらいになった時、このメンバーで行くのは嫌だった。そこで焦らず、途中ゴール前グダグダになったところでペースを上げたら後ろと開いて。そこでついてきたのが松本(祐典)とか(徳田)優とか脚のあるメンバーだったので、「これで行っちゃおう」と声かけて上りで踏んで、差が開いた。
勝利を確信したのは最後の上りを登り切って差が開いた時。レースが短くなるのは嫌だった。知ったのはレース開始20分前だったので『うそー最悪やん、スプリントになったら嫌だな』と思っていた。しかしレースが始まってみると思いの他早く分断されたので、良しと思った。
(チャンピオンジャージの重みは)ナショナルチャンピオンと言うだけでリスペクトのされ方も違うし、履歴書に書くものがやっと増えたなと(笑)。ただ、実際にはこれだけでは何も決まらない。日本のレースよりシーズン後半のスペインのレースで結果を出したいので、それだけを考えている。今回はその一歩にはなった。
6名になった時の力関係はわかっていて、自分が一番強いなと思っていた。あのメンバーでナショナルの遠征などに行っていて、誰がどれだけ脚があるか知っているので。
(ヘルメットのデザインは)お寿司とドラゴン。中トロ持っているドラゴンで、スシドラゴン。なんとなく決まって、よしそれで行こうってなって(笑)。スシドラゴンっていい感じにダサいなと。」
最後上りで逃げて、強風の中10km逃げないといけない状況で後ろが追ってきたら、と言う不安はなかったか、という質問について、
「(不安は)なかった。僕に上りでついてこれない人は平地でもついてこれないと思っているので、全く怖くなかった。差が開くと思って踏んでいた。」
「(自転車を始めるきっかけは)痩せるために始めた。17の時。それまで運動してなくて、84kgまで太った。やるならちゃんとやりたいなと思ったので、松戸のSPACE ZERO POINTに入って、すぐに実業団レースを走り始めた。高校は関東第一を3ヶ月で辞めて遊びまわって(笑)。それから自転車始めて荒川などを走っていたら『俺強いんじゃね』と思って(SPACE ZERO POINTの)佐藤さんのところに行ってお願いした。強いなって…調子乗ってただけなんですけど(笑)。
スペインを拠点にし始めたのは、アンダーでVAX RACINGで1年走っていた時。スペインに2ヶ月行ってみたら『これはもうこっちに来るしかないな』と思い『来年は絶対こっちだ』と決めてそれからずっと走っている。アンダー2年目、19歳で。所属したのはアストリアス地方のチームで、それが今のチーム(Team KUOTA C.PAULINO)。
スペインには水曜日に戻る。日本のキャニオンのプレゼンで通訳として紹介されて以来仲良くしてもらっているホアキン・ロドリゲスには報告したい。あ、でも報告したくないな。勝ったら髪切るって約束しちゃったので(笑)。」
全日本選手権ロードレース U23 リザルト
1位 小林海(Team KUOTA C.PAULINO) 2h38'58
2位 徳田優(鹿屋体育大学) +1'03
3位 松本祐典(明治大学) +1'05
4位 小橋勇利(シマノレーシング) +03'02
5位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +03'06
6位 岡本隼(日本大学) +03'17
7位 西村大輝(シマノレーシング) +03'18
8位 小林和希(明治大学) +03'19
9位 西尾勇人(那須ブラーゼン) +03'23
10位 石井駿平(鹿屋体育大学) +03'38
photo:Hideaki TAKAGI、Kei TSUJI
text:Hideaki TAKAGI、Yuichiro HOSODA