5月25日に愛媛県、八幡浜で開催された八幡浜国際クロスカントリー(UCI Class3)は、朽木での開幕戦を制した斉藤亮(ブリヂストンアンカー)が終始安定した走りでレースを完全に支配。2位以下に2分以上の差をつけて勝利した。



「桜坂」で攻防する平野星矢(ブリヂストンアンカー)と門田基志(ジャイアント)「桜坂」で攻防する平野星矢(ブリヂストンアンカー)と門田基志(ジャイアント) photo:Hiroyuki.NAKAGAWA
八幡浜で開催されるこのレースは、UCIの承認を受けた国際大会として国内では貴重なレースとなる。また、地元住民とレースの関わりは強く、会場には多くの飲食ブースや物販店、MTB試乗コースなどが設置されるだけでなく、消防や白バイ隊が常駐するなど、行政も積極的に会場の盛り上げに一役買っている。前日に行われた3時間エンデューロには大城八幡浜市長が自らMTBに乗って参戦するなど、他では味わう事のできない温かい雰囲気に包まれた会場だ。

中盤以降、独走態勢でゴールを目指した中盤以降、独走態勢でゴールを目指した photo:Hiroyuki.NAKAGAWAコースは中央のメイングランドを中心に周囲の3つの山で構成。スタートするとアスファルトの登りから最初の山の中へ、高速のつづら折れを下った後、急な登りでメイングランドに戻る。フィードが配置された「桜坂」からが2つ目の山となる。「桜坂」からコース最奥部まで一気に下り、コンクリートの長い登りで3つ目の山を目指す。最後は複雑なルーツセクション「ゴジラの背中」から尾根筋を経て、メイングランドに戻ってくるレイアウト。全長5,600mの起伏に富んだコースとなっている。

地元で好走を見せた門田基志(ジャイアント)地元で好走を見せた門田基志(ジャイアント) photo:Hiroyuki.NAKAGAWA昨年は嵐のような天候でのレースとなった八幡浜だが、今年は晴天に恵まれ、午後13:30からエリート男子のレースが行われた。穏やかな天候とは打って変わり、レースは波乱の幕開けとなった。

フィニッシュラインで高々とバイクを待ち上げる斉藤亮(ブリヂストンアンカー)フィニッシュラインで高々とバイクを待ち上げる斉藤亮(ブリヂストンアンカー) photo:Hiroyuki.NAKAGAWAスタート直後のグランドからアスファルトへ出て行く緩い左カーブで大規模な集団落車が発生。難を逃れたのは前方10名に満たない程の選手達だけで、後続の選手達は多かれ少なかれ、この落車の影響を受けてしまった。朽木で4位だった中原義貴(キャノンデール)もこの落車で最後方まで転落、驚異的な追い上げを見せたものの、8位でレースを終える事になってしまった。

女子エリートを制した小林可奈子(アズミノフォックス)女子エリートを制した小林可奈子(アズミノフォックス) photo:Hiroyuki.NAKAGAWA先頭集団では序盤に平野星矢(ブリヂストンアンカー)と斉藤亮のアンカーコンビが先頭に立ち、それに門田基志(ジャイアント)が続く展開。3周目以降は平野をかわした斉藤がトップに立ち、徐々に差を広げて独走態勢へ。そのままフィニッシュまで危なげない走りで優勝した。平野と門田の2位争いは後半までもつれたが、最終ラップで門田がスパート、「軽いハンガーノックでした」とゴール後に語った平野はこれについて行く事ができず、地元開催で燃える門田が2位、続く3位に平野が入った。

チーム移籍直後のJ1開幕前は、新しいバイクでのポジションが決まらず、苦しいレースを強いられていた斉藤だが、ケアンズでのワールドカップから帰国後、すぐにバイクのサイズを変更するなど、大胆な対策を打って強さを取り戻した。

優勝した斉藤亮(ブリヂストンアンカー)

朽木から体調も良くて、勝つ事はもちろんですけど、しっかり自分の走りができた事が良かったですね。(今の国内シーンでは)僕はやはり高い壁でありたいんですよね。僕もやっと世界に足を踏み入れて、そこではまだ勝負の土俵にも立ててないって言うぐらいの状態なんですが、少なくとも僕を倒していかないと。世界にはもっと上の世界があるんだよっていうところを示していきたいと思っています。

(チームメイトの平野)星矢がとても良い走りをしてるんですよね。一発のパンチ力も持ってますしね。お互いに刺激になっていますし、それがチーム内では、良い相乗効果になってると思っています。

2位 門田基志(ジャイアント)

勝ちたかったですよね。八幡浜っていうのはやっぱり地元として、僕にとっては特別なんですよね。今はレーサーとしての顔以外でも(自転車普及活動などの)仕事をしていて、それで成績が下がっちゃうとまずいですよね。

やっぱりね、っていう見方をされたくないっていうのもあるし。でも、自分は欲張りなので全部やりたいんですよ。そうなるとピーキングをしっかりコントロールして、ここは狙っていくぞっていうレースでは、表彰台を狙える力があるっていうところ見せたいですよね。やっぱり僕はレーサーなんだっていうね。そう言う意味で今日は本当に勝ちたかった。ここでのレースはね、地元を中心に活動している自分にとっては、ある意味、全日本より重要なレースなんです。

クロスカントリースキー界から転向し、4位となった恩田祐一(ミヤタメリダ)

(スキー時代からの親友であり、地元飯山の同級生でもある斉藤亮の事を話題に出して)早く亮に勝てるようにならなきゃいけません。そうでなきゃ日本のトップにはなれないっていう事ですよね。さらに上には山本幸平とか、世界の壁があるのはわかってますが、まずはそこから。4位で満足するためにMTBに転向してきたわけじゃありませんし、自分の競技人生には常にオリンピックがあるので、そういう覚悟でやっています。

白熱するレースシーズン、次戦XCO第三戦は長野県に会場を移し、富士見パノラマで今週末の開催となる。



Jシリーズ八幡浜大会
男子エリート結果
1位 斉藤亮(ブリヂストンアンカー) 
2位 門田基志(ジャイアント)     
3位 平野星矢(ブリヂストンアンカー) 
4位 恩田祐一(ミヤタメリダ)    
5位 小野寺健(ミヤタメリダ)
1:39:48.45
+2:09.85
+2:52.82
+3:26.37
+5:38.21


女子エリート結果
1位 小林可奈子(アズミノフォックス)
2位 中島峻歩(Sy-Nak)
3位 相野静香(ライテック))
1:30:15.82
+4:19.40
+5:04.98


photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm


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