2009/08/24(月) - 14:53
8月21日から23日までの3日間に渡って開催された第35回ツアー・オブ・アイルランド（UCI2.1）は2005年英国チャンピオンのラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）が総合優勝。注目が集まったランス・アームストロング（アメリカ、アスタナ）は最終日途中リタイアに終わった。
ツアー・オブ・アイルランド2009コースマップ photo:www.tourofireland.ie1953年に初開催され、2度の中断期間を経て今年で開催35回目を迎えるツアー・オブ・アイルランド。70年代には現UCI（国際自転車競技連盟）会長のパット・マックエイド（アイルランド）が2度総合優勝に輝いている。1985年から1992年までの8年間は「ニッサン・クラシック」として開催されていた。
2009年大会は期間が5日間から3日間に短縮されたが、出場チームはアスタナやチームコロンビア・HTC、サクソバンクのプロツアー3チームを中心に豪華な顔ぶれ。特にランス・アームストロング（アメリカ）の存在が際立った。
今シーズン最終戦に臨んだランス・アームストロング（アメリカ、アスタナ） photo:www.tourofireland.ieレースは初日にステージ優勝を飾った元英国チャンピオンのラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）が、安定した走りで最後までリーダージャージを守り抜いた。ダウニングは昨年の総合2位から順位を1つ上げ、悲願の総合優勝。奇しくも大会最終日の8月23日はダウニング31歳の誕生日だった。
昨年ステージ3連勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、チームコロンビア・HTC）は、下馬評通り第2ステージでスプリント勝利。カヴェンディッシュは、シーズン通算勝利数を21に伸ばしている。カヴェンディッシュのチームメイトで、大会2連覇を狙っていたマルコ・ピノッティ（イタリア）は総合5位に終わった。
ヨーロッパのレースデビューを飾ったアドリエン・ニジョンシュティ（ルワンダ、MTNエネルゲード） photo:www.tourofireland.ie注目のアームストロングは初日から逃げに乗る積極性を見せたが、結果には結びつかず。冷たい雨に見舞われた完走者47名の最終ステージで、背中の痛みを訴えてリタイアした。
現役復帰後、合計72日間レースに出場したアームストロングは、このツアー・オブ・アイルランドを最後に今シーズンのレース活動を終了。来シーズンは、自ら設立した「チームレディオシャック」で再びツールの頂点を目指す。
今大会のもう一つの注目は、アフリカ生まれのアドリエン・ニジョンシュティ（ルワンダ、MTNエネルゲード）が出場したことだろう。レース公式サイトによると、ニジョンシュティは22歳の山岳スペシャリスト。昨年のツアー・オブ・ルワンダでステージ6勝＆総合優勝を飾り、アメリカ人コーチに才能を見いだされて南アフリカ登録の現チームに移籍した。1994年のルワンダ紛争で6人の兄弟を虐殺されたという壮絶な過去をもつ選手だ。
このツアー・オブ・アイルランドでヨーロッパデビューを飾ったニジョンシュティは、残念ながら最終ステージ途中リタイアに終わった。しかしこのルワンダ人の挑戦をきっかけに、アフリカ系選手がロードレースシーンに旋風を巻き起こす可能性は充分にある。
8月21日（金）第1ステージ パワースコート〜ウォーターフォード 196km
第1ステージ 田舎町を通過する昨年度覇者のマルコ・ピノッティ（イタリア、チームコロンビア・HTC） photo:www.tourofireland.ie
第1ステージ 昨年総合2位のラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）が優勝 photo:www.tourofireland.ie
第1ステージ結果
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）5h10'37"
2位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+01"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）
4位 フィリップ・ダイグナン（アイルランド、サーヴェロ）
5位 アイマル・スベルディア（スペイン、アスタナ）
個人総合成績
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）5h10'27"
2位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+05"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+07"
4位 フィリップ・ダイグナン（アイルランド、サーヴェロ）+11"
5位 アイマル・スベルディア（スペイン、アスタナ）
8月22日（土）第2ステージ クロンメル〜キラーニー 196km
第2ステージ アイルランド南部の丘陵地帯を進む photo:www.tourofireland.ie
第2ステージ スプリント勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、チームコロンビア・HTC） photo:www.tourofireland.ie
第2ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ（イギリス、チームコロンビア・HTC）5h07'33"
2位 ミハエル・ファンスタイェン（ベルギー、ラボバンク・コンチネンタル）
3位 スチュアート・オグレディ（オーストラリア、サクソバンク）
4位 アレクサンダー・クリストフ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）
5位 ステフェン・ファンフォーレン（ベルギー、アンポスト・ショーンケリー）
個人総合成績
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）10h18'00"
2位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+05"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+07"
4位 フィリップ・ダイグナン（アイルランド、サーヴェロ）+10"
5位 マルコ・ピノッティ（イタリア、チームコロンビア・HTC）+11"
8月23日（日）第3ステージ バントリー〜コーク 185km
第3ステージ 雨の田園風景の中を駆け抜ける photo:www.tourofireland.ie
第3ステージ 競り合うラーシュペッテル・ノルダーグ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）と総合首位のラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV） photo:www.tourofireland.ie
第3ステージ結果
1位 ラーシュペッテル・ノルダーグ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）4h00'10"
2位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+33"
4位 クレイグ・ルイス（アメリカ、チームコロンビア・HTC）
5位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）
個人総合成績
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）14h18'03"
2位 ラーシュペッテル・ノルダーグ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）+23"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+43"
4位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+45"
5位 マルコ・ピノッティ（イタリア、チームコロンビア・HTC）+49"
text:Kei Tsuji
photo:www.tourofireland.ie
ツアー・オブ・アイルランド2009コースマップ photo:www.tourofireland.ie1953年に初開催され、2度の中断期間を経て今年で開催35回目を迎えるツアー・オブ・アイルランド。70年代には現UCI（国際自転車競技連盟）会長のパット・マックエイド（アイルランド）が2度総合優勝に輝いている。1985年から1992年までの8年間は「ニッサン・クラシック」として開催されていた。2009年大会は期間が5日間から3日間に短縮されたが、出場チームはアスタナやチームコロンビア・HTC、サクソバンクのプロツアー3チームを中心に豪華な顔ぶれ。特にランス・アームストロング（アメリカ）の存在が際立った。
今シーズン最終戦に臨んだランス・アームストロング（アメリカ、アスタナ） photo:www.tourofireland.ieレースは初日にステージ優勝を飾った元英国チャンピオンのラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）が、安定した走りで最後までリーダージャージを守り抜いた。ダウニングは昨年の総合2位から順位を1つ上げ、悲願の総合優勝。奇しくも大会最終日の8月23日はダウニング31歳の誕生日だった。昨年ステージ3連勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、チームコロンビア・HTC）は、下馬評通り第2ステージでスプリント勝利。カヴェンディッシュは、シーズン通算勝利数を21に伸ばしている。カヴェンディッシュのチームメイトで、大会2連覇を狙っていたマルコ・ピノッティ（イタリア）は総合5位に終わった。
ヨーロッパのレースデビューを飾ったアドリエン・ニジョンシュティ（ルワンダ、MTNエネルゲード） photo:www.tourofireland.ie注目のアームストロングは初日から逃げに乗る積極性を見せたが、結果には結びつかず。冷たい雨に見舞われた完走者47名の最終ステージで、背中の痛みを訴えてリタイアした。現役復帰後、合計72日間レースに出場したアームストロングは、このツアー・オブ・アイルランドを最後に今シーズンのレース活動を終了。来シーズンは、自ら設立した「チームレディオシャック」で再びツールの頂点を目指す。
今大会のもう一つの注目は、アフリカ生まれのアドリエン・ニジョンシュティ（ルワンダ、MTNエネルゲード）が出場したことだろう。レース公式サイトによると、ニジョンシュティは22歳の山岳スペシャリスト。昨年のツアー・オブ・ルワンダでステージ6勝＆総合優勝を飾り、アメリカ人コーチに才能を見いだされて南アフリカ登録の現チームに移籍した。1994年のルワンダ紛争で6人の兄弟を虐殺されたという壮絶な過去をもつ選手だ。
このツアー・オブ・アイルランドでヨーロッパデビューを飾ったニジョンシュティは、残念ながら最終ステージ途中リタイアに終わった。しかしこのルワンダ人の挑戦をきっかけに、アフリカ系選手がロードレースシーンに旋風を巻き起こす可能性は充分にある。
8月21日（金）第1ステージ パワースコート〜ウォーターフォード 196km
第1ステージ 田舎町を通過する昨年度覇者のマルコ・ピノッティ（イタリア、チームコロンビア・HTC） photo:www.tourofireland.ie第1ステージ 昨年総合2位のラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）が優勝 photo:www.tourofireland.ie第1ステージ結果
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）5h10'37"
2位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+01"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）
4位 フィリップ・ダイグナン（アイルランド、サーヴェロ）
5位 アイマル・スベルディア（スペイン、アスタナ）
個人総合成績
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）5h10'27"
2位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+05"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+07"
4位 フィリップ・ダイグナン（アイルランド、サーヴェロ）+11"
5位 アイマル・スベルディア（スペイン、アスタナ）
8月22日（土）第2ステージ クロンメル〜キラーニー 196km
第2ステージ アイルランド南部の丘陵地帯を進む photo:www.tourofireland.ie第2ステージ スプリント勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、チームコロンビア・HTC） photo:www.tourofireland.ie第2ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ（イギリス、チームコロンビア・HTC）5h07'33"
2位 ミハエル・ファンスタイェン（ベルギー、ラボバンク・コンチネンタル）
3位 スチュアート・オグレディ（オーストラリア、サクソバンク）
4位 アレクサンダー・クリストフ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）
5位 ステフェン・ファンフォーレン（ベルギー、アンポスト・ショーンケリー）
個人総合成績
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）10h18'00"
2位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+05"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+07"
4位 フィリップ・ダイグナン（アイルランド、サーヴェロ）+10"
5位 マルコ・ピノッティ（イタリア、チームコロンビア・HTC）+11"
8月23日（日）第3ステージ バントリー〜コーク 185km
第3ステージ 雨の田園風景の中を駆け抜ける photo:www.tourofireland.ie第3ステージ 競り合うラーシュペッテル・ノルダーグ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）と総合首位のラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV） photo:www.tourofireland.ie第3ステージ結果
1位 ラーシュペッテル・ノルダーグ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）4h00'10"
2位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+33"
4位 クレイグ・ルイス（アメリカ、チームコロンビア・HTC）
5位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）
個人総合成績
1位 ラッセル・ダウニング（イギリス、キャンディTV）14h18'03"
2位 ラーシュペッテル・ノルダーグ（ノルウェー、ジョーカー・ビアンキ）+23"
3位 マッティ・ブレシェル（デンマーク、サクソバンク）+43"
4位 アレクサンドル・コロブネフ（ロシア、サクソバンク）+45"
5位 マルコ・ピノッティ（イタリア、チームコロンビア・HTC）+49"
text:Kei Tsuji
photo:www.tourofireland.ie
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