ジロ・デ・イタリアは終着地トリエステに到着。海岸通のゴールスプリントで、隣国スロベニアのルーカ・メスゲツ(ジャイアント・シマノ)が勝利した。集団内で安全にフィニッシュしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が第97回大会の総合優勝に輝いた。



全身ピンクの出で立ちで登場したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)全身ピンクの出で立ちで登場したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji
スタートラインに並ぶ別府史之(トレックファクトリーレーシング)スタートラインに並ぶ別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiスタートラインに並ぶ新城幸也(ユーロップカー)スタートラインに並ぶ新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji



トリエステの周回コースに入るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)トリエステの周回コースに入るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji3週間の闘いを終えた選手たちが、終着地トリエステに凱旋する。ジェモーナ・デル・フリウリからゆったりと東に向かい、最後はトリエステの7.25km周回コースを8周。高低差50mほどの起伏ある周回コースだが、通例として、総合成績をひっくり返すような動きは生まれない。

逃げるラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)とスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)逃げるラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)とスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiお互いの健闘を讃え合いながら走る選手たちが、マリアローザ擁するモビスターを先頭にしてトリエステの周回コースに突入。しばらくマリアローザの凱旋走行が続いた後、アタックの火ぶたが切って落とされた。

キャノンデールとチームスカイがメイン集団を牽引するキャノンデールとチームスカイがメイン集団を牽引する photo:Kei Tsuji最初に仕掛けたのはスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)とラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)の2人で、最大45秒のリードでエスケープ。これをチームスカイやキャノンデール、トレックファクトリーレーシングが追撃する展開となる。

タイム差が縮まると、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF)、カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア)の3人が先頭グループに合流。新たに5人での逃げを試みたものの、スプリンターチームの追撃を振り切ることは出来ずに残り2周で吸収される。

前日のモンテゾンコランでチャンスを逃したフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)らのアタックは成功せず、ハイスピードなゴールスプリントに持ち込まれた。

コロンビアとスロベニアの応援団に見守られながらのスプリント。最終ストレートでセバスティアン・シャヴァネル(フランス、FDJ.fr)によるリードアウトが終わると、ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が好位置からスプリントを開始した。



スプリントを繰り広げるルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)スプリントを繰り広げるルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji


ガッツポーズするルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)ガッツポーズするルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ) photo:Kei Tsuji「確実にジャージを獲得するためにリスクを冒さなかった」というマリアロッサのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が後方でスプリントする中、ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)が先頭の3人を追撃。フィニッシュライン手前で先頭に立ったメスゲツが、喜びの雄叫びを挙げながらフィニッシュした。

片手を挙げてフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)片手を挙げてフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsujiステージ2勝を飾りながらも体調不良でリタイアしたマルセル・キッテル(ドイツ)に代わって、見事に最終ステージを制してみせたメスゲツ。昨年チームに合流した25歳のスプリンターで、今年のボルタ・ア・カタルーニャではステージ3勝を飾っている。

総合表彰台、2位リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)、優勝ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、3位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)総合表彰台、2位リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)、優勝ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、3位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji「残り500mの時点で良いポジションを走っていたものの、残り350mで前を塞がれたので、終わったと思った。でも空いているスペースを見つけて突っ込んだんだ。運に味方されていたとも言える」と、グランツール初優勝を飾ったメスゲツは語る。キッテルやデゲンコルブに続く第3のスプリンターとして今後も注目の存在だ。

この日はステージ32位と33位の間に9秒差がついたものの、総合上位陣の成績には大きな影響は無し。ガッツポーズをしながら82番目にフィニッシュラインを切ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が総合優勝を決めた。

「言葉にならない。夢が叶った」と感極まるキンタナが、降りしきる雨の中での表彰式でマリアローザとトロフェオ・センツァ・フィーネを受け取った。コロンビア人によるジロ制覇はキンタナが初めて。

総合2位にリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)が入り、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)がマリアアッズーラを獲得。かつてないほどコロンビア色の強いジロが終わった。

新城幸也(ユーロップカー)と別府史之(トレックファクトリーレーシング)はともに集団内でフィニッシュ。新城は6度目のグランツール(ジロは2度目)完走、別府は4度目のグランツール(ジロは3度目)完走を果たした。



ジロ総合優勝を果たしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ジロ総合優勝を果たしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji


ジロ・デ・イタリア2014第21ステージ結果
1位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
5位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)
7位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)
8位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 イーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)

52位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
79位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
4h23'58"











+09"


マリアローザ 個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
4位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
9位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
88h14'32"
+2'58"
+4'04"
+5'46"
+6'32"
+7'04"
+11'00"
+11'51"
+13'35"
+15'49"


マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)

マリアビアンカ ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

チーム総合成績
AG2Rラモンディアール

text&photo:Kei Tsuji in Trieste, Italy

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