2014/10/29(水) - 09:37
スペシャライズドからリリースされ、その高性能ぶりが話題を呼ぶレーシングロードタイヤ、「S-WORKS TURBO」。今回のインプレッションではコットンケーシングを採用した新型クリンチャー「TURBO COTTON」をテストした。
新たに登場した、黄色のアメサイドが特徴的なTURBO COTTON。通常のS-WORKS TURBOとの差異は、伝統的なアメサイドのフォルムの通りコットンケーシングを使っていることと、タイヤセンター部分のトレッドがスリックパターンとなっていることにある。スペシャライズドが自信を持つ独自開発の“GRIPTON(グリプトン)”と呼ばれるコンパウンドや、耐パンクベルトなどその他の基本設計は共通だ。
コンパウンドまで自社開発していることや、圧倒的な高性能から従来のロード用タイヤからは一歩抜きん出たような印象を持たせるS-WORKS TURBOだが、逆に伝統的なコットンケーシングを取り入れたTURBO COTTONはある意味"先祖帰り"したかのようにもとれる。
そもそも何故、昔からタイヤにはコットンケーシングが使われてきたのだろうか。
ケーシング素材としてのコットンの性質特徴は、弾力性のあるゴムの含浸剤を吸収することにある。このはたらきによってゴムとコットンからなる膜が形成され、ナイロンケーシングと比較してしなやかでなめらかな乗り心地を演出できるのだ。これが生産上非常に手間がかかったり、水分やダメージを比較的受けやすいといったデメリットこそあれど、合成繊維の進歩によってナイロンタイヤが主流となった今でも、特に上級グレードのタイヤにコットンケーシングが多く採用されている理由なのである。
TURBO COTTONでは業界内で最も繊維密度の高い320TPIのコットンケーシングを用い、ここにS-WORKS TURBOによって高い評価を受けているGriptonコンパウンドを組み合わせることで、スペシャライズド曰く「クリンチャーorチューブラーに関わらず、転がり抵抗データが市販のあらゆるタイヤのなかでも最も低い(つまり世界最速)」タイヤが完成したのである。
ちなみに320TPIと聞いてピンとくる方も少なくないだろうが、ケーシング自体はヴィットリアのハイエンドモデル「CORSAシリーズ」と非常に似たもの。ちなみにタイヤサイドにはあらかじめコーティングが施されており、CXやMTBタイヤのように防水剤を塗る手間は必要無い。
TURBO COTTONの実測重量は215gと213g。ヒルクライム用のような超軽量でこそ無いが十分に軽く、S-WORKS TURBO同様にケーシングとトレッドが非常に薄いことが印象的だ。今回のインプレッションはスペシャライズドがプロデュースするRovalのRapide CLX60(リム外幅24.4mm)に装着。空気圧は4〜8気圧の範囲を調整しながら行った。
―インプレッション
まず走り出して気づくのは転がりの軽やかさ。S-WORKS TURBOも素晴しかったが、このTURBO COTTONはセンターのスリックパターンが効いているせいか、クリーンな路面ではもう一段上のスムーズさを味わえる。
コーナーで倒し込んでいくとサイド部分のトレッドパターンが潰れ、まっすぐ走っていたときとは異なる、弾力のあるフィーリングにとって代わる。良く見ればパターンの一つ一つはセンター寄りは小さく、サイド側は大きくできているため挙動の変化もとても自然で扱いやすい。
[img_assist|nid=150070|title=S-WORKS TURBOの高性能を引き継ぎつつ、しなやかさをプラスした乗り味。直線の転がり抵抗の低さには目を見張る|desc=|link=node|align=left|width=360|height=]完全なスリックパターンは滑りはじめの挙動が掴みにくいことが良くあるが、TURBO COTTONはコーナリング中でも路面の凹凸を包み込んで消してしまうかのよう。ここに突出したグリップ力を持つGRIPTONコンパウンドが組み合わされることで路面をがっちりと掴み、完全なウェットコンディションでも怖い思いをする場面がほとんど無かった。
コットンケーシングと聞くとソフト一辺倒な乗り心地を想像しがちだろう。TURBO COTTONはS-WORKS TURBOよりも若干しなやかではあるものの潰れてしまうほどでは無く、芯の通ったモチモチとした乗り味だ。
快適性も優秀で、前述した通りコンパウンドやケーシングが突き上げを吸収してくれるため、路面のアンジュレーションにハンドルがとられてしまうことも少ないように感じた。
ただし24cではあるもののあくまで「ロードレーシングタイヤ」であり、ダート走行には向かない。繊維の損傷や水分吸収を防ぐ必要があるため、サイドを傷つけないように扱いたいものだ。
タイヤの摩耗はS-WORKS TURBO同様に早めだ。ただしセンタースリックであるため、S-WORKS TURBOよりは頻繁なローテーションを必要としないだろう。トレッド中央部にはホール(穴)状のインジケータがあるので、交換のタイミングも分かりやすい上、表面の凹凸パターンが無くなっても著しい性能低下を抑えていると言うので、まだまだ安心して使えそうだ。
TURBO COTTONの登場によってますます魅力的になったスペシャライズドのロードタイヤ。摩耗が比較的早いこと、そして1つ9,720円と決して気軽に購入できる製品ではないが、純粋に速さを求めたり、レーシー寄りの上質なライディングを楽しみたい方にとっての決定打あることは間違いない。その中で扱いがラクでカッチリとした乗り味が好きならばS-WORKS TURBOを、平坦路でスピードを楽しんだり、ソフトよりな乗り味が好きならばTURBO COTTONを選べば良いはずだ。
スペシャライズド TURBO COTTON
ケーシング:320 TPI Polycotton
ビード:折り畳み可
コンパウンド:GRIPTON
耐パンク性能:BlackBelt
サイズ:700×24
空気圧:psi 115~125
重量:約210g
新たに登場した、黄色のアメサイドが特徴的なTURBO COTTON。通常のS-WORKS TURBOとの差異は、伝統的なアメサイドのフォルムの通りコットンケーシングを使っていることと、タイヤセンター部分のトレッドがスリックパターンとなっていることにある。スペシャライズドが自信を持つ独自開発の“GRIPTON(グリプトン)”と呼ばれるコンパウンドや、耐パンクベルトなどその他の基本設計は共通だ。
コンパウンドまで自社開発していることや、圧倒的な高性能から従来のロード用タイヤからは一歩抜きん出たような印象を持たせるS-WORKS TURBOだが、逆に伝統的なコットンケーシングを取り入れたTURBO COTTONはある意味"先祖帰り"したかのようにもとれる。
そもそも何故、昔からタイヤにはコットンケーシングが使われてきたのだろうか。
ケーシング素材としてのコットンの性質特徴は、弾力性のあるゴムの含浸剤を吸収することにある。このはたらきによってゴムとコットンからなる膜が形成され、ナイロンケーシングと比較してしなやかでなめらかな乗り心地を演出できるのだ。これが生産上非常に手間がかかったり、水分やダメージを比較的受けやすいといったデメリットこそあれど、合成繊維の進歩によってナイロンタイヤが主流となった今でも、特に上級グレードのタイヤにコットンケーシングが多く採用されている理由なのである。
TURBO COTTONでは業界内で最も繊維密度の高い320TPIのコットンケーシングを用い、ここにS-WORKS TURBOによって高い評価を受けているGriptonコンパウンドを組み合わせることで、スペシャライズド曰く「クリンチャーorチューブラーに関わらず、転がり抵抗データが市販のあらゆるタイヤのなかでも最も低い(つまり世界最速)」タイヤが完成したのである。
ちなみに320TPIと聞いてピンとくる方も少なくないだろうが、ケーシング自体はヴィットリアのハイエンドモデル「CORSAシリーズ」と非常に似たもの。ちなみにタイヤサイドにはあらかじめコーティングが施されており、CXやMTBタイヤのように防水剤を塗る手間は必要無い。
TURBO COTTONの実測重量は215gと213g。ヒルクライム用のような超軽量でこそ無いが十分に軽く、S-WORKS TURBO同様にケーシングとトレッドが非常に薄いことが印象的だ。今回のインプレッションはスペシャライズドがプロデュースするRovalのRapide CLX60(リム外幅24.4mm)に装着。空気圧は4〜8気圧の範囲を調整しながら行った。
―インプレッション
まず走り出して気づくのは転がりの軽やかさ。S-WORKS TURBOも素晴しかったが、このTURBO COTTONはセンターのスリックパターンが効いているせいか、クリーンな路面ではもう一段上のスムーズさを味わえる。
コーナーで倒し込んでいくとサイド部分のトレッドパターンが潰れ、まっすぐ走っていたときとは異なる、弾力のあるフィーリングにとって代わる。良く見ればパターンの一つ一つはセンター寄りは小さく、サイド側は大きくできているため挙動の変化もとても自然で扱いやすい。
[img_assist|nid=150070|title=S-WORKS TURBOの高性能を引き継ぎつつ、しなやかさをプラスした乗り味。直線の転がり抵抗の低さには目を見張る|desc=|link=node|align=left|width=360|height=]完全なスリックパターンは滑りはじめの挙動が掴みにくいことが良くあるが、TURBO COTTONはコーナリング中でも路面の凹凸を包み込んで消してしまうかのよう。ここに突出したグリップ力を持つGRIPTONコンパウンドが組み合わされることで路面をがっちりと掴み、完全なウェットコンディションでも怖い思いをする場面がほとんど無かった。
コットンケーシングと聞くとソフト一辺倒な乗り心地を想像しがちだろう。TURBO COTTONはS-WORKS TURBOよりも若干しなやかではあるものの潰れてしまうほどでは無く、芯の通ったモチモチとした乗り味だ。
快適性も優秀で、前述した通りコンパウンドやケーシングが突き上げを吸収してくれるため、路面のアンジュレーションにハンドルがとられてしまうことも少ないように感じた。
ただし24cではあるもののあくまで「ロードレーシングタイヤ」であり、ダート走行には向かない。繊維の損傷や水分吸収を防ぐ必要があるため、サイドを傷つけないように扱いたいものだ。
タイヤの摩耗はS-WORKS TURBO同様に早めだ。ただしセンタースリックであるため、S-WORKS TURBOよりは頻繁なローテーションを必要としないだろう。トレッド中央部にはホール(穴)状のインジケータがあるので、交換のタイミングも分かりやすい上、表面の凹凸パターンが無くなっても著しい性能低下を抑えていると言うので、まだまだ安心して使えそうだ。
TURBO COTTONの登場によってますます魅力的になったスペシャライズドのロードタイヤ。摩耗が比較的早いこと、そして1つ9,720円と決して気軽に購入できる製品ではないが、純粋に速さを求めたり、レーシー寄りの上質なライディングを楽しみたい方にとっての決定打あることは間違いない。その中で扱いがラクでカッチリとした乗り味が好きならばS-WORKS TURBOを、平坦路でスピードを楽しんだり、ソフトよりな乗り味が好きならばTURBO COTTONを選べば良いはずだ。
スペシャライズド TURBO COTTON
ケーシング:320 TPI Polycotton
ビード:折り畳み可
コンパウンド:GRIPTON
耐パンク性能:BlackBelt
サイズ:700×24
空気圧:psi 115~125
重量:約210g
リンク
Amazon.co.jp