2015/07/26(日) - 12:14
「僕はアタッカーになった」とは、超級山岳ラルプデュエズでのステージ優勝争いを制したピノの言葉。最後はタイム差を詰められながらも、3週間に渡って強さを見せつけたフルームは「再び総合優勝を達成できて信じられない気持ちだ」と語りました。その他、ポート、キンタナ、バルベルデ、サガンのコメントを紹介します。
ステージ優勝のティボー・ピノ(フランス、FDJ)
ラルプデュエズの雰囲気は最高だった。残り6kmのダッチコーナーでライダー・ヘシェダルを振りきって、大勢の観客がいる中でプッシュした。第3ステージでウィリアム・ボネがリタイアを喫してしまい、そして自身が病気にかかり、石畳では機材トラブルで大きく遅れた。その後は一旦士気が下がり、自分にとって厳しいツールになった。
スポーツにおいては運も実力のうちで、自転車競技にパンクは付き物だが、同時にそれらが自転車競技の美点を生み出している。運に見放され続けたもののFDJはモチベーション高く挑み続け、僕は最後まで戦い抜いたし、チームメイトも決して諦めることはなかった。
今日はアレクサンドル・ジェニエが序盤から逃げてくれたことが大きな助けになったよ。普段の僕はライバル達について行ってアタックを仕掛けるが、ピレネーでの失敗のあと、走り方を変えてアタッカーになった。おかげで「悔いを残さずにパリに向かう」という目標を達成できたんだ。この時を待った甲斐があったね。
これが今シーズン3勝目で、3つはいずれもステージレースの山頂ゴール(先の2勝はツール・ド・ロマンディとツール・ド・スイスでのもの)。昨年の総合3位と比較するとステージ優勝はやや価値は低いかもしれないが、今回のツールは自分の将来にとって有意義なものになったと感じている。
2年ぶり2度目の総合優勝と初の山岳賞に王手をかけたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
ラルプデュエズを登っている間、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡ったよ。チームメイトはいつも僕と共にあってくれたし、彼らの働きがあったからこそのマイヨジョーヌだ。
3週間を通して、我々はナイロ・キンタナの動きに注意しながらレースを展開してきた。家族と離れて何週間もトレーニングに打ち込んだ記憶が背中を押してくれた。110kmのステージだったけど300kmを全開で走ったような気分。ツールは年ごとに全く異なる展開になる。そして、再び総合優勝を達成できて信じられない気持ちだ。
3週間を通してフルームをアシストし続けたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
信じられないほどにハードな1日だったよ。フルームは体調が優れなかったけど、ピノの勝利を見ることができて素晴らしかった。フランスの自転車競技界にとっては素晴らしい1日だ。この3週間はとにかくハードで、合計で18日もマイヨジョーヌを守らなくてはならなかった。
そして、今日はモビスターがあらゆる動きを仕掛けてきた。でもフィニッシュまでの道のりは只々ファンタスティックだったね。フルームは仲の良い友人でもあり、彼のために全力で僕は戦った。戦いの終わりに彼のそばでフィニッシュできたことを誇りに思っている。
フルームを引き離してステージ2位でフィニッシュしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
作戦を持って今日のステージに臨んだ。クロワ・ド・フェール峠への登りでのアタックを考えたが、うまくいかず。プランBはラルプデュエズでのアタックで、僕達はフルームより前でフィニッシュできたものの、タイム差を十分に稼ぐことができなかった。
僕にはクリス・フルームが大きく遅れている様に見えたが、彼は総合首位を守るために、頂上まで懸命に戦い続けた。チームスカイのチーム力は非常に高い。この3週間はステージ優勝ではなく、総合優勝のみにフォーカスして戦ってきたし、この2日間は全力を尽くしたが、結局はうまく行かなかった。それでも今回のツールには満足している。なぜなら、総合優勝を果たすために挑戦し続けてこられたから。そして、数年のうちに僕がマイヨジョーヌを獲得できると信じている。
キンタナと共に個人総合表彰台を獲得したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ツールでの総合表彰台は僕がキャリアをかけて追いかけてきたものであり、今日遂に手中に収めることができたんだ。ここまで沢山努力をしてきた。今日ゴールした瞬間、家族、4人の子供、チームメイト、スタッフを始め、僕を支えてくれる全ての人の顔が頭に浮かんできた。今回の表彰台の味がワンダフルなのは、持てる力の全てを出し切ったから。ここまで差を付けられてきたフルームを置き去りにするために、今日は積極的にレースを展開し、全てをコースの上に置いてきた。
そして、全力でキンタナのことをアシストし、僕は必要とあれば所構わず彼を助けた。僕達は個人総合優勝を果たすためにツールに来たが、1分以上の差で、それを逃してしまった。フルームの強さには脱帽だ。チームはレースをよくコントロールし、そして彼自身も強力であった。それでも僕らはチーム総合、個人総合2位、個人総合3位で表彰台に登ることになる。チームとしてはこれ以上は望めない結果だ。
マイヨヴェールを実質的に確定させたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
今回のツールには満足しているし、再びマイヨヴェールを獲得できて嬉しい。3週間に渡って全力を尽くし、アグレッシブにレースを進め、数回逃げを作った。ただ、ここまでステージ優勝することができていない。だから、最後の言葉は言わないでおく。まだ、パリで勝つチャンスがあるし、また運試ししてみるよ。明日は雨が降るって聞いているから、なんとしても落車を避けなければならない。
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele, A.S.O.
ステージ優勝のティボー・ピノ(フランス、FDJ)
ラルプデュエズの雰囲気は最高だった。残り6kmのダッチコーナーでライダー・ヘシェダルを振りきって、大勢の観客がいる中でプッシュした。第3ステージでウィリアム・ボネがリタイアを喫してしまい、そして自身が病気にかかり、石畳では機材トラブルで大きく遅れた。その後は一旦士気が下がり、自分にとって厳しいツールになった。
スポーツにおいては運も実力のうちで、自転車競技にパンクは付き物だが、同時にそれらが自転車競技の美点を生み出している。運に見放され続けたもののFDJはモチベーション高く挑み続け、僕は最後まで戦い抜いたし、チームメイトも決して諦めることはなかった。
今日はアレクサンドル・ジェニエが序盤から逃げてくれたことが大きな助けになったよ。普段の僕はライバル達について行ってアタックを仕掛けるが、ピレネーでの失敗のあと、走り方を変えてアタッカーになった。おかげで「悔いを残さずにパリに向かう」という目標を達成できたんだ。この時を待った甲斐があったね。
これが今シーズン3勝目で、3つはいずれもステージレースの山頂ゴール(先の2勝はツール・ド・ロマンディとツール・ド・スイスでのもの)。昨年の総合3位と比較するとステージ優勝はやや価値は低いかもしれないが、今回のツールは自分の将来にとって有意義なものになったと感じている。
2年ぶり2度目の総合優勝と初の山岳賞に王手をかけたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
ラルプデュエズを登っている間、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡ったよ。チームメイトはいつも僕と共にあってくれたし、彼らの働きがあったからこそのマイヨジョーヌだ。
3週間を通して、我々はナイロ・キンタナの動きに注意しながらレースを展開してきた。家族と離れて何週間もトレーニングに打ち込んだ記憶が背中を押してくれた。110kmのステージだったけど300kmを全開で走ったような気分。ツールは年ごとに全く異なる展開になる。そして、再び総合優勝を達成できて信じられない気持ちだ。
3週間を通してフルームをアシストし続けたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
信じられないほどにハードな1日だったよ。フルームは体調が優れなかったけど、ピノの勝利を見ることができて素晴らしかった。フランスの自転車競技界にとっては素晴らしい1日だ。この3週間はとにかくハードで、合計で18日もマイヨジョーヌを守らなくてはならなかった。
そして、今日はモビスターがあらゆる動きを仕掛けてきた。でもフィニッシュまでの道のりは只々ファンタスティックだったね。フルームは仲の良い友人でもあり、彼のために全力で僕は戦った。戦いの終わりに彼のそばでフィニッシュできたことを誇りに思っている。
フルームを引き離してステージ2位でフィニッシュしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
作戦を持って今日のステージに臨んだ。クロワ・ド・フェール峠への登りでのアタックを考えたが、うまくいかず。プランBはラルプデュエズでのアタックで、僕達はフルームより前でフィニッシュできたものの、タイム差を十分に稼ぐことができなかった。
僕にはクリス・フルームが大きく遅れている様に見えたが、彼は総合首位を守るために、頂上まで懸命に戦い続けた。チームスカイのチーム力は非常に高い。この3週間はステージ優勝ではなく、総合優勝のみにフォーカスして戦ってきたし、この2日間は全力を尽くしたが、結局はうまく行かなかった。それでも今回のツールには満足している。なぜなら、総合優勝を果たすために挑戦し続けてこられたから。そして、数年のうちに僕がマイヨジョーヌを獲得できると信じている。
キンタナと共に個人総合表彰台を獲得したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ツールでの総合表彰台は僕がキャリアをかけて追いかけてきたものであり、今日遂に手中に収めることができたんだ。ここまで沢山努力をしてきた。今日ゴールした瞬間、家族、4人の子供、チームメイト、スタッフを始め、僕を支えてくれる全ての人の顔が頭に浮かんできた。今回の表彰台の味がワンダフルなのは、持てる力の全てを出し切ったから。ここまで差を付けられてきたフルームを置き去りにするために、今日は積極的にレースを展開し、全てをコースの上に置いてきた。
そして、全力でキンタナのことをアシストし、僕は必要とあれば所構わず彼を助けた。僕達は個人総合優勝を果たすためにツールに来たが、1分以上の差で、それを逃してしまった。フルームの強さには脱帽だ。チームはレースをよくコントロールし、そして彼自身も強力であった。それでも僕らはチーム総合、個人総合2位、個人総合3位で表彰台に登ることになる。チームとしてはこれ以上は望めない結果だ。
マイヨヴェールを実質的に確定させたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
今回のツールには満足しているし、再びマイヨヴェールを獲得できて嬉しい。3週間に渡って全力を尽くし、アグレッシブにレースを進め、数回逃げを作った。ただ、ここまでステージ優勝することができていない。だから、最後の言葉は言わないでおく。まだ、パリで勝つチャンスがあるし、また運試ししてみるよ。明日は雨が降るって聞いているから、なんとしても落車を避けなければならない。
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele, A.S.O.
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