2014/07/28(月) - 10:59
パリ・シャンゼリゼ通りでフィナーレを迎えた第101回ツール・ド・フランス。マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が2年連続シャンゼリゼでステージ4勝目を飾り、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が16年ぶりにイタリア人として総合優勝を果たした。
シャンゼリゼ通りを駆けるプロトン photo:Tim de Waele
セーヌ川沿いを走ってシャンゼリゼに向かう photo:Tim de Waeleイギリスとフランスとベルギーとスペインを巡った3週間のお祭りが花の都パリに凱旋する。郊外のエヴリーを発ったプロトンがパリ中心部に向かってゆったりとパレード走行。最後はシャンゼリゼの周回コースを8周。凱旋門の環状道路をグルリと回るレイアウトは昨年と同様だ。
シャンゼリゼ周回コースをこなすマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele達成感や安堵感、そして笑顔に包まれたプロトンが、4賞ジャージを先頭にスタートを切る。
逃げグループを形成するリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)ら photo:Makoto Ayanoクリスティアン・プリュドム氏によるアクチュアルスタートのサインが出された後もスローペースは継続。マイヨジョーヌのニーバリがチームメイトとともにシャンパンで乾杯するお決まりのシーンも。
シャンゼリゼ周回コースで最初にアタックを仕掛けたのはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)だった。続いて現役最後のツールとなるイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)が飛び出して独走。フォイクトは独走のままスプリントポイントを先頭通過し、メイン集団に戻った。
プロトンに緊張感が走ったのは残り43km地点。コーナーで総合2位ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)を含む落車が発生する。ニーバリが集団先頭でスローダウンを促すも効果は無し。ペローはチームメイトのアシストを受けてハイスピード巡行するプロトンに復帰した。
続いてリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)、ミカエル・モルコフ(デンマーク、ティンコフ・サクソ)、ホセ・セルパ(コロンビア、ランプレ・メリダ)、アルマンド・フォンセカ(フランス、ブルターニュ・セシェ)が逃げ、これをスプリンターチームが追撃する展開に。
20秒ほどのリードを築いた先頭4名をロット・ベリソルやジャイアント・シマノが追った。
凱旋門前を通過するマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele
落車したジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele
シャンゼリゼ周回コースをこなす新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto Ayano
安全にシャンゼリゼ周回コースをこなすマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele逃げには不利なレイアウトにも関わらず逃げグループは抵抗を見せ、独走に持ち込んだポートが最後まで粘る。しかしポートの果敢な走りも残り7.5kmで終了。ロット・ベリソル、ジャイアント・シマノ、カチューシャがそれぞれ隊列を組んで集団先頭へ。新城幸也(ユーロップカー)もチームメイトを率いて先頭まで上がった。
トレインを組んでメイン集団を率いるジャイアント・シマノ photo:Makoto Ayano残り5kmで飛び出したサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が独走で最後の凱旋門を通過したものの、コンコルド広場に向かう下り基調の直線で吸収される。スプリントに向けて主導権を握ったのはジャイアント・シマノだった。
クリストフらを下したマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waeleオメガファーマ・クイックステップやガーミン・シャープが被せるシーンも見られたが、ジャイアント・シマノが計算通りのリードアウトでフラムルージュを通過する。ライバルチームを寄せ付けないスピードで、キッテルの発射台トム・フィーラース(オランダ)を先頭で最終コーナーを抜けた。
24秒遅れでフィニッシュするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waeleフィーラースのすぐ後ろでキッテル、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)、ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)が並んでスプリントを開始する。加速力で勝ったのはクリストフ。瞬発的にクリストフが先行したものの、スピードが伸び続けたのはキッテルだった。
2年連続、シャンゼリゼ通りで凱旋門に向かってガッツポーズしたキッテルは「焦って早めにスプリントしないように心がけた。クリストフが先行したけど、落ち着いて後ろから加速を開始。それ以上加速出来ないクリストフを追い抜いた。追いつくか心配だったけど上手く行ったよ。トム・フィーラースが最後まで傍にいてくれたので負けるわけがないと思っていた」とコメントする。2年連続でステージ勝利数を4まで伸ばした。
キッテルのフィニッシュから24秒遅れて、マイヨジョーヌのニーバリが81番手でフィニッシュを切る。チームメイトたちと勝利の喜びを分かち合いながら3週間の闘いを終えた総合優勝者は、妻のラケーレさんと娘のエマちゃん、両親のサルヴァトーレさんとジョヴァンナさんの元に駆け寄って勝利を祝う。
正式に表彰台でマイヨジョーヌを受け取った後、ニーバリは表彰台のてっぺんでマイクを握った。「人生の中で最も重要で、最も美しい瞬間だ。シャンゼリゼの表彰台に立つなんて。しかも表彰台の一番上なんて、想像すら出来ない美しさだ」とイタリア語でスピーチし、最後にフランス語で「フランスと世界に感謝している」と付け加える。ニーバリは史上6人目の全グランツール覇者となった。
4賞ジャージの受賞者が表彰台に揃う photo:Tim de Waele
シャンゼリゼ表彰台に上がるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waele
シャンゼリゼ表彰台に登る総合トップスリー photo:Tim de Waele
ツール・ド・フランス2014第21ステージ結果
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
チーム総合成績
総合敢闘賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
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シャンゼリゼ周回コースで最初にアタックを仕掛けたのはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)だった。続いて現役最後のツールとなるイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)が飛び出して独走。フォイクトは独走のままスプリントポイントを先頭通過し、メイン集団に戻った。
プロトンに緊張感が走ったのは残り43km地点。コーナーで総合2位ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)を含む落車が発生する。ニーバリが集団先頭でスローダウンを促すも効果は無し。ペローはチームメイトのアシストを受けてハイスピード巡行するプロトンに復帰した。
続いてリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)、ミカエル・モルコフ(デンマーク、ティンコフ・サクソ)、ホセ・セルパ(コロンビア、ランプレ・メリダ)、アルマンド・フォンセカ(フランス、ブルターニュ・セシェ)が逃げ、これをスプリンターチームが追撃する展開に。
20秒ほどのリードを築いた先頭4名をロット・ベリソルやジャイアント・シマノが追った。
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2年連続、シャンゼリゼ通りで凱旋門に向かってガッツポーズしたキッテルは「焦って早めにスプリントしないように心がけた。クリストフが先行したけど、落ち着いて後ろから加速を開始。それ以上加速出来ないクリストフを追い抜いた。追いつくか心配だったけど上手く行ったよ。トム・フィーラースが最後まで傍にいてくれたので負けるわけがないと思っていた」とコメントする。2年連続でステージ勝利数を4まで伸ばした。
キッテルのフィニッシュから24秒遅れて、マイヨジョーヌのニーバリが81番手でフィニッシュを切る。チームメイトたちと勝利の喜びを分かち合いながら3週間の闘いを終えた総合優勝者は、妻のラケーレさんと娘のエマちゃん、両親のサルヴァトーレさんとジョヴァンナさんの元に駆け寄って勝利を祝う。
正式に表彰台でマイヨジョーヌを受け取った後、ニーバリは表彰台のてっぺんでマイクを握った。「人生の中で最も重要で、最も美しい瞬間だ。シャンゼリゼの表彰台に立つなんて。しかも表彰台の一番上なんて、想像すら出来ない美しさだ」とイタリア語でスピーチし、最後にフランス語で「フランスと世界に感謝している」と付け加える。ニーバリは史上6人目の全グランツール覇者となった。
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ツール・ド・フランス2014第21ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
5位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)
7位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
8位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
10位 ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
5位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)
7位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
8位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
10位 ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
3h20'50"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
2位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
10位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
2位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
10位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
89h59'06"
+7'37"
+8'15"
+9'40"
+11'24"
+11'26"
+14'32"
+17'57"
+18'11"
+21'15"
+7'37"
+8'15"
+9'40"
+11'24"
+11'26"
+14'32"
+17'57"
+18'11"
+21'15"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
431pts
282pts
271pts
282pts
271pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
181pts
168pts
112pts
168pts
112pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
90h07'21"
+3'11"
+1h13'40"
+3'11"
+1h13'40"
チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール
2位 ベルキン
3位 モビスター
2位 ベルキン
3位 モビスター
270h27'02"
+34'46"
+1h06'10"
+34'46"
+1h06'10"
総合敢闘賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
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