2015/07/06(月) - 09:28
暴風雨の中で発生した分断は、プロトンに大きな明暗を分けることに。マイヨジョーヌを獲得したファビアン・カンチェラーラは喜び、1分半遅れたナイロ・キンタナは「最悪な状況は避けることができた」と語っています。
ステージ優勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
ステージ通算7勝目を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele
第2ステージのスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele自分にチャンスがある最初のステージで勝つことができた。崇高な勝利だし、僕やチームにとってファンタスティックな報いだと思う。この価値ある勝利はシーズンの善し悪しを左右するもの。誰にとってもツールでの勝利は輪を掛けて重要なことだ。
先頭集団は常にスピードが上がりっぱなしだった。向かい風が吹いていたので、残り2kmの時点でトニー(ギャロパン)とマルセル(シーベルグ)に出来るだけ長い時間待つように言ったんだ。状況判断に秀でたスマートな選手で、親友でもあるマルセルに連れられてスプリント。クイックステップは人数を揃えていたものの、レンショーのリードアウト開始が早すぎた。タイミングを待って、先行するカヴェンディッシュを追い抜いたんだ。
僕らの先頭グループの中にはエティックス・クイックステップが6人、そしてカンチェラーラやドゥムランのような強力な選手が非常に多くいた。レース中常に先頭から後ろ付近を走っていたけれど、エシュロンが形成されそうになった時に前に上がった。最初に分断された時ロット・ソウダルは8名を先頭に残せたが、2回目の分断では3人しか残すことができなかった。カヴェンディッシュとサガンを注視していたが、彼らよりも先にフィニッシュを切ることができて本当に良かった。
先週の水曜日にこのステージの下見をしておいたことが味方したと思う。集中はしていたが、ストレスには感じていなかった。だから僕の勝利でもあり、チーム全体の勝利。ここ5年間毎年ツールで勝利しているけれど、今年は初めて妻が来てくれた。とてもスペシャルだ。マイヨヴェールを着用したことも素敵なボーナスだし、今夜は今日の勝利に酔いしれたいと思う。これからの数日間もチャンスを狙っていきたい。
マイヨジョーヌを手に入れたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
ボーナスタイムによってファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)がマイヨジョーヌを獲得 photo:Tim de Waele
フィニッシュ直後のファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVos最後は脚が攣っていたが、非常に速くナーバスな展開ながらも運を掴むことができた。コーナーやロータリーを抜ける度に苦しんだし、もっと言えば昨日から苦しみ続けていた。来年のツール初日はタイムトライアルではなくロードレース。だから昨日のステージが自分のキャリアの中でマイヨジョーヌ獲得のラストチャンスだと思っていた。そのチャンスを逃したことに落胆したし、悔しくてよく眠ることが出来なかった。
ロット・ソウダルが全力で牽き続けているほかは、何が起きていたかよく把握できていなかった。小さな街を抜けるたびにロータリーがあって、風に雨。。全く簡単では無かったし、突然分断が発生した。この展開の中で何かモノにしたかったし、もちろんマイヨジョーヌを手にしてとても嬉しく思っているよ。
ステージ優勝は考えておらず、ただマイヨジョーヌのために動いていた。ペーター(サガン)の番手を取ってからは待ちに待った。そして突然スプリントが始まったんだ。なんとフィニッシュまで長かったことか!先頭との差を詰めようと必死になっていたが、結果的にそれがマルティンを引き離すことに繋がった。率直に言えば今日ではなく、石畳のステージでマイヨジョーヌを獲るチャンスがあると思っていた。ツールにはマイヨジョーヌを獲得するために来たし、だからその分とても嬉しい。いつだって特別なものさ。
スプリントで失速したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
「リードアウトが速すぎたと思う」マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleレンショーのリードアウトが少し早すぎたと思う。ゴール前は向かい風や横風が吹いていたのでコースのバリア寄りをキープしていた。横風や追い風では誰かの後ろに付いて前の動きに合わせていくが、向かい風では200m以上の距離をスプリントしたくない。今日は運を祈りながらスプリントを始めたが、グライペル、サガン、カンチェラーラは強かった。彼らに対して今日はリードアウト役を務めてしまった。残念に思っているが、エティックス・クイックステップの強さは証明できたと思う。
マルティンはマイヨヴェールを手放してしまったが、これがツールだし、今日はグライペルが勝った。明日はリゴ(ウラン)やミカル(クヴィアトコウスキー)に向いたコースだし、第1週目はなるべく多くの勝利を狙っていきたい。石畳のステージでは僕にもチャンスがあるが、その後にもスプリントステージがある。9人の強力なチームでチャンスを狙っていきたい。
コンタドールに4秒を稼いだクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
チームスカイが集団ペースアップを開始する photo:Tim de Waeleとにかくカオスだった。2度目の分断ではよりグループが小さく、総合ライバル勢が後ろに下がっていたので結果的には良かった。最初ニーバリも第1グループにいたから、彼が後ろに下がったと聞いて信じることができなかったんだ。でもこれがオランダでレースをするということ。その時にアルベルトと走りながら話したが、彼は「この動きを決定的なものにしよう」と言ってきた。他にもBMCレーシングがヴァンガーデレンをグループに残していたし、レースの状況はよく分かっていた。
僕を集団前方にずっとキープしてくれたチームメイトに感謝したい。今日のような展開では特に彼らの助けが必要だった。今日は誰もが嵐に来て欲しくないと願っていたけれど、そうもいかなかった。特にG(ゲラント・トーマス)とヨージ(イアン・スタナード)が終盤で側にいてくれたが、彼らがとても良く僕を守ってくれた。
この差はとても大きなアドバンテージになった。まだ個人TTと平坦ステージをこなしただけなのに、こんなにも大きな差がついているとは全く予期していなかった。でも状況はその日その日でコロコロと変わるし、今日は僕らが上手くやり過ごしたが、最初の休息日を迎える頃にどうなっているかは誰にも分からない。
集団後方では落車が頻発した photo:CorVos
先頭集団に残ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
今日の僕らのレースに満足している。今日はタイム差を稼ぐことのできる一日だった。第1集団の中でBMCやチームスカイなど後半になってようやく牽引したチームがいたことが残念だが、最後は彼らも手を貸してくれたし、結果には満足しているよ。個人的にはあまり疲れを感じていないし、何よりも落車を防げたことが大きい。
チームメイトに感謝したいし、これからは明日に掛けて回復に務めたいと思う。ライバルに対して差をつけるのはいつだって嬉しいが、まだまだ先は長く、ツールの終わりには今日稼いだタイム差もあまり意味が無くなっていると思う。
コンタドールと同タイムでフィニッシュしたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
あの瞬間は前の選手のホイールに食らい付くしか無かった。後ろに誰が取り残されているかではなく、とにかく前の集団で安全に走り切ることしか頭に無かった。でもたくさんのエースが遅れたことは僕らにとっては良いニュース。しかしマイヨジョーヌのデニスが取り残されていたから、少し考えて彼を引き上げようとも思った。でもそうすると他の総合勢を連れてきてしまう。すごく心苦しかった。
1分28秒遅れの第2集団でゴールした選手達
スタート前に笑顔を見せていたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
落車したアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)がフィニッシュに向かう photo:Kei Tsujiティボー・ピノ(フランス、FDJ):危機一髪の状況だった。起こりうる最悪のタイミングで嵐が来てしまった。ロータリーが連続したせいで、正しい位置取りができなかった。その後に発生した風と雨でどこを走れば良いのか全く分からない状態で、選手があちこちに散らばっている状況だった。他のチームと上手く協力できていたが、開いた差を詰めることはできなかった。でもこれがレースであり、ツールは毎日が驚きの連続だ。明日はもう一度ポジション取りが重要になるだろう。
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター):雨の中落車したのは少しアンラッキーだった。モビスターは一丸となって、更にはアスタナと協力したので、最悪な状況にはならなかったと思う。タイムを失ってしまったが、ステージを通して少しずつ挽回していきたい。
落車したアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)
AC(acromioclavicularis:肩鎖関節)の脱臼。3週間前と同じ場所だ。今後3週間が一番痛みの出る期間と伝えられたよ。痛みなんか朝飯にして食ってやる。Bring it on(掛かってこい)!
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイト、Twitterなど個人SNSより。
text:So.Isobe
photo:Tim de Waele,Kei Tsuji,CorVos
ステージ優勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
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先頭集団は常にスピードが上がりっぱなしだった。向かい風が吹いていたので、残り2kmの時点でトニー(ギャロパン)とマルセル(シーベルグ)に出来るだけ長い時間待つように言ったんだ。状況判断に秀でたスマートな選手で、親友でもあるマルセルに連れられてスプリント。クイックステップは人数を揃えていたものの、レンショーのリードアウト開始が早すぎた。タイミングを待って、先行するカヴェンディッシュを追い抜いたんだ。
僕らの先頭グループの中にはエティックス・クイックステップが6人、そしてカンチェラーラやドゥムランのような強力な選手が非常に多くいた。レース中常に先頭から後ろ付近を走っていたけれど、エシュロンが形成されそうになった時に前に上がった。最初に分断された時ロット・ソウダルは8名を先頭に残せたが、2回目の分断では3人しか残すことができなかった。カヴェンディッシュとサガンを注視していたが、彼らよりも先にフィニッシュを切ることができて本当に良かった。
先週の水曜日にこのステージの下見をしておいたことが味方したと思う。集中はしていたが、ストレスには感じていなかった。だから僕の勝利でもあり、チーム全体の勝利。ここ5年間毎年ツールで勝利しているけれど、今年は初めて妻が来てくれた。とてもスペシャルだ。マイヨヴェールを着用したことも素敵なボーナスだし、今夜は今日の勝利に酔いしれたいと思う。これからの数日間もチャンスを狙っていきたい。
マイヨジョーヌを手に入れたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
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ロット・ソウダルが全力で牽き続けているほかは、何が起きていたかよく把握できていなかった。小さな街を抜けるたびにロータリーがあって、風に雨。。全く簡単では無かったし、突然分断が発生した。この展開の中で何かモノにしたかったし、もちろんマイヨジョーヌを手にしてとても嬉しく思っているよ。
ステージ優勝は考えておらず、ただマイヨジョーヌのために動いていた。ペーター(サガン)の番手を取ってからは待ちに待った。そして突然スプリントが始まったんだ。なんとフィニッシュまで長かったことか!先頭との差を詰めようと必死になっていたが、結果的にそれがマルティンを引き離すことに繋がった。率直に言えば今日ではなく、石畳のステージでマイヨジョーヌを獲るチャンスがあると思っていた。ツールにはマイヨジョーヌを獲得するために来たし、だからその分とても嬉しい。いつだって特別なものさ。
スプリントで失速したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
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コンタドールに4秒を稼いだクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
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この差はとても大きなアドバンテージになった。まだ個人TTと平坦ステージをこなしただけなのに、こんなにも大きな差がついているとは全く予期していなかった。でも状況はその日その日でコロコロと変わるし、今日は僕らが上手くやり過ごしたが、最初の休息日を迎える頃にどうなっているかは誰にも分からない。
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先頭集団に残ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
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チームメイトに感謝したいし、これからは明日に掛けて回復に務めたいと思う。ライバルに対して差をつけるのはいつだって嬉しいが、まだまだ先は長く、ツールの終わりには今日稼いだタイム差もあまり意味が無くなっていると思う。
コンタドールと同タイムでフィニッシュしたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
あの瞬間は前の選手のホイールに食らい付くしか無かった。後ろに誰が取り残されているかではなく、とにかく前の集団で安全に走り切ることしか頭に無かった。でもたくさんのエースが遅れたことは僕らにとっては良いニュース。しかしマイヨジョーヌのデニスが取り残されていたから、少し考えて彼を引き上げようとも思った。でもそうすると他の総合勢を連れてきてしまう。すごく心苦しかった。
1分28秒遅れの第2集団でゴールした選手達
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ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター):雨の中落車したのは少しアンラッキーだった。モビスターは一丸となって、更にはアスタナと協力したので、最悪な状況にはならなかったと思う。タイムを失ってしまったが、ステージを通して少しずつ挽回していきたい。
落車したアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)
AC(acromioclavicularis:肩鎖関節)の脱臼。3週間前と同じ場所だ。今後3週間が一番痛みの出る期間と伝えられたよ。痛みなんか朝飯にして食ってやる。Bring it on(掛かってこい)!
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイト、Twitterなど個人SNSより。
text:So.Isobe
photo:Tim de Waele,Kei Tsuji,CorVos
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