アメリカ 5月9日・午後6時、スペシャライズド本社においてターマックの新モデルが発表された。「ライダー・ファースト・エンジニアード」を掲げ、3年の歳月をかけて設計し直された新モデルは、ターマックの名こそ同じだが、まったく新しく生まれ変わった。



カリフォルニアで発表されたスペシャライズド新ターマック カリフォルニアで発表されたスペシャライズド新ターマック  (c)Makoto.AYANO
スペシャライズドのロードモデルのハイエンド、Tarmac(ターマック)。先月ベルギーで開催されたリエージュ・バストーニュ・リエージュでプロトタイプが目撃されたことから「SL5」と予想されていたターマックの新モデルがついにベールを脱いだ。

その名も新ターマック。スペシャライズドはあえてSL4から世代を重ねるネーミングを否定し、シンプルに、単に「ターマック」とその新モデルに名づけた。

ヘッド周りはSL4より曲線がおとなしくなった印象だヘッド周りはSL4より曲線がおとなしくなった印象だ (c)Makoto.AYANOシート周り。クランプは廃され、内臓のカーボン製斜ウスでピラーを固定するシート周り。クランプは廃され、内臓のカーボン製斜ウスでピラーを固定する (c)Makoto.AYANO


「ライダー・ファースト・エボリューション」(ライダー第一の進化)と謳われていたそのプレゼンテーションで打ち出された新ターマックのコンセプトは「ライダー・ファースト・エンジニアード」(ライダー第一の開発)。

開発に3年の歳月を費やしたという新生ターマックは、49〜64までのそれぞれ7つのフレームサイズごとにフレームを設計・開発。室内での開発にとどまらず道路上での実走行テストを繰り返し、その数値などに基づいて設計。従来モデルにありがちだった「大きなサイズのバイクは剛性が不足する・コーナリング特性がダルになる」「小さなサイズのバイクは過剛性となる・ハンドリングがクイックすぎる」などの問題を解消。すべてのサイズにおいて最適な剛性やコーナリング特性を追求。つまりサイズごとに最高の運動性能を引き出せるように設計がイチから見直された。

小型ライダーのコンタドール、中型のニーバリ、大型のボーネンを例にサイズごとに得たバイク特性が説明された小型ライダーのコンタドール、中型のニーバリ、大型のボーネンを例にサイズごとに得たバイク特性が説明された (c)Makoto.AYANO手前が49、奥が61サイズの新ターマックのフレーム。サイズごとにとくにダウンチューブの太さの差が顕著に分かる手前が49、奥が61サイズの新ターマックのフレーム。サイズごとにとくにダウンチューブの太さの差が顕著に分かる (c)Makoto.AYANO


新ターマックの開発は、同社がエアロロードのVENGE(ヴェンジ)を開発した際から協力関係にある英国マクラーレン社の開発手法にインスピレーションを得て、同社との技術協力により進められたという。新ターマックにはディスクブレーキモデルも同時にラインナップされ、リアルロードレーシングジオメトリーをもつバイクとしては異例のノーマル&ディスクブレーキモデル同時発表となった。
新ターマックはジロ・デ・イタリアでオメガファーマ・クイックステップ、ティンコフ・サクソ、アスタナの3チームが使用する。また、McLarenの名を冠したモデルが7月のツール・ド・フランスでデビューする予定だ。

同時発表されたディスクブレーキモデルの新ターマック。レーシングジオメトリーを持つオールコンディションロードだ同時発表されたディスクブレーキモデルの新ターマック。レーシングジオメトリーを持つオールコンディションロードだ (c)Makoto.AYANO
新ターマックの大きなサイズのフレームと小さなサイズのフレームを比べると、チューブの太さに今までとは明らかに異なる太さの差がある。カーボンの積層(レイアップ)もサイズごとに異なっているという。

新S-WORKS Tarmacの主なスペック
● テーパードヘッドチューブとOSBBを備えたS-Works FACT 11rカーボンRider-First Engineeredフ­レーム
● カーボン製テーパードステアラーを備えた軽量かつ高剛性のフルモノコックFACTカーボン­フォーク
● 軽量かつ高剛性のS-Works FACTカーボンシートポストが最適なパワー伝達を実現
● セラミックスピード・ベアリングを採用したRoval Rapide CLX 40カーボンホイールによるス­ピードと剛性(完成車)
● Gripton コンパウンドを採用したS-Works Turbo 700x24cタイヤが抜群のグリップとスピードを提供。(完成車)
● 軽量と剛性を完璧に兼ね備えたS-Works FACTカーボンOSBBクランクセット(完成車)

製品名:New S-Works Tarmac(ニュー・Sワークス・ターマック)
価格: ¥910,000(完成車、メーカー希望小売価格税込)5月下旬発売
¥450,000(フレームセット、メーカー希望小売価格税込)発売中

日本で展開されるフレームサイズと価格
カラ―: グロスホワイト/サテンカーボン/ブラック/レッド、サテン/グロスカーボン/ホワイト(完成車)
サテン/グロスカーボン/レッド/ホワイト、サテン/グロスカーボンクリーン、グロスホワイト/サテンカーボン/ブラック/レッド、サテン/グロスカーボン/ホワイト(フレームセット)
サイズ: 49、52、54、56cm(完成車)
49、52、54、56、58cm(フレームセット)

今回発表された新ターマックの詳細はアメリカ現地取材に基づいた詳報と、2日間のテストライドによるインプレッションでお伝えする予定だ。

なおこのプレゼンテーションの模様は日本時間の5月10日午前10時からUstreamライブで世界同時配信されたが、それから6時間後の5月10日18時より日本語版の映像が以下のURLで配信される予定だ。

新ターマック発表 日本語版映像配信URL
http://www.ustream.tv/channel/specialized-japan

ライブ視聴者からTwitterで寄せられる新ターマックに関する質問に開発陣がライブで答えたライブ視聴者からTwitterで寄せられる新ターマックに関する質問に開発陣がライブで答えた (c)Makoto.AYANO

photo&text:Makoto.AYANO in Morgan Hill California USA