2016/05/19(木) - 14:57
イタリアの中で最も自転車競技が盛んなヴェネト州にジロは入った。街のあちこちにピンクのデコレーションが施され、ピンクのシーツに贔屓の選手や地元出身の選手の名前が踊る。大勢のサイクリストが大挙して観戦に訪れた第11ステージの現地レポート。
プレスオフィサーを連れて出走サインに向かうヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
サイン攻めにあう山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)のタトゥーは「NOW OR NEVER」 photo:Kei Tsuji
モデナの軍学校で敬礼するダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
この日、プロトンはまず200kmかけて広大なロンバルディア平原の南の端から北の端までを走りきる。オランダの平坦さに匹敵するほどの見渡す限り山がない平野を走る。起伏があるとすれば川の土手か橋だけ。お世辞にも変化に富んだコースとは言えない。「俺は前半撮影しない。今日は前半休み」と言うフォトグラファーが出てくるほど前半は変化に乏しい。
スタート地点フェラーリやマセラティのお膝元であるモデナ(フェラーリの本社は郊外のマラネッロ)。いわばスーパーカーの中心地で、グォログォロと低いエグゾーストを響かせるスーパーカーが普通に街中を走っている。
車と言えば、今大会のオフィシャルカーサプライヤーはホンダだ。2015年はフランスのシトロエンで、2014年はチェコのシュコダ。遡るとマツダもジロに車両を提供したことがある。
今回ホンダが用意した車両は合計129台で、大会ディレクターやコミッセールカーにHR-V(日本名ヴェゼル)、ドクターカーやニュートラルサポートカーにシビック、VIPカーや各種運搬用にCR-Vを導入している。しかもオランダからイタリアには一台も持って来ておらず、オランダとイタリアでそれぞれ別の車両を用意した徹底ぶり。なお、ジロのモーターバイクサプライヤーはヤマハからカワサキに変更されている。
2016年のオフィシャルカーサプライヤーはホンダ photo:Kei Tsuji
ヴェネト州に入り、教会の形が変わる photo:Kei Tsuji
ピアッツォーラ・スル・ブレンタの宮殿を通過 photo:Kei Tsuji
残り50kmを切ったあたりから異様に沿道のデコレーションが華やかになった。それもそのはず、ヴェネト州(州都ヴェネツィア)はイタリアの中で最も自転車競技が盛んな地域。今大会に出場している選手を見てみると、マッテーオ・トザットやマヌエーレ・ボアーロ(ティンコフ)、エンリコ・バッタリーン(ロットNLユンボ)、フィリッポ・ポッツァート(ウィリエール・サウスイースト)らの地元を走る。
古くはアルヴェセンやバッラン、バッソ、そしてクネゴやスカルポーニ、クインツィアート、ポッツォヴィーヴォ、ガット、ブランビッラを輩出した名門ザルフを始めとするアマチュアチームが多数あり、沿道にはそれぞれのチームジャージを着た若い選手が立ち並ぶ。観戦に訪れたサイクリストの数は間違いなく今大会一番。ジロが地元を通るのだからもはや平日だとか休日だとかは関係無い。
さらに自転車関連メーカーの多くがこのヴェネト州に拠点を置いており、第11ステージは終盤にかけてシディとガエルネの本社前を通過した。あと、ステージ優勝者とマリアローザ着用者が表彰台で振り回すプロセッコ「アストリア」の本社も近い。ポッツァートの言葉を借りると「自転車が生きている地域」であり、イタリアの中でジロを最も熱く歓迎する地域だと言える。
アーゾロの旧市街を通過するメイン集団 photo:Kei Tsuji
自由の女神も当然のようにピンク photo:Kei Tsuji
ウリッシの勝利を喜びながら走るマヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji
7年ぶりにジロがアーゾロを通過する photo:Kei Tsuji
アーゾロの旧市街を抜けるグルペット photo:Kei Tsuji
アーゾロの細い路地を駆け抜ける photo:Kei Tsuji
ウリッシのステージ通算6勝という数字は今大会出場している選手の中で最多。ちなみにアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がそれぞれステージ通算5勝で続く。
登坂力と独走力、そして俊敏なスプリント力を兼ね備えたウリッシ向きのステージがジロには多く設定されている。「単純なスプリントステージではなく何かアクセントを加えたい」という主催者の思惑にウリッシの脚質がどんぴしゃでハマった感じ。
昨年ジャパンカップで2位に入ったウリッシは総合でも10位まで順位を上げている。グランツールでの過去最高位は2012年ジロの総合21位。ワウテル・ウェイラントが着用していたゼッケン108番が永久欠番のため特別に100番(通常であれば101番)をつけるウリッシ向きのステージはまだいくつか残されている。
そんなウリッシにステージ優勝を奪われる可能性を認識しながらも、マリアローザのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)はタイムを奪うために先頭を引き続けた。「最終的な総合争いには残らないだろう」と判断したニーバリやバルベルデはユンヘルスらの先行を事実上容認したが、果たしてユンヘルスがどこまで走れるのか本人も分からない。その答えは数日後に始まるドロミテ決戦で明らかになる。
text&photo:Kei Tsuji in Asolo, Italy
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この日、プロトンはまず200kmかけて広大なロンバルディア平原の南の端から北の端までを走りきる。オランダの平坦さに匹敵するほどの見渡す限り山がない平野を走る。起伏があるとすれば川の土手か橋だけ。お世辞にも変化に富んだコースとは言えない。「俺は前半撮影しない。今日は前半休み」と言うフォトグラファーが出てくるほど前半は変化に乏しい。
スタート地点フェラーリやマセラティのお膝元であるモデナ(フェラーリの本社は郊外のマラネッロ)。いわばスーパーカーの中心地で、グォログォロと低いエグゾーストを響かせるスーパーカーが普通に街中を走っている。
車と言えば、今大会のオフィシャルカーサプライヤーはホンダだ。2015年はフランスのシトロエンで、2014年はチェコのシュコダ。遡るとマツダもジロに車両を提供したことがある。
今回ホンダが用意した車両は合計129台で、大会ディレクターやコミッセールカーにHR-V(日本名ヴェゼル)、ドクターカーやニュートラルサポートカーにシビック、VIPカーや各種運搬用にCR-Vを導入している。しかもオランダからイタリアには一台も持って来ておらず、オランダとイタリアでそれぞれ別の車両を用意した徹底ぶり。なお、ジロのモーターバイクサプライヤーはヤマハからカワサキに変更されている。
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古くはアルヴェセンやバッラン、バッソ、そしてクネゴやスカルポーニ、クインツィアート、ポッツォヴィーヴォ、ガット、ブランビッラを輩出した名門ザルフを始めとするアマチュアチームが多数あり、沿道にはそれぞれのチームジャージを着た若い選手が立ち並ぶ。観戦に訪れたサイクリストの数は間違いなく今大会一番。ジロが地元を通るのだからもはや平日だとか休日だとかは関係無い。
さらに自転車関連メーカーの多くがこのヴェネト州に拠点を置いており、第11ステージは終盤にかけてシディとガエルネの本社前を通過した。あと、ステージ優勝者とマリアローザ着用者が表彰台で振り回すプロセッコ「アストリア」の本社も近い。ポッツァートの言葉を借りると「自転車が生きている地域」であり、イタリアの中でジロを最も熱く歓迎する地域だと言える。
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登坂力と独走力、そして俊敏なスプリント力を兼ね備えたウリッシ向きのステージがジロには多く設定されている。「単純なスプリントステージではなく何かアクセントを加えたい」という主催者の思惑にウリッシの脚質がどんぴしゃでハマった感じ。
昨年ジャパンカップで2位に入ったウリッシは総合でも10位まで順位を上げている。グランツールでの過去最高位は2012年ジロの総合21位。ワウテル・ウェイラントが着用していたゼッケン108番が永久欠番のため特別に100番(通常であれば101番)をつけるウリッシ向きのステージはまだいくつか残されている。
そんなウリッシにステージ優勝を奪われる可能性を認識しながらも、マリアローザのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)はタイムを奪うために先頭を引き続けた。「最終的な総合争いには残らないだろう」と判断したニーバリやバルベルデはユンヘルスらの先行を事実上容認したが、果たしてユンヘルスがどこまで走れるのか本人も分からない。その答えは数日後に始まるドロミテ決戦で明らかになる。
text&photo:Kei Tsuji in Asolo, Italy
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