2016/03/08(火) - 21:34
3月9日から15日まで、7日間かけてプロトンはイタリア半島を横断する。パリ〜ニースと並行してUCIワールドツアー第3戦のティレーノ〜アドリアティコが開催。イタリアらしいパンチの効いたコース設定のステージレースにビッグネームたちが挑む。
急坂と標高1208mのモンテサンヴィチーノ、最終個人TTが登場
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCS Sportが主催するティレーノ〜アドリアティコ。レース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。2つの海を結ぶその行程から、イタリアでは「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力スプリンターやオールラウンダーたちが大勢出場する。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分ける。
初日はティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレでのチームタイムトライアル。平坦な22.7kmコースを23チームの選手たちが高速で駆け抜け、優勝チームの先頭フィニッシュ選手が青いリーダージャージを受け取る。
パリ〜ニースと比較すると単純な平坦コースが少ないのがこのティレーノ〜アドリアティコ。急勾配のGPM(グラン・プレミオ・モンターニャ:カテゴリー山岳)が多くのステージに登場する。
残り3kmでGPMポマランチェ(最大勾配18%)を越える第2ステージに続いて、第3ステージには残り500mで勾配7%の登りが登場。そして第4ステージは残り30kmでGPMトレヴィ(最大勾配14%)、残り15kmでGPMモンテファルコ(最大勾配18%)を越える。大集団スプリントに持ち込まれる可能性が低いため、ピュアスプリンターはパリ〜ニースを選択しがちだ。
総合争いが活発化するのが第5ステージに登場するGPMモンテサンヴィチーノ(登坂距離10km/平均勾配7.8%)の山頂フィニッシュ。アペニン山脈の4つの峠を断続的に越えて標高1208mに向かうコースでクライマーたちが攻撃を繰り返すだろう。緩斜面の登りスプリントが設定された第6ステージを経て、最終日は定番となったサンベネデット・デル・トロントの10km個人タイムトライアルだ。
ティレーノ〜アドリアティコ2016ステージリスト
3月9日(水)第1ステージ リード・ディ・カマイオーレ 22.7km(チームTT)
3月10日(木)第2ステージ カマイオーレ〜ポマランチェ 207km
3月11日(金)第3ステージ カステルヌオーヴォ〜モンタルト・ディ・カストロ 176km
3月12日(土)第4ステージ モンタルト・ディ・カストロ〜フォリーニョ 216km
3月13日(日)第5ステージ フォリーニョ〜モンテサンヴィチーノ 178km
3月14日(月)第6ステージ カステルライモンド〜チェパガッティ 210km
3月15日(火)第7テージ サンベネデット・デル・トロント 10km(個人TT)
総合本命はニーバリやバルベルデ カヴやサガン、カンチェラーラにも注目
出場するのは18あるUCIワールドチームに加えてワイルドカード枠を獲得したアンドローニジョカトリ、バルディアーニCSF、ボーラ・アルゴン18、カハルーラル、CCCスプランディポルコウィチェの5チーム。
2012年と2013年大会の総合優勝者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がブルージャージの最有力候補。今シーズンのニーバリはツアー・オブ・オマーンで山頂フィニッシュを制するとともに総合優勝を果たしており、スカルポーニやフグルサングといった強力なアシストを従えての出場だ。
ジロ・デ・イタリアへの初出場を宣言しているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は14年ぶりのティレーノ出場。2月のルタデルソルで総合優勝しているバルベルデが好調なのは間違いない。なお、昨年の総合優勝者ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)はティレーノにもパリ〜ニースにも出場しない。キンタナはすでにツール・ド・サンルイスでシーズンデビュー済み。次戦は3月21日開幕のボルタ・ア・カタルーニャの予定だ。
ツール・ド・フランスにポートとダブルエースで挑むことになるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)やロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)らも総合上位候補。
伝統的に多くのクライマーを輩出しているコロンビアからはリゴベルト・ウラン(キャノンデール)やエスデバン・シャベス(オリカ・グリーンエッジ)が、そしてスペインからはホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)やラファエル・バルス(ロット・ソウダル)が出場する。地元イタリア勢としてはニーバリの他にもドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(AG2Rラモンディアール)やダヴィデ・レベッリン(CCCスプランディポルコウィチェ)の名前が挙がる。
チームスカイはミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)をエースに立てる。ポエルスやケーニッヒ、ケノーを揃えており、初日のチームタイムトライアルからリードを奪うと見られる。
難易度の低いステージではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)といったスプリンターたちに出番が回ってくる。
トラック世界選手権を終えたばかりのカヴェンディッシュはレンショーやボアッソンハーゲン、そしてツール・ド・ランカウイ覇者ヤンセファンレンズバーグらとともにスタートラインに並ぶ。他にもベンナーティやガット、ブライスのアシストを受ける世界チャンピオンのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)やグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、そしてファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)らが前半ステージを盛り上げるだろう。
text:Kei Tsuji
急坂と標高1208mのモンテサンヴィチーノ、最終個人TTが登場
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCS Sportが主催するティレーノ〜アドリアティコ。レース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。2つの海を結ぶその行程から、イタリアでは「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力スプリンターやオールラウンダーたちが大勢出場する。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分ける。
初日はティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレでのチームタイムトライアル。平坦な22.7kmコースを23チームの選手たちが高速で駆け抜け、優勝チームの先頭フィニッシュ選手が青いリーダージャージを受け取る。
パリ〜ニースと比較すると単純な平坦コースが少ないのがこのティレーノ〜アドリアティコ。急勾配のGPM(グラン・プレミオ・モンターニャ:カテゴリー山岳)が多くのステージに登場する。
残り3kmでGPMポマランチェ(最大勾配18%)を越える第2ステージに続いて、第3ステージには残り500mで勾配7%の登りが登場。そして第4ステージは残り30kmでGPMトレヴィ(最大勾配14%)、残り15kmでGPMモンテファルコ(最大勾配18%)を越える。大集団スプリントに持ち込まれる可能性が低いため、ピュアスプリンターはパリ〜ニースを選択しがちだ。
総合争いが活発化するのが第5ステージに登場するGPMモンテサンヴィチーノ(登坂距離10km/平均勾配7.8%)の山頂フィニッシュ。アペニン山脈の4つの峠を断続的に越えて標高1208mに向かうコースでクライマーたちが攻撃を繰り返すだろう。緩斜面の登りスプリントが設定された第6ステージを経て、最終日は定番となったサンベネデット・デル・トロントの10km個人タイムトライアルだ。
ティレーノ〜アドリアティコ2016ステージリスト
3月9日(水)第1ステージ リード・ディ・カマイオーレ 22.7km(チームTT)
3月10日(木)第2ステージ カマイオーレ〜ポマランチェ 207km
3月11日(金)第3ステージ カステルヌオーヴォ〜モンタルト・ディ・カストロ 176km
3月12日(土)第4ステージ モンタルト・ディ・カストロ〜フォリーニョ 216km
3月13日(日)第5ステージ フォリーニョ〜モンテサンヴィチーノ 178km
3月14日(月)第6ステージ カステルライモンド〜チェパガッティ 210km
3月15日(火)第7テージ サンベネデット・デル・トロント 10km(個人TT)
総合本命はニーバリやバルベルデ カヴやサガン、カンチェラーラにも注目
出場するのは18あるUCIワールドチームに加えてワイルドカード枠を獲得したアンドローニジョカトリ、バルディアーニCSF、ボーラ・アルゴン18、カハルーラル、CCCスプランディポルコウィチェの5チーム。
2012年と2013年大会の総合優勝者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がブルージャージの最有力候補。今シーズンのニーバリはツアー・オブ・オマーンで山頂フィニッシュを制するとともに総合優勝を果たしており、スカルポーニやフグルサングといった強力なアシストを従えての出場だ。
ジロ・デ・イタリアへの初出場を宣言しているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は14年ぶりのティレーノ出場。2月のルタデルソルで総合優勝しているバルベルデが好調なのは間違いない。なお、昨年の総合優勝者ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)はティレーノにもパリ〜ニースにも出場しない。キンタナはすでにツール・ド・サンルイスでシーズンデビュー済み。次戦は3月21日開幕のボルタ・ア・カタルーニャの予定だ。
ツール・ド・フランスにポートとダブルエースで挑むことになるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)やロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)らも総合上位候補。
伝統的に多くのクライマーを輩出しているコロンビアからはリゴベルト・ウラン(キャノンデール)やエスデバン・シャベス(オリカ・グリーンエッジ)が、そしてスペインからはホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)やラファエル・バルス(ロット・ソウダル)が出場する。地元イタリア勢としてはニーバリの他にもドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(AG2Rラモンディアール)やダヴィデ・レベッリン(CCCスプランディポルコウィチェ)の名前が挙がる。
チームスカイはミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)をエースに立てる。ポエルスやケーニッヒ、ケノーを揃えており、初日のチームタイムトライアルからリードを奪うと見られる。
難易度の低いステージではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)といったスプリンターたちに出番が回ってくる。
トラック世界選手権を終えたばかりのカヴェンディッシュはレンショーやボアッソンハーゲン、そしてツール・ド・ランカウイ覇者ヤンセファンレンズバーグらとともにスタートラインに並ぶ。他にもベンナーティやガット、ブライスのアシストを受ける世界チャンピオンのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)やグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、そしてファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)らが前半ステージを盛り上げるだろう。
text:Kei Tsuji
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サイクルスポーツ 2016年 05月号
八重洲出版