ツール・ド・フランス第7ステージのスプリントでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が2年ぶりの勝利。前日にマイヨジョーヌを着てリタイアしたトニ・マルティン(ドイツ)に勝利を捧げた。



ロット・ソウダル率いるメイン集団がブルターニュ地方を行くロット・ソウダル率いるメイン集団がブルターニュ地方を行く photo:Kei Tsuji
ツール・ド・フランス2015第7ステージツール・ド・フランス2015第7ステージ image:A.S.O.ツール・ド・フランス2015第7ステージツール・ド・フランス2015第7ステージ image:A.S.O.


マイヨジョーヌのいないスタート地点マイヨジョーヌのいないスタート地点 photo:Tim de Waeleフランスの中でも自転車競技熱が高いブルターニュ地方にツール・ド・フランスは突入。第7ステージはカテゴリーのついていない細かいアップダウンが連続する190.5kmの平坦ステージ。ピュアスプリンターにとっては落とすことの出来ない貴重なチャンスだ。

楽しそうに並んで走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)楽しそうに並んで走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleこの日のDNSは2人。第2ステージで肋骨を骨折しながらもレースを続けていたグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ソウダル)と、前日の残り1kmで落車して鎖骨を骨折した総合首位トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)がスタートに並ばなかった。マルティンの欠場によって自動的にクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が繰り上がりで総合1位に浮上したものの、フルームはマルティンに敬意を払ってマイヨジョーヌを着用せず。

ブルターニュ地方特有のアップダウンを繰り返すブルターニュ地方特有のアップダウンを繰り返す photo:Tim de Waeleマイヨジョーヌのいないプロトンがリヴァロをスタートするとすぐ、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)とロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)の2人がニュートラルゾーンで落車。幸い両者ともに怪我を免れて再スタートを切っている。

その名の通り地元ブルターニュのUCIプロコンチネンタルチームであるブルターニュ・セシェはブリース・フェイユとアントニー・ドゥラプラス(フランス)を逃げグループに送り込むことに成功する。旅のお供は、ツアー・オブ・ターキー覇者のクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)とルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、そしてマイヨアポワを着るダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)。

前日に山岳賞トップに立ったテクレハイマノは、序盤の4級山岳(12.5km地点)で確実に1ポイントを加算するために2日連続のエスケープ。しっかりとそのミッションを果たし、山岳賞リードを広げることに成功する。

ロット・ソウダルとエティックス・クイックステップの集団コントロールによって先頭5名のリードは3分50秒を上限に縮まり、2分台で推移したままレース後半へ。気温27度前後の快晴に包まれて、牛の農場と広大な麦畑を交互に見ながらプロトンは進んだ。



ハイスピードダウンヒルをこなす5名の逃げグループハイスピードダウンヒルをこなす5名の逃げグループ photo:Kei Tsuji
ロット・ソウダルとエティックス・クイックステップを先頭に進むメイン集団ロット・ソウダルとエティックス・クイックステップを先頭に進むメイン集団 photo:Kei Tsujiマイヨアポワ、マイヨジョーヌ、マイヨヴェール、トリコロールマイヨアポワ、マイヨジョーヌ、マイヨヴェール、トリコロール photo:Tim de Waele
平日にもかかわらず沿道には大勢の観客が詰めかけた平日にもかかわらず沿道には大勢の観客が詰めかけた photo:Tim de Waele


スプリントポイントで先着するジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)スプリントポイントで先着するジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele平坦ステージでスプリンターは2度スプリントする。スプリントポイント(65.5km地点)で集団内ではマイヨヴェールを懸けたスプリントが始まり、ポイント賞3位のジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)が先頭通過。落ち着きを取り戻した集団は再びベルギーチームの支配下に置かれ、逃げとのタイム差を詰めながらフージェールの街を目指す。

緩やかなアップダウンを繰り返しながらフィニッシュを目指す緩やかなアップダウンを繰り返しながらフィニッシュを目指す photo:Kei Tsuji残り50kmを切ると逃げの中に不協和音が流れ始め、マテマルドネスのアタックによって崩壊する。最終的にマテマルドネスとフェイユだけが生き残って逃げ続けたものの、スプリンターチームのスピードには対抗出来ずに残り11km地点で吸収。集団はアクセル全開で最終ストレートに向かった。

逃げるクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)ら5名逃げるクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)ら5名 photo:Tim de Waeleジャイアント・アルペシン、エティックス・クイックステップ、FDJ、ロット・ソウダルがトレインを組んで集団先頭に上がり、フラムルージュ(残り1kmアーチ)でカチューシャが先頭へ。残り300mを切り、緩やかな登りが始まったところでスプリンターたちが一斉に腰を上げた。

登りスプリントで競り合うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)登りスプリントで競り合うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele好位置でスプリントに持ち込んだマイヨヴェールの背後、低い体勢のカヴェンディッシュが迫る。イン側からカヴェンディッシュ、アウト側からデゲンコルブやペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が上がり、ハンドルを投げ込んでフィニッシュ。カヴェンディッシュがグライペルを差し切った。

2014年のツール・ド・フランスを第1ステージでリタイアしたカヴェンディッシュは、2013年大会第13ステージ以来2年ぶりのステージ優勝。通算成績をステージ26勝に伸ばしたカヴは「焦って早めに飛び出してしまい、失敗に終わるスプリントが続いていた。今日は平常心を保ってスプリント。もしアンドレ・グライペルがコーナー内側に寄ってきていたら前に出ることは出来なかったけど、彼はジェントルマンであり、真っ直ぐスプリントしてくれた。今日だけ特別パワーが出ていたのではなく、すべてはタイミング。今日はそのタイミングがばっちりはまったんだ」と振り返る。

記者会見ではもちろん前日に鎖骨を骨折してマイヨジョーヌを着ながらリタイアしたトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)についての質問が飛ぶ。カヴは「彼のリタイアはチームにとってとてつもなく大きな損失。彼の手術が成功して嬉しい。今日は彼のために勝ちたかったんだ。彼と一緒にこの勝利を祝いたかった。この勝利を彼に捧げたい」とコメントしている。

スプリント3勝目を逃したグライペルがマイヨヴェールをキープ。今大会5度目のトップ3フィニッシュとなったサガンが12ポイント差に迫っている。



スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
2年ぶりのステージ優勝を掴んだマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)2年ぶりのステージ優勝を掴んだマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsujiマイヨジョーヌを受け取ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを受け取ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji


Résumé - Étape 7 (Livarot > Fougères) - Tour de... par tourdefrance


ツール・ド・フランス2015第7ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 4h27’25”
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)
8位 レイナール・ジャンセヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ)
9位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)

マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)               26h40’51”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)             +11”
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)         +13”
4位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)              +26”
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)         +28”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)      +34”
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)          +36”
8位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)        +52”
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)                +1’03”
10位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)          +1’07”

マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)              199pts
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)             187pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)   151pts

マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)            4pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)               2pts
3位 ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシング)               1pt

マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)           26h41’02”
2位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)           +56”
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)                +1’45”

チーム総合成績
1位 BMCレーシング                            80h03’34”
2位 エティックス・クイックステップ                       +22”
3位 ティンコフ・サクソ                            +1’44”

ステージ敢闘賞
アントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ)

リタイア
DNS トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
DNS グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ソウダル)

text:Kei Tsuji in Fougères, France

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