2014/09/22(月) - 11:11
「一番強い選手が勝ったレース」と評したのはブリヂストンアンカー水谷壮宏監督。実業団最高峰のレースは、内間康平が序盤から130km以上の逃げを成功させ優勝。チームは輪翔旗を持ち帰った。
年間21戦のJプロツアー。その中でもレースレイティングが最も高いAAAの大会がJプロツアー第15戦の経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。実業団ロードのチャンピオンを決めるとともに、チームとして最重要の団体優勝に贈られる経済産業大臣旗をかけた戦いでもある大会。
9月20、21日に広島県中央森林公園で行なわれた経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。コースはアップダウンとカーブの多い1周12.3km。様々な走りのタイプの選手にチャンスがある名コース。初日は肌寒ささえ感じられる曇り空のもとYクラスタなど行われた。
Yクラスタ 松山聖陵高がワン・ツー 岡崎陸登が優勝
4周49.2kmで行なわれたYクラスタ。序盤から大町健斗(チームサイクルプラス)、椙田明仁(ARAI MURACA)、日野竜嘉(松山聖陵高)、平林楓輝(松山聖陵高)らが仕掛ける。全国大会でも実績のある日野、そしてリーダージャージの藤田拓海(横浜高校自転車競技部)を意識しての動きが中心。そのなかで5人出走の松山聖陵高がアタックを繰り出しあるいは追走に回る。集団は崩れないままゴールスプリントとなり、これを岡崎陸登(松山聖陵高)が制し優勝。2位にも同校の平林が入った。
優勝した岡崎陸登(松山聖陵高)
「最初は4人で逃げられればと走ったが、それができなかったので途中からスプリント勝負に切り替えました。スプリントには自信がありました」と語る岡崎は登録者レース初優勝。自分達で考えたという、実績のある日野をアシストにした作戦が功を奏した。なお翌日のE3クラスタでも岡崎が連勝、2位に同校の近藤翔馬が入りふたたびのワン・ツーを達成。
国内チームが集結のP1クラスタ
最高ランクの本大会はもちろんポイントも高く、シーズン後半に入り年間のランキングに直接影響する重要な大会。1週間前のツール・ド・北海道の勢いそのままで広島へ乗り込んできたチームがほとんど。なかでも北海道で好調さを見せたブリヂストンアンカーは8名のフルメンバー。3年連続優勝者を出しているマトリックスパワータグ、ルビーレッドジャージを巡るチーム右京と宇都宮ブリッツェンの戦いなども焦点に。
9月21日(日)、13周159.9kmのレースに122人が9時30分にスタート。直後の下り区間からアタックが開始。中心はブリヂストンアンカー、マトリックスパワータグなど。逃げが決まったのは3周目前半の下り区間。十数名が先行、数人が合流して16人の逃げができる。内間康平(ブリヂストンアンカー)、入部正太朗(シマノレーシング)らを含むこの逃げは最終的にゴールまで届くことに。
16人の逃げを積極的に引くのはマトリックスパワータグら。ゴールまで逃げ切りを決めたい選手たちと、メイン集団にエースを残す選手たちとが混在し、メイン集団との差は2分ほどに開くが安定しない。逃げ集団の中で積極的な選手たちが先行するが再びまとまるなどして8周目には13人に。メイン集団からはチーム右京を中心とした10人ほどが抜け出す。
9周目、分裂と吸収を繰り返した先頭集団から内間がアタック、これにアイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)と普久原奨(那須ブラーゼン)が合流、さらに10周目に入部と大場政登志(クロップス×チャンピオンシステム)が加わり先頭は5人に。11周目には先頭5人は変わらず、第2集団の8人にメイン集団から抜け出した7人が合流し、先頭5人と追走15人に。差は2分半あり逃げ切りも視野に入る。
12周目に入る前の坂で内間がアタック、さらに12周目すぐの下りへ入る箇所で入部がアタック。この2人は合流して先頭集団を作る。先頭よりも後方はひとつにまとまって15人の追走に。2分差を最終周回序盤には20秒差にまで詰めるが、吸収目前で追撃がストップし、差は逆に一時1分半にまで広がる。先頭の2人はアタックなしで最後の坂をクリア、ホームストレートでのスプリント勝負となりこれを内間が制して優勝。追走集団は15秒後に畑中勇介(シマノレーシング)先頭でフィニッシュ。
序盤から積極的に逃げ集団を牽引した内間の実力と勝負勘が功を奏した。好調だったツール・ド・北海道は第3ステージでも同様に逃げたが最終的に吸収された。入部とはそのときと同じメンバーでお互いにリベンジを誓い「ともに逃げてゴール勝負で」と思惑が一致していた。
最終周回に20秒差にまで迫りながら脚の止まった追走集団。スプリンターのいないチーム右京は先頭を吸収しても勝機が見えない、宇都宮ブリッツェンはもはや2人しか残っておらず動きにくいなどの理由で止まってしまった。だが最大は内間と入部があきらめずに逃げ続けたことだ。特に内間は今年に入ってからツール・ド・シンカラでステージ2勝を上げ、そのときの必勝パターンに持ち込んだ。国内での優勝は鹿屋体育大4年当時のインカレロード以来だ。
ブリヂストンアンカー 水谷壮宏監督のコメント
今日は彼(内間)が強かったからこその展開だった。前々で展開する今日のレースはチームの状況から予想していたこと。展開にも恵まれたが、一番強い選手が勝つということを実証できた。
優勝した内間康平(ブリヂストンアンカー)のコメント
先週のツール・ド・北海道で悔しい思いをしていたが、この大会で優勝できる力はあると思ったので、調子を合わせてきた。昨日も今朝も調子よく行けると思っていた。前々で展開する自分の走りに持ち込めた。入部と2人で逃げたとき、後ろが見えていたがむこうもきついと思っていたのでペースを上げた。「北海道のリベンジを」と入部と話して協調体制を持った。後ろで動いてくれたチームメイトのおかげ。今日は最初から最後までパーフェクト。今まで攻めてたくさん失敗してきているからこその自信があった。
結果
P1クラスタ 159.9km
1位 内間康平(ブリヂストンアンカー)4時間04分44秒
2位 入部正太朗(シマノレーシング)
3位 畑中勇介(シマノレーシング)+15秒
4位 エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+16秒
6位 リカルド・ガルシア(チーム右京)
7位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+17秒
8位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+18秒
9位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)
10位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+20秒
団体成績
1位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 3700点
2位 シマノレーシング 2900点
3位 チーム右京 2600点
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(チーム右京)
U23リーダー 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)
Fクラスタ 61.5km
1位 吉川美穂(Team ASAHI)1時間56分55秒
2位 西加南子(LUMINALIA)
3位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)+01秒
Yクラスタ 49.2km
1位 岡崎陸登(松山聖陵高等学校)1時間20分15秒
2位 平林楓輝(松山聖陵高等学校)
3位 蠣崎優仁(EQADS)+01秒
Jユースツアー年間チャンピオン 藤田拓海(横浜高校自転車競技部)
E1クラスタ 86.1km
1位 米谷隆志(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)2時間14分02秒
2位 宇田川陽平(ブラウ・ブリッツェン)+10秒
3位 中野公之(チームリマサンズ)+11秒
4位 永山貴浩(チーム・アヴェル)
5位 近藤良亮(KINAN AACA)
6位 松木健治(クラブシルベスト)
E2クラスタ 49.2km
1位 濱野克悠(バルバレーシングクラブ)1時間18分27秒
2位 齋藤翼(ボンシャンス)
3位 酒居良和(WILD PIGs)
4位 利田卓也(チーム・Y)
5位 山田陽一(トンデモクラブ CSKAGA)
6位 宮近拓二(VC Fukuoka Oceans)+01秒
E3クラスタ 49.2km
1位 岡崎陸登(松山聖陵高等学校)1時間17分39秒
2位 近藤翔馬(松山聖陵高等学校)
3位 公文拓真(徳島サイクルレーシング)
4位 高橋史仁(大阪府立大学)+01秒
5位 椙田明仁(ARAI MURACA)+02秒
6位 高野翔太(大阪大学 Cuesta Azul)
photo&text:高木秀彰
年間21戦のJプロツアー。その中でもレースレイティングが最も高いAAAの大会がJプロツアー第15戦の経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。実業団ロードのチャンピオンを決めるとともに、チームとして最重要の団体優勝に贈られる経済産業大臣旗をかけた戦いでもある大会。
9月20、21日に広島県中央森林公園で行なわれた経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。コースはアップダウンとカーブの多い1周12.3km。様々な走りのタイプの選手にチャンスがある名コース。初日は肌寒ささえ感じられる曇り空のもとYクラスタなど行われた。
Yクラスタ 松山聖陵高がワン・ツー 岡崎陸登が優勝
4周49.2kmで行なわれたYクラスタ。序盤から大町健斗(チームサイクルプラス)、椙田明仁(ARAI MURACA)、日野竜嘉(松山聖陵高)、平林楓輝(松山聖陵高)らが仕掛ける。全国大会でも実績のある日野、そしてリーダージャージの藤田拓海(横浜高校自転車競技部)を意識しての動きが中心。そのなかで5人出走の松山聖陵高がアタックを繰り出しあるいは追走に回る。集団は崩れないままゴールスプリントとなり、これを岡崎陸登(松山聖陵高)が制し優勝。2位にも同校の平林が入った。
優勝した岡崎陸登(松山聖陵高)
「最初は4人で逃げられればと走ったが、それができなかったので途中からスプリント勝負に切り替えました。スプリントには自信がありました」と語る岡崎は登録者レース初優勝。自分達で考えたという、実績のある日野をアシストにした作戦が功を奏した。なお翌日のE3クラスタでも岡崎が連勝、2位に同校の近藤翔馬が入りふたたびのワン・ツーを達成。
国内チームが集結のP1クラスタ
最高ランクの本大会はもちろんポイントも高く、シーズン後半に入り年間のランキングに直接影響する重要な大会。1週間前のツール・ド・北海道の勢いそのままで広島へ乗り込んできたチームがほとんど。なかでも北海道で好調さを見せたブリヂストンアンカーは8名のフルメンバー。3年連続優勝者を出しているマトリックスパワータグ、ルビーレッドジャージを巡るチーム右京と宇都宮ブリッツェンの戦いなども焦点に。
9月21日(日)、13周159.9kmのレースに122人が9時30分にスタート。直後の下り区間からアタックが開始。中心はブリヂストンアンカー、マトリックスパワータグなど。逃げが決まったのは3周目前半の下り区間。十数名が先行、数人が合流して16人の逃げができる。内間康平(ブリヂストンアンカー)、入部正太朗(シマノレーシング)らを含むこの逃げは最終的にゴールまで届くことに。
16人の逃げを積極的に引くのはマトリックスパワータグら。ゴールまで逃げ切りを決めたい選手たちと、メイン集団にエースを残す選手たちとが混在し、メイン集団との差は2分ほどに開くが安定しない。逃げ集団の中で積極的な選手たちが先行するが再びまとまるなどして8周目には13人に。メイン集団からはチーム右京を中心とした10人ほどが抜け出す。
9周目、分裂と吸収を繰り返した先頭集団から内間がアタック、これにアイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)と普久原奨(那須ブラーゼン)が合流、さらに10周目に入部と大場政登志(クロップス×チャンピオンシステム)が加わり先頭は5人に。11周目には先頭5人は変わらず、第2集団の8人にメイン集団から抜け出した7人が合流し、先頭5人と追走15人に。差は2分半あり逃げ切りも視野に入る。
12周目に入る前の坂で内間がアタック、さらに12周目すぐの下りへ入る箇所で入部がアタック。この2人は合流して先頭集団を作る。先頭よりも後方はひとつにまとまって15人の追走に。2分差を最終周回序盤には20秒差にまで詰めるが、吸収目前で追撃がストップし、差は逆に一時1分半にまで広がる。先頭の2人はアタックなしで最後の坂をクリア、ホームストレートでのスプリント勝負となりこれを内間が制して優勝。追走集団は15秒後に畑中勇介(シマノレーシング)先頭でフィニッシュ。
序盤から積極的に逃げ集団を牽引した内間の実力と勝負勘が功を奏した。好調だったツール・ド・北海道は第3ステージでも同様に逃げたが最終的に吸収された。入部とはそのときと同じメンバーでお互いにリベンジを誓い「ともに逃げてゴール勝負で」と思惑が一致していた。
最終周回に20秒差にまで迫りながら脚の止まった追走集団。スプリンターのいないチーム右京は先頭を吸収しても勝機が見えない、宇都宮ブリッツェンはもはや2人しか残っておらず動きにくいなどの理由で止まってしまった。だが最大は内間と入部があきらめずに逃げ続けたことだ。特に内間は今年に入ってからツール・ド・シンカラでステージ2勝を上げ、そのときの必勝パターンに持ち込んだ。国内での優勝は鹿屋体育大4年当時のインカレロード以来だ。
ブリヂストンアンカー 水谷壮宏監督のコメント
今日は彼(内間)が強かったからこその展開だった。前々で展開する今日のレースはチームの状況から予想していたこと。展開にも恵まれたが、一番強い選手が勝つということを実証できた。
優勝した内間康平(ブリヂストンアンカー)のコメント
先週のツール・ド・北海道で悔しい思いをしていたが、この大会で優勝できる力はあると思ったので、調子を合わせてきた。昨日も今朝も調子よく行けると思っていた。前々で展開する自分の走りに持ち込めた。入部と2人で逃げたとき、後ろが見えていたがむこうもきついと思っていたのでペースを上げた。「北海道のリベンジを」と入部と話して協調体制を持った。後ろで動いてくれたチームメイトのおかげ。今日は最初から最後までパーフェクト。今まで攻めてたくさん失敗してきているからこその自信があった。
結果
P1クラスタ 159.9km
1位 内間康平(ブリヂストンアンカー)4時間04分44秒
2位 入部正太朗(シマノレーシング)
3位 畑中勇介(シマノレーシング)+15秒
4位 エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+16秒
6位 リカルド・ガルシア(チーム右京)
7位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+17秒
8位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+18秒
9位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)
10位 安原大貴(マトリックスパワータグ)+20秒
団体成績
1位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 3700点
2位 シマノレーシング 2900点
3位 チーム右京 2600点
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(チーム右京)
U23リーダー 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)
Fクラスタ 61.5km
1位 吉川美穂(Team ASAHI)1時間56分55秒
2位 西加南子(LUMINALIA)
3位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)+01秒
Yクラスタ 49.2km
1位 岡崎陸登(松山聖陵高等学校)1時間20分15秒
2位 平林楓輝(松山聖陵高等学校)
3位 蠣崎優仁(EQADS)+01秒
Jユースツアー年間チャンピオン 藤田拓海(横浜高校自転車競技部)
E1クラスタ 86.1km
1位 米谷隆志(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)2時間14分02秒
2位 宇田川陽平(ブラウ・ブリッツェン)+10秒
3位 中野公之(チームリマサンズ)+11秒
4位 永山貴浩(チーム・アヴェル)
5位 近藤良亮(KINAN AACA)
6位 松木健治(クラブシルベスト)
E2クラスタ 49.2km
1位 濱野克悠(バルバレーシングクラブ)1時間18分27秒
2位 齋藤翼(ボンシャンス)
3位 酒居良和(WILD PIGs)
4位 利田卓也(チーム・Y)
5位 山田陽一(トンデモクラブ CSKAGA)
6位 宮近拓二(VC Fukuoka Oceans)+01秒
E3クラスタ 49.2km
1位 岡崎陸登(松山聖陵高等学校)1時間17分39秒
2位 近藤翔馬(松山聖陵高等学校)
3位 公文拓真(徳島サイクルレーシング)
4位 高橋史仁(大阪府立大学)+01秒
5位 椙田明仁(ARAI MURACA)+02秒
6位 高野翔太(大阪大学 Cuesta Azul)
photo&text:高木秀彰
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