2014/12/05(金) - 09:04
完成車重量4.65kg。衝撃的なキャッチコピーと共にデビューを飾ったトレック EMONDA SLR(エモンダSLR)。徹底的に無駄をそぎ落としたデザインで「史上最軽量のロードバイク」を目指した、トレックの新たな旗艦モデルをインプレッションする。
トレック エモンダSLR8 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
今年のツール・ド・フランス直前にイギリス・ヨークシャー地方のハロゲートで発表されたエモンダ。「最軽量の量産バイク」を標榜するトップモデル、「エモンダSLR10」が吊るされた秤が示す数値は4.65kgと世界中のサイクリストを驚愕させた。
これまで、トレックのオールラウンドレーシングバイクとして唯一の座を守ってきたマドン。その完成度の高さから、生半可なモデルチェンジは難しいだろうと思われていた。6月にフランスで開催されたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネにて公に姿を現したプロトタイプバイクは、マドンの新型だろうと予想されていたが、その予想を覆し、新モデルとして登場したのが、エモンダだった。
シンプルなフォルムのストレートフォーク
ケーブルは全て内蔵仕様
マッシブなダウンチューブ
エンデュランスモデルであるドマーネから続く、マドンのアナグラムと、フランス語で「剥ぎ取る」「削ぎ落とす」を意味するEmonderが語源となっているエモンダ。その名の通り不要なものを削ぎ落とし、必要なものだけを残すことによって、世界最軽量の市販バイクが完成したのだ。
そのために、トレックは2012年から開発をスタートさせ、多くのプロライダーの意見を取り入れながらR&Dが行われてきた。コンピューターを駆使した高度な解析を経て生み出された、何百本というテストフレームを徹底的にテストしたのは、レディオシャックや現トレックファクトリーレーシングの選手たち。ひずみゲージを搭載したバイクを用いて身長や体重、脚質が異なる様々なライダーによるテストを実施することで、サイズ専用設計を採用している。
パッと見たところでは、マドンのリアブレーキ位置がシートステーになり、ダイレクトマウント方式を採用しただけに見えなくもないほど、オーソドックスな形状を持つエモンダ。しかし、その実複雑なフレーム形状をしており、トレック曰く「これまでで最も精巧に作られたチューブ形状」を有している。限られた重量の中で、最大のパフォーマンスを得るべく、カーボン素材を最大限に生かすための形だ。
ステアリングコラムは縦方向と横方向で異なるボリュームを持つE2アシンメトリックステアリング
下側1.5インチの「E2ヘッドチューブ」を採用
リアのワイヤリングも考えぬかれている
フロントはダイレクトマウントブレーキ
フロント回りは下側1.5インチの「E2ヘッドチューブ」が採用され、高いステアリング性能を獲得している。ダイレクトマウントブレーキを搭載し、そのストッピングパワーを受け止めてくれるだけのボリュームを持つフロントフォークは、ドロップアウトまでカーボンで成形され、280gという驚くべき軽量さに仕上がっている。
ステアリングコラムが縦方向と横方向で異なるボリュームを持つ「E2アシンメトリックステアリング」を採用することで高い横剛性と路面からの衝撃を逃がす縦方向への柔軟性を併せ持っていることも他社のフォークに比べると大きなアドバンテージとなる。
ボトムブラケットにはトレックが誇る、市場で最も幅が広い最新規格「BB90」を採用。ボリュームのあるダウンチューブと、ボトムブラケットの幅いっぱいを使って取り付けられたチェーンステーによって、軽量ながらも高いBB剛性を備え、反応性や運動性を高めている。
BB90を採用するハンガー部 チェーンステーもダウンチューブも幅いっぱいに使っている
ANT+及びBluetoothに対応するシートステー内蔵型スピード/ケイデンスセンサー「DuoTrap S」
横に扁平になった形状を持つトップチューブは、シートチューブとの交点で大きく膨らみ、そのままシートステーへと変化するようなシェイプを持つ。非常に細く成形されたシートステー、細めのチェーンステーとあわせて、路面からの衝撃吸収性は非常に高いレベルにあるだろうことが、外見からもうかがえる。
くわえて、トレックの十八番である幅広い調整が可能な「ライドチューンドシートマスト」を採用することで、高い軽量性と快適性を獲得している。これらのコンフォート性能は、エンデュランスモデル、ドマーネからのフィードバックによるものも大きいだろう。
また、走行性能に直接影響はないもののユーザビリティに配慮したさまざまな工夫が施されているのもトレックらしいところ。フレームに一体とされたカーボン製チェーンキャッチャー「3Sチェーンキーパー」や、ANT+及びBluetoothに対応するシートステー内蔵型スピード/ケイデンスセンサー「DuoTrap S」といった、使い勝手の良いギミックが格段にエモンダの価値を押し上げてくれる。
リアもダイレクトマウントブレーキだが、シートステーに配置される
ほっそりとしたリア三角。非対称設計であることがわかる
OCLV700を示すステッカーが誇らしい
シリーズ展開されるのは、カーボン素材がそれぞれ異なるエモンダSLR、エモンダSL、エモンダSの3種類。その中から今回インプレッションしたのは、最高グレードのOCLV700を使用したSLRグレードのフレームにシマノデュラエースをアッセンブルした実戦的な仕様のエモンダSLR8だ。ホイールには、ボントレガー Race X Lite チューブレスレディ、タイヤには同じくボントレガーR4 Hard-Case Liteの23cを使用した。
トレックのロードバイクに対するテクノロジーを結集して設計された超軽量バイク、エモンダSLR。フレーム重量690gと、一気に軽量バイク戦線に躍り出たトレックの意欲作は、果たしてどう評価されるのか。それでは早速インプレッションに移るとしよう。
―インプレッション
「ヒルクライムがメインになるコースであれば、どういったレベルの乗り手にとっても大きな武器になる」藤野智一(なるしまフレンド)
まず感じるのは軽さです。持っても、乗っても軽い。こういった超軽量バイクは昔だと剛性不足になったりすることもあったのですが、エモンダに関してはそういったことは全然ありません。軽くて薄くて硬いというフレームにありがちな振動吸収性の悪さもなく、非常に高いレベルで振動を吸収、収束してくれます。
おそらく横に扁平形状とすることで横剛性を確保しつつ、縦にはフレキシブルな感じを出しています。加速性も良好で、アタックしたときのキレもありますね。
「ヒルクライムがメインになるコースであれば、どういったレベルの乗り手にとっても大きな武器になる」藤野智一(なるしまフレンド))
コーナーは、軽さと相まって少しアンダーがでるような腰高感はあります。ブレーキに関してはすごくしっかりしています。フォークも一見細く見えるのですが、非常に剛性が高くダイレクトマウントブレーキの制動力を最大に活かしています。ここは、トレックの昔からの美点ですね。
登りも、シッティングできれいにまわしていった方が気持ちよく進んでいくでしょう。ダンシングでもこじるような踏み方ではなく、きれいな回転を意識していった方がフレームの性格に合っています。ロードレース用のオールラウンダーというよりも、ヒルクライムマシンとしての性格が強いですね。快適性も高いので最近はやりの山岳系ロングライドにももってこいの一台でしょうね。
平坦では、軽さから来る失速感が多少あったものの、ホイールをディープリムに交換すれば解消されるレベルです。レースでも使えるでしょうが、特にヒルクライムがメインになるコースであれば、どういったレベルの乗り手にとっても大きな武器になるでしょう。体重が軽めでギアをかけて踏んでいける人にとっては最高ですね。
「登りは本当に絶好調でゴキゲンなバイク」山本雅道(BICYCLE FACTORY YAMAMOTO)
評判通り、そしてメーカーの狙い通りに軽い乗り心地の、いかにもヒルクライムバイクといった乗り味です。軽量なモノコックバイクにありがちな「パリッ」とした硬さはあまりなく、しっとりとしたラグジュアリーな乗り心地に仕上がっていますね。
「登りは本当に絶好調でゴキゲンなバイク」山本雅道(BICYCLE FACTORY YAMAMOTO) 登りは本当に絶好調でゴキゲンなバイクです。シッティングでもダンシングでもどちらでも軽くバイクが前に出て行ってくれますし、路面追従性がよく、荒い路面でもトラクションがかかりやすいですね。急激なダッシュでもしっかりと路面をとらえてくれるので、急坂でのアタックもいいでしょう。
リアバックがかなり細めに作られていますが、剛性が低いということはありません。踏みこんだ力はしっかりと受け止めてくれるだけの剛性をきちんと確保していると感じます。でも、踏み方によっては少しもたつく印象もありました。
横方向にこじるような、重いギアをかけて全開で踏むようなスプリントには不向きかもしれません。そういったシーンで勝負するなら、カーボンディープリムホイールは必須でしょう。かといって、力が逃げているということはないので、ペダリングをきれいにできるテクニックを持ったライダーならば、そういった状況でも十分な性能があります。
とはいえ、そこまでの違いが出るのは非常に大きな出力をかけた場合ですので、初心者ライダーでも非常によく進むバイクであることは間違いありません。快適性も高いですし、ポジションもアップライトなものを選ぶことができますし、懐の深いバイクです。
ハンドリングに関しては、軽量バイク特有の少し腰高感はありますが、基本的にはニュートラルなフィーリングに仕上がっています。パーツアッセンブルもいいですし、ダイレクトマウントブレーキがシートステーについているのも好印象です。整備もしやすいですし、効きも非常に良いです。
プロジェクトワンで好きなカラーが選べるというのも、他の人とは違うバイクに乗りたい人にもうれしいでしょうし、生涯保証がついてくるというのも、やっぱり魅力でしょう。そういった意味で、超軽量バイクでありながらヒルクライムをメインに考える人から、初心者まで幅広い人が乗れるバイクだと思います。
トレック EMONDA SLR8 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
トレック EMONDA SLR 8
カラー:Matte Trek Black/Trek White/Trek Gold
メインコンポーネント:シマノ 9000系デュラエース
フレーム:フレーム
Ultralight 700 Series OCLV Carbon, ride-tuned performance tube optimization, E2, BB90, internal cable routing, 3S chain keeper, DuoTrap S compatible, Ride Tuned seatmast, 690g(56cm, 重量はフレームサイズにより異なる)
フォーク:Émonda full carbon, E2 asymmetric steerer, carbon dropouts
ジオメトリー:H1、H2
サイズ:50、52、54、56、58、60、62cm
重 量:6.15kg
価 格:918,100円(税込)
インプレライダーのプロフィール
藤野智一(なるしまフレンド) 藤野智一(なるしまフレンド)
92年のバルセロナオリンピックロードレースでの21位を皮切りに、94・97年にツール・ド・おきなわ優勝、98、99年は2年連続で全日本ロードチャンピオンとなるなど輝かしい戦歴を持つ。02年に引退してからはチームブリヂストン・アンカーで若手育成に取り組み、11年までは同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務し、現在は神宮店の店長を務める。
なるしまフレンド神宮店
CWレコメンドショップ
山本雅道(BICYCLE FACTORY YAMAMOTO) 山本雅道(BICYCLE FACTORY YAMAMOTO)
1978年神奈川県藤沢市生まれ。中学生2年生の頃藤沢市の自転車店ワタナベレーシングに入会し本格的に自転車競技を始める。高校卒業後は4年間のヨーロッパ選手生活を経て2000年からは国内トップチームで活躍した。U23全日本選手権2連覇をはじめ、優勝経歴多数。選手時代から地元でキッズ向け自転車スクールを開催するなど活動を行い、2013年6月に出身ショップを引き継ぐかたちで「BICYCLE FACTORY YAMAMOTO」をオープンさせた。
BICYCLE FACTORY YAMAMOTO
ウェア協力:sportful(日直商会)
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO
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今年のツール・ド・フランス直前にイギリス・ヨークシャー地方のハロゲートで発表されたエモンダ。「最軽量の量産バイク」を標榜するトップモデル、「エモンダSLR10」が吊るされた秤が示す数値は4.65kgと世界中のサイクリストを驚愕させた。
これまで、トレックのオールラウンドレーシングバイクとして唯一の座を守ってきたマドン。その完成度の高さから、生半可なモデルチェンジは難しいだろうと思われていた。6月にフランスで開催されたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネにて公に姿を現したプロトタイプバイクは、マドンの新型だろうと予想されていたが、その予想を覆し、新モデルとして登場したのが、エモンダだった。
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エンデュランスモデルであるドマーネから続く、マドンのアナグラムと、フランス語で「剥ぎ取る」「削ぎ落とす」を意味するEmonderが語源となっているエモンダ。その名の通り不要なものを削ぎ落とし、必要なものだけを残すことによって、世界最軽量の市販バイクが完成したのだ。
そのために、トレックは2012年から開発をスタートさせ、多くのプロライダーの意見を取り入れながらR&Dが行われてきた。コンピューターを駆使した高度な解析を経て生み出された、何百本というテストフレームを徹底的にテストしたのは、レディオシャックや現トレックファクトリーレーシングの選手たち。ひずみゲージを搭載したバイクを用いて身長や体重、脚質が異なる様々なライダーによるテストを実施することで、サイズ専用設計を採用している。
パッと見たところでは、マドンのリアブレーキ位置がシートステーになり、ダイレクトマウント方式を採用しただけに見えなくもないほど、オーソドックスな形状を持つエモンダ。しかし、その実複雑なフレーム形状をしており、トレック曰く「これまでで最も精巧に作られたチューブ形状」を有している。限られた重量の中で、最大のパフォーマンスを得るべく、カーボン素材を最大限に生かすための形だ。
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ステアリングコラムが縦方向と横方向で異なるボリュームを持つ「E2アシンメトリックステアリング」を採用することで高い横剛性と路面からの衝撃を逃がす縦方向への柔軟性を併せ持っていることも他社のフォークに比べると大きなアドバンテージとなる。
ボトムブラケットにはトレックが誇る、市場で最も幅が広い最新規格「BB90」を採用。ボリュームのあるダウンチューブと、ボトムブラケットの幅いっぱいを使って取り付けられたチェーンステーによって、軽量ながらも高いBB剛性を備え、反応性や運動性を高めている。
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くわえて、トレックの十八番である幅広い調整が可能な「ライドチューンドシートマスト」を採用することで、高い軽量性と快適性を獲得している。これらのコンフォート性能は、エンデュランスモデル、ドマーネからのフィードバックによるものも大きいだろう。
また、走行性能に直接影響はないもののユーザビリティに配慮したさまざまな工夫が施されているのもトレックらしいところ。フレームに一体とされたカーボン製チェーンキャッチャー「3Sチェーンキーパー」や、ANT+及びBluetoothに対応するシートステー内蔵型スピード/ケイデンスセンサー「DuoTrap S」といった、使い勝手の良いギミックが格段にエモンダの価値を押し上げてくれる。
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シリーズ展開されるのは、カーボン素材がそれぞれ異なるエモンダSLR、エモンダSL、エモンダSの3種類。その中から今回インプレッションしたのは、最高グレードのOCLV700を使用したSLRグレードのフレームにシマノデュラエースをアッセンブルした実戦的な仕様のエモンダSLR8だ。ホイールには、ボントレガー Race X Lite チューブレスレディ、タイヤには同じくボントレガーR4 Hard-Case Liteの23cを使用した。
トレックのロードバイクに対するテクノロジーを結集して設計された超軽量バイク、エモンダSLR。フレーム重量690gと、一気に軽量バイク戦線に躍り出たトレックの意欲作は、果たしてどう評価されるのか。それでは早速インプレッションに移るとしよう。
―インプレッション
「ヒルクライムがメインになるコースであれば、どういったレベルの乗り手にとっても大きな武器になる」藤野智一(なるしまフレンド)
まず感じるのは軽さです。持っても、乗っても軽い。こういった超軽量バイクは昔だと剛性不足になったりすることもあったのですが、エモンダに関してはそういったことは全然ありません。軽くて薄くて硬いというフレームにありがちな振動吸収性の悪さもなく、非常に高いレベルで振動を吸収、収束してくれます。
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コーナーは、軽さと相まって少しアンダーがでるような腰高感はあります。ブレーキに関してはすごくしっかりしています。フォークも一見細く見えるのですが、非常に剛性が高くダイレクトマウントブレーキの制動力を最大に活かしています。ここは、トレックの昔からの美点ですね。
登りも、シッティングできれいにまわしていった方が気持ちよく進んでいくでしょう。ダンシングでもこじるような踏み方ではなく、きれいな回転を意識していった方がフレームの性格に合っています。ロードレース用のオールラウンダーというよりも、ヒルクライムマシンとしての性格が強いですね。快適性も高いので最近はやりの山岳系ロングライドにももってこいの一台でしょうね。
平坦では、軽さから来る失速感が多少あったものの、ホイールをディープリムに交換すれば解消されるレベルです。レースでも使えるでしょうが、特にヒルクライムがメインになるコースであれば、どういったレベルの乗り手にとっても大きな武器になるでしょう。体重が軽めでギアをかけて踏んでいける人にとっては最高ですね。
「登りは本当に絶好調でゴキゲンなバイク」山本雅道(BICYCLE FACTORY YAMAMOTO)
評判通り、そしてメーカーの狙い通りに軽い乗り心地の、いかにもヒルクライムバイクといった乗り味です。軽量なモノコックバイクにありがちな「パリッ」とした硬さはあまりなく、しっとりとしたラグジュアリーな乗り心地に仕上がっていますね。
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リアバックがかなり細めに作られていますが、剛性が低いということはありません。踏みこんだ力はしっかりと受け止めてくれるだけの剛性をきちんと確保していると感じます。でも、踏み方によっては少しもたつく印象もありました。
横方向にこじるような、重いギアをかけて全開で踏むようなスプリントには不向きかもしれません。そういったシーンで勝負するなら、カーボンディープリムホイールは必須でしょう。かといって、力が逃げているということはないので、ペダリングをきれいにできるテクニックを持ったライダーならば、そういった状況でも十分な性能があります。
とはいえ、そこまでの違いが出るのは非常に大きな出力をかけた場合ですので、初心者ライダーでも非常によく進むバイクであることは間違いありません。快適性も高いですし、ポジションもアップライトなものを選ぶことができますし、懐の深いバイクです。
ハンドリングに関しては、軽量バイク特有の少し腰高感はありますが、基本的にはニュートラルなフィーリングに仕上がっています。パーツアッセンブルもいいですし、ダイレクトマウントブレーキがシートステーについているのも好印象です。整備もしやすいですし、効きも非常に良いです。
プロジェクトワンで好きなカラーが選べるというのも、他の人とは違うバイクに乗りたい人にもうれしいでしょうし、生涯保証がついてくるというのも、やっぱり魅力でしょう。そういった意味で、超軽量バイクでありながらヒルクライムをメインに考える人から、初心者まで幅広い人が乗れるバイクだと思います。
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トレック EMONDA SLR 8
カラー:Matte Trek Black/Trek White/Trek Gold
メインコンポーネント:シマノ 9000系デュラエース
フレーム:フレーム
Ultralight 700 Series OCLV Carbon, ride-tuned performance tube optimization, E2, BB90, internal cable routing, 3S chain keeper, DuoTrap S compatible, Ride Tuned seatmast, 690g(56cm, 重量はフレームサイズにより異なる)
フォーク:Émonda full carbon, E2 asymmetric steerer, carbon dropouts
ジオメトリー:H1、H2
サイズ:50、52、54、56、58、60、62cm
重 量:6.15kg
価 格:918,100円(税込)
インプレライダーのプロフィール
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92年のバルセロナオリンピックロードレースでの21位を皮切りに、94・97年にツール・ド・おきなわ優勝、98、99年は2年連続で全日本ロードチャンピオンとなるなど輝かしい戦歴を持つ。02年に引退してからはチームブリヂストン・アンカーで若手育成に取り組み、11年までは同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務し、現在は神宮店の店長を務める。
なるしまフレンド神宮店
CWレコメンドショップ
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1978年神奈川県藤沢市生まれ。中学生2年生の頃藤沢市の自転車店ワタナベレーシングに入会し本格的に自転車競技を始める。高校卒業後は4年間のヨーロッパ選手生活を経て2000年からは国内トップチームで活躍した。U23全日本選手権2連覇をはじめ、優勝経歴多数。選手時代から地元でキッズ向け自転車スクールを開催するなど活動を行い、2013年6月に出身ショップを引き継ぐかたちで「BICYCLE FACTORY YAMAMOTO」をオープンさせた。
BICYCLE FACTORY YAMAMOTO
ウェア協力:sportful(日直商会)
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO
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