2015/09/24(木) - 07:27
表彰式で掲揚されたのはベラルーシ、イタリア、フランスの国旗。優勝候補に挙げられていたマルティンやドゥムランがタイムを伸ばせず苦しむ中、チームスカイ所属のヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)がアルカンシェルを射止めた。
「今日のコースは自分向きだったのでチャンスがあると思っていた。確かにカンチェラーラとウィギンズはいないけど、その他のTTスペシャリストが全員揃った今回の大会。ハイレベルな戦いで優勝したことを誇りに思う」。アルカンシェルに袖を通し、表彰台の真ん中でベラルーシ国歌に聞き入ったキリエンカはスペイン語でレースを振り返った。
リッチモンドからワシントンDC方面に車で半時間ほど北上した遊園地キングスドミニオンをスタートしたエリート男子タイムトライアル。高低差50m以内のゆるいアップダウンをこなしながらリッチモンドのダウンタウンに向かう。
大半は道幅のある幹線道路。残り1kmからガヴァナー通りの登り(平均勾配7%)をこなし、イーストブロード通りにフィニッシュするレイアウトはロードレースを含めて全カテゴリー共通だ。
53.5kmというコースは1994年のタイムトライアル導入以来2番目の長さ(最長は2013年の57.9km)。北東からの風が背中を押すシーンが多いため、どの選手もビッグギアを用意してレースに挑んだ。
前半スタートで好走したマルチン・ビアロブロキー(ポーランド)やモレーノ・モゼール(イタリア)のタイムを更新したのはジェローム・コッペル(フランス)。1997年以来タイムトライアルでメダルを獲得出来ていないフランスに希望をもたらす走りだったが、ベラルーシジャージのキリエンカがコッペルの中間計測タイムを次々と塗り替えていった。
第1計測(16km地点)で18分45秒という圧倒的なタイムをマークしたキリエンカは、後半にかけてコッペルにリードを奪われながらも暫定首位をキープする。一方で後ろを走るトム・ドゥムラン(オランダ)とトニ・マルティン(ドイツ)は前半からキリエンカに遅れをとった。
ドゥムランとマルティンだけでなく、地元アメリカの期待を背負ったテイラー・フィニー(アメリカ)は大怪我から復帰後初のタイムトライアルでタイムを伸ばせず。ローハン・デニス(オーストラリア)は好ペースを刻んだものの、メカトラに伴うバイク交換で失速。キリエンカに唯一対抗したのはアドリアーノ・マローリ(イタリア)だった。
第1計測(16km地点)をキリエンカから27秒遅れで通過したマローリは、スロースタートから挽回して第2計測(26.5km)でタイム差を24秒に縮め、さらに第3計測(42.6km)で11秒に。最後までプッシュし続けたマローリが暫定トップタイムでフィニッシュ。しかしキリエンカがそのタイムを9秒更新して見せた。
最終的にドゥムランが1分01秒遅れ、4度目の優勝を狙ったマルティンが1分16秒遅れに終わり、キリエンカの優勝が決定。2位にマローリ、3位にコッペルが入り、ドイツやスイス、イギリスが独占していた表彰台にベラルーシ、イタリア、フランスの国旗が揚げられた。
「この勝利をチームスカイに捧げたい」とキリエンカは語る。キリエンカはブエルタ・ア・エスパーニャにアシストとして出場しながらも、世界選手権タイムトライアルを見据えたコンディショニングが許された。チームスカイとしてはブラドリー・ウィギンズ(イギリス)に続く2年連続タイムトライアル制覇となる。
「この勝利をずっと待ち続けていた。このために一体何時間バイクの上で過ごしてきたのだろう。中間計測のタイムを聞きながら走ったけど、あくまでもタイムトライアルは自分との戦い。今日は自分の日だった」。エリートカテゴリーでベラルーシに史上初の金メダルをもたらしたキリエンカは時に笑みを交えながらそう語った。
エリート男子を最後にタイムトライアル種目はすべて終了。木曜日は公式コーストレーニング日にあてられ、金曜日からロードレースが始まる。
UCIロード世界選手権2015タイムトライアル エリート男子結果
1位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ) 1h02’29”(Ave.51.368km/h)
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア) +09”
3位 ジェローム・コッペル(フランス) +26”
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン) +29”
5位 トム・ドゥムラン(オランダ) +1’01”
6位 ローハン・デニス(オーストラリア) +1’07”
7位 トニ・マルティン(ドイツ) +1’16”
8位 マチェイ・ボドナール(ポーランド) +1’17”
9位 マルチン・ビアロブロキー(ポーランド) +1’22”
10位 モレーノ・モゼール(イタリア) +1’31”
11位 ヤン・バルタ(チェコ) +1’34”
12位 テイラー・フィニー(アメリカ) +1’36”
13位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) +1’52”
14位 スティーブ・クミングス(イギリス) +1’58”
15位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア) +1’59”
16位 マティアス・ブランドル(オーストリア) +1’59”
17位 アレックス・ダウセット(イギリス) +2’06”
18位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー) +2’15”
19位 ステファン・キュング(スイス) +2’17”
20位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア) +2’18”
text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America
「今日のコースは自分向きだったのでチャンスがあると思っていた。確かにカンチェラーラとウィギンズはいないけど、その他のTTスペシャリストが全員揃った今回の大会。ハイレベルな戦いで優勝したことを誇りに思う」。アルカンシェルに袖を通し、表彰台の真ん中でベラルーシ国歌に聞き入ったキリエンカはスペイン語でレースを振り返った。
リッチモンドからワシントンDC方面に車で半時間ほど北上した遊園地キングスドミニオンをスタートしたエリート男子タイムトライアル。高低差50m以内のゆるいアップダウンをこなしながらリッチモンドのダウンタウンに向かう。
大半は道幅のある幹線道路。残り1kmからガヴァナー通りの登り(平均勾配7%)をこなし、イーストブロード通りにフィニッシュするレイアウトはロードレースを含めて全カテゴリー共通だ。
53.5kmというコースは1994年のタイムトライアル導入以来2番目の長さ(最長は2013年の57.9km)。北東からの風が背中を押すシーンが多いため、どの選手もビッグギアを用意してレースに挑んだ。
前半スタートで好走したマルチン・ビアロブロキー(ポーランド)やモレーノ・モゼール(イタリア)のタイムを更新したのはジェローム・コッペル(フランス)。1997年以来タイムトライアルでメダルを獲得出来ていないフランスに希望をもたらす走りだったが、ベラルーシジャージのキリエンカがコッペルの中間計測タイムを次々と塗り替えていった。
第1計測(16km地点)で18分45秒という圧倒的なタイムをマークしたキリエンカは、後半にかけてコッペルにリードを奪われながらも暫定首位をキープする。一方で後ろを走るトム・ドゥムラン(オランダ)とトニ・マルティン(ドイツ)は前半からキリエンカに遅れをとった。
ドゥムランとマルティンだけでなく、地元アメリカの期待を背負ったテイラー・フィニー(アメリカ)は大怪我から復帰後初のタイムトライアルでタイムを伸ばせず。ローハン・デニス(オーストラリア)は好ペースを刻んだものの、メカトラに伴うバイク交換で失速。キリエンカに唯一対抗したのはアドリアーノ・マローリ(イタリア)だった。
第1計測(16km地点)をキリエンカから27秒遅れで通過したマローリは、スロースタートから挽回して第2計測(26.5km)でタイム差を24秒に縮め、さらに第3計測(42.6km)で11秒に。最後までプッシュし続けたマローリが暫定トップタイムでフィニッシュ。しかしキリエンカがそのタイムを9秒更新して見せた。
最終的にドゥムランが1分01秒遅れ、4度目の優勝を狙ったマルティンが1分16秒遅れに終わり、キリエンカの優勝が決定。2位にマローリ、3位にコッペルが入り、ドイツやスイス、イギリスが独占していた表彰台にベラルーシ、イタリア、フランスの国旗が揚げられた。
「この勝利をチームスカイに捧げたい」とキリエンカは語る。キリエンカはブエルタ・ア・エスパーニャにアシストとして出場しながらも、世界選手権タイムトライアルを見据えたコンディショニングが許された。チームスカイとしてはブラドリー・ウィギンズ(イギリス)に続く2年連続タイムトライアル制覇となる。
「この勝利をずっと待ち続けていた。このために一体何時間バイクの上で過ごしてきたのだろう。中間計測のタイムを聞きながら走ったけど、あくまでもタイムトライアルは自分との戦い。今日は自分の日だった」。エリートカテゴリーでベラルーシに史上初の金メダルをもたらしたキリエンカは時に笑みを交えながらそう語った。
エリート男子を最後にタイムトライアル種目はすべて終了。木曜日は公式コーストレーニング日にあてられ、金曜日からロードレースが始まる。
第1計測(16km)
1位 キリエンカ 18’45”
2位 マルティン +11”
3位 バルタ +15”
4位 ドゥムラン +15”
5位 カストロビエホ +20”
6位 コッペル +20”
7位 デニス +22”
8位 マローリ +27”
9位 ボドナール +34”
10位 ヘップバーン +36”
1位 キリエンカ 18’45”
2位 マルティン +11”
3位 バルタ +15”
4位 ドゥムラン +15”
5位 カストロビエホ +20”
6位 コッペル +20”
7位 デニス +22”
8位 マローリ +27”
9位 ボドナール +34”
10位 ヘップバーン +36”
第2計測(26.5km)
1位 キリエンカ 31’18”
2位 マローリ +24”
3位 コッペル +25”
4位 デニス +27”
5位 カストロビエホ +30”
6位 マルティン +39”
7位 バルタ +44”
8位 ドゥムラン +44”
9位 ボドナール +57”
10位 ベップバーン +1’09”
1位 キリエンカ 31’18”
2位 マローリ +24”
3位 コッペル +25”
4位 デニス +27”
5位 カストロビエホ +30”
6位 マルティン +39”
7位 バルタ +44”
8位 ドゥムラン +44”
9位 ボドナール +57”
10位 ベップバーン +1’09”
第3計測(42.6km)
1位 キリエンカ 49’30”
2位 マローリ +11”
3位 コッペル +17”
4位 カストロビエホ +31”
5位 デニス +56”
6位 ドゥムラン +57”
7位 マルティン +1’01”
8位 ボドナール +1’08”
9位 バルタ +1’10”
10位 フィニー +1’26”
1位 キリエンカ 49’30”
2位 マローリ +11”
3位 コッペル +17”
4位 カストロビエホ +31”
5位 デニス +56”
6位 ドゥムラン +57”
7位 マルティン +1’01”
8位 ボドナール +1’08”
9位 バルタ +1’10”
10位 フィニー +1’26”
UCIロード世界選手権2015タイムトライアル エリート男子結果
1位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ) 1h02’29”(Ave.51.368km/h)
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア) +09”
3位 ジェローム・コッペル(フランス) +26”
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン) +29”
5位 トム・ドゥムラン(オランダ) +1’01”
6位 ローハン・デニス(オーストラリア) +1’07”
7位 トニ・マルティン(ドイツ) +1’16”
8位 マチェイ・ボドナール(ポーランド) +1’17”
9位 マルチン・ビアロブロキー(ポーランド) +1’22”
10位 モレーノ・モゼール(イタリア) +1’31”
11位 ヤン・バルタ(チェコ) +1’34”
12位 テイラー・フィニー(アメリカ) +1’36”
13位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) +1’52”
14位 スティーブ・クミングス(イギリス) +1’58”
15位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア) +1’59”
16位 マティアス・ブランドル(オーストリア) +1’59”
17位 アレックス・ダウセット(イギリス) +2’06”
18位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー) +2’15”
19位 ステファン・キュング(スイス) +2’17”
20位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア) +2’18”
text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America
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