2015/03/29(日) - 10:45
総合最終決戦を前に、19名の逃げ切りが決まったボルタ・ア・カタルーニャ第6ステージ。逃げグループ内に複数名を送り込んだチームを振り切って、セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)がスプリント勝利を飾りました。
前半に1級山岳プラデス峠(平均勾配4%・登坂距離11km)、そして残り36km地点に3級山岳コルロイグ峠(平均勾配5%・登坂距離3.7km)が登場する第6ステージは、山がちなボルタ・ア・カタルーニャの中では低難度の部類に入る。
今大会ここまで勝負に絡めていないスプリンターにとっては絶好の、そして今大会唯一のチャンス。しかし、ポルトアベントゥーラ・テーマパーク(遊園地)のフィニッシュ地点にやってきたのは、レース序盤に形成された大きな逃げグループだった。
194kmコースで逃げたのは21名。その中には、初日の第1ステージで逃げ切り勝利を果たしたマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)や、2011年ジロ・デ・イタリア総合8位のステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)、山岳賞ジャージを着るトム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、そして落車によって総合争いから脱落しながらもクイーンステージを制したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)の姿もあった。
リーダージャージ擁するチームスカイは、逃げグループとのタイム差を総合争いに影響しない程度に抑えながら淡々とメイン集団をコントロール。チームスカイに逃げを捉える意志はなく、スプリンターチームも積極的な姿勢を見せない。そのためステージ優勝は逃げ選手の中で争われることに。
3級山岳コルロイグ峠でヴァンガーデレンがペースを上げると逃げグループは縮小。メイン集団に対して2分のリードを保ったまま、13名に絞られた逃げグループが残り10kmに差し掛かった。
やがて逃げグループの均衡が崩れ、2名ずつ選手を揃えるエティックス・クイックステップとコフィディスがアタックの口火を切る。しかしいずれの動きも決まらず、残り2kmでクルイスウィック、残り1kmでゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・アルペシン)が抜け出しを図ったが失敗に終わる。
ロングスプリントに持ち込んだジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)がフィニッシュラインに突き進む中、後方からチェルネツキやパテルスキーが追撃。徐々に失速するアラフィリップとチェルネツキが並んでフィニッシュラインを切る。両者ともに確信を持てず、手を挙げることはなかった。
写真判定の結果、勝利はカチューシャ所属のロシア出身24歳チェルネツキの手に渡った。「終盤にアタックするつもりだったのに、常にレースがハイスピードで展開していたので、飛び出すなんて不可能だった。だからスプリント勝負に集中して、チャンスがやってきた。UCIワールドツアーレース初勝利の意味は大きい」とチャネルツキ。ジュニア時代からヨーロッパで活動し、2013年ツール・デ・フィヨルド総合優勝、2014年ロシア選手権タイムトライアル2位、ツアー・オブ・北京総合5位の成績を残しているチェルネツキがキャリア最大の勝利を手にした。
また、最終的に1分50秒遅れでフィニッシュにやってきたメイン集団内では、残り3kmを切ってから総合3位アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が落車してしまう。ラウンドアバウトで後続選手がリアホイールに接触した結果、コンタドールが地面に投げ出された。腕や脚など左半身に擦過傷を負ったものの、打撲や骨折は免れた。チーム公式発表によるとコンタドールは最終日の第7ステージをスタートする予定だ。
総合順位に変動はなく、リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)が5秒リードで最終ステージを迎える。最終日は、バルセロナの街を見下ろす3級山岳モンジュイックの丘を8回登るスリリングなコースレイアウトだ。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ボルタ・ア・カタルーニャ2015第6ステージ結果
1位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ) 4h42’47”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
3位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)
4位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター)
5位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・アルペシン)
8位 ルディ・モラール(フランス、コフィディス)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +03”
10位 カルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)
122位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +8’19”
個人総合成績
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) 27h42’57”
2位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +05”
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +07”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +16”
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +18”
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +27”
7位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) +33”
8位 ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ) +43”
9位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +1’09”
10位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +1’35”
山岳賞
トム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)
スプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
チーム総合成績
BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
前半に1級山岳プラデス峠(平均勾配4%・登坂距離11km)、そして残り36km地点に3級山岳コルロイグ峠(平均勾配5%・登坂距離3.7km)が登場する第6ステージは、山がちなボルタ・ア・カタルーニャの中では低難度の部類に入る。
今大会ここまで勝負に絡めていないスプリンターにとっては絶好の、そして今大会唯一のチャンス。しかし、ポルトアベントゥーラ・テーマパーク(遊園地)のフィニッシュ地点にやってきたのは、レース序盤に形成された大きな逃げグループだった。
194kmコースで逃げたのは21名。その中には、初日の第1ステージで逃げ切り勝利を果たしたマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)や、2011年ジロ・デ・イタリア総合8位のステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)、山岳賞ジャージを着るトム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、そして落車によって総合争いから脱落しながらもクイーンステージを制したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)の姿もあった。
リーダージャージ擁するチームスカイは、逃げグループとのタイム差を総合争いに影響しない程度に抑えながら淡々とメイン集団をコントロール。チームスカイに逃げを捉える意志はなく、スプリンターチームも積極的な姿勢を見せない。そのためステージ優勝は逃げ選手の中で争われることに。
3級山岳コルロイグ峠でヴァンガーデレンがペースを上げると逃げグループは縮小。メイン集団に対して2分のリードを保ったまま、13名に絞られた逃げグループが残り10kmに差し掛かった。
やがて逃げグループの均衡が崩れ、2名ずつ選手を揃えるエティックス・クイックステップとコフィディスがアタックの口火を切る。しかしいずれの動きも決まらず、残り2kmでクルイスウィック、残り1kmでゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・アルペシン)が抜け出しを図ったが失敗に終わる。
ロングスプリントに持ち込んだジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)がフィニッシュラインに突き進む中、後方からチェルネツキやパテルスキーが追撃。徐々に失速するアラフィリップとチェルネツキが並んでフィニッシュラインを切る。両者ともに確信を持てず、手を挙げることはなかった。
写真判定の結果、勝利はカチューシャ所属のロシア出身24歳チェルネツキの手に渡った。「終盤にアタックするつもりだったのに、常にレースがハイスピードで展開していたので、飛び出すなんて不可能だった。だからスプリント勝負に集中して、チャンスがやってきた。UCIワールドツアーレース初勝利の意味は大きい」とチャネルツキ。ジュニア時代からヨーロッパで活動し、2013年ツール・デ・フィヨルド総合優勝、2014年ロシア選手権タイムトライアル2位、ツアー・オブ・北京総合5位の成績を残しているチェルネツキがキャリア最大の勝利を手にした。
また、最終的に1分50秒遅れでフィニッシュにやってきたメイン集団内では、残り3kmを切ってから総合3位アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が落車してしまう。ラウンドアバウトで後続選手がリアホイールに接触した結果、コンタドールが地面に投げ出された。腕や脚など左半身に擦過傷を負ったものの、打撲や骨折は免れた。チーム公式発表によるとコンタドールは最終日の第7ステージをスタートする予定だ。
総合順位に変動はなく、リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)が5秒リードで最終ステージを迎える。最終日は、バルセロナの街を見下ろす3級山岳モンジュイックの丘を8回登るスリリングなコースレイアウトだ。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ボルタ・ア・カタルーニャ2015第6ステージ結果
1位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ) 4h42’47”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
3位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)
4位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター)
5位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・アルペシン)
8位 ルディ・モラール(フランス、コフィディス)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +03”
10位 カルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)
122位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +8’19”
個人総合成績
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) 27h42’57”
2位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +05”
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +07”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +16”
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +18”
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +27”
7位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) +33”
8位 ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ) +43”
9位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +1’09”
10位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +1’35”
山岳賞
トム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)
スプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
チーム総合成績
BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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