2014/09/13(土) - 12:53
北米カナダで開催された第5回グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(UCIワールドツアー)で、オーストラリアチャンピオンが勝負強さを見せつけた。一時はメカトラで戦線を離脱しながらも、チームワークで勝負に持ち込んだサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が大会2勝目を掴み取った。
ケベックのランドマーク的存在のホテル「フェアモント・ル・シャトー・フロンテナック」 photo:Cor Vos
グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2014 photo:gpcqm.caロード世界選手権開幕を1週間後に控えた週末に、カナダで開催されるグランプリ・シクリスト・ド・ケベックとグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル2連戦。UCIワールドツアーに組み込まれたこの北米2連戦はブエルタと並ぶ世界選手権の調整レースとして知られる。
逃げる新城幸也(ユーロップカー)ら4名 photo:gpcqm.ca初戦のケベックはその名の通りフランス語圏ケベック州の州都ケベック市を舞台にした199kmのワンデーレース。旧市街とセントローレンス川を繋ぐ周回コースの大部分は平坦で、終盤4kmに勾配のある短い登りが3カ所設定されている。
フィニッシュ手前の補給ポイントを通過するプロトン photo:Cor Vosレースはこの18.1km周回を合計11周。一日の獲得標高差は2,310m足らずだが、急勾配の登りがフィナーレに詰め込まれているため、過去4回の大会ではアタッカーやパンチャーが勝利を掴んでいる。
18.1km周回コースの後半にかけてケベック旧市街を走る photo:Cor Vos気温18度の快晴の中レースがスタートすると、14km地点で形成された逃げグループに新城幸也(ユーロップカー)が乗った。デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ベルキン)、ヤン・ポランク(スロベニア、ランプレ・メリダ)、モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)と4名で逃げた新城はメイン集団から最大10分42秒のリードを稼ぎ出すことに成功。GPM(カテゴリー山岳)でファンヴィンデンと競り合いながら新城が長時間レースの先頭で走り続けた。
オリカ・グリーンエッジ、BMCレーシング、ガーミン・シャープが率いるメイン集団はジワリジワリとタイム差を詰め、フィニッシュまで4周を残してタイム差は早くも1分を割り込む。新城が登りでペースアップを仕掛けるシーンも見られたが残り3周突入を前に逃げは全て吸収。他の逃げメンバーがそのままリタイアを選ぶ中、新城はブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)のアシストとして継続的に集団内で仕事をこなした。
残り2周に向かう登りでカウンターアタックが掛かり、続いてケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)やヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)、ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)、イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)ら11名が飛び出す展開に。
新たに形成されたこの11名グループに、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)やヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がブリッジを仕掛けて合流。こうして15名の巨大なグループが25秒先行して最終周回に入った。
しかし人数の多さによる協調体制の欠如とチームスカイやキャノンデールの集団牽引によって残り6km地点で再びレースはフリダシに。勝負の行方は最後の登りに委ねられた。
ケベック旧市街を駆け上がるプロトン photo:Cor Vos
ランプレ・メリダとオリカ・グリーンエッジがリードアウトする形で登りに突入し、そこからイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、ペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)が飛び出して残り1km。
登りスプリントで勝利したサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Cor Vosオリカ・グリーンエッジによる懸命の追撃によって先頭3名は吸収。すると4%の緩斜面でトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)がロングスパート。得意の独走力を活かして先行したドゥムランを、ゲランスが軽快なスプリントで追いかけた。
「スプリントに向けてハイスピードなフィナーレだった。飛び出した数名(ファネンデルトやヴァンガーデレン)を捕まえるためにピーター・ウェーニングとミハエル・アルバジーニが牽引。そこからダリル・インピーのリードアウトを受けて先頭に上がった。残り300mでトム・ドゥムランがスパートを仕掛けた時は、すぐにスプリントで応戦すべきか待つべきか悩んだよ。残り250mを切ってから、向かい風の登りでスプリントを開始。かなり長いスプリントだった」というゲランスが、失速するドゥムランをかわして先頭へ。勢いのあるスプリントで勝利を射止めた。
「残り20kmはストレスフルだった。最終周回を前にメカトラでストップしてしまったので、もう終わったと思ったよ。でもすぐにチームカーが駆けつけてくれたおかげで素早くバイクを交換して再スタート。幸いメイン集団のスピードが弱まったので、すぐに集団復帰出来た。メカトラから集団復帰、そして勝負に持ち込むまで、チームメイトのサポート無しには実現出来なかった」と、2012年に続く2度目の勝利を飾ったゲランスは語る。5年の歴史の中で2勝目を飾った選手はゲランスが初。オリカ・グリーンエッジは創設以来100勝目となる記念すべき勝利をカナダの地で飾った。
次戦グランプリ・シクリスト・ド・モンレアルは9月14日(日)に開催。ケベックよりもアップダウンの厳しいモントリオール市内の周回コースで行なわれる。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ケベックの表彰台に登るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら photo:Cor Vos
グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2014結果
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 4h42'54"
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
3位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
5位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
8位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
9位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
10位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
69位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +41"
山岳賞
1位 デーヴィッド・タナー(オーストラリア、ベルキン) 10pts
2位 マイケル・ウッズ(カナダ、カナダナショナル) 10pts
3位 新城幸也(日本、ユーロップカー) 7pts
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, gpcqm.ca
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オリカ・グリーンエッジ、BMCレーシング、ガーミン・シャープが率いるメイン集団はジワリジワリとタイム差を詰め、フィニッシュまで4周を残してタイム差は早くも1分を割り込む。新城が登りでペースアップを仕掛けるシーンも見られたが残り3周突入を前に逃げは全て吸収。他の逃げメンバーがそのままリタイアを選ぶ中、新城はブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)のアシストとして継続的に集団内で仕事をこなした。
残り2周に向かう登りでカウンターアタックが掛かり、続いてケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)やヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)、ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)、イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)ら11名が飛び出す展開に。
新たに形成されたこの11名グループに、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)やヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がブリッジを仕掛けて合流。こうして15名の巨大なグループが25秒先行して最終周回に入った。
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「スプリントに向けてハイスピードなフィナーレだった。飛び出した数名(ファネンデルトやヴァンガーデレン)を捕まえるためにピーター・ウェーニングとミハエル・アルバジーニが牽引。そこからダリル・インピーのリードアウトを受けて先頭に上がった。残り300mでトム・ドゥムランがスパートを仕掛けた時は、すぐにスプリントで応戦すべきか待つべきか悩んだよ。残り250mを切ってから、向かい風の登りでスプリントを開始。かなり長いスプリントだった」というゲランスが、失速するドゥムランをかわして先頭へ。勢いのあるスプリントで勝利を射止めた。
「残り20kmはストレスフルだった。最終周回を前にメカトラでストップしてしまったので、もう終わったと思ったよ。でもすぐにチームカーが駆けつけてくれたおかげで素早くバイクを交換して再スタート。幸いメイン集団のスピードが弱まったので、すぐに集団復帰出来た。メカトラから集団復帰、そして勝負に持ち込むまで、チームメイトのサポート無しには実現出来なかった」と、2012年に続く2度目の勝利を飾ったゲランスは語る。5年の歴史の中で2勝目を飾った選手はゲランスが初。オリカ・グリーンエッジは創設以来100勝目となる記念すべき勝利をカナダの地で飾った。
次戦グランプリ・シクリスト・ド・モンレアルは9月14日(日)に開催。ケベックよりもアップダウンの厳しいモントリオール市内の周回コースで行なわれる。
選手コメントはチーム公式サイトより。
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1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 4h42'54"
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3位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
5位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
8位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
9位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
10位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
69位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +41"
山岳賞
1位 デーヴィッド・タナー(オーストラリア、ベルキン) 10pts
2位 マイケル・ウッズ(カナダ、カナダナショナル) 10pts
3位 新城幸也(日本、ユーロップカー) 7pts
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, gpcqm.ca