2015/07/21(火) - 09:37
窪木一茂の出身校からスタートしオスカル・プジョルが逃げ切り、チーム右京の独壇場となった石川ロード。女子は合田祐美子(BH ASTIFO)、ユースは渡邉祐希(学法石川高)が優勝。
母校の学校法人石川高等学校に錦を飾った窪木一茂(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
自転車王国 福島県の子どもたち。将来はプロ選手? photo:Hideaki TAKAGI
石川町内は七夕の装飾が photo:Hideaki TAKAGI14回目の石川ロード
名コースと謳われる福島・石川ロードのコース。美しい田園地帯を背景に、適度なアップダウンやカーブがあり展開によってはどのタイプの選手にも勝機のあるもの。今年で14回目を迎えるが、それ以前は近傍の棚倉町にてレースが行なわれていた。だが国道開通によりコース設定が困難となり、石川町に移された経緯がある。
また福島県は多くの自転車選手を輩出し自転車競技王国としても名高い。スタート地点は全日本ロードチャンピオン窪木一茂(チーム右京)の出身校である学校法人石川高等学校だ。チャンピオンジャージがお披露目となった窪木は、まさしく故郷に錦を飾っての凱旋出場。大会は石川町合併60周年記念事業として行なわれた。
コースは福島県石川町と浅川町にまたがる緩いアップダウンのある丘陵地帯で1周13.6km。P1クラスタはパレード区間含む7km+1周13.6km×8周=115.8kmでレースが行なわれた。灼熱地獄となる同大会だが、当日は最高気温が30度ほどと蒸し暑かったが酷暑とまでにはならなかった。レースレイティングは2番目に高いAAで行なわれた。
1周目から18人の逃げ
1周目で決まった18人の逃げ photo:Hideaki TAKAGI
メイン集団はペースが落ちる photo:Hideaki TAKAGI
6周目、メイン集団から抜け出した普久原奨(群馬グリフィン・レーシングチーム) photo:Hideaki TAKAGIレースは1周目から動いた。パレードを終え周回コースに入り正式スタートが切られてすぐに山本隼(チーム右京)を先頭に数人の逃げが形成。これにさらに選手が加わりコントロールラインを通過して1周目に入った時点ですでに18人の逃げができた。この逃げはじつに最終周回まで続くことに。
逃げには各チームそしてエース格も含み、メイン集団との差は1分半程度をキープする。メンバーはチーム右京がプジョル、パブロ・ウルタスン、山本。マトリクスパワータグがアイラン・フェルナンデス、向川尚樹、安原大貴、キナンサイクリングチームがジャイ・クロフォード、野中竜馬、中西重智で以上3人ずつ。宇都宮ブリッツェンは大久保陣と堀孝明、那須ブラーゼンは小坂光と新城雄大、さらに秋丸湧哉(シマノレーシング)、米谷隆志(ウォークライド・シクロアカデミア)、北野普識(イナーメ信濃山形)、中山卓士(ヴィクトワール広島)の18名。
このまま逃がしたいチーム、振り出しに戻したいチームの両方の思惑のため差は最大でも2分までとなりいつでも吸収できる間隔でレースは推移する。逃げもメイン集団も牽制気味となりペースが落ちる。そのため一時は時間差スタートのE1がメイン集団に追いついたり、あるいはそのE1の集団をユースの先頭が追い越したりする場面も。
6周目のメイン集団、マトリックスパワータグが引く photo:Hideaki TAKAGI
7周目、メイン集団をキナンサイクリングチームらがペースアップ photo:Hideaki TAKAGI
逃げとメインの構図が80kmほど続いた6周目にメイン集団から普久原奨(群馬グリフィン・レーシングチーム)が抜け出し先頭に合流、さらに単独で抜け出す。7周目に入りメイン集団も追い上げを図りマトリックスパワータグ、そしてキナンサイクリングチームが代わって先頭を引きペースを上げる。いっぽうで普久原を吸収した先頭集団もペースを上げ差は縮まらないもののそれぞれの集団が次第に絞られていく。
オスカル・プジョル(チーム右京)がラスト18kmでアタック
7周目後半の上り区間で先頭集団からプジョルが単独アタックし差をすぐに30秒ほどに広げる。最終周回の8周目に入り先頭で逃げるプジョルを追って、追走集団もメイン集団もキナンサイクリングチームが先頭を引き差を詰めにかかる。メイン集団は追走集団に追いつきさらに人数が絞られ6人ほどがプジョルを追うが意思が統一されず詰め切れない。
7周目後半、逃げ続けるオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
最終周回のメイン集団から抜け出したメンバー photo:Hideaki TAKAGI
フィニッシュへ向けて逃げ続けるオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
オスカル・プジョル(チーム右京)が18kmを逃げ切り優勝 photo:Hideaki TAKAGI
2位は増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI
プジョルは単独で抜け出してから18kmを走りきって優勝。後続から抜け出した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が2位に、そして終始レースを有利に進めたチーム右京から土井雪広が3位に入った。チーム右京は「逃げをそのまま行かしてプジョルが逃げる作戦。仮に吸収されても窪木や僕らがいる」と土井が言うように常に有利に進めていた。メイン集団を引き上げたいチームも、プジョルの快走の前に差を詰めることができなかった。
F/ジュニア女子 2周目に先頭は4人に photo:Hideaki TAKAGI女子は合田祐美子、ユースは渡邉祐希が優勝
女子は中盤で合田祐美子(BH ASTIFO)、樫木祥子(Neilpryde - Nanshin Subaru Cycling 駒澤大学)、牧瀬翼・ジル・パターソン(ASAHI MUUR ZERO)の4人となり、最終周回の上りでアタックした合田が優勝。
ユースはジュニア男子と同じカテゴリーとなり前へ出て行く積極的なレースを展開。渡邉祐希(学校法人石川高等学校)が石原悠希(栃木県立真岡工業高等学校)を下して優勝。
F/ジュニア女子 ラスト4kmでアタックする合田祐美子(BH ASTIFO) photo:Hideaki TAKAGI
Y/ジュニア男子 渡邉祐希(学校法人石川高等学校)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
Y/ジュニア男子 上位に入った地元学校法人石川高等学校勢 photo:Hideaki TAKAGI
結果
P1クラスタ 115.8km
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)3時間12分27秒
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+16秒
3位 土井雪広(チーム右京)+17秒
4位 リカルド・ガルシア(KINAN Cycling Team)+18秒
5位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
6位 鈴木龍(那須ブラーゼン)
7位 窪木一茂(チーム右京)+22秒
8位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+24秒
9位 入部正太朗(シマノレーシング)+28秒
10位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
Jプロツアーリーダー 畑中勇介(チーム右京)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)
F/ジュニア女子 40.8km
1位 合田祐美子(BH ASTIFO)1時間13分37秒
2位 樫木祥子(Neilpryde - Nanshin Subaru Cycling 駒澤大学)+13秒
3位 牧瀬翼(ASAHI MUUR ZERO)+23秒
Jフェミニンリーダー 金子広美(イナーメ信濃山形-EFT)
Y/ジュニア男子 61.4km
1位 渡邉祐希(学校法人石川高等学校)1時間44分00秒
2位 石原悠希(栃木県立真岡工業高等学校)+02秒
3位 會田陸人(学校法人石川高等学校)+29秒
Jユースツアーリーダー 日野泰静(チームグロシャ)
E1クラスタ 75.0km
1位 米内蒼馬(TOKYO VENTOS)2時間08分06秒
2位 伊藤舜紀(ボンシャンス)
3位 佐藤信哉(VC Fukuoka)
4位 阿曽光佑(KINAN AACA)
5位 野口悠真(Team SPORTS KID)
6位 平野真一(TOKYO VENTOS)+01秒
E2クラスタ 40.8km
1位 吉田勝雅(ALTOPIANO)1時間04分44秒
2位 小林貴大(AQULS内房レーシング)+01秒
3位 椙田明仁(EQADS)+02秒
4位 岡部健太郎(なるしまフレンド)+03秒
5位 北見涼(TOKYO VENTOS)+04秒
6位 鬼塚志洋(サイクルフリーダムレーシング)
E3-1組 27.2km
1位 石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)42分59秒
2位 津村翔平(TOKYO VENTOS)+03秒
3位 千葉大基(LinkTOHOKU)
4位 北澤竜太郎(イナーメ信濃山形-EFT)
5位 東條容明(チームフィンズ)+05秒
6位 橋本貴之(SPADE・ACE)+09秒
E3-2組 27.2km
1位 岩崎晶雲(LinkTOHOKU)42分31秒
2位 大井翔太郎(アーティファクトレーシングチーム)
3位 淵田祐(F(t)麒麟山 Racing)+01秒
4位 折橋孝治(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
5位 村上凌伍(なるしまフレンド)
6位 草野辰也(LinkTOHOKU)+02秒
photo&text:高木秀彰
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名コースと謳われる福島・石川ロードのコース。美しい田園地帯を背景に、適度なアップダウンやカーブがあり展開によってはどのタイプの選手にも勝機のあるもの。今年で14回目を迎えるが、それ以前は近傍の棚倉町にてレースが行なわれていた。だが国道開通によりコース設定が困難となり、石川町に移された経緯がある。
また福島県は多くの自転車選手を輩出し自転車競技王国としても名高い。スタート地点は全日本ロードチャンピオン窪木一茂(チーム右京)の出身校である学校法人石川高等学校だ。チャンピオンジャージがお披露目となった窪木は、まさしく故郷に錦を飾っての凱旋出場。大会は石川町合併60周年記念事業として行なわれた。
コースは福島県石川町と浅川町にまたがる緩いアップダウンのある丘陵地帯で1周13.6km。P1クラスタはパレード区間含む7km+1周13.6km×8周=115.8kmでレースが行なわれた。灼熱地獄となる同大会だが、当日は最高気温が30度ほどと蒸し暑かったが酷暑とまでにはならなかった。レースレイティングは2番目に高いAAで行なわれた。
1周目から18人の逃げ
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このまま逃がしたいチーム、振り出しに戻したいチームの両方の思惑のため差は最大でも2分までとなりいつでも吸収できる間隔でレースは推移する。逃げもメイン集団も牽制気味となりペースが落ちる。そのため一時は時間差スタートのE1がメイン集団に追いついたり、あるいはそのE1の集団をユースの先頭が追い越したりする場面も。
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逃げとメインの構図が80kmほど続いた6周目にメイン集団から普久原奨(群馬グリフィン・レーシングチーム)が抜け出し先頭に合流、さらに単独で抜け出す。7周目に入りメイン集団も追い上げを図りマトリックスパワータグ、そしてキナンサイクリングチームが代わって先頭を引きペースを上げる。いっぽうで普久原を吸収した先頭集団もペースを上げ差は縮まらないもののそれぞれの集団が次第に絞られていく。
オスカル・プジョル(チーム右京)がラスト18kmでアタック
7周目後半の上り区間で先頭集団からプジョルが単独アタックし差をすぐに30秒ほどに広げる。最終周回の8周目に入り先頭で逃げるプジョルを追って、追走集団もメイン集団もキナンサイクリングチームが先頭を引き差を詰めにかかる。メイン集団は追走集団に追いつきさらに人数が絞られ6人ほどがプジョルを追うが意思が統一されず詰め切れない。
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プジョルは単独で抜け出してから18kmを走りきって優勝。後続から抜け出した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が2位に、そして終始レースを有利に進めたチーム右京から土井雪広が3位に入った。チーム右京は「逃げをそのまま行かしてプジョルが逃げる作戦。仮に吸収されても窪木や僕らがいる」と土井が言うように常に有利に進めていた。メイン集団を引き上げたいチームも、プジョルの快走の前に差を詰めることができなかった。
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ユースはジュニア男子と同じカテゴリーとなり前へ出て行く積極的なレースを展開。渡邉祐希(学校法人石川高等学校)が石原悠希(栃木県立真岡工業高等学校)を下して優勝。
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結果
P1クラスタ 115.8km
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)3時間12分27秒
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+16秒
3位 土井雪広(チーム右京)+17秒
4位 リカルド・ガルシア(KINAN Cycling Team)+18秒
5位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
6位 鈴木龍(那須ブラーゼン)
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8位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+24秒
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10位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
Jプロツアーリーダー 畑中勇介(チーム右京)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)
F/ジュニア女子 40.8km
1位 合田祐美子(BH ASTIFO)1時間13分37秒
2位 樫木祥子(Neilpryde - Nanshin Subaru Cycling 駒澤大学)+13秒
3位 牧瀬翼(ASAHI MUUR ZERO)+23秒
Jフェミニンリーダー 金子広美(イナーメ信濃山形-EFT)
Y/ジュニア男子 61.4km
1位 渡邉祐希(学校法人石川高等学校)1時間44分00秒
2位 石原悠希(栃木県立真岡工業高等学校)+02秒
3位 會田陸人(学校法人石川高等学校)+29秒
Jユースツアーリーダー 日野泰静(チームグロシャ)
E1クラスタ 75.0km
1位 米内蒼馬(TOKYO VENTOS)2時間08分06秒
2位 伊藤舜紀(ボンシャンス)
3位 佐藤信哉(VC Fukuoka)
4位 阿曽光佑(KINAN AACA)
5位 野口悠真(Team SPORTS KID)
6位 平野真一(TOKYO VENTOS)+01秒
E2クラスタ 40.8km
1位 吉田勝雅(ALTOPIANO)1時間04分44秒
2位 小林貴大(AQULS内房レーシング)+01秒
3位 椙田明仁(EQADS)+02秒
4位 岡部健太郎(なるしまフレンド)+03秒
5位 北見涼(TOKYO VENTOS)+04秒
6位 鬼塚志洋(サイクルフリーダムレーシング)
E3-1組 27.2km
1位 石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)42分59秒
2位 津村翔平(TOKYO VENTOS)+03秒
3位 千葉大基(LinkTOHOKU)
4位 北澤竜太郎(イナーメ信濃山形-EFT)
5位 東條容明(チームフィンズ)+05秒
6位 橋本貴之(SPADE・ACE)+09秒
E3-2組 27.2km
1位 岩崎晶雲(LinkTOHOKU)42分31秒
2位 大井翔太郎(アーティファクトレーシングチーム)
3位 淵田祐(F(t)麒麟山 Racing)+01秒
4位 折橋孝治(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
5位 村上凌伍(なるしまフレンド)
6位 草野辰也(LinkTOHOKU)+02秒
photo&text:高木秀彰
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