大会屈指の激坂を擁するバルデペニャス・デ・ハエンのゴールを制したのは、ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)。今大会ステージ2勝を遂げ、総合1位・ポイント賞・複合賞も獲得し、表彰台をほぼ独占した。山岳賞はニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)が維持した。

ステージ優勝・総合1位・ポイント賞・複合賞のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)

後続を突き放してゴールに飛び込むダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)後続を突き放してゴールに飛び込むダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:CorVos(明確な差はついたと思うか?)今日の結果では、そうは思わない。力と体力を多く必要とするゴールだった。昨日よりヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)に有利に立てたことが重要だ。ほかにも良いニュースがある。プリト(ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ))が総合上位に復帰できたことだ。

ステージ優勝のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)ステージ優勝のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:CorVos(第1ステージのチームTTでの59秒の遅れを取り戻したのは驚きでは?)あのステージはちょっと苦しかった。とくにゴールに向かう丘が厳しかった。(チームTTでは)5人の選手が一緒にゴールする必要があった。

でも、ダメージは最小限に抑えられた。自分たちとしては、そこまで悪いタイムトライアルだったとは思わない。今日の登りゴールで、あのロスを埋め合わせることができた。

総合首位に躍り出たダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)総合首位に躍り出たダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:CorVos(総合1位の手応えは?)徐々に感じている。総合1位になったけど、最終週はハードになることがわかっている。今マイヨロホを手にしていることで、自分にとってなにか変わることはない。今日マイヨロホを着るだけのことはしてきたし、防戦もするつもりだ。でも、そこまでこだわってはいない。

たとえば明日はイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)のような選手にかなり有利になるはずだ。あらゆる事態が起こる可能性がある。プリトとニーバリには粘り強さがあるし、3週間を走るノウハウを知っている。(ブエルタは)強力な選手たちを相手に戦う長いレースだ。

(ツール・ド・フランスからブエルタまでの期間について)マドリード近くの時抱くで8日間休息をとった。それから、シエラネバダ山脈で1週間を過ごし、アンドラで数週間のトレーニングを行なった。この高地トレーニングの効果が出ている。

今日の優勝は、もちろんとてもうれしい。それから、マイヨロホを獲得できたことも。今日はプリトと相談して、この戦略を練った。つまり、彼が2011年に優勝した際にアタックした場所で、ぼくもアタックすることにした。それで優勝できた。彼とチーム全員のおかげで、この信じられない成績をなんとか達成できた。

ホアキン、バルベルデ(スペイン、モビスター)、ニーバリの3名はまだ総合優勝候補だ。第3週は厳しいステージが多く、おそらく総合争いも熾烈になるだろう。我ながら今日の成績は妥当な結果だと思う。というのは、ツール・ド・フランスが終わった後に、しっかりトレーニングをしたからだ。チームメイトたちとアンドラでの高山トレーニングキャンプにも参加した。本当に激しいトレーニングだったが、その価値はあった。

このマイヨロホのキープが難しいことは知っている。残りのステージ数も多いし、明日以降はイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)のような選手の脚質に適した、長い登りが一定ペースで続くステージになる。ともかく、ぼくたちはマイヨロホの維持だけに専念するつもりはない。仮になんとかキープできたなら、それはそれで素晴らしいけど。

カチューシャというチームにとって、これまでずっと順調に進んできた。ぼくが総合リーダーになれたし、プリトも失ったタイムをすでに取り戻して、こんなに早く総合上位に復帰している。この好調さを維持することが、もっとも重要なことだと考えている。


総合2位・ステージ4位・山岳賞のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

マイヨロホを着て走るニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)マイヨロホを着て走るニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) photo:Unipublic/Graham Watson今日のような展開を怖れていた。ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)は、このところのステージで彼が速いスピードでゴールできる資質を見せていた。彼は突然現れたわけではない。これまでにワールドクラスのレースで優勝した経験もある。

こういう展開は望んでいなかったが、起きる可能性はあると思っていた。逃げを追わなかった理由のひとつは、モレーノにボーナスタイムを稼ぐチャンスを与えたくないからだった。

今日はマイヨロホを失って少し寂しいが、昨日は素晴らしかった。日々は変わっていくものだ。昨年のブエルタは、残り4日で状況が一変したことを思い出してほしい(第17ステージで総合上位の成績が入れ替わった)。

ぼくがタイムトライアルが得意なのは、大きな希望だ。総合1位の座を1秒差で失ったものの、今日はそこまで悪い内容のステージではなかった。ステージ5位でゴールできている。このバルデペニャス・デ・ハエンでの過去2回の成績は、どちらもステージ5位と6位だった。こういうステージでは、できるだけ体力を温存して、最後の登りに備えようと考えるてもおかしくない。

だけど、自分自身としては、この結果にはそんなにすぐに満足できない。最後の数分で、他のライバルたちに秒差を付けられる機会を失ったかもしれないからだ。ツール・ド・フランスの後に参加する選手にとっては、ブエルタの最後までずっと調子を維持するのは本当に難しい。最終週は、現在とまったく異なる展開になるかもしれない。


ステージ2位・総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ステージ2位、総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ステージ2位、総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:www.movistarteam.com終盤は本当にハードだったが、ベストな方法で乗り切れた。最後から2番目の山岳に入るときは、チーム全員ですべてのアタックに対応し続けていたのでかなり激しい攻防があった。カチューシャも何人かの選手を前方に送り込んでくれたおかげで、うまく追走できた。

ダニ[ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)]のアタックは本当に強力だった。少し躊躇してしまい、対応しようと思ったときには、もう彼の後ろに付くのが不可能になっていた。

ダニは、プリトとともに、今日のような険しいゴールを得意とする選手だ。素晴らしい選手だと思う。素直に脱帽する。彼らが絶好調なのもわかった。

このような登りスプリントでの展開は、彼ら2名とぼくで決まるように思われている。でも、ブエルタではまだ長い距離が残っている。ダニもボーナスタイムを稼いだが、ぼくたちも毎日タイムを稼いでいるので満足だ。本当の山岳は明日からスタートする--これまでのステージとはほど遠い、本当に厳しいステージになるだろう。どういう展開になるかが楽しみだ。


ステージ3位・総合6位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

ステージ3位、総合6位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ3位、総合6位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:CorVosダニの優勝は喜ばしい。今の彼は信じられないくらい絶好調だ。ぼくたちは完璧な状態で総合成績の圏内に入っている。今日はダニがアタックしたときに、彼を追うだけで精一杯だった。ぼくが追えなかったのではなく、誰も彼を追えなかったのが真相だ。


ステージ6位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)

ステージ6位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)ステージ6位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル) photo:CorVosこういうステージで、モレーノに勝つのは無理だ! 今日の集団では、彼が最強だった。登りでは、バルベルデに注意していた。残り300mで全力を振り絞って走り、先頭に肉薄してステージ6位でゴールした。思ったほど、うまくは走れなかった。


ステージ8位のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)

ハードだった! モレーノは2〜3年前にチームメイトだった(モレーノは2010年にオメガファーマ・ロットに在籍)。彼はあのときより強くなって、ついに総合1位になった。この数年で彼は多くのことを学んだのだと思う。

彼がアタックしたときに、誰も彼に付いていけなかった。残り150mでバルベルデとプリトを必死で追ったが、最後の区間の厳しさをすっかり忘れていた、完敗だ。


総合5位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

総合5位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)総合5位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:CorVos難易度の高い登りだったけど、展開が早く数分で決着が付いてしまった。今日は序盤から好調だったのだけど、自分の得意とするコースじゃなかった。

選手たちの誰もが最初の200〜300mで位置取りして、それを維持していた。ぼくがトップスピードに入るには、もっと長い距離が必要だと思う。その点、明日のステージのほうが自分に向いている。


総合9位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)

難しい日だった(47秒遅れでステージ33位)。だけど、まだなんとか総合上位に残れている。しっかり快復して、明日のステージで今日のロスを取り戻したい。


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI
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