2015/12/30(水) - 04:56
2015年シーズンの国内および日本人選手のレースを振り返るプレイバックシリーズを3回に分けてお届けします。まずはタイでのアジア選手権から5月のTOJ、熊野まで。
2月
タイで行われたアジア選手権は日本人選手が大活躍。高校生の梶原悠未(筑波大付属坂戸高)が女子ジュニアの出場全種目で優勝の5冠(トラック3種目、ロード2種目)を達成。以降梶原は歴代の記録を塗り替えることに。またロードではU23で小石祐馬(CCT p/b ChampionSystem)と男子ジュニアで沢田桂太郎(東北高)が優勝。トラックでも7つの優勝と日本チームは存在感を見せた。特に20歳前後の若い選手たちが活躍したことは日本にとっての明るい材料だ。
東京・お台場海浜公園で4回目のシクロクロス東京。男子エリートはザック・マクドナルド(シクロクロスプロジェクト2015)が他を寄せ付けず大会2連覇。これにベン・ベルデン(W-Cup)、引退レースの山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・イコイ)が続いた。女子は僅差の戦いを豊岡英子(パナソニックレディース)が制した。
3月
9回目を迎えた東京・明治神宮外苑で行われた日本学生自転車競技連盟(学連)主催の明治神宮外苑大学クリテリウム。大学応援団や多くの観客の前で行われ、創部20周年を迎えた鹿屋体育大学が6クラス中5クラスを制し圧倒。最上級クラスは男子は橋本英也が、女子は上野みなみが優勝。年間総合成績のRCS年間ランキングは、相本祥政(法政大学)が優勝した。
3月8日、国内関係者に衝撃が走った。マトリックスパワータグに所属する和田力が練習帰りに不慮の事故で亡くなった。和田は和歌山県出身で和歌山北高から日本大学へ進学、そしてマトリックスへ入って1年目の22歳だった。2012年全日本ロードU23で3位など、JCFのU23強化指定選手であり将来を期待されていた若手選手だった。和田の遺志は関係した選手やチームに継がれ、結果を出していく。
HCのステージレース、ツール・ド・ランカウイで個人総合16位の早川朋宏(愛三工業レーシング)がベストアジアライダー賞を獲得。UCIプロチームやプロコンチネンタルチームが多数出場するこのレースで好成績を収めた。
国内ロードレースの開幕戦は2回目となる3月15日のJプロツアー(JPT)宇都宮クリテリウム。終盤の大落車を回避した選手たちによるスプリントを窪木一茂(チーム右京)が制した。窪木は1週間前に逝去した和田の大学と和歌山県チームの先輩にあたる。
高校1年と2年により行われる春の大会が高校選抜大会。トラックは今年初めて熊本競輪場で行われた。梶原は出場3種目すべてで圧勝の3冠を達成。ポイントレースはのちに世界チャンピオンとなる今村駿介(祐誠高)が優勝。男子ロードはEQADSでフランスでも走る石上優大(横浜高)がレースを主導し優勝する。
4月
ツアー・オブ・タイランド(UCI2.2)第1ステージで内間康平(ブリヂストンアンカー)が逃げからのスプリントで優勝。第4ステージで中島康晴(愛三工業レーシング)が逃げて逆転してリーダーに。最終第6ステージで中島は落車し傷つくがアンカーはそれを待ち中島の総合優勝が決まる。フェアな戦いで日本人選手が総合ワン・ツーに。
トラック全日本選手権は窪木が個人追抜き、ポイントレースそして団抜きを制し3冠に。女子の上野は個人追抜きとポイントレースで2冠。鹿屋体育大学勢が結果を出す中、マディソンで法政大学(新村穣・寺崎浩平)が、スクラッチで原井博斗(中央大学)が優勝。団抜きの和歌山対岐阜は窪木対橋本の様相で4分14秒と15秒のハイレベルの戦いに。
スタートアタックが決まったのはJPT白浜クリテリウム。逃げた18人でのスプリントを大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が制し大会2連覇。同時に前日のチームTTまでで開幕3連勝のチーム右京の勢いをストップさせた。
いっぽう逃げが決まらず30人のスプリントとなったのはJPT群馬CSCロード。これを吉田隼人(マトリックスパワータグ)が制し移籍後初優勝。奇しくも大会期間は前月に逝去した和田の四十九日。「和田が(この世に)いるうちに勝ててよかった」と安原昌弘監督は声を振り絞った。
5月
新緑の季節といえば大阪から東京まで駆け抜けるツアー・オブ・ジャパン(UCI1.2)だ。新設された三重県いなべステージが入って全7ステージ。南信州ステージではベンジャミン・プラデス(マトリクスパワータグ)が制し、続く富士山ステージはラヒーム・エマミ(ピシュガマン)が38分27秒のコースレコードを樹立。ステージ2位のミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ)が個人総合優勝。UCIプロチームのランプレはステージ2勝を挙げた。
TOJから中3日で行われたのが和歌山県と三重県を舞台とするツール・ド・熊野(UCI2.2)。山岳の第2ステージを制したプラデスがリーダーとなり第3ステージも守り抜き、チーム設立10年にして初のUCIステージレース個人総合優勝を成し遂げた。
text:高木秀彰
2月
タイで行われたアジア選手権は日本人選手が大活躍。高校生の梶原悠未(筑波大付属坂戸高)が女子ジュニアの出場全種目で優勝の5冠(トラック3種目、ロード2種目)を達成。以降梶原は歴代の記録を塗り替えることに。またロードではU23で小石祐馬(CCT p/b ChampionSystem)と男子ジュニアで沢田桂太郎(東北高)が優勝。トラックでも7つの優勝と日本チームは存在感を見せた。特に20歳前後の若い選手たちが活躍したことは日本にとっての明るい材料だ。
東京・お台場海浜公園で4回目のシクロクロス東京。男子エリートはザック・マクドナルド(シクロクロスプロジェクト2015)が他を寄せ付けず大会2連覇。これにベン・ベルデン(W-Cup)、引退レースの山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・イコイ)が続いた。女子は僅差の戦いを豊岡英子(パナソニックレディース)が制した。
3月
9回目を迎えた東京・明治神宮外苑で行われた日本学生自転車競技連盟(学連)主催の明治神宮外苑大学クリテリウム。大学応援団や多くの観客の前で行われ、創部20周年を迎えた鹿屋体育大学が6クラス中5クラスを制し圧倒。最上級クラスは男子は橋本英也が、女子は上野みなみが優勝。年間総合成績のRCS年間ランキングは、相本祥政(法政大学)が優勝した。
3月8日、国内関係者に衝撃が走った。マトリックスパワータグに所属する和田力が練習帰りに不慮の事故で亡くなった。和田は和歌山県出身で和歌山北高から日本大学へ進学、そしてマトリックスへ入って1年目の22歳だった。2012年全日本ロードU23で3位など、JCFのU23強化指定選手であり将来を期待されていた若手選手だった。和田の遺志は関係した選手やチームに継がれ、結果を出していく。
HCのステージレース、ツール・ド・ランカウイで個人総合16位の早川朋宏(愛三工業レーシング)がベストアジアライダー賞を獲得。UCIプロチームやプロコンチネンタルチームが多数出場するこのレースで好成績を収めた。
国内ロードレースの開幕戦は2回目となる3月15日のJプロツアー(JPT)宇都宮クリテリウム。終盤の大落車を回避した選手たちによるスプリントを窪木一茂(チーム右京)が制した。窪木は1週間前に逝去した和田の大学と和歌山県チームの先輩にあたる。
高校1年と2年により行われる春の大会が高校選抜大会。トラックは今年初めて熊本競輪場で行われた。梶原は出場3種目すべてで圧勝の3冠を達成。ポイントレースはのちに世界チャンピオンとなる今村駿介(祐誠高)が優勝。男子ロードはEQADSでフランスでも走る石上優大(横浜高)がレースを主導し優勝する。
4月
ツアー・オブ・タイランド(UCI2.2)第1ステージで内間康平(ブリヂストンアンカー)が逃げからのスプリントで優勝。第4ステージで中島康晴(愛三工業レーシング)が逃げて逆転してリーダーに。最終第6ステージで中島は落車し傷つくがアンカーはそれを待ち中島の総合優勝が決まる。フェアな戦いで日本人選手が総合ワン・ツーに。
トラック全日本選手権は窪木が個人追抜き、ポイントレースそして団抜きを制し3冠に。女子の上野は個人追抜きとポイントレースで2冠。鹿屋体育大学勢が結果を出す中、マディソンで法政大学(新村穣・寺崎浩平)が、スクラッチで原井博斗(中央大学)が優勝。団抜きの和歌山対岐阜は窪木対橋本の様相で4分14秒と15秒のハイレベルの戦いに。
スタートアタックが決まったのはJPT白浜クリテリウム。逃げた18人でのスプリントを大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が制し大会2連覇。同時に前日のチームTTまでで開幕3連勝のチーム右京の勢いをストップさせた。
いっぽう逃げが決まらず30人のスプリントとなったのはJPT群馬CSCロード。これを吉田隼人(マトリックスパワータグ)が制し移籍後初優勝。奇しくも大会期間は前月に逝去した和田の四十九日。「和田が(この世に)いるうちに勝ててよかった」と安原昌弘監督は声を振り絞った。
5月
新緑の季節といえば大阪から東京まで駆け抜けるツアー・オブ・ジャパン(UCI1.2)だ。新設された三重県いなべステージが入って全7ステージ。南信州ステージではベンジャミン・プラデス(マトリクスパワータグ)が制し、続く富士山ステージはラヒーム・エマミ(ピシュガマン)が38分27秒のコースレコードを樹立。ステージ2位のミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ)が個人総合優勝。UCIプロチームのランプレはステージ2勝を挙げた。
TOJから中3日で行われたのが和歌山県と三重県を舞台とするツール・ド・熊野(UCI2.2)。山岳の第2ステージを制したプラデスがリーダーとなり第3ステージも守り抜き、チーム設立10年にして初のUCIステージレース個人総合優勝を成し遂げた。
text:高木秀彰
Amazon.co.jp