2015/08/12(水) - 19:40
ツール・ド・フランスを走った全22チームのバイクを、2チームごとに10回にわけて紹介。第3弾は、ペーター・サガン(スロバキア)が4年連続となるマイヨヴェールを獲得したティンコフ・サクソと、ワイルドカードでの出場を果たしたボーラ・アルゴン18のチームバイクをピックアップします。
ティンコフ・サクソ
【スペシャライズド S-WORKS VENGE ViAS、VENGE、TARMAC、ROUBAIX、SHIV TT(TTバイク)】
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-WORKS TARMAC photo:Makoto.AYANO
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-WORKS TARMAC photo:Makoto.AYANO
サガンにのみ供給されたS-WORKS VENGE ViASをセッティングするメカニックたち photo:Makoto.AYANO
ペーター・サガン(スロバキア)が4年連続となるマイヨヴェールを獲得し、アスパン峠とトゥールマレー峠が登場した第11ステージをラファル・マイカ(ポーランド)が制したティンコフ・サクソ。バイクサプライヤーはスペシャライズドで、TTバイクを含め5台ものマシンを使い分けた。
選手別に見ていくと、サガンは平坦ステージで新型エアロモデル「S-WORKS VENGE ViAS」、アップダウンに富んだコースでは従来型の「S-WORKS VENGE」を主に使用。アルベルト・コンタドール(スペイン)やマイカはオールラウンドモデルの「S-WORKS TARMAC」をメインバイクとした。なお、パリ~ルーベの石畳が登場した第4ステージでは全ライダーがエンデュランスモデルの「S-WORKS ROUBAIX」を駆った。
サドルサプライヤーはプロロゴだ photo:Makoto.AYANO
ティンコフ・サクソにもFSAのプロトタイプコンポーネントが供給された photo:Makoto.AYANO
ホイールはロヴァール Rapide CLX。コースに応じて40mmと60mmの2種類のハイトを使い分ける photo:Makoto.AYANO
ヴィジョンがテストするプロトタイプのエアロステム photo:Makoto.AYANO
コンタドールのみアルミリンク式のアウターワイヤー「i-Link」を使用 photo:Makoto.AYANO
TT用のエアロチェーンリングを装着したバイクも photo:Makoto.AYANO
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。FSAのサポートを受け、クランクにはSRMの「K-FORCE LIGHT」モデルを組み合わせている。また、大きな歯数のヴィジョン製TT用チェーンリングを選択するライダーも。一方で、コンタドールのみメインコンポーネントに機械式のDURA-ACEを選択し、シフトとブレーキ共にアルミリンク式のアウターワイヤー「i-Link」を組み込んだ。
そして、2回目の休息日開けからは、他のFSAサポートチーム同様に「セミワイヤレス方式」とされるプロトタイプの電動コンポーネントが投入された。なお実際にレースで使用したかは不明。ホイールはスペシャライズドがプロデュースするロヴァールRapide CLXで、平坦ステージでは60mmハイト、山岳ステージでは40mmハイトをメインとした。タイヤにはスペシャライズドのTURBOシリーズを組み合わせている。
ペーター・サガン(スロバキア)のスペシャライズド S-WORKS VENGE photo:Makoto.AYANO
サガンはスポンサー外のジップSL SPRINTステムを、ロゴを隠して使用する photo:Makoto.AYANO
個人的にサポートを受けるオーガニック食品メーカーのキャラクターが、トップチューブには貼られている photo:Makoto.AYANO
ハンドル、ステム、シートポストはFSAで、ハイエンド「K-FORCE LIGHT」シリーズをメインに、ヴィジョンのプロトタイプステムやアルミ製ハンドルバーなど、選手の好みに応じてセッティングを細かく変更している。
ただし、サガンのみ剛性を重視したジップのフルカーボンステム「SL SPRINT」を、ロゴを隠して使用。加えて、バーテープはプロロゴがサプライヤーながら、サガンのみ個人サポートを受けるスパカズとしている。その他、サドルはプロロゴ、ボトルケージはタックス Deva、ペダルはルックKeO Bladeだ。
ティンコフ・サクソのスペシャライズド S-WORKS SHIV TT photo:Makoto.AYANO
TTバイクはローングセラーモデルの「S-WORKS SHIV TT」。ロードと異なり、ホイールはフロントがヴィジョンの「METRON」シリーズ、リアがライトウェイト製のディスクという組み合わせ。ディンプルが特徴的なエアロボトルと専用のケージはエリート KIT CHRONOで、サプライヤーであるタックスのロゴを貼って使用する。
ボーラ・アルゴン18【アルゴン18 Nitrogen Pro、Gallium Pro、E-118 Next(TTバイク)】
ボーラ・アルゴン18のアルゴン18 Nitrogen Pro photo:Makoto.AYANO
前後共にVタイプのエアロブレーキとしている photo:Makoto.AYANO
Nitrogen Proのために開発されたステム一体型のエアロハンドル photo:Makoto.AYANO
ワイルドカードで出場を果たしたドイツのプロコンチネンタルチーム、ボーラ・アルゴン18。バイクはタイトルスポンサーの1つでもある気鋭のカナディアンブランド「アルゴン18」だ。なお、アルゴン18は今回が初めてのツール・ド・フランスとなる。
今大会にあわせて、新型のエアロロード「Nitrogen Pro」がデビュー。下位グレードの「Nitrogen」とほぼ共通のフォルムながら、カーボン素材の変更などにより軽量化を図り、新開発のステム一体型ハンドルと併せてエアロダイナミクスを追求。オールラウンドモデル「Gallium Pro」との2台体制で、今ツールを戦った。
ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)のアルゴン18 Gallium Pro photo:Makoto.AYANO
タイヤはアメサイドのヴィットリア CORSA SC。幅は25mmだ photo:Makoto.AYANO
サドルサプライヤーはプロロゴ。表面に滑り止め素材を配したCPCモデルを装着したバイクが多かった photo:Makoto.AYANO
独特なグラフィックが目をひくFSAのバーテープ photo:Makoto.AYANO
FSAのブレーキキャリパーを使用する photo:Makoto.AYANO
クランクはFSA K-FORCE LIGHT photo:Makoto.AYANO
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。FSAのサポートを受け、クランクにはK-FORCE LIGHTや、パワーメーターPower2maxのK-FORCE LIGHTモデルを組み合わせている。ホイ―ルはヴィジョンの「METRON」シリーズで、コースプロフィールに応じて40mmと55mmの2種類のハイトを使い分けた。タイヤはヴィットリアで、アメサイドのレーシングモデル「CORSA SC」を選択。幅は25mmである。
ハンドル、ステム、シートポストはNitrogen Proがアルゴン18のオリジナル、Gallium ProがFSAとしている。サドルはプロロゴで、表面にすべり止め素材を配したCPCモデルが多く選択されている様子。その他、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージはタックスだ。
ボーラ・アルゴン18のアルゴン18 E-118 Next photo:Makoto.AYANO
TTバイクはエアロダイナミクスのあらゆるトレンドを詰め込んだ「E-118 Next」。ヘッドチューブ前方に回り込むフロントフォークの設計や、Vタイプのエアロブレーキ、専用ハンドル、コンパクトなリア三角などにより徹底的に空力性能を追求した1台である。ただ、タイムトライアル専用というわけでは無く、トップチューブにストレージを装着するためのボルトが設けられているなど、トライアスロンにも対応する様だ。
コンパクトなリア三角など、TTバイクに関する多くのトレンドを詰め込んだ1台だ photo:Makoto.AYANO
アルゴン18のオリジナルハンドル photo:Makoto.AYANO
斬新なトレッドパターンを採用したヴィットリアのプロトタイプタイヤ photo:Makoto.AYANO
クランク式パワーメーターはPower2max。エアロカバーを装着したスピードプレイペダルがアッセンブルされていた photo:Makoto.AYANO
ホイールは前後ともヴィジョンで、フロントがバトンタイプの「METRON 3スポーク」、リアがディープリムにカウルを貼り付けた「METRON Disc」としている。組み合わせるタイヤはヴィットリアのプロトタイプで、センターがスリック、サイドがラインという、これまでに無い斬新なトレッドパターンが特徴的だ。そして、スピードプレイのペダルは、片面にディンプル仕様のエアロカバーをつけたプロトタイプとされていた。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
ティンコフ・サクソ
【スペシャライズド S-WORKS VENGE ViAS、VENGE、TARMAC、ROUBAIX、SHIV TT(TTバイク)】



ペーター・サガン(スロバキア)が4年連続となるマイヨヴェールを獲得し、アスパン峠とトゥールマレー峠が登場した第11ステージをラファル・マイカ(ポーランド)が制したティンコフ・サクソ。バイクサプライヤーはスペシャライズドで、TTバイクを含め5台ものマシンを使い分けた。
選手別に見ていくと、サガンは平坦ステージで新型エアロモデル「S-WORKS VENGE ViAS」、アップダウンに富んだコースでは従来型の「S-WORKS VENGE」を主に使用。アルベルト・コンタドール(スペイン)やマイカはオールラウンドモデルの「S-WORKS TARMAC」をメインバイクとした。なお、パリ~ルーベの石畳が登場した第4ステージでは全ライダーがエンデュランスモデルの「S-WORKS ROUBAIX」を駆った。






コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。FSAのサポートを受け、クランクにはSRMの「K-FORCE LIGHT」モデルを組み合わせている。また、大きな歯数のヴィジョン製TT用チェーンリングを選択するライダーも。一方で、コンタドールのみメインコンポーネントに機械式のDURA-ACEを選択し、シフトとブレーキ共にアルミリンク式のアウターワイヤー「i-Link」を組み込んだ。
そして、2回目の休息日開けからは、他のFSAサポートチーム同様に「セミワイヤレス方式」とされるプロトタイプの電動コンポーネントが投入された。なお実際にレースで使用したかは不明。ホイールはスペシャライズドがプロデュースするロヴァールRapide CLXで、平坦ステージでは60mmハイト、山岳ステージでは40mmハイトをメインとした。タイヤにはスペシャライズドのTURBOシリーズを組み合わせている。



ハンドル、ステム、シートポストはFSAで、ハイエンド「K-FORCE LIGHT」シリーズをメインに、ヴィジョンのプロトタイプステムやアルミ製ハンドルバーなど、選手の好みに応じてセッティングを細かく変更している。
ただし、サガンのみ剛性を重視したジップのフルカーボンステム「SL SPRINT」を、ロゴを隠して使用。加えて、バーテープはプロロゴがサプライヤーながら、サガンのみ個人サポートを受けるスパカズとしている。その他、サドルはプロロゴ、ボトルケージはタックス Deva、ペダルはルックKeO Bladeだ。

TTバイクはローングセラーモデルの「S-WORKS SHIV TT」。ロードと異なり、ホイールはフロントがヴィジョンの「METRON」シリーズ、リアがライトウェイト製のディスクという組み合わせ。ディンプルが特徴的なエアロボトルと専用のケージはエリート KIT CHRONOで、サプライヤーであるタックスのロゴを貼って使用する。
ボーラ・アルゴン18【アルゴン18 Nitrogen Pro、Gallium Pro、E-118 Next(TTバイク)】



ワイルドカードで出場を果たしたドイツのプロコンチネンタルチーム、ボーラ・アルゴン18。バイクはタイトルスポンサーの1つでもある気鋭のカナディアンブランド「アルゴン18」だ。なお、アルゴン18は今回が初めてのツール・ド・フランスとなる。
今大会にあわせて、新型のエアロロード「Nitrogen Pro」がデビュー。下位グレードの「Nitrogen」とほぼ共通のフォルムながら、カーボン素材の変更などにより軽量化を図り、新開発のステム一体型ハンドルと併せてエアロダイナミクスを追求。オールラウンドモデル「Gallium Pro」との2台体制で、今ツールを戦った。






コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。FSAのサポートを受け、クランクにはK-FORCE LIGHTや、パワーメーターPower2maxのK-FORCE LIGHTモデルを組み合わせている。ホイ―ルはヴィジョンの「METRON」シリーズで、コースプロフィールに応じて40mmと55mmの2種類のハイトを使い分けた。タイヤはヴィットリアで、アメサイドのレーシングモデル「CORSA SC」を選択。幅は25mmである。
ハンドル、ステム、シートポストはNitrogen Proがアルゴン18のオリジナル、Gallium ProがFSAとしている。サドルはプロロゴで、表面にすべり止め素材を配したCPCモデルが多く選択されている様子。その他、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージはタックスだ。

TTバイクはエアロダイナミクスのあらゆるトレンドを詰め込んだ「E-118 Next」。ヘッドチューブ前方に回り込むフロントフォークの設計や、Vタイプのエアロブレーキ、専用ハンドル、コンパクトなリア三角などにより徹底的に空力性能を追求した1台である。ただ、タイムトライアル専用というわけでは無く、トップチューブにストレージを装着するためのボルトが設けられているなど、トライアスロンにも対応する様だ。




ホイールは前後ともヴィジョンで、フロントがバトンタイプの「METRON 3スポーク」、リアがディープリムにカウルを貼り付けた「METRON Disc」としている。組み合わせるタイヤはヴィットリアのプロトタイプで、センターがスリック、サイドがラインという、これまでに無い斬新なトレッドパターンが特徴的だ。そして、スピードプレイのペダルは、片面にディンプル仕様のエアロカバーをつけたプロトタイプとされていた。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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