2015/09/26(土) - 11:35
最終周回突入と同時に雨が降り始めたロード世界選手権U23ロードレース。それまでドライだった路面が急にウェットな状態となり、落車が多発するレースをケヴィン・ルダノワ(フランス)が制した。日本チームは小橋勇利の45位が最高位だった。
23番通りの坂に突入するプロトン photo:Kei Tsuji
U23日本代表チーム 小石祐馬、面手利輝、岡篤志、小橋勇利、徳田優 photo:Kei Tsuji
1周目に落車した徳田優(鹿屋体育大学) photo:Kei Tsuji
ロードレース周回コース高低図 image:richmond2015.com
リビーヒルの登りを進む小石祐馬(CCTチャンピオンシステム) photo:Kei Tsuji「リビーヒル」と「23番通り」、そして残り1kmから始まる「ガヴァナー通り」の登りを含むリッチモンド周回コース。1993〜1996年生まれの選手が対象のU23男子ロードレースは16.2km周回コースを10周する。
リビーヒルパークの頂上に向かうプロトン photo:Kei Tsuji天気予報通り天気は下り坂で、午後の降水確率は60%ほど。雨雲に覆われながらも何とか天候は持ちこたえ、最終周回を除いて路面はドライな状態が保たれた。つまり最終周回のみ雨が降り、石畳が敷かれた坂が牙を剥くことになる。
逃げるダヴィデ・マルティネッリ(イタリア)らが23番通りの坂を行く photo:Kei Tsuji序盤のアタックをかい潜って逃げたのはエディ・ダンバー(アイルランド)やホセルイス・ロドリゲス(チリ)ら。ここにオレグ・ゼムルヤコフ(カザフスタン)、マキシミリアン・シャッフマン(ドイツ)、そしてエティックス・クイックステップ入りが決まっているダヴィデ・マルティネッリ(イタリア)が合流。イタリアやドイツが逃げに選手を送り込んだことで、イギリスやフランスがメイン集団を率いて追走した。
常に集団前方で走る小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX) photo:Kei Tsuji強豪国主導のレース展開は落ち着きを見せないまま後半へ。逃げていた選手たちは残り2周のリビーヒル(残り20km)で吸収。そこからセレンクラー・アンデルセン(デンマーク)が飛び出して独走に持ち込んだ。
集団内でレースを進める面手利輝(EQADS) photo:Kei Tsuji「10位以内」を目標に据えた日本代表チームは小石祐馬(CCTチャンピオンシステム)を中心に作戦を組んだが、1周目に落車した徳田優(鹿屋体育大学)や岡篤志(EQADS)が終盤のペースアップに対応できず遅れ、エースの小石がスローパンクによって失速。残り2周の時点で互いに連絡を取り合って小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX)と面手利輝(EQADS)で勝負する作戦にスイッチする。
石畳坂で遅れをとる岡篤志(EQADS) photo:Kei Tsujiそして迎えた最終周回。先頭を独走していたアンデルセンにはマルティネッリとニルス・ポリット(ドイツ)、ヤコブ・カツマレク(ポーランド)が合流し、そこからマルティネッリが抜け出して最後の「リビーヒル」に向かう。降り始めた雨によって路面はウェットな状態となり、「リビーヒル」手前の残り4.5km鋭角コーナーで集団落車が発生した。
イギリスやスペインがコントロールするメイン集団 photo:Kei Tsuji「小橋を前に上げるために集団の中で位置取りしていたんですが、ヘアピンコーナーで前の選手が転んで自分も巻き込まれてしまった。調子も良かったし、落車が無ければと悔やまれます」という面手はここで集団から脱落。小橋は難を逃れたもののポジションを落としてしまう。
集団内で最終周回に入る小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX) photo:Kei Tsuji「リビーヒル」の第1コーナーで集団先頭を走っていたネイサン・ファンホーイドンク(ベルギー)が落車したため、集団は分裂するとともに一列棒状に。先頭マルティネッリにはアントニー・トゥルジ(フランス)とケヴィン・ルダノワ(フランス)が追いつき、下りでルダノワが独走に持ち込んだ。
イタリア勢の追走も届かず、およそ残り3kmから独走したルダノワが「23番通り」の急坂を先頭で駆け上がり、「ガヴァナー通り」もリードを保ったままクリア。最終ストレートで追いついてきたシモーネ・コンソンニ(イタリア)を振り切って、ルダノワが独走勝利した。
「リビーヒル」の落車で足止めを食らった小橋は先頭争いに加われなかった。「雨が降り始めてヤバイと思っていると、実際にコーナーで周りの選手が転び始めた。石畳の坂(リビーヒル)までもがいたんですが先頭を取れず。するとまた石畳の坂で周りが転んでストップ。再スタートしようとしても後輪がスリップして進まない。何とか一列棒状になりながらも登りをこなしたんですが、下りで集団が分かれてしまい、前には追いつかなかった」と振り返る小橋は48秒遅れの集団内でフィニッシュしている。小橋の45位が日本チームの最高位で、面手が61位。パンクによって勝機を逃した小石が122位という結果に終わった。
レース序盤から意識的に集団前方に位置し、強豪国のライダーに混ざって登りをこなしていた小橋。「集団の後ろで石畳の坂を走るメリットがないと試走で感じていたので、積極的に集団の前に位置取りしていました。エースの小石さんを前に引き上げるために動くことも考えたんですが、後ろから追いついてきた時に助けることが出来るという思いから前をキープ。スプリントに残ろうと思っていたんですが、力が届かず前に残れなかった。力不足でした」。
今回の日本チームの走りについて小橋は「強豪国は自分たちの思い通りにレースを展開している。自分たちはその展開に乗るしかない」と、組織的にレースを進めたイタリアやフランス、イギリスと比較する。
浅田顕監督は「きつい展開になった残り2周の時点で3人を残していたものの、目標としていた10位からは程遠い結果。今日のレースを良い参考として週末のレースに生かしたいですね。プロのレースはもっと長い時間をかけてキツイ展開に持ち込むとは思いますが、少人数のチームでも展開に残れると感じた」とコメントする。
週末にかけて天候は崩れる一方で、エリート女子とジュニア男子レースが行われる土曜日は一日中雨、エリート男子レースが行われる日曜日は雷雨の予報が出ている。
フィニッシュまで独走したケヴィン・ルダノワ(フランス) photo:Tim de Waele
45位でフィニッシュラインを切る小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX) photo:Kei Tsuji
61位でフィニッシュする面手利輝(EQADS) photo:Kei Tsuji
レースを振り返る面手利輝(EQADS) photo:Kei Tsuji
45位でフィニッシュした小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX) photo:Kei Tsuji
アルカンシェルを獲得したケヴィン・ルダノワ(フランス)を担ぎ上げる photo:Tim de Waele
UCIロード世界選手権2015ロードレース U23男子結果
1位 ケヴィン・ルダノワ(フランス) 3h54’45”
2位 シモーネ・コンソンニ(イタリア)
3位 アントニー・トゥルジ(フランス) +02”
4位 ジャンニ・モスコン(イタリア)
5位 アレクサンダー・カンプ(デンマーク) +05”
6位 ファビアン・リーンハルト(ドイツ)
7位 ミカル・シュレーゲル(チェコ)
8位 ルーカス・ガダイ(アルゼンチン)
9位 アダム・デヴォス(カナダ) +10”
10位 レナード・カムナ(ドイツ) +12”
45位 小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX) +48”
61位 面手利輝(EQADS) +1’12”
122位 小石祐馬(CCTチャンピオンシステム) +15’41”
DNF 徳田優(鹿屋体育大学)
DNF 岡篤志(EQADS)
text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America
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イタリア勢の追走も届かず、およそ残り3kmから独走したルダノワが「23番通り」の急坂を先頭で駆け上がり、「ガヴァナー通り」もリードを保ったままクリア。最終ストレートで追いついてきたシモーネ・コンソンニ(イタリア)を振り切って、ルダノワが独走勝利した。
「リビーヒル」の落車で足止めを食らった小橋は先頭争いに加われなかった。「雨が降り始めてヤバイと思っていると、実際にコーナーで周りの選手が転び始めた。石畳の坂(リビーヒル)までもがいたんですが先頭を取れず。するとまた石畳の坂で周りが転んでストップ。再スタートしようとしても後輪がスリップして進まない。何とか一列棒状になりながらも登りをこなしたんですが、下りで集団が分かれてしまい、前には追いつかなかった」と振り返る小橋は48秒遅れの集団内でフィニッシュしている。小橋の45位が日本チームの最高位で、面手が61位。パンクによって勝機を逃した小石が122位という結果に終わった。
レース序盤から意識的に集団前方に位置し、強豪国のライダーに混ざって登りをこなしていた小橋。「集団の後ろで石畳の坂を走るメリットがないと試走で感じていたので、積極的に集団の前に位置取りしていました。エースの小石さんを前に引き上げるために動くことも考えたんですが、後ろから追いついてきた時に助けることが出来るという思いから前をキープ。スプリントに残ろうと思っていたんですが、力が届かず前に残れなかった。力不足でした」。
今回の日本チームの走りについて小橋は「強豪国は自分たちの思い通りにレースを展開している。自分たちはその展開に乗るしかない」と、組織的にレースを進めたイタリアやフランス、イギリスと比較する。
浅田顕監督は「きつい展開になった残り2周の時点で3人を残していたものの、目標としていた10位からは程遠い結果。今日のレースを良い参考として週末のレースに生かしたいですね。プロのレースはもっと長い時間をかけてキツイ展開に持ち込むとは思いますが、少人数のチームでも展開に残れると感じた」とコメントする。
週末にかけて天候は崩れる一方で、エリート女子とジュニア男子レースが行われる土曜日は一日中雨、エリート男子レースが行われる日曜日は雷雨の予報が出ている。
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UCIロード世界選手権2015ロードレース U23男子結果
1位 ケヴィン・ルダノワ(フランス) 3h54’45”
2位 シモーネ・コンソンニ(イタリア)
3位 アントニー・トゥルジ(フランス) +02”
4位 ジャンニ・モスコン(イタリア)
5位 アレクサンダー・カンプ(デンマーク) +05”
6位 ファビアン・リーンハルト(ドイツ)
7位 ミカル・シュレーゲル(チェコ)
8位 ルーカス・ガダイ(アルゼンチン)
9位 アダム・デヴォス(カナダ) +10”
10位 レナード・カムナ(ドイツ) +12”
45位 小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX) +48”
61位 面手利輝(EQADS) +1’12”
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DNF 徳田優(鹿屋体育大学)
DNF 岡篤志(EQADS)
text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America
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