2015/08/22(土) - 19:52
「何も言うことはありません!最高の気分です!」と、笑顔が弾けた。DOWNHILL SERIES2年目にして初のPROクラス連勝を飾ったのは、本戦日に27歳の誕生日を迎えた浦上太郎選手(Transition Airlines/CLEAT)だった。
昨年、大雨警報が出るほどの、悪天候の中での開催となった福井和泉会場。今年は、開幕からの連続快晴記録を伸ばすこととなった。
今回のコースは、全長1.35㎞。福井和泉スキー場の象徴、クワッドリフトの山頂駅横にスタートは設けられる。スタート直後は、オープンなゲレンデセクションを右に左にとコーナーが連続する高速セクション。第1シングルの入り口には、今年リニューアルされたロックセクションがあり、3つのラインからの自由選択。大岩を超える真ん中のラインは着地までが2mを越える大きなドロップとなっており、ライダーたちは果敢にチャレンジした。
第1シングルを越えると斜度は増し、一本橋から3連テーブルトップへ。3連テーブル直後に設けられたバイパスルートは今回のレースのために用意された特設ルート。その後、ゲレンデベースから見渡せる、11mと5mのキャニオンジャンプとバームで構成されたリズムセクションへ。レッドブルアーチを越えれば、フィニッシュとなる。
福井和泉会場での搬送は、4駆トラックにトレーラーを牽くスタイル。片道約20分をかけて一度に40台+40人を搬送する。そのため、クラスによって搬送スケジュールが決められ、ライダーは全員平等に4度スタート地点に運ばれる。トラックの荷台やバイクが積まれたトレーラーの隙間に乗り込み、スタートへ向かう。
土曜日のタイムドセッションには57名が参加。コースはドライでパフパフ。そんな初日、唯一、2分を切る好タイムを出したのは、ワールドカップの北米2連戦から帰ってきたばかりのPROクラスライダー井本はじめ選手(SRAM/LITEC)。2位には加藤将来選手(AKI FACTORY/ACCEL)、3位には井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)が入った。今年から公開している総合順位では、PROクラスの加藤選手を押さえ、エリート男子クラスの下垣大樹選手(Lapierre)が2位に食い込んだ。
本戦当日。午前中の試走は2回。土曜日のタイムドセッションの上位35名と日曜日のみ参加のライダーが3回の試走に行き、降りてくると本戦が始まる。今回は、過去にワールドカップ最年少エントリーをし、あの!ショーン・パーマーに勝ったこともあるという福井和泉のローカルライダーでグラフィックアーティストの笠川雄一郎氏が前走者を務めた。結果としてはビッグジャンプ後にクラッシュとなったが、古くからの会場のファンを沸かせた。
まずスタートするのは、激戦のエリート男子クラス。タイムドセッションのリバーススタートで始まると、次々に最速タイムが塗り替えられていく。東京から参戦の幸田玲音選手(ASTポンコツレーシング)は土曜日より4秒縮めて2分3秒593、#1で優勝した藤村飛丸選手(BlankyDog/MUDDYCHOCOLATE)は2分3秒095、タイムドセッション3位の宇津孝太郎選手(カメクリコロッケ小川輪業)は2分2秒809。フィニッシュしてMCアリーの読み上げるタイムを聞くと、首をかしげるような仕草で帰って行く。
残り2人。タイムドセッション2位で、#2 SRAMPARKでも本戦で2位に入ったハードテールの使い手・増田直樹選手(DTP)が2秒縮めての2分1秒台を出す。「あの人はヤバい」と、増田選手の走りを見た人は口々に言う。今回も若者を十分に焦らせるタイムを出す。
そして最終走者は、下垣選手。フィニッシュエリアからも見える11mビックジャンプを飛ぶ。そしてフィニッシュ。「タイムは2分00秒……923!」とMCアリーが読み上げると、搬送を待つPROライダーたちからも歓声が上がった。
開幕戦以降、エリートクラスで2位、4位、4位と勝てそうで勝てない悔しい思いをしてきた下垣選手。決して派手ではないが、粛々と練習を積む姿に応援しているファンは多い。今回も金曜日に会場入りし、念入りに試走を繰り返した。「この勝利は通過点に過ぎないので、勝つイメージを持ったまま次戦までトレーニングします」と下垣選手らしい謙虚な言葉ながら手に入れた、念願の初勝利になった。
そして、PROクラス。今年導入された「下克上システム」(エリート男子勝者がPROクラスの前走者としてPROクラスに挑める)にのっとり、下垣選手が前走者としてスタート。しかし、ここはやはりPROクラスライダー。前戦の優勝者でタイムドセッション4位の浦上太郎選手が止まりきれずにフィニッシュの溜まりを囲うコーステープをぶち破る勢いでフィニッシュをすると、1分56秒248という驚異的タイムを叩き出す。
残るは3人。井手川選手は2分00秒302、加藤選手は1分58秒299、そして「あまりに暑くて、後半たれちゃって、ミスが出てしまいました」とレース後に話した最終走者の井本選手のタイムが1分56秒362と読み上げられた瞬間、浦上選手がDOWNHILL SERIESの2年目にして初の連勝ライダーとなった。
浦上選手はレース後、「今日のコースは、あまりに楽しくて攻める気が起きないくらいだったんですけど(笑)。本番では攻めたら良い感じで走れました。」と話した。土曜日のタイムドセッション後にはPROライダーによるファン交流企画を担当。1時間半をかけてコースウォークを行い、参加者たちに浦上流「気持ちの良い」ラインを伝授した。そして、優勝。「なんか完璧っすよね。できすぎてますね。誕生日だし、最高ですね。」といつも笑顔の浦上選手の笑顔が、いつにも増して弾けた。
エリート女子クラスでは、ここ2戦をブース出展ではなくライダーとして参戦してくれている大阪府箕面のパン屋さん、富田敬子選手(Acciarpone)が優勝を飾った。
ファーストタイマー男子では有時淳一選手(Low Flow)が、スポーツ女子クラスではレース初出場の川合慶選手(カンモー・ジジ)が、スポーツ男子クラスでは藤田二雄選手が、エキスパート男子クラスでは大浜真志選手(メタボリックレーシング)が優勝となった。
次戦は9/19-20に島根県は瑞穂ハイランドにて第5戦が行われる。
report:DOWNHILL SERIES
photo:DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
昨年、大雨警報が出るほどの、悪天候の中での開催となった福井和泉会場。今年は、開幕からの連続快晴記録を伸ばすこととなった。
今回のコースは、全長1.35㎞。福井和泉スキー場の象徴、クワッドリフトの山頂駅横にスタートは設けられる。スタート直後は、オープンなゲレンデセクションを右に左にとコーナーが連続する高速セクション。第1シングルの入り口には、今年リニューアルされたロックセクションがあり、3つのラインからの自由選択。大岩を超える真ん中のラインは着地までが2mを越える大きなドロップとなっており、ライダーたちは果敢にチャレンジした。
第1シングルを越えると斜度は増し、一本橋から3連テーブルトップへ。3連テーブル直後に設けられたバイパスルートは今回のレースのために用意された特設ルート。その後、ゲレンデベースから見渡せる、11mと5mのキャニオンジャンプとバームで構成されたリズムセクションへ。レッドブルアーチを越えれば、フィニッシュとなる。
福井和泉会場での搬送は、4駆トラックにトレーラーを牽くスタイル。片道約20分をかけて一度に40台+40人を搬送する。そのため、クラスによって搬送スケジュールが決められ、ライダーは全員平等に4度スタート地点に運ばれる。トラックの荷台やバイクが積まれたトレーラーの隙間に乗り込み、スタートへ向かう。
土曜日のタイムドセッションには57名が参加。コースはドライでパフパフ。そんな初日、唯一、2分を切る好タイムを出したのは、ワールドカップの北米2連戦から帰ってきたばかりのPROクラスライダー井本はじめ選手(SRAM/LITEC)。2位には加藤将来選手(AKI FACTORY/ACCEL)、3位には井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)が入った。今年から公開している総合順位では、PROクラスの加藤選手を押さえ、エリート男子クラスの下垣大樹選手(Lapierre)が2位に食い込んだ。
本戦当日。午前中の試走は2回。土曜日のタイムドセッションの上位35名と日曜日のみ参加のライダーが3回の試走に行き、降りてくると本戦が始まる。今回は、過去にワールドカップ最年少エントリーをし、あの!ショーン・パーマーに勝ったこともあるという福井和泉のローカルライダーでグラフィックアーティストの笠川雄一郎氏が前走者を務めた。結果としてはビッグジャンプ後にクラッシュとなったが、古くからの会場のファンを沸かせた。
まずスタートするのは、激戦のエリート男子クラス。タイムドセッションのリバーススタートで始まると、次々に最速タイムが塗り替えられていく。東京から参戦の幸田玲音選手(ASTポンコツレーシング)は土曜日より4秒縮めて2分3秒593、#1で優勝した藤村飛丸選手(BlankyDog/MUDDYCHOCOLATE)は2分3秒095、タイムドセッション3位の宇津孝太郎選手(カメクリコロッケ小川輪業)は2分2秒809。フィニッシュしてMCアリーの読み上げるタイムを聞くと、首をかしげるような仕草で帰って行く。
残り2人。タイムドセッション2位で、#2 SRAMPARKでも本戦で2位に入ったハードテールの使い手・増田直樹選手(DTP)が2秒縮めての2分1秒台を出す。「あの人はヤバい」と、増田選手の走りを見た人は口々に言う。今回も若者を十分に焦らせるタイムを出す。
そして最終走者は、下垣選手。フィニッシュエリアからも見える11mビックジャンプを飛ぶ。そしてフィニッシュ。「タイムは2分00秒……923!」とMCアリーが読み上げると、搬送を待つPROライダーたちからも歓声が上がった。
開幕戦以降、エリートクラスで2位、4位、4位と勝てそうで勝てない悔しい思いをしてきた下垣選手。決して派手ではないが、粛々と練習を積む姿に応援しているファンは多い。今回も金曜日に会場入りし、念入りに試走を繰り返した。「この勝利は通過点に過ぎないので、勝つイメージを持ったまま次戦までトレーニングします」と下垣選手らしい謙虚な言葉ながら手に入れた、念願の初勝利になった。
そして、PROクラス。今年導入された「下克上システム」(エリート男子勝者がPROクラスの前走者としてPROクラスに挑める)にのっとり、下垣選手が前走者としてスタート。しかし、ここはやはりPROクラスライダー。前戦の優勝者でタイムドセッション4位の浦上太郎選手が止まりきれずにフィニッシュの溜まりを囲うコーステープをぶち破る勢いでフィニッシュをすると、1分56秒248という驚異的タイムを叩き出す。
残るは3人。井手川選手は2分00秒302、加藤選手は1分58秒299、そして「あまりに暑くて、後半たれちゃって、ミスが出てしまいました」とレース後に話した最終走者の井本選手のタイムが1分56秒362と読み上げられた瞬間、浦上選手がDOWNHILL SERIESの2年目にして初の連勝ライダーとなった。
浦上選手はレース後、「今日のコースは、あまりに楽しくて攻める気が起きないくらいだったんですけど(笑)。本番では攻めたら良い感じで走れました。」と話した。土曜日のタイムドセッション後にはPROライダーによるファン交流企画を担当。1時間半をかけてコースウォークを行い、参加者たちに浦上流「気持ちの良い」ラインを伝授した。そして、優勝。「なんか完璧っすよね。できすぎてますね。誕生日だし、最高ですね。」といつも笑顔の浦上選手の笑顔が、いつにも増して弾けた。
エリート女子クラスでは、ここ2戦をブース出展ではなくライダーとして参戦してくれている大阪府箕面のパン屋さん、富田敬子選手(Acciarpone)が優勝を飾った。
ファーストタイマー男子では有時淳一選手(Low Flow)が、スポーツ女子クラスではレース初出場の川合慶選手(カンモー・ジジ)が、スポーツ男子クラスでは藤田二雄選手が、エキスパート男子クラスでは大浜真志選手(メタボリックレーシング)が優勝となった。
次戦は9/19-20に島根県は瑞穂ハイランドにて第5戦が行われる。
report:DOWNHILL SERIES
photo:DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
Amazon.co.jp
[モンベル] スポーツサンダル メンズ 1129335
mont-bell(モンベル)