2015/01/21(水) - 17:36
スターリングの登りスプリントに至るまでに、選手たちは合計3100mもの登りをこなさなければならない。喘ぎながら脱落したビッグスプリンターと、やる気に満ちたオールラウンダーを振り切って、26歳のフアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)が勝利を掴んだ。
アデレードの東に広がる丘陵地帯「アデレードヒル」がこの日の舞台だ。
第1ステージの終了後にマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)が「明日はスタートしてすぐに登りだ…」とボヤいていた通り、アデレード市内をスタートしてすぐにアップダウンが始まる。本人の心配はずばり的中し、アタックによって高速化した集団からキッテルは脱落した。
20km地点でキャンベル・フレークモア(オーストラリア、BMCレーシング)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)の強力な逃げが形成されると、遅れていたスプリンターたちは集団に復帰。気温20度ほどの涼しげな(時に肌寒い)空の下、選手たちはアデレードヒルの奥深くに向かった。
この日の獲得標高差は今大会最大の3107mであり、まだまだ絞れていないピュアスプリンターには厳しすぎる難易度だ。アシストとしてメイン集団を長時間牽引したのはスプリンターのクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)で、UniSAオーストラリアやIAMサイクリングもローテーションに人数を送り込む。
マイヤーとデヘントの2人は2011年第4ステージでともに逃げ、メイン集団を24秒差で振り切ってた実績がある(ステージ優勝を飾って総合首位に立ったマイヤーが最終的に総合優勝)。
そんな2人の逃げスペシャリストに2014年世界選手権U23タイムトライアル覇者のフレームモアが加わったことで集団は警戒心を解かない。
逃げ切りが決まった第1ステージの反省もあり、最大3分35秒まで広がったタイム差をメイン集団は早め早めに詰め始めた。
ジェットコースターのような周回コースに差し掛かると、総合系チームが危険回避のためにポジション争いをスタート。メイン集団のスピードはさらに上がり、逃げていた3人を残り24kmで吸収する。その後もスピードは落ちず、ピュアスプリンターを欠いた集団がフィニッシュへの登りに差し掛かった。
ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)とカルヴィン・ワトソン(オーストラリア、トレックファクトリーレーシング)のアタックは決まらず、チームスカイやキャノンデール・ガーミン、BMCレーシング、オリカ・グリーンエッジが集団前方を固めて突き進む。残り300mを切るとネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)が最初に仕掛けた。
しかしハースのスプリントは伸びず、ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)がパスして先頭へ。その後にジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)らの姿が。
登り基調のスプリントで伸び続けたのは、後方から仕掛けたロバトだった。モビスターとして前週にコースを試走し、フィニッシュのレイアウトを何度も確認していたロバトが一気に先頭へ。すぐ後ろでチームメイトのゴルカ・イサギーレ(スペイン)が片手を挙げる中、スポンサーの通信会社をアピールするポーズでロバトがフィニッシュした。
「良い調子を勝利に繋げることが出来てよかった。良いチームメイトが揃っているし、集団のポジショニングも完璧だった。勝利でシーズンスタートを切ることが出来て本当に嬉しい」。26歳のロバトはレース後のインタビューでそう語る。
ロバトはボーナスタイムを獲得したものの、ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)のリーダージャージには3秒届かず。ロバトがポイント賞、逃げたデヘントが山岳賞、そして連日上位に絡むニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)がヤングライダー賞のトップに立っている。
なお、この日の逃げに乗ったフレークモアはアデレード市内のヒルトンホテルまで自走で帰る際に落車。鎖骨を骨折し、レースを去ることが決まっている。
ツアー・ダウンアンダー2015第2ステージ結果
1位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター) 3h42’24”
2位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
7位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
8位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)
10位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
個人総合成績
1位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 6h41’55”
2位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター) +03”
3位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ) +04”
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +07”
5位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター) +09”
6位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ) +13”
7位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
ポイント賞
フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
ヤングライダー賞
ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
チーム総合成績
モビスター
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
アデレードの東に広がる丘陵地帯「アデレードヒル」がこの日の舞台だ。
第1ステージの終了後にマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)が「明日はスタートしてすぐに登りだ…」とボヤいていた通り、アデレード市内をスタートしてすぐにアップダウンが始まる。本人の心配はずばり的中し、アタックによって高速化した集団からキッテルは脱落した。
20km地点でキャンベル・フレークモア(オーストラリア、BMCレーシング)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)の強力な逃げが形成されると、遅れていたスプリンターたちは集団に復帰。気温20度ほどの涼しげな(時に肌寒い)空の下、選手たちはアデレードヒルの奥深くに向かった。
この日の獲得標高差は今大会最大の3107mであり、まだまだ絞れていないピュアスプリンターには厳しすぎる難易度だ。アシストとしてメイン集団を長時間牽引したのはスプリンターのクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)で、UniSAオーストラリアやIAMサイクリングもローテーションに人数を送り込む。
マイヤーとデヘントの2人は2011年第4ステージでともに逃げ、メイン集団を24秒差で振り切ってた実績がある(ステージ優勝を飾って総合首位に立ったマイヤーが最終的に総合優勝)。
そんな2人の逃げスペシャリストに2014年世界選手権U23タイムトライアル覇者のフレームモアが加わったことで集団は警戒心を解かない。
逃げ切りが決まった第1ステージの反省もあり、最大3分35秒まで広がったタイム差をメイン集団は早め早めに詰め始めた。
ジェットコースターのような周回コースに差し掛かると、総合系チームが危険回避のためにポジション争いをスタート。メイン集団のスピードはさらに上がり、逃げていた3人を残り24kmで吸収する。その後もスピードは落ちず、ピュアスプリンターを欠いた集団がフィニッシュへの登りに差し掛かった。
ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)とカルヴィン・ワトソン(オーストラリア、トレックファクトリーレーシング)のアタックは決まらず、チームスカイやキャノンデール・ガーミン、BMCレーシング、オリカ・グリーンエッジが集団前方を固めて突き進む。残り300mを切るとネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)が最初に仕掛けた。
しかしハースのスプリントは伸びず、ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)がパスして先頭へ。その後にジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)らの姿が。
登り基調のスプリントで伸び続けたのは、後方から仕掛けたロバトだった。モビスターとして前週にコースを試走し、フィニッシュのレイアウトを何度も確認していたロバトが一気に先頭へ。すぐ後ろでチームメイトのゴルカ・イサギーレ(スペイン)が片手を挙げる中、スポンサーの通信会社をアピールするポーズでロバトがフィニッシュした。
「良い調子を勝利に繋げることが出来てよかった。良いチームメイトが揃っているし、集団のポジショニングも完璧だった。勝利でシーズンスタートを切ることが出来て本当に嬉しい」。26歳のロバトはレース後のインタビューでそう語る。
ロバトはボーナスタイムを獲得したものの、ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)のリーダージャージには3秒届かず。ロバトがポイント賞、逃げたデヘントが山岳賞、そして連日上位に絡むニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)がヤングライダー賞のトップに立っている。
なお、この日の逃げに乗ったフレークモアはアデレード市内のヒルトンホテルまで自走で帰る際に落車。鎖骨を骨折し、レースを去ることが決まっている。
ツアー・ダウンアンダー2015第2ステージ結果
1位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター) 3h42’24”
2位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
7位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
8位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)
10位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
個人総合成績
1位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 6h41’55”
2位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター) +03”
3位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ) +04”
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +07”
5位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター) +09”
6位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ) +13”
7位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
ポイント賞
フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
ヤングライダー賞
ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
チーム総合成績
モビスター
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
フォトギャラリー
Amazon.co.jp
ファンライド 2015年 04 月号 [雑誌]
アールビーズ