オーシーメトリック チェーンリングキット　変速性能が向上した非真円チェーンリング

ツール・ド・フランスの覇者、クリス・フルームが愛用していることで有名な楕円チェーンリング専業メーカー、O.SYMETRIC（オーシーメトリック）。回転効率を最大に生かすための形状を持つチェーンリングが、変速性能を向上させてモデルチェンジを果たした。

---

オーシーメトリック チェーンリングキット(写真は4アーム仕様) (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
上死点、下死点といった、デッドスポット（トルクの伝わらない部分）をいかに早く通り過ぎ、最大のトルクを出せる部分でどれだけ推進力を生みだせるかという観点で回転効率を最大化するために考え出されたのが、いわゆる楕円チェーンリングと呼ばれる製品群だ。

その中でも単純な楕円形状では無く、より素早くデッドスポットを少なくするべくデザインされたのがオーシーメトリックのチェーンリング。通常の楕円リングが、最大ギアから最小ギアに移り変わる際、徐々にそのギア数が変化していくのに対し、オーシーメトリックは2～3枚の歯で素早く移るように設計されている。楕円というより、非真円チェーンリングといったほうがしっくりくる複雑なデザインは、オーシーメトリック独自の形状だ。

---

ツール・ド・フランス2013第17ステージでマイヨジョーヌを着るクリス・フルーム（イギリス、スカイプロサイクリング） photo:Cor Vos
オーシーメトリックが取付られたピエール・ロラン（フランス、ユーロップカー）のバイクも photo:Makoto.AYANOクリス・フルーム（イギリス、スカイプロサイクリング）のピナレロ BOLIDE photo:Makoto.AYANO

---

プロツアーで活躍する選手の間でもオーシーメトリックを愛用する選手は多い。著名な選手では、2013年ツール・ド・フランス覇者のクリス・フルーム（イギリス、チームスカイ）や、フレンス人クライマーのピエール・ロラン（ユーロップカー）がオーシーメトリックを愛用している。TT向けのチェーンリングというイメージを持つ人が多いが、フルームなどはヒルクライムステージでも使用していることからもわかるように、どんなシチュエーションでも効果を発揮するパーツだ。

歯先の形状も工夫され、変速性能の向上を図る (c)MakotoAYANO/cyclowired.jpチェーンが上がるきっかけとなる変速ピンが配置される (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp今回のモデルチェンジでは、歯先の形状の改良と変速ピンの装備によって変速性能が大幅に向上した。真円リングと比べれば、非真円リングの変速性能はどうしても低くなってしまうが、その不利を少しでも補おうという改良点だ。また、チェーンリングの厚みが増し、剛性が高まった結果、チェーン落ちの不安定さを改善するとともに、電動変速コンポ利用時にもより安心して変速が行えるようになった。

独創的なアイディア1本勝負ではなく、ツール・ド・フランス2勝という実績を持ち、変速パーツとしての基本的な性能と信頼性を高める改良が施された新型オーシーメトリックは、もはや一部のコアなサイクリスト向けではない方向へと舵を切っている。今まで、変速性能や信頼性といった面で不安があり、非真円チェーンリングに興味があったものの、手を出しづらかったという人もターゲットに据えている。

新しいオーシーメトリックは、以前のモデルより明らかに進化しており、より実戦仕様となっている。シマノ9000系の4アームPCD110クランク対応のモデルも発売されている。また、FD台座に装着するタイプのチェーンキャッチャーが付属する。レース現場の最前線でブラッシュアップされたオーシーメトリックのチェーンリング、一度試してみてはいかがだろうか。


オリジナルのチェーンキャッチャーが付属する オーシーメトリック チェーンリングキット
歯数：
130PCD：54/44、54/42、52/42
110PCD：52/38、50/38
135PCD（カンパニョーロ）：54/44
110PCD（カンパニョーロコンパクト）：52/38
110PCD（シマノ4アーム）：54/44、52/42、52/38、50/34
カラー：黒
付属品：チェーンキャッチャー
価格：33,600円（税込）