2015/08/02(日) - 13:54
8月1日にスペイン・バスク地方で開催された第35回クラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)。急勾配の2級山岳ボルダコ・トントーラでアタックしたアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)が独走勝利を飾った。
スペインの中でも熱狂的な自転車ファンを有することで知られるバスク地方。同国北東部に位置するバスク最大のワンデーレースとして知られているのがクラシカ・サンセバスティアンだ。「クラシカ(クラシック)」の名を冠しているが、今年で開催35回目であり、他のワンデークラシックと比べるとその歴史は浅い。
レースはビスケー湾に面した港湾都市サンセバスティアンを発着する起伏に富んだコースで行われる。サンセバスティアンは「ビスケー湾の真珠」と形容されるバスク地方随一のリゾート地であり、フランス国境にほど近い。
コース全長は219kmで、後半にかけて1級山岳ハイスキベル峠と2級山岳アルカレ峠のリピートが2回連続。そこからさらに2級山岳ボルダコ・トントーラを越え、7km先のフィニッシュラインを目指す。急勾配で、しかもフィニッシュラインに近いボルダコ・トントーラが勝負を決めた。
5時間半に及ぶレースの大半は、ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)を含む8名のグループが先行する展開。ディフェンディングチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)擁するモビスターがメイン集団を支配し、強力な逃げグループのリードを3分以内に抑え込み続けた。
レースが本格化したのは2回目の1級山岳ハイスキベル峠。フィニッシュまで56kmを残して逃げグループから飛び出したボアーロが独走に持ち込む一方、メイン集団からはアタックが続発する。ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)を含む15名のグループが形成され、独走していたボアーロをキャッチ。しかしこれら動きは全て残り29km地点でメイン集団に引き戻されてしまう。
続いてフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)がアタックして先行。カチューシャやモビスター、ティンコフ・サクソ率いるメイン集団が距離を開けない状態で走行しながら最後の2級山岳ボルダコ・トントーラに差し掛かった。
急勾配の登りでのバーギルのアタックは決まらない。続いてアタックしたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が後続を引き離し始めたものの、後方から迫ったラジオツールのモーターバイクに追突されて落車してしまう。バイク破損によって再スタートできなかったファンアフェルマートに代わって先頭に立ったイェーツがそのまま独走で激坂をクリアした。
バルベルデやホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)を含む追走グループを振り切って、イェーツが15秒差でサンセバスティアンの街に帰ってきた。しかし「自分が勝者だとは知らなかった。無線で何度も監督に聞いたものの、歓声が大きすぎて監督の声が聞こえなかったんだ。最後の登りでまだ逃げている選手がいたし、状況が混沌としていて自分が先頭なのかどうか分からなかった」というイェーツは勝利を確信できず。フィニッシュ地点のチームスタッフの様子を見てようやく勝利したことを知った。
初出場のツール・ド・フランスを6日前に総合50位で完走したばかりの22歳イェーツが、初のUCIワールドツアーレース勝利。2014年ツアー・オブ・ターキーで総合優勝し、ツアー・オブ・カリフォルニア総合5位、クリテリウム。ドゥ・ドーフィネ総合6位という成績を残しているイギリスの次世代オールラウンダーが「疑う余地のないキャリア最高の勝利」を掴んだ。
イェーツは前年大会の2級山岳ボルダコ・トントーラを先頭グループでクリアしながらも下りで落車。同じくバスクを舞台にした2015年ブエルタ・アル・パイスバスコでも落車した。「落車の記憶しかないバスクで勝利できてファンタスティック。タイトル防衛のために来年戻ってきたい」とイェーツはコメントしている。
選手コメントはオリカ・グリーンエッジ公式サイトより。
クラシカ・サンセバスティアン2015結果
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) 5h30’22”
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) +15”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
6位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)
8位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
9位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
スペインの中でも熱狂的な自転車ファンを有することで知られるバスク地方。同国北東部に位置するバスク最大のワンデーレースとして知られているのがクラシカ・サンセバスティアンだ。「クラシカ(クラシック)」の名を冠しているが、今年で開催35回目であり、他のワンデークラシックと比べるとその歴史は浅い。
レースはビスケー湾に面した港湾都市サンセバスティアンを発着する起伏に富んだコースで行われる。サンセバスティアンは「ビスケー湾の真珠」と形容されるバスク地方随一のリゾート地であり、フランス国境にほど近い。
コース全長は219kmで、後半にかけて1級山岳ハイスキベル峠と2級山岳アルカレ峠のリピートが2回連続。そこからさらに2級山岳ボルダコ・トントーラを越え、7km先のフィニッシュラインを目指す。急勾配で、しかもフィニッシュラインに近いボルダコ・トントーラが勝負を決めた。
5時間半に及ぶレースの大半は、ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)を含む8名のグループが先行する展開。ディフェンディングチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)擁するモビスターがメイン集団を支配し、強力な逃げグループのリードを3分以内に抑え込み続けた。
レースが本格化したのは2回目の1級山岳ハイスキベル峠。フィニッシュまで56kmを残して逃げグループから飛び出したボアーロが独走に持ち込む一方、メイン集団からはアタックが続発する。ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)を含む15名のグループが形成され、独走していたボアーロをキャッチ。しかしこれら動きは全て残り29km地点でメイン集団に引き戻されてしまう。
続いてフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)がアタックして先行。カチューシャやモビスター、ティンコフ・サクソ率いるメイン集団が距離を開けない状態で走行しながら最後の2級山岳ボルダコ・トントーラに差し掛かった。
急勾配の登りでのバーギルのアタックは決まらない。続いてアタックしたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が後続を引き離し始めたものの、後方から迫ったラジオツールのモーターバイクに追突されて落車してしまう。バイク破損によって再スタートできなかったファンアフェルマートに代わって先頭に立ったイェーツがそのまま独走で激坂をクリアした。
バルベルデやホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)を含む追走グループを振り切って、イェーツが15秒差でサンセバスティアンの街に帰ってきた。しかし「自分が勝者だとは知らなかった。無線で何度も監督に聞いたものの、歓声が大きすぎて監督の声が聞こえなかったんだ。最後の登りでまだ逃げている選手がいたし、状況が混沌としていて自分が先頭なのかどうか分からなかった」というイェーツは勝利を確信できず。フィニッシュ地点のチームスタッフの様子を見てようやく勝利したことを知った。
初出場のツール・ド・フランスを6日前に総合50位で完走したばかりの22歳イェーツが、初のUCIワールドツアーレース勝利。2014年ツアー・オブ・ターキーで総合優勝し、ツアー・オブ・カリフォルニア総合5位、クリテリウム。ドゥ・ドーフィネ総合6位という成績を残しているイギリスの次世代オールラウンダーが「疑う余地のないキャリア最高の勝利」を掴んだ。
イェーツは前年大会の2級山岳ボルダコ・トントーラを先頭グループでクリアしながらも下りで落車。同じくバスクを舞台にした2015年ブエルタ・アル・パイスバスコでも落車した。「落車の記憶しかないバスクで勝利できてファンタスティック。タイトル防衛のために来年戻ってきたい」とイェーツはコメントしている。
選手コメントはオリカ・グリーンエッジ公式サイトより。
クラシカ・サンセバスティアン2015結果
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) 5h30’22”
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) +15”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
6位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)
8位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
9位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele