フルコースの伊吹山。終盤の先頭4人から抜け出したベンジャミ・プラデス(チーム右京)が中根英登(愛三工業レーシングチーム)をスプリントで下し優勝。積極的に展開した才田直人(レオモベルマーレレーシングチーム)がこれに続いた。



ベンジャミ・プラデス(チーム右京)が優勝ベンジャミ・プラデス(チーム右京)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
距離14.9kmで標高差1035mを駆け上がる岐阜県関ヶ原町の伊吹山ドライブウェイヒルクライム。国内の主要ヒルクライムレースの初戦にあたり、午前中は3000人を超えるエントリーの一般クラスが行われ、JBCFレースは14時からスタートした。路面状況は良く傾斜に緩急がありさらに向かい風区間もあることから、毎年ロードレースのような展開になるのが特徴だ。

コースレコードはホセ・ビセンテ・トリビオの40分01秒

2016年からJプロツアーのヒルクライムレースレイティングはやや高いA-hとなり勝者は1400点獲得できる。コースレコードは2013年にホセ・ビセンテ・トリビオ(現マトリックスパワータグ)が出した40分01秒でトリビオは翌2014年も優勝。短縮コースで開催の2015年はオスカル・プジョル(チーム右京)が優勝している。女子のコースレコードは2013年に金子弘美(イナーメ信濃山形-F)が出した51分29秒だが、今年は同時期開催UCIレースのツアー・オブ・タイランドへ日本代表として参加している。

一般エキスパートクラス一般エキスパートクラス photo:Hideaki TAKAGI満開の桜が選手を迎える満開の桜が選手を迎える photo:Hideaki TAKAGI

前半の逃げは決まらず

スタートアタックはアイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)とジョン・アベラストゥリ(チーム右京)。これを狩野智也(群馬グリフィン・レーシングチーム)、綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)が追い吸収。代ってプジョル、堀孝明(宇都宮ブリッツェン)、フェルナンデスが先頭に立つが、やがて堀が先頭を引き続ける。

4km地点でトリビオがアタックすると昨年までのチームメイトだったプラデスが反応、これに増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、中根が合流し4人で先頭に。この中でプジョルがアタックとけん制を繰り返し、ほどなく後方からも合流し6km地点では20人ほどの先頭集団に戻る。ここから才田が単独で抜け出し、これをプジョル、増田、プラデス、中根、トリビオの4人が追走する。

1km地点、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)を追う狩野智也(群馬グリフィン・レーシングチーム)、綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)1km地点、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)を追う狩野智也(群馬グリフィン・レーシングチーム)、綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) photo:Hideaki TAKAGI4km地点、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が仕掛ける4km地点、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が仕掛ける photo:Hideaki TAKAGI

5km地点、中根英登(愛三工業レーシングチーム)ら有力勢が先頭に5km地点、中根英登(愛三工業レーシングチーム)ら有力勢が先頭に photo:Hideaki TAKAGI6km地点、先頭集団は20人ほどになる6km地点、先頭集団は20人ほどになる photo:Hideaki TAKAGI

10km過ぎで4人が先頭に

10km地点を過ぎて単独先頭の才田にまずプジョルが追いつき、そして向かい風区間で中根、増田、プラデスが追いつく一方でプジョルが下がる。これで先頭は才田、中根、増田そしてプラデスの4人となる。ここまで脚を使っていないのはプジョルの働きで合流したプラデスだ。4人となった11km地点からは才田が先頭を引き続け中根もペースアップ。さらに先頭に立った才田がペースを上げると増田が離れる。

連携を修正してきたチーム右京

3人となった先頭からラスト2kmを切って中根がペースアップすると付いてこれたのはプラデスのみ。中根がおもに先頭を引きフィニッシュ地点へ向かいスプリント勝負となり、プラデスが中根に競り勝ち移籍後初優勝。才田、増田と続いた。昨年の覇者プジョルが繰り出す攻撃で他選手のペースを狂わせプラデスの脚を温存させたのが最大の勝因だ。チーム右京は宇都宮クリテリウムでの課題を早速修正することに成功した。

10km地点、才田直人(レオモベルマーレレーシングチーム)が先頭に立つ10km地点、才田直人(レオモベルマーレレーシングチーム)が先頭に立つ photo:Hideaki TAKAGI12km地点、中根英登(愛三工業レーシングチーム)がペースを上げる12km地点、中根英登(愛三工業レーシングチーム)がペースを上げる photo:Hideaki TAKAGI

12.5km地点、才田直人(レオモベルマーレレーシングチーム)がペースを上げ3人に12.5km地点、才田直人(レオモベルマーレレーシングチーム)がペースを上げ3人に photo:Hideaki TAKAGI
レースを動かした才田直人

3年連続表彰台の中根は2人体制のチーム右京に真っ向から挑んだが、その連携プレーに苦しんだ。だがトップクライマーであることは間違いない。そしてレースを大きく動かしたのは才田だ。中盤以降は独走や先頭に立つ時間がほとんどで、得意のヒルクライムで走りと成績の両方で結果を残した。才田は2009年実業団個人TT(栂池ヒルクライム)で5位、2015年同栂池ヒルクライムP1で5位の成績を持ち、3位は最高の成績でかつ、チームも初表彰台だ。

その才田は語る。「上りは自分のペースで行くのが得意で、けん制して追いつかれるよりは悔いのない展開にしようと走りました。途中で3人となって表彰台が見えたのであとは精一杯行こうと走った結果です。引かされた形での3位は少し悔しいですが、自分の脚があることを確認できたので今後につながると思います」

14km地点、中根英登(愛三工業レーシングチーム)とベンジャミ・プラデス(チーム右京)の2人が先頭に14km地点、中根英登(愛三工業レーシングチーム)とベンジャミ・プラデス(チーム右京)の2人が先頭に photo:Hideaki TAKAGIベンジャミ・プラデス(チーム右京)が先行するベンジャミ・プラデス(チーム右京)が先行する photo:Hideaki TAKAGI




Jプロツアー第2戦 伊吹山ドライブウェイヒルクライム2016結果

P1 表彰P1 表彰 photo:Hideaki TAKAGIJプロツアーリーダー ベンジャミ・プラデス(チーム右京)Jプロツアーリーダー ベンジャミ・プラデス(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGIF 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝F 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIF 表彰F 表彰 photo:Hideaki TAKAGIE1 表彰E1 表彰 photo:Hideaki TAKAGIP1クラスタ 14.9km
1位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)42分04秒
2位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)
3位 才田直人(レオモベルマーレレーシングチーム)+19秒
4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+35秒
5位 オスカル・プジョル(チーム右京)+42秒
6位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+47秒
7位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+53秒
8位 田窪賢次(マトリックスパワータグ)+1分09秒
9位 吉岡直哉(那須ブラーゼン)+1分22秒
10位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)+1分29秒

Jプロツアーリーダー ベンジャミ・プラデス(チーム右京)
U23リーダー 田窪賢次(マトリックスパワータグ)

Fクラスタ
1位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)54分08秒
2位 福田咲絵(フィッツ)+2分35秒
3位 福本千佳(Toyo Frame)+3分02秒

Jフェミニンツアーリーダー 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)

E1クラスタ
1位 中村俊介(SEKIYA)45分27秒
2位 藤田康祐(SPADE・ACE)+03秒
3位 星野貴大(Y's Road)+04秒
4位 國井豊晃(KOGMA Racing)+25秒
5位 真嶋伸一郎(チーム・ケンズ)+30秒
6位 西脇圭亮(BC.ANELLO)+53秒

Jエリートツアーリーダー 松木健治(クラブシルベスト)

E2クラスタ
1位 田中裕士(グランペールサイクリングチーム)45分38秒
2位 黒川晴智(TRAILBLAZER)+49秒
3位 金子陽一(CROUD 9ers)+1分02秒
4位 水野裕也(Y's Road)+1分07秒
5位 折橋孝治(湾岸サイクリング・ユナイテッド)+1分23秒
6位 南島康一(竹芝サイクルレーシング)+2分30秒

E3クラスタ
1位 星野貴也(COW GUMMA)45分16秒
2位 長谷川彰浩(Team UKYO Reve)+38秒
3位 益川慎平(CROUD 9ers)+44秒
4位 今井佑誠(グランペールサイクリングチーム)+47秒
5位 松田健太(PHANTOM湘南)+1分23秒
6位 山田大樹(UNIVERS)+1分28秒

E2 表彰E2 表彰 photo:Hideaki TAKAGIE3 表彰E3 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

photo&text:高木秀彰
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