2015/01/15(木) - 10:45
キャノンデール・ガーミンに所属する多くの若手の中で、ヴォータースGMを含めた多くの人間が太鼓判を押すのがダヴィデ・フォルモロ(イタリア)だ。イタリア選手権でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)に次いで2位に入った1992年10月25日生まれの22歳にインタビューを行いました。
イタリアの期待を背負う天性のクライマーであるフォロモロは1992年生まれの22歳。「黄金の1990年生まれ」と言われるサガンやクヴィアトコウスキー、キンタナ、アルよりも2歳年下にあたる。
2014年はネオプロながら山岳コースで輝きを見せ、イタリア選手権でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)に次いで2位に。ジャパンカップにも出場し、7位でレースを終えている。ちなみに日本での思い出を聞いて最初に出てくるのは、レースでもなく東京観光でもなく、アフターパーティーで行った綱引き。2015年は綱引きで勝つために筋力アップと増量に励むそうだ。
久々に会ったフォルモロは昨シーズンよりも明らかに英語力を向上させていた。英語とイタリア語のどちらが良いかと尋ねると「自分のためになるから」ということで英語を選択した。出てこない英単語があると苦虫を噛んだような表情を浮かべたが、その度に新しい単語を小声で反復し、反芻し、頭に叩き込んでいた。
どうやって英語力を向上させたんですか?
2014年にコーチのセバスティアン・ウェーバーと英語でコミュニケーションを取っていたんだ。彼はイタリア語を少し話すけど、自分の英語を向上させるために、英語だけで話すよう彼にお願いした。トレーニングからパワーメーターの使い方、休養の取り方、レースの戦略まで自転車競技のイロハを教わったんだ。彼はトニ・マルティンのコーチングも行なっていて、彼のアドバイスによってタイムトライアル能力も大きく伸びた。
2週間のチームキャンプでも積極的に英語で話すようにしたし、今こうしてニューヨークに来たことで更に英語力は向上したと思う。あと、英語とスペイン語、ドイツ語を話す彼女(イタリア人)に感化されたということもある(照れ笑い)。
去年ジャパンカップに出場するために初めて日本に行くまでは、イタリア人の英語が世界最低だと思っていた。でも日本の英語レベルも高くなくて少し驚いた。自転車選手として世界で闘うことを考えているならば言語は必須。これは北イタリアに限ったことかも知れないけど、ここ2年ほどでイタリア全国の英語レベルがググッと上がったように感じる。
出身はイタリア北部のヴェネト州ですよね?
ヴェローナ北部の小さな街に住んでいて、周りにはトレーニングに最適な山岳が沢山有る。サイクリストも多くて、チクリズモ(自転車競技)が地域に根付いている。UCIワールドツアーの中にもヴェローナ出身の選手が10人ぐらいいるんじゃないかな。ツアー・オブ・ターキーで一緒に表彰台に登ったダヴィデ・レベッリンもヴェローナ生まれ。レベッリンは自分よりも22歳も年上で、父親であってもおかしくない年齢なのにめちゃくちゃ元気だ。トルコで表彰台に登った翌日には「よう!お前やるじゃねぇか!同じヴェローナ出身だから嬉しいぜ!」と声をかけてくれた。ああ見えて実は陽気なんだ、彼。
プロ入り1年目の2014年シーズンは?
とにかく経験を積むことが重要なので、結果はともかく満足している。0勝に終わったものの常にレースを前で展開出来ていたし、フィニッシュラインの直前まで優勝争いに絡めていた。世界のトップレースで勝負に絡むなんて興奮したよ。2015年は勝ちたい。
自分に欠けているのはスプリント力。勝負には残れるけど最後のスプリントで負けてしまう。一発で勝負を決めることが出来るほどの登坂力を身につけることがベストだけど、同時にスプリント力も伸ばさないと。
理想としている選手は?
ステージレースに強い選手。イタリア人なので、ジロ・デ・イタリアで勝った選手はみなアイドルだ。本格的にロードレースに打ち込むようになった2010年にジロで勝ったイヴァン・バッソが理想の選手。2014年シーズンは憧れの存在だったイヴァン・バッソに気に入ってもらえて、レースでは常にホテルの部屋をシェアしていた。彼は僕を認めてくれていたし、今でも気遣うようなメッセージをくれるんだ。今シーズンはライバル関係になるけど、彼から教わったことを胸に闘いたい。
グランツール出場予定、願望は?
ジロ・デ・イタリアかブエルタ・ア・エスパーニャに出場する予定。厳しい山岳コースが用意されたジロに出る可能性が高いかな。出場するからには100%の力で挑んでチームの活躍に貢献したいので、コンディションによってはブエルタになるかもしれない。
将来を担う選手として期待されているプレッシャーは?
ジョナサン(ヴォータースGM)は自分の能力に信頼してくれている。彼の信頼に応える走りをしたい。彼のようなマネージャーに信頼してもらえるだけで自信になるよ。確かにジョナサンもイヴァンも、そしてイタリアメディアも期待してくれている。でも自分は自分なので、背伸びする必要はないと思っている。期待度をポジティブなプレッシャーに変えたい。現状に胡座(あぐら)をかかずに努力するしかない。
シーズン幕開けに向けての準備は?
ニューヨーク滞在中は外がマイナスの世界なので毎日ホテルのジムに行って汗を流している。自由の女神を見ながらトレーニングするなんて最高だ!アイ・ラブ・ニューヨーク。来るのは3回目だけど、生まれ育った環境とは全く違う世界が広がっているので毎回度肝を抜かれるし、良い刺激をもらえる。イタリア人にとってはアメリカンドリームの象徴だから。
プロ選手の生活は滅入るような地道なトレーニングと目まぐるしい移動の連続。時々頭が変になりそうになるけど、自転車が好きな人間にとっては夢のような仕事だ。そもそも自転車が好きじゃないと5時間も6時間もサドルに跨がるなんて耐えられない。しかも灼熱の日も極寒の日もレースはある。でもこの職業を選んで本当に良かったと思う。毎日が刺激的で、楽しい。
text&photo:Kei Tsuji
イタリアの期待を背負う天性のクライマーであるフォロモロは1992年生まれの22歳。「黄金の1990年生まれ」と言われるサガンやクヴィアトコウスキー、キンタナ、アルよりも2歳年下にあたる。
2014年はネオプロながら山岳コースで輝きを見せ、イタリア選手権でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)に次いで2位に。ジャパンカップにも出場し、7位でレースを終えている。ちなみに日本での思い出を聞いて最初に出てくるのは、レースでもなく東京観光でもなく、アフターパーティーで行った綱引き。2015年は綱引きで勝つために筋力アップと増量に励むそうだ。
久々に会ったフォルモロは昨シーズンよりも明らかに英語力を向上させていた。英語とイタリア語のどちらが良いかと尋ねると「自分のためになるから」ということで英語を選択した。出てこない英単語があると苦虫を噛んだような表情を浮かべたが、その度に新しい単語を小声で反復し、反芻し、頭に叩き込んでいた。
どうやって英語力を向上させたんですか?
2014年にコーチのセバスティアン・ウェーバーと英語でコミュニケーションを取っていたんだ。彼はイタリア語を少し話すけど、自分の英語を向上させるために、英語だけで話すよう彼にお願いした。トレーニングからパワーメーターの使い方、休養の取り方、レースの戦略まで自転車競技のイロハを教わったんだ。彼はトニ・マルティンのコーチングも行なっていて、彼のアドバイスによってタイムトライアル能力も大きく伸びた。
2週間のチームキャンプでも積極的に英語で話すようにしたし、今こうしてニューヨークに来たことで更に英語力は向上したと思う。あと、英語とスペイン語、ドイツ語を話す彼女(イタリア人)に感化されたということもある(照れ笑い)。
去年ジャパンカップに出場するために初めて日本に行くまでは、イタリア人の英語が世界最低だと思っていた。でも日本の英語レベルも高くなくて少し驚いた。自転車選手として世界で闘うことを考えているならば言語は必須。これは北イタリアに限ったことかも知れないけど、ここ2年ほどでイタリア全国の英語レベルがググッと上がったように感じる。
出身はイタリア北部のヴェネト州ですよね?
ヴェローナ北部の小さな街に住んでいて、周りにはトレーニングに最適な山岳が沢山有る。サイクリストも多くて、チクリズモ(自転車競技)が地域に根付いている。UCIワールドツアーの中にもヴェローナ出身の選手が10人ぐらいいるんじゃないかな。ツアー・オブ・ターキーで一緒に表彰台に登ったダヴィデ・レベッリンもヴェローナ生まれ。レベッリンは自分よりも22歳も年上で、父親であってもおかしくない年齢なのにめちゃくちゃ元気だ。トルコで表彰台に登った翌日には「よう!お前やるじゃねぇか!同じヴェローナ出身だから嬉しいぜ!」と声をかけてくれた。ああ見えて実は陽気なんだ、彼。
プロ入り1年目の2014年シーズンは?
とにかく経験を積むことが重要なので、結果はともかく満足している。0勝に終わったものの常にレースを前で展開出来ていたし、フィニッシュラインの直前まで優勝争いに絡めていた。世界のトップレースで勝負に絡むなんて興奮したよ。2015年は勝ちたい。
自分に欠けているのはスプリント力。勝負には残れるけど最後のスプリントで負けてしまう。一発で勝負を決めることが出来るほどの登坂力を身につけることがベストだけど、同時にスプリント力も伸ばさないと。
理想としている選手は?
ステージレースに強い選手。イタリア人なので、ジロ・デ・イタリアで勝った選手はみなアイドルだ。本格的にロードレースに打ち込むようになった2010年にジロで勝ったイヴァン・バッソが理想の選手。2014年シーズンは憧れの存在だったイヴァン・バッソに気に入ってもらえて、レースでは常にホテルの部屋をシェアしていた。彼は僕を認めてくれていたし、今でも気遣うようなメッセージをくれるんだ。今シーズンはライバル関係になるけど、彼から教わったことを胸に闘いたい。
グランツール出場予定、願望は?
ジロ・デ・イタリアかブエルタ・ア・エスパーニャに出場する予定。厳しい山岳コースが用意されたジロに出る可能性が高いかな。出場するからには100%の力で挑んでチームの活躍に貢献したいので、コンディションによってはブエルタになるかもしれない。
将来を担う選手として期待されているプレッシャーは?
ジョナサン(ヴォータースGM)は自分の能力に信頼してくれている。彼の信頼に応える走りをしたい。彼のようなマネージャーに信頼してもらえるだけで自信になるよ。確かにジョナサンもイヴァンも、そしてイタリアメディアも期待してくれている。でも自分は自分なので、背伸びする必要はないと思っている。期待度をポジティブなプレッシャーに変えたい。現状に胡座(あぐら)をかかずに努力するしかない。
シーズン幕開けに向けての準備は?
ニューヨーク滞在中は外がマイナスの世界なので毎日ホテルのジムに行って汗を流している。自由の女神を見ながらトレーニングするなんて最高だ!アイ・ラブ・ニューヨーク。来るのは3回目だけど、生まれ育った環境とは全く違う世界が広がっているので毎回度肝を抜かれるし、良い刺激をもらえる。イタリア人にとってはアメリカンドリームの象徴だから。
プロ選手の生活は滅入るような地道なトレーニングと目まぐるしい移動の連続。時々頭が変になりそうになるけど、自転車が好きな人間にとっては夢のような仕事だ。そもそも自転車が好きじゃないと5時間も6時間もサドルに跨がるなんて耐えられない。しかも灼熱の日も極寒の日もレースはある。でもこの職業を選んで本当に良かったと思う。毎日が刺激的で、楽しい。
text&photo:Kei Tsuji
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