2014/01/19(日) - 07:13
2014年のUCIワールドツアー初戦、ツアー・ダウンアンダーが1月19日に幕開ける。真夏の暑さに包まれたアデレード近郊で繰り広げられる875kmに及ぶ闘い。新城幸也(ユーロップカー)の出場で注目を集めるサマーレースの見どころを開幕前にチェックしておこう。
登りが増え、例年よりも難易度が上がったツアー・ダウンアンダー
ワイン畑と青い空 photo:Kei Tsuji最高気温46度いう記録的な暑さに見舞われているアデレードで、第16回ツアー・ダウンアンダーが開催される。2008年にUCI(国際自転車競技連合)のトップレースカテゴリーであるUCIプロツアーレース(現在UCIワールドツアーレース)に指定され、ロードレースの国際化の先駆けとなった大会だ。
名物オールドウィランガヒル photo:Kei Tsuji「ダウンアンダー」は、元々イギリスから見て地球の裏側にあるオーストラリアやニュージーランドを指す言葉。ヨーロッパ在住の選手たちは長時間のフライトの疲れを取り、大きな気温の変化に慣れ、10時間近い時差を解消するため、時間に余裕をもって現地入りしている。
最終第6ステージはアデレード市街地の周回コースで開催 photo:Kei Tsujiなお、日本との時差は0.5時間(現在はサマータイム期間中なので日本時間+1.5時間)。
南半球オーストラリアは今がまさに夏の盛り。今年は歴史的な熱波に襲われており、連日最高気温が40度を超える異常な暑さが続いていたが、大会開催期間中は例年並の気温に戻るという予報が出ている。
アデレード近郊には大きな山脈が無く、大会の最標高地点も標高500m程度と低い。海沿いの平野部や、ワインの産地として世界的に有名なバロッサバレー、クレアバレー、アデレードヒルズと呼ばれる丘陵地帯がコースの大部分を占めている。
1月19日にアデレード市街地で行なわれるUCI非公認の顔見せクリテリウム「ピープルズチョイス・クラシック」で8日間の闘いが幕開ける。スプリンター向きの平坦ステージが多く設定されているため、例年マッチョなスプリンターたちが総合争いを繰り広げて来た。しかし、ここ数年は山岳ステージの比率が上がっているため、グランツール総合上位に名を連ねるオールラウンダーたちにスポットライトが充てられるようになった。
フィニッシュ12km手前にKOM(カテゴリー山岳)メングラーズヒルが登場する第1ステージ、スターリングでの名物登りスプリントが繰り広げられる第2ステージ、フィニッシュ7km手前でKOMコークスクリューロードをクリアする第3ステージ、そして最大の難所であるKOMオールドウィランガヒルにゴールする第5ステージで総合争いが繰り広げられるだろう。ピュアスプリンターたちにチャンスが巡ってくるのは、平坦な第4ステージとアデレード市内で行なわれる最終第6ステージだけかもしれない。
ツアー・ダウンアンダー2014ステージリスト
1月19日(日)ピープルズチョイスクラシック アデレード 50km
1月20日(月)休息日
1月21日(火)第1ステージ ヌリオトパ〜アンガストン 135km
1月22日(水)第2ステージ プロスペクト〜スターリング 150km
1月23日(木)第3ステージ ノーウッド〜キャンプベルタウン 145km
1月24日(金)第4ステージ アンレー〜ビクターハーバー 148.5km
1月25日(土)第5ステージ マクラーレンヴェイル〜ウィランガヒル 151.5km
1月26日(日)第6ステージ アデレード 95km
オーストラリア選手権トップスリーの闘いやスプリントバトルに注目
オーストラリアチャンピオンジャージに袖を通したサイモン・ゲランス(オリカ・グリーンエッジ) photo:roadnationals.org.au1月と言えばシーズン序盤の序盤。そのため選手のコンディションには大きなバラツキがある。まだまだふっくらとした(絞れていない)欧米選手がいる一方で、地元オーストラリアやニュージーランドの選手たちは調子を上げている。
ファンに暖かく迎えられるフランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji中でも注目したいのは、直前に開催されたオーストラリア選手権エリートロードレースのトップスリーだ。
ドイツチャンピオンジャージを着るアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsujiオーストラリアチャンピオンジャージを獲得したサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)と、同2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、そして同3位のリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)。3名ともトップコンディションとは言えないが、欧米選手と比べて調子が良いのは間違いない。
マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Kei Tsujiゲランスは2006年と2012年の総合優勝者。昨年は総合下位に沈んだものの、ウィランガヒルの山頂フィニッシュを制してオーストラリアファンを多いに沸かせた。2009年以来の出場となるエヴァンスも総合表彰台争いに絡んでくるだろう。
全日本チャンピオンジャージを着る新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji昨年パリ〜ニースを制し、ツール・ド・フランスでクリス・フルーム(イギリス)の勝利をお膳立てしたポートも総合優勝候補の1人。チームスカイからはステージ1勝&総合3位&スプリント賞獲得のゲラント・トーマス(イギリス)も出場するため、総合争いの台風の目になるだろう。
2012年大会で総合5位に入り、ヤングライダー賞と山岳賞を獲得したローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)や、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキン)、フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らも総合上位に絡んでくるはずだ。
スプリントバトルでは、史上最多ステージ通算14勝を飾っているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)とマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)による新旧ジャーマンスプリンター対決に注目。
ダウンアンダーと相性の良いグライペルのために、ハンセンやカイセン、ルーランズ、シーベルグらがトレインを組む。スプリントに向けたリードアウトバトルで主導権を握るのはロット・ベリソルだ。
もちろんマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)、クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)ら、地元オーストラリア勢も黙っていない。2014年10月にオリカ・グリーンエッジ入りが決まっている小柄なスプリンターの19歳カレイブ・イワン(オーストラリア、UniSA)や、プロデビュー戦を迎える二世選手リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシングチーム)ら、若手の活躍にも期待したい。
全日本チャンピオンの新城幸也(ユーロップカー)はダウンアンダー初出場。エースのトマ・ヴォクレール(フランス)は自動車事故で鎖骨を折ってすでに帰国している。新城の開幕前インタビューは後ほどお伝えします。
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
登りが増え、例年よりも難易度が上がったツアー・ダウンアンダー
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南半球オーストラリアは今がまさに夏の盛り。今年は歴史的な熱波に襲われており、連日最高気温が40度を超える異常な暑さが続いていたが、大会開催期間中は例年並の気温に戻るという予報が出ている。
アデレード近郊には大きな山脈が無く、大会の最標高地点も標高500m程度と低い。海沿いの平野部や、ワインの産地として世界的に有名なバロッサバレー、クレアバレー、アデレードヒルズと呼ばれる丘陵地帯がコースの大部分を占めている。
1月19日にアデレード市街地で行なわれるUCI非公認の顔見せクリテリウム「ピープルズチョイス・クラシック」で8日間の闘いが幕開ける。スプリンター向きの平坦ステージが多く設定されているため、例年マッチョなスプリンターたちが総合争いを繰り広げて来た。しかし、ここ数年は山岳ステージの比率が上がっているため、グランツール総合上位に名を連ねるオールラウンダーたちにスポットライトが充てられるようになった。
フィニッシュ12km手前にKOM(カテゴリー山岳)メングラーズヒルが登場する第1ステージ、スターリングでの名物登りスプリントが繰り広げられる第2ステージ、フィニッシュ7km手前でKOMコークスクリューロードをクリアする第3ステージ、そして最大の難所であるKOMオールドウィランガヒルにゴールする第5ステージで総合争いが繰り広げられるだろう。ピュアスプリンターたちにチャンスが巡ってくるのは、平坦な第4ステージとアデレード市内で行なわれる最終第6ステージだけかもしれない。
ツアー・ダウンアンダー2014ステージリスト
1月19日(日)ピープルズチョイスクラシック アデレード 50km
1月20日(月)休息日
1月21日(火)第1ステージ ヌリオトパ〜アンガストン 135km
1月22日(水)第2ステージ プロスペクト〜スターリング 150km
1月23日(木)第3ステージ ノーウッド〜キャンプベルタウン 145km
1月24日(金)第4ステージ アンレー〜ビクターハーバー 148.5km
1月25日(土)第5ステージ マクラーレンヴェイル〜ウィランガヒル 151.5km
1月26日(日)第6ステージ アデレード 95km
オーストラリア選手権トップスリーの闘いやスプリントバトルに注目
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2012年大会で総合5位に入り、ヤングライダー賞と山岳賞を獲得したローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)や、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキン)、フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らも総合上位に絡んでくるはずだ。
スプリントバトルでは、史上最多ステージ通算14勝を飾っているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)とマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)による新旧ジャーマンスプリンター対決に注目。
ダウンアンダーと相性の良いグライペルのために、ハンセンやカイセン、ルーランズ、シーベルグらがトレインを組む。スプリントに向けたリードアウトバトルで主導権を握るのはロット・ベリソルだ。
もちろんマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)、クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)ら、地元オーストラリア勢も黙っていない。2014年10月にオリカ・グリーンエッジ入りが決まっている小柄なスプリンターの19歳カレイブ・イワン(オーストラリア、UniSA)や、プロデビュー戦を迎える二世選手リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシングチーム)ら、若手の活躍にも期待したい。
全日本チャンピオンの新城幸也(ユーロップカー)はダウンアンダー初出場。エースのトマ・ヴォクレール(フランス)は自動車事故で鎖骨を折ってすでに帰国している。新城の開幕前インタビューは後ほどお伝えします。
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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