2016/06/19(日) - 19:09
総合トップ10の選手たちが上位に名前を連ねたジェットコースターのようなテクニカルコース。ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)が最速タイムを叩き出し、最終日を前にミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)がイエロージャージを手にした。
トップタイムで優勝したヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele
ツール・ド・スイス2016第8ステージ image:Tour de Suisseツール・ド・スイス第8ステージの個人タイムトライアルは全長16.8kmと短いが、コースは常に標高1,500mオーバー。前半は比較的平坦な直線が続くものの、後半にかけて緩斜面の登り(全長3km/平均勾配5%)とテクニカルなワインディング、最高速が110km/hに達する急勾配(12%)かつ直線的なハイスピードダウンヒルが登場する。
ステージ3位・19秒差 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waeleまるでジェットコースターのようなこのコースで、前半スタートのファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)が貫禄の暫定トップタイムを叩き出す。カンチェラーラは平坦基調の幹線道路が終わる第2計測ポイント(10km地点)のトップタイムを最後まで誰にも譲らなかったが、その後の登りでカンチェラーラのタイムを大幅に上回る総合上位の選手が続出した。
オランダTTチャンピオンの総合9位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)が好走してカンチェラーラから2秒遅れでフィニッシュすると、そこから第3計測ポイント(12.4km地点)でのトップタイム更新が続く。
第2計測ポイントから第3計測ポイントまで(つまり実質的な登り区間)をカンチェラーラより30秒近く速く走ったのは総合4位のイサギーレ。第3計測ポイントで暫定トップに立ったイサギーレはその後のテクニカルセクションやダウンヒルを難なくこなし、カンチェラーラ19秒も上回るタイムで優勝した。
中間計測タイム
ツール・ド・スイス2016第8ステージ結果
1位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) 21’31”
2位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +18”
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) +19”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +21”
5位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール) +23”
6位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +24”
7位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) +25”
8位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +33”
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +34”
19位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +53”
21位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +57”
22位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1’03”
117位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +3’06”
ステージ2位・18秒差 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) photo:Tim de Waele「自分がどのラインに向かってエネルギーを注ぐべきなのかを常に集中しなければならないような、とてもハードなコースだった」と、登りを含むコースを平均46.847km/hで駆け抜けたイサギーレ弟は語る。「とにかく変速の頻度が多いコースなのでチェーンの動きに違和感があったものの、結果に響かなかったので本当に良かった。(コース後半の)短い登りとそのあとのテクニカルなセクションが鍵を握っていると試走で確認していたので、前半は比較的抑えながら走り、後半に力をぶつけたんだ」。
ステージ4位・21秒差 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele兄ゴルカとともにツール・ド・スイスに出場中のイサギーレは27歳のオールラウンダーで、2012年ジロ・デ・イタリアでステージ優勝。2014年にエウスカルテルからモビスターに移籍し、2015年ツール・ド・ポローニュで総合優勝を飾っている。今シーズンはパリ〜ニースで総合5位に入るとともに、ツール・ド・ロマンディのプロローグを制して総合3位。ナイロ・キンタナ(コロンビア)の山岳アシストとしてツール・ド・フランスに出場予定だ。
ステージ5位・23秒差 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール) photo:Tim de Waele前半からタイムを伸ばせず、後半のアップダウン区間でもタイムを失い続けて21位に終わったワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)に代わって、イサギーレと同様に後半にタイムを挽回してステージ2位に入ったアスタナのロペスモレーノが総合首位に立った。
ステージ9位・33秒差 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele「やる気に溢れていた。自分のためにも、そしてここまで自分のために働き続けてくれたチームのためにも最高の走りをしたいと思っていた。コースを徹底的にチェックして全力で挑んだ結果がリーダージャージ獲得だ。明日は熾烈な戦いになると思うけど、総合リードを守りきる用意はできている」と、新リーダーの座についたロペスモレーノは語る。
ステージ10位・34秒差 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waele最終ステージを残して総合首位ロペスモレーノから8秒差でアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール)、16秒差でイサギーレ、そして18秒差でバーギルという僅差の総合争い。標高2,314mの超級山岳アルブラ峠と標高2,283mの超級山岳フリュエラ峠を越える最終ステージで激しいバトルが繰り広げられることは容易に想像できる。
ステージ優勝を飾って総合3位に浮上したイサギーレは「全力を尽くして得た結果なのでとても嬉しい。総合でも表彰台圏内につけている。でも総合4位バーギルとのタイム差は僅差(2秒)で、さらに総合トップツーのロペスとタランスキーも手の届く範囲にいる。距離の短い最終ステージは非常に濃くてタフな戦いになりそうだ。全面戦争を切り抜けて勝利を得たいと思う」と意気込んでいる。
3分06秒差の117位で第8ステージを終えた新城幸也(ランプレ・メリダ)は「マシンのポジションが出せていなかった。標高のせいなのか呼吸が苦しく感じ、まったくリズムを掴めず終わってしまった。ルイも総合10位で(トップと)2分以上離れているので、最終日はチームとしてルイのステージ優勝を狙って攻撃あるのみ。それを助ける走りが出来たらと思う」とコメントしている。
選手コメントは各チーム公式サイトとTeamユキヤ通信より。
ステージ13位・43秒差 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) photo:Tim de Waele
ステージ21位・57秒差 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele
ステージ117位・3分07秒差 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waele
ステージ優勝を飾ったヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele
イエロージャージを手にしたミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) photo:Tim de Waele
個人総合成績
1位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) 29h32’03”
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール) +08”
3位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) +16”
4位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +18”
5位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) +52”
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +1’21”
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1’26”
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1’30”
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1’31”
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +2’09”
ポイント賞
1位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
1位 アントワン・トルホック(オランダ、ルームポット・オラニエ)
スイスライダー賞
1位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
チーム総合成績
1位 カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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オランダTTチャンピオンの総合9位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)が好走してカンチェラーラから2秒遅れでフィニッシュすると、そこから第3計測ポイント(12.4km地点)でのトップタイム更新が続く。
第2計測ポイントから第3計測ポイントまで(つまり実質的な登り区間)をカンチェラーラより30秒近く速く走ったのは総合4位のイサギーレ。第3計測ポイントで暫定トップに立ったイサギーレはその後のテクニカルセクションやダウンヒルを難なくこなし、カンチェラーラ19秒も上回るタイムで優勝した。
中間計測タイム
第1計測(6.3km地点)
1位 カンチェラーラ 4’15”
8位 マシューズ +10”
9位 カストロビエホ
55位 タランスキー +21”
57位 パンタノ +23”
59位 トーマス
60位 ヴァンガーデレン
62位 イサギーレ +24”
67位 ケルデルマン
72位 スピラック
80位 ロペスモレーノ +29”
87位 バーギル
96位 コスタ +31”
1位 カンチェラーラ 4’15”
8位 マシューズ +10”
9位 カストロビエホ
55位 タランスキー +21”
57位 パンタノ +23”
59位 トーマス
60位 ヴァンガーデレン
62位 イサギーレ +24”
67位 ケルデルマン
72位 スピラック
80位 ロペスモレーノ +29”
87位 バーギル
96位 コスタ +31”
第2計測(10km地点)
1位 カンチェラーラ 11’03”
2位 マシューズ +05”
3位 カストロビエホ +10”
4位 パンタノ +13”
5位 イサギーレ +16”
7位 ケルデルマン +18”
10位 ヴァンガーデレン +19”
11位 タランスキー
13位 トーマス +23”
17位 ロペスモレーノ +25”
26位 スピラック +33”
30位 バーギル +35”
40位 コスタ +44”
1位 カンチェラーラ 11’03”
2位 マシューズ +05”
3位 カストロビエホ +10”
4位 パンタノ +13”
5位 イサギーレ +16”
7位 ケルデルマン +18”
10位 ヴァンガーデレン +19”
11位 タランスキー
13位 トーマス +23”
17位 ロペスモレーノ +25”
26位 スピラック +33”
30位 バーギル +35”
40位 コスタ +44”
第3計測(12.4km地点)
1位 イサギーレ 17’10”
2位 ロペスモレーノ +10”
3位 カンチェラーラ +11”
4位 カストロビエホ +12”
5位 タランスキー +15”
6位 マシューズ +16”
7位 パンタノ +17”
8位 ケルデルマン +20”
10位 ヴァンガーデレン +24”
11位 トーマス
22位 スピラック +45”
23位 バーギル
25位 コスタ +47”
1位 イサギーレ 17’10”
2位 ロペスモレーノ +10”
3位 カンチェラーラ +11”
4位 カストロビエホ +12”
5位 タランスキー +15”
6位 マシューズ +16”
7位 パンタノ +17”
8位 ケルデルマン +20”
10位 ヴァンガーデレン +24”
11位 トーマス
22位 スピラック +45”
23位 バーギル
25位 コスタ +47”
ツール・ド・スイス2016第8ステージ結果
1位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) 21’31”
2位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +18”
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) +19”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +21”
5位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール) +23”
6位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +24”
7位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) +25”
8位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +33”
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +34”
19位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +53”
21位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +57”
22位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1’03”
117位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +3’06”
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ステージ優勝を飾って総合3位に浮上したイサギーレは「全力を尽くして得た結果なのでとても嬉しい。総合でも表彰台圏内につけている。でも総合4位バーギルとのタイム差は僅差(2秒)で、さらに総合トップツーのロペスとタランスキーも手の届く範囲にいる。距離の短い最終ステージは非常に濃くてタフな戦いになりそうだ。全面戦争を切り抜けて勝利を得たいと思う」と意気込んでいる。
3分06秒差の117位で第8ステージを終えた新城幸也(ランプレ・メリダ)は「マシンのポジションが出せていなかった。標高のせいなのか呼吸が苦しく感じ、まったくリズムを掴めず終わってしまった。ルイも総合10位で(トップと)2分以上離れているので、最終日はチームとしてルイのステージ優勝を狙って攻撃あるのみ。それを助ける走りが出来たらと思う」とコメントしている。
選手コメントは各チーム公式サイトとTeamユキヤ通信より。
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個人総合成績
1位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) 29h32’03”
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール) +08”
3位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) +16”
4位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +18”
5位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) +52”
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +1’21”
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1’26”
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1’30”
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1’31”
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +2’09”
ポイント賞
1位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
1位 アントワン・トルホック(オランダ、ルームポット・オラニエ)
スイスライダー賞
1位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
チーム総合成績
1位 カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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