2014/06/28(土) - 23:14
岩手県、八幡平で開催中の全日本選手権ロードレース。男子U23で鹿屋体育大がレースを掌握し、逃げグループから飛び出した徳田鍛造と優が兄弟で逃げ切り勝利。互いに手を取り合いながらガッツポーズでゴールラインを切った。
タイムトライアルを終了後の翌6月28日、岩手県八幡平で全日本選手権ロードレースが開幕。男子U17+U15と女子ジュニア+U17、男子ジュニア、男子U23というという4カテゴリーが開催され、若き選手達が熱戦を繰り広げた。
いずれもコースは2011年、2012年に使われたものと同一で、1周は15.8km。前日にタイムトライアルが開催された長く緩い下り勾配の直線路を走り、平坦路を経て3km程の緩斜面を登った先にゴールがある。
男子U23はこのコースを11周する173.8km。昨年の9月に開催されたインカレも168kmであり、アンダー世代のレースとしてはかなりの長丁場だ。折からの強風に加えて晴れと曇りが入り交じり、それに合わせて大きく気温が変化する難しいコンディションとなった。
レースにはディフェンディングチャンピオンである徳田鍛造や、その弟でインカレ王者の優、前日にU23TT王者となった石橋学らを揃える鹿屋体育大勢を中心に、121名がエントリー。
シマノレーシングに加入した横山航太や、堀孝明と城田大和の宇都宮ブリッツェン勢、黒枝士揮(ヴィーニファンティーニ・NIPPOデローザ)といったプロチーム勢の走りにも期待が掛かる一方、西村大輝(シマノレーシング)は未出走となった。
予定通り11時ちょうどにスタートし、ニュートラル区間を終えてすぐさま鹿屋勢が攻撃を開始する。1周目の登りを終え、石橋と倉林巧和(日本体育大・院)を含む4人の逃げが形成されるが、やがて石橋と倉林の2名となる。
この2人を追走するメイン集団からは、徳田鍛造・優、湊涼(法政大)、吉田悠人、久保田元気(共に日本大)というメンバーが飛び出して先頭2人に合流。鹿屋3名+日大2名、そしてU23TTで2位に入った倉林らという強力な逃げグループが完成した。
これを追いたいメイン集団だが、思うように追走の足並みが揃わない。ブリッツェンの堀や昨年まで鹿屋に所属した黒枝、シマノ横山らがペースを上げるが後が続かず、中里仁(Team Eurasia-IRC Tire)らを含む7名が追走を試みた。
5周回を終了した時点で、先頭と追走の差は1分半。後ろのメイン集団までは2分20秒にまで拡大し、刻むハイペースに先頭グループやメイン集団も徐々に人数を減らしていく。その過程で追走グループはメイン集団に吸収された。
すると中盤「踏んだところ差が開いたので、そのまま優と逃げることにした」と後に徳田鍛造が語る通り兄弟逃げが成立する。
ぴったりと息の合ったローテーションで飛ばす徳田兄弟は、追いかける集団とのタイム差を40秒、1分、1分半と徐々に拡大していく。終盤には強い雨が吹き付けたが、これも「ずっと暑くて、体力的にキツイな、と思っていたので恵みの雨になりました。涼しくなって体力が戻ってきた」と逃げる二人に味方した。
ペースの上がらない集団からは、しびれを切らせたブリッツェン堀と雨澤毅明(那須ブラーゼン)が追走したものの吸収され、代わってシマノ横山がハイペースを刻んだが先頭2人には届かない。
最終的に先頭二人は手を取り合って、互いに声を掛け合いながらウィニングラン。幾度もガッツポーズを繰り返しながらゴールへと到達。兄・鍛造が先着し、昨年大会に続くU23チャンピオンの座を獲得した。
「しばらく体調を崩していたので、自信はありませんでした。こんなことになったのは初めてのことなんですが、弟と逃げ切って勝つことができて最高の親孝行ができたと思います。」とは優勝した鍛造。「前半からレースをかき乱して自分の展開を見つけて勝つというのが僕の走り方。今回も去年と同じようなかたちでレースが出来ました。」と加える。
「ずっとキツイレースでした。ラスト1周で3分、これは行けるから頑張ろうとお互い声をかけて走りました。そして最後に監督から"2人で手をつないで帰って来い"と言われて、最後は弟に「全日本の2連覇をくれてやるから、俺にインカレの2連覇をくれ」と言われ、先着させてもらいました。
弟とは励まし合いながら走っていました。お互いのことをよくわかっているので心強かったですね。弟ですか?いちばん嫌な存在ですね(笑)。ともに北桑田高校で自転車部で活動し、鹿屋体大で一緒に走る。生まれて20年、同じ道程を歩んできたんです。いつでもいちばん身近なところにいるライバル。いちばん負けたくない存在です。」
全日本選手権ロードレース2014 男子U23結果
text:So.Isobe
photo:Hideaki.Takagi,Makoto.Ayano,So.Isobe
タイムトライアルを終了後の翌6月28日、岩手県八幡平で全日本選手権ロードレースが開幕。男子U17+U15と女子ジュニア+U17、男子ジュニア、男子U23というという4カテゴリーが開催され、若き選手達が熱戦を繰り広げた。
いずれもコースは2011年、2012年に使われたものと同一で、1周は15.8km。前日にタイムトライアルが開催された長く緩い下り勾配の直線路を走り、平坦路を経て3km程の緩斜面を登った先にゴールがある。
男子U23はこのコースを11周する173.8km。昨年の9月に開催されたインカレも168kmであり、アンダー世代のレースとしてはかなりの長丁場だ。折からの強風に加えて晴れと曇りが入り交じり、それに合わせて大きく気温が変化する難しいコンディションとなった。
レースにはディフェンディングチャンピオンである徳田鍛造や、その弟でインカレ王者の優、前日にU23TT王者となった石橋学らを揃える鹿屋体育大勢を中心に、121名がエントリー。
シマノレーシングに加入した横山航太や、堀孝明と城田大和の宇都宮ブリッツェン勢、黒枝士揮(ヴィーニファンティーニ・NIPPOデローザ)といったプロチーム勢の走りにも期待が掛かる一方、西村大輝(シマノレーシング)は未出走となった。
予定通り11時ちょうどにスタートし、ニュートラル区間を終えてすぐさま鹿屋勢が攻撃を開始する。1周目の登りを終え、石橋と倉林巧和(日本体育大・院)を含む4人の逃げが形成されるが、やがて石橋と倉林の2名となる。
この2人を追走するメイン集団からは、徳田鍛造・優、湊涼(法政大)、吉田悠人、久保田元気(共に日本大)というメンバーが飛び出して先頭2人に合流。鹿屋3名+日大2名、そしてU23TTで2位に入った倉林らという強力な逃げグループが完成した。
これを追いたいメイン集団だが、思うように追走の足並みが揃わない。ブリッツェンの堀や昨年まで鹿屋に所属した黒枝、シマノ横山らがペースを上げるが後が続かず、中里仁(Team Eurasia-IRC Tire)らを含む7名が追走を試みた。
5周回を終了した時点で、先頭と追走の差は1分半。後ろのメイン集団までは2分20秒にまで拡大し、刻むハイペースに先頭グループやメイン集団も徐々に人数を減らしていく。その過程で追走グループはメイン集団に吸収された。
すると中盤「踏んだところ差が開いたので、そのまま優と逃げることにした」と後に徳田鍛造が語る通り兄弟逃げが成立する。
ぴったりと息の合ったローテーションで飛ばす徳田兄弟は、追いかける集団とのタイム差を40秒、1分、1分半と徐々に拡大していく。終盤には強い雨が吹き付けたが、これも「ずっと暑くて、体力的にキツイな、と思っていたので恵みの雨になりました。涼しくなって体力が戻ってきた」と逃げる二人に味方した。
ペースの上がらない集団からは、しびれを切らせたブリッツェン堀と雨澤毅明(那須ブラーゼン)が追走したものの吸収され、代わってシマノ横山がハイペースを刻んだが先頭2人には届かない。
最終的に先頭二人は手を取り合って、互いに声を掛け合いながらウィニングラン。幾度もガッツポーズを繰り返しながらゴールへと到達。兄・鍛造が先着し、昨年大会に続くU23チャンピオンの座を獲得した。
「しばらく体調を崩していたので、自信はありませんでした。こんなことになったのは初めてのことなんですが、弟と逃げ切って勝つことができて最高の親孝行ができたと思います。」とは優勝した鍛造。「前半からレースをかき乱して自分の展開を見つけて勝つというのが僕の走り方。今回も去年と同じようなかたちでレースが出来ました。」と加える。
「ずっとキツイレースでした。ラスト1周で3分、これは行けるから頑張ろうとお互い声をかけて走りました。そして最後に監督から"2人で手をつないで帰って来い"と言われて、最後は弟に「全日本の2連覇をくれてやるから、俺にインカレの2連覇をくれ」と言われ、先着させてもらいました。
弟とは励まし合いながら走っていました。お互いのことをよくわかっているので心強かったですね。弟ですか?いちばん嫌な存在ですね(笑)。ともに北桑田高校で自転車部で活動し、鹿屋体大で一緒に走る。生まれて20年、同じ道程を歩んできたんです。いつでもいちばん身近なところにいるライバル。いちばん負けたくない存在です。」
全日本選手権ロードレース2014 男子U23結果
1位 徳田鍛造(鹿屋体育大)
2位 徳田優(鹿屋体育大)
3位 秋田巧磨(朝日大)
4位 広瀬樹(中央大)
5位 鈴木龍(SEKIYA)
6位 石橋学(鹿屋体育大)
7位 横山航太(シマノレーシング)
8位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)
9位 吉田悠人(日本大)
10位 岡泰誠(筑波大)
2位 徳田優(鹿屋体育大)
3位 秋田巧磨(朝日大)
4位 広瀬樹(中央大)
5位 鈴木龍(SEKIYA)
6位 石橋学(鹿屋体育大)
7位 横山航太(シマノレーシング)
8位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)
9位 吉田悠人(日本大)
10位 岡泰誠(筑波大)
4時間38分11秒
4時間38分11秒
4時間39分46秒
4時間39分49秒
4時間40分03秒
4時間40分11秒
4時間40分39秒
4時間40分48秒
4時間40分49秒
4時間40分51秒
4時間38分11秒
4時間39分46秒
4時間39分49秒
4時間40分03秒
4時間40分11秒
4時間40分39秒
4時間40分48秒
4時間40分49秒
4時間40分51秒
text:So.Isobe
photo:Hideaki.Takagi,Makoto.Ayano,So.Isobe
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