2015/04/14(火) - 12:19
「残り10kmという誰もがリミットを迎えているタイミングで、自分のタンクにはまだ燃料が残されていた」。スプリントでパリ〜ルーベ初勝利を飾ったジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)はそう語ります。パリ〜ルーベを闘った選手たちのコメントをお届けします。
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
7名によるスプリントで勝利したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele正しいタイミングでアタックした。あと少しアタックが遅れていれば、昨年の二の舞(2位)になっていた可能性もあった。スプリンターとしてマークされる立場だったので、勝つためには早めにアタックするしかなかったんだ。残り10kmという誰もがリミットを迎えているタイミングだったけど、自分のタンクにはまだ燃料が残されていた。
モニュメント2勝目の喜びを語るジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:Makoto.AYANOとにかく落ち着いて、本能に従って勝負に持ち込んだ。リスクを負うことなくフィニッシュラインまで全力でスプリント。でもパリ〜ルーベのスプリントは特別で、加速しようと思っても脚が泥にはまったように重い。走ったことのある選手にしかその感触はわからないと思う。
簡単なパリ〜ルーベの勝ち方なんて存在しない。全てのピースが揃わないと勝てない。ノートラブルでフィニッシュしたルーベは今回が初めて。いつも落車やパンクに見舞われていたし、昨年はチェーンリングが外れるトラブルが発生した。勝つためには全てがパーフェクトである必要が有る。
ミラノ〜サンレモとの連勝はスペシャルだ。精神的にも身体的にも準備は出来ていた。サンレモからルーベまでの間は、リカバリーを最優先するクラシックモードに切り替える必要が有る。前レースからどれだけリカバリーしているかが最後に差を生むんだ。
2位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
デゲンコルブに敗れたゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) photo:Makoto.AYANOグレッグ・ファンアフェルマートと一緒に飛び出したイヴ・ランパートの動きは完璧だった。チームとして良い展開に持ち込めていたものの、デゲンコルブが追撃を仕掛けたことで状況が変わった。先頭にチームメイトがいたので追走に力を使う必要がなかったものの、どこかで自ら動く必要があった。残り2kmの短い登りでペースを上げて先頭グループに合流。すでにウィギンズらのアタックに反応していたので、脚にきていた。デゲンコルブのアタックにすぐ反応出来ていれば展開が違っていたかもしれないけど、レースはそういうものだ。
デゲンコルブを負かすためにはアタックする必要があった。でも、先頭グループ合流のために力を使ってしまったので、それ以上アタックする力を持ち合わせていなかった。アタックしたイヴ・ランパートもデゲンコルブの強力な走りによって吸収。そのままヴェロドロームに到着してしまった。イヴ・ランパートが良いリードアウトをしてくれたものの、集団スプリントでも先頭を取ってしまうようなデゲンコルブを破るのは難しい。彼が消耗しきっていることを期待していたけど、誰も彼の前に出ることが出来なかった。勝利に値するスプリントだった。
チームはクラシックシーズンを通して強さを見せ、常に2位か3位、4位に入っていた。コンスタントに成績を残したことに不満はないよ。個人的には、これまでの6位と5位を上回る2位という成績。また来年出場して勝利を狙いたい。やっぱり勝利だけが評価の対象だから。
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
残り13kmから先行したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とイヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleどんなレースでも勝つために走っている。でもデゲンコルブ相手では勝ち目がない。パリ〜ルーベのようなレースで彼は強さを見せつけた。彼の強力な牽引によって最後は燃料切れだった。残り5kmの時点でエネルギー不足を感じていたので、表彰台に登ったことは全力を尽くした結果だ。
先週のフランドルで感じた調子の良さを今日感じることは出来なかった。イヴ・ランパートとのアタックは良い動きだったと思う。でもデゲンコルブやスティバルを振り切ることは出来ず、最終的にスプリントで彼らを負かすことは出来なかった。
5位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
自分はチャンピオンではないし、スプリントでも後ろから2番目だった。それでもレース展開としては申し分なかった。序盤に小さなメカトラがあったものの、重要な局面でパンクすることもなく、集団先頭の勝負に加わることが出来た。ヴェロドロームではボームのロングスプリントに備えていたけど、彼は動かなかった。5位という結果は大満足だ。先頭グループに残ってヴェロドロームに入るのは今回が初めて。出し尽くしていたので、残り数キロはただただ食らいつくことで精一杯だった。
6位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
ヴェロドロームに入る時のフィーリングは特別。完走経験はあるものの、先頭グループでヴェロドロームに入ったのは今回が初めてだった。もう何も残っていなかったけど自分を信じてスプリント。さすがに脚はもう動かなかったよ。でも勝負に絡めたことをとても嬉しく思う。何度かリタイアしようかと思うほどトラブルが続いたので、6位という結果には大満足。闘い続けることでトップ10に入ることが出来た。
10位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
ジョン・デゲンコルブ(ジャイアント・アルペシン)とアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ) photo:Makoto.AYANOどのメディアもこぞって僕を優勝候補に挙げていたけど、厳しいレースになることは予想通りだった。過去の大会では勝負に絡んだこともなかったし、仮に勝つことが出来ればサプライズだと思っていた。今日は勝負からそれほど遠くない位置で走ることが出来たと思う。デゲンコルブは素晴らしい選手であり、それを今日は見せつけてくれた。勝利に値する走りであり、脱帽だ。今日は彼らの走りに反応出来るコンディションではなかった。リミットぎりぎりで走っていた。
石畳の登りと違って平坦な石畳は苦手なんだ。だから有力選手たちの中でフィニッシュ出来たことに満足している。とにかく素晴らしいクラシックシーズンだった。今から少し休んで、またツール・ド・フランスに向けて動き出したい。
12位 ベルト・デバッカー(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
これ以上の成績は望めない。今日のジャイアント・アルペシンはファンタスティックだった。前夜のミーティング通り、メンバー全員が完璧な走りをした。早めにレースをコントロールして終盤に戦力ダウンした昨年の反省を踏まえ、今年はコントロールを他チームに任せた。終盤にアタックした自分にジョン(デゲンコルブ)が追いついてきた時「食らい付け」と言われたけど、付いていけなかった。でも彼の勝利に少しでも力を貸すことが出来て良かったよ。
18位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
セクター7 タンプルーヴで動いたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleレースが終わったことにホッとしている。レース展開は満足のいくものだった。今日は追い風が吹いていたので終始ペースが速く、例年のようにリラックス出来るポイントが少なかった。厳しい大会だったものの、何回かアタックを試みたことは良かった。今朝、チームバスでのミーティングで話していたポイントでアタックした。良いポジションに付けていて、誰もアタックを予想していないタイミングで飛び出したんだ。でも残念ながら協力しない数名の選手に合流されたので、すぐ集団に吸収されてしまった。
最後のパリ・ルーベを18位で終えたブラドレー・ウィギンズ(チームスカイ) photo:Makoto.AYANOパリ〜ルーベを狙うと公言していた以上、マークされることは仕方がないこと。(残り5kmの)登りでセプ・ファンマルクと一緒に飛び出したものの、タイタニックが沈む運命にあったように、ライバル全員が食らい付いてきて失敗に終わった。勝つための脚は残っていた。でもそれは周りの選手も同じだった。
最後は無心でフィニッシュラインを切ったよ。先導モーターバイクに向かってアタックした時は、ロンドンの自宅近くでトレーニングしていた16歳の頃に逆戻りしたような気分だった。一瞬でもレースをリードしていたことを語り継ごうと思う(笑)
(デゲンコルブは)勝利に値する走りだった。パリ〜ルーベのようなクラシックレースでは、まぐれの勝者は生まれない。1998年のフランコ・バッレリーニの勝ち方を再現したかった。あと、ルーク(ロウ)について語らないわけにはいかない。8位という素晴らしい成績を彼は残した。
情熱をもって挑み続け、過去2年間でクラシックレーサーの仲間入り出来たことに満足している。チームスカイで走る最後のレースだということは意識しないようにしていた。スタート前に多くの選手がやって来て健闘を祈ってくれた。これまでライバルとして闘い、口を聞いたこともない連中が私のキャリアを祝福してくれた。エモーショナルにならないわけがない。
今日はクリーンな走りに徹することを決めていた。パンクも落車もなく走りきった。トップ20という成績には満足しているよ。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
text:Kei Tsuji
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
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簡単なパリ〜ルーベの勝ち方なんて存在しない。全てのピースが揃わないと勝てない。ノートラブルでフィニッシュしたルーベは今回が初めて。いつも落車やパンクに見舞われていたし、昨年はチェーンリングが外れるトラブルが発生した。勝つためには全てがパーフェクトである必要が有る。
ミラノ〜サンレモとの連勝はスペシャルだ。精神的にも身体的にも準備は出来ていた。サンレモからルーベまでの間は、リカバリーを最優先するクラシックモードに切り替える必要が有る。前レースからどれだけリカバリーしているかが最後に差を生むんだ。
2位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
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デゲンコルブを負かすためにはアタックする必要があった。でも、先頭グループ合流のために力を使ってしまったので、それ以上アタックする力を持ち合わせていなかった。アタックしたイヴ・ランパートもデゲンコルブの強力な走りによって吸収。そのままヴェロドロームに到着してしまった。イヴ・ランパートが良いリードアウトをしてくれたものの、集団スプリントでも先頭を取ってしまうようなデゲンコルブを破るのは難しい。彼が消耗しきっていることを期待していたけど、誰も彼の前に出ることが出来なかった。勝利に値するスプリントだった。
チームはクラシックシーズンを通して強さを見せ、常に2位か3位、4位に入っていた。コンスタントに成績を残したことに不満はないよ。個人的には、これまでの6位と5位を上回る2位という成績。また来年出場して勝利を狙いたい。やっぱり勝利だけが評価の対象だから。
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
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先週のフランドルで感じた調子の良さを今日感じることは出来なかった。イヴ・ランパートとのアタックは良い動きだったと思う。でもデゲンコルブやスティバルを振り切ることは出来ず、最終的にスプリントで彼らを負かすことは出来なかった。
5位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
自分はチャンピオンではないし、スプリントでも後ろから2番目だった。それでもレース展開としては申し分なかった。序盤に小さなメカトラがあったものの、重要な局面でパンクすることもなく、集団先頭の勝負に加わることが出来た。ヴェロドロームではボームのロングスプリントに備えていたけど、彼は動かなかった。5位という結果は大満足だ。先頭グループに残ってヴェロドロームに入るのは今回が初めて。出し尽くしていたので、残り数キロはただただ食らいつくことで精一杯だった。
6位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
ヴェロドロームに入る時のフィーリングは特別。完走経験はあるものの、先頭グループでヴェロドロームに入ったのは今回が初めてだった。もう何も残っていなかったけど自分を信じてスプリント。さすがに脚はもう動かなかったよ。でも勝負に絡めたことをとても嬉しく思う。何度かリタイアしようかと思うほどトラブルが続いたので、6位という結果には大満足。闘い続けることでトップ10に入ることが出来た。
10位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
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12位 ベルト・デバッカー(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
これ以上の成績は望めない。今日のジャイアント・アルペシンはファンタスティックだった。前夜のミーティング通り、メンバー全員が完璧な走りをした。早めにレースをコントロールして終盤に戦力ダウンした昨年の反省を踏まえ、今年はコントロールを他チームに任せた。終盤にアタックした自分にジョン(デゲンコルブ)が追いついてきた時「食らい付け」と言われたけど、付いていけなかった。でも彼の勝利に少しでも力を貸すことが出来て良かったよ。
18位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
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最後は無心でフィニッシュラインを切ったよ。先導モーターバイクに向かってアタックした時は、ロンドンの自宅近くでトレーニングしていた16歳の頃に逆戻りしたような気分だった。一瞬でもレースをリードしていたことを語り継ごうと思う(笑)
(デゲンコルブは)勝利に値する走りだった。パリ〜ルーベのようなクラシックレースでは、まぐれの勝者は生まれない。1998年のフランコ・バッレリーニの勝ち方を再現したかった。あと、ルーク(ロウ)について語らないわけにはいかない。8位という素晴らしい成績を彼は残した。
情熱をもって挑み続け、過去2年間でクラシックレーサーの仲間入り出来たことに満足している。チームスカイで走る最後のレースだということは意識しないようにしていた。スタート前に多くの選手がやって来て健闘を祈ってくれた。これまでライバルとして闘い、口を聞いたこともない連中が私のキャリアを祝福してくれた。エモーショナルにならないわけがない。
今日はクリーンな走りに徹することを決めていた。パンクも落車もなく走りきった。トップ20という成績には満足しているよ。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
text:Kei Tsuji
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