2013/08/31(土) - 13:40
終盤にテクニカルなコースを擁する第7ステージ。残り10kmで飛び出したスティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)がジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)を僅差で下した。総合、山岳賞、ポイント賞、複合賞に変動はなし。ブエルタはいよいよ重要な山岳3連戦に突入する。
ステージ優勝のゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
全力で走っただけだ。ジャンニ・メールスマン(ベルギー)のスプリントのために、良い位置取りをするつもりだった。だけど100km地点でチームカーを呼んで、監督に逃げても良いかと尋ねた。
逃げに挑戦してみたかったし、チームとしても良い状況に結びつくと考えたからだ。しかし、なにもしないうちに(残り31.5kmで)1度目のフィニッシュ・ラインを通過してしまったので、そのまま最初に周回コースを見てみたくなった。アタックする準備はできていた。
もっとたくさんの選手が飛び出すだろうと思っていたけど、ぼくとフィリップ・ジルベールだけだった。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)も飛び出したようだけど、差を詰めることができなかった。最後の1kmでは、冷静さを保つようにしていた。集団が背後に迫っていることも感じていた。そこで最後の勝負に出た。
世界チャンピオンに勝つことは、とても難しい。でも、今日のスプリントのタイミングは完璧だった。勝つことができるなら1センチ差でも1ミリ差でもよかった。そして、勝つことができた。
(昨日のトニ・マルティンの影響は?)昨日は、ぼくたちにとって驚きの1日だった。残り5kmでは、チームメイトたちは無線経由でトニに声援を送っていた。ゴールの後で、ぼくたちは残念に思うよりも、彼がもう少しで達成できそうだったことを称えて抱きしめた。
彼は一種の伝説になるかもしれなかった。彼が優勝しなかったことを受け入れるのは本当につらかったが、チーム内の雰囲気は全員がやる気に満ちたものになっていた。
(シクロクロスのスペシャリストがグランツールで勝利を収めたことについて)ちょっと前まで開催されていたエネコツアーでステージ2勝、もう少しで3勝という成績だった。ブエルタに来たばかりのころは、まだ回復できていなかった。
(第1ステージの)チームTTで優勝できずに少し落ち込んだこともあり、最初の数ステージはかなり苦しかった。ステージ1勝を願ってはいたが、7日目にこんなに早い形で実現するとは思わなかった。ぼくたちはチームとして、目的をもってレースに挑む。ぼくに大きな課題は、グランツールでステージ1勝をあげることだった。(これでパリ〜ルーベでの雪辱を果たせたと思う?)そんなことはない! 来年のパリ〜ルーベではリベンジしたいと思う(今シーズンは6位の成績だった)。
(シクロクロスからロードレースへの転向について)毎年、わずかながら上達していることが本当にうれしい。しかし、つい最近までは、ぼくにとって本当に辛いシーズンだった。パリ〜ルーベの後は好調だった。でも、残念ながら、線戦を離脱せざるを得なかった。右膝の外科手術を受けたために、4ヵ月はまったくレースができなかった。
まったくなにも計画できない状況に置かれたが、ツール・ド・ポローニュ(ポーランド一周)の前の週には、すっかり良くなったことを自覚できた。だから、他のどの選手よりもフレッシュだ。エネコツアーで良い結果が出せて、とても満足している。でも、重要なのは、あの成績のおかげで、自分が向上していることがわかったことだ。
今年のエネコツアーの成績のように、まだまだ自分の可能性に驚いている。シクロクロスからロードレースに転向したときは、自分の目標は春のクラシックレースでの優勝だった。そのときに自分が思っていたときよりも早く、その目標に到達したい。いまの自分は、その正しい道を歩んでいると確信している。
ステージ2位のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
最後の周回路は、道が狭くてトリッキーだった。ラインも1つしか取れないので、先導バイクのスリップストリームを利用して、スティバルと一緒に集団から飛び出した。お互いに協調して逃げることができたし、彼は優勝に値する選手だ。
スプリントで彼がハンドルを投げた最後の最後に、ぼくは彼の真横に並んだが、わずかに届かなかった。今日の結果は残念だ。優勝は逃したけど、自分のコンディションには満足している。エネコツアーで落車してから、ようやく調子が戻ってきた。
手応えは感じている。このブエルタを毎日こなしながら、より自分に適したステージで結果を出そうと考えている。昨日は、落車して以来はじめて、調子の良さを体感できた日だった(ジルベールはエネコツアーで落車し、膝に深い傷を負い、最終ステージは未出走だった)。(結果には)満足している。今シーズンはまだ勝利がない。でも、あとわずかというところを何度も経験している。
ステージ3位のロバート・ワグナー(ドイツ、ベルキンプロサイクリング)
この地方の周回コースを走るのは初めてだったので、この結果は予想していなかった。ラウンドバウト(ロータリー)のおかげでかなり難易度が高くなるのがわかったので、単に先行しようとしただけだった。最後の500mは、ツイていた。
位置取りは良くなかったけど、一瞬だけ集団のスピードが落ちたので、2〜3人分ほど前方に上がることができた。集団スプリントには勝てたものの、ステージ優勝というわけではない。うれしい反面、優勝に手が届かなかったことにガッカリしている。
ステージ4位のアドリアン・プティ(フランス、コフィディス)
昨日は集団で身動きが取れなくなってスプリント勝負に参加できず、自分を責めた。今日はまったく後悔していない。スプリントでは全力で走った。スティバルやジルベールとは離れてゴールしたが、ワグナーと差が付くよりはよかった。このブエルタが、初めてのグランツールだ。だから、この結果はかなり意味があるが、まだ1勝したわけではない。
スティバルと同室のセルジュ・パウエルス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
1度めのフィニッシュ・ラインを越えたときに、監督から「今日は普通のスプリントにはならないだろう」という話があった。コースがテクニカルで危険度も高かったので、監督はスティバルに前を追いかけて、機会があればアタックしろと指示していた。
そして、彼はその指示を達成した! スティバルは素晴らしい選手だ。彼の優勝はチーム全員が喜んでいる。スティバルは、ステージ1勝をすると宣言してブエルタに参加したが、軽々と達成してしまった。(ブエルタでの)最初の数日は、スティバルはエネコツアーで総合優勝したこともあって、まだ少し疲れが残っていたけどね。
ポイント賞のマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
アタックの気配は感じていたので、ジルベールのアタックには驚かなかった。だけど、そのまま逃げ切るとは予想できなかった。チームメイトたちは、ぼくをリードアウトしようとしっかり仕事してくれた。彼らは全力を尽くしてくれたが、次の機会を願うことになった。
この緑のポイント賞ジャージを着て走るのは初めてだ。このジャージをしっかり守っていこうと思うが、クライマーを相手にした防戦は難しくなるだろう。一般的にクライマーのほうがスプリンターよりも総合成績でポイントを稼ぐ傾向があると思う。でも、できるだけ守っていきたいと思う。
山岳3連戦に期待する総合5位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
比較的楽なステージだったが、ゴール付近では熾烈な優勝争いと、周回コースの危険性もあいまって、かなり緊張感が高まっていた。集中力を維持するのに、かなり体力を使った。危険すぎたかって? そう思う。
チームメイトの数名と一緒になって、ずっと不満を漏らしていた。もう少しリスクを減らす方法が、他にもあったと思う。スプリント勝負というのは、つねに緊張感を伴うものだ。でも、今日のスプリントはちょっと行き過ぎだった。
明日からはいよいよ頂上ゴール3連戦で、重要な3日間になる--明日の第8ステージからのペニャスブランカスの山岳は走ったことはないが、話は聞いている。序盤の上りがそれなりにハードで、最後の6〜7kmでは約7%の勾配になる。これまでのところ、チームも順調だし、ぼくもしっかり走るつもりだから、明日のことは想像がつく。
日曜日の第9ステージのバルデペーニャス・デ・ハエン(最大27%の勾配を持つ本大会の難所のひとつ)では、少しタイム差が付く可能性がある。もちろん、タイム差は最小限に留めるべきだ。重要なのは、最後の上りに入るときに良い位置取りにつけるかどうかだろう。
月曜日のステージ(第10ステージ)については、よく知っている。モナチルの上りもアサリャナスの上りも両方ともハードだ。この山岳3連戦で、かなり脚を酷使することになるだろう。できれば、この3連戦で良い成績を出したい。手応えは感じているし、チームもぼくを完璧な状態になるようにサポートしてくれている。
※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝のゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
全力で走っただけだ。ジャンニ・メールスマン(ベルギー)のスプリントのために、良い位置取りをするつもりだった。だけど100km地点でチームカーを呼んで、監督に逃げても良いかと尋ねた。
逃げに挑戦してみたかったし、チームとしても良い状況に結びつくと考えたからだ。しかし、なにもしないうちに(残り31.5kmで)1度目のフィニッシュ・ラインを通過してしまったので、そのまま最初に周回コースを見てみたくなった。アタックする準備はできていた。
もっとたくさんの選手が飛び出すだろうと思っていたけど、ぼくとフィリップ・ジルベールだけだった。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)も飛び出したようだけど、差を詰めることができなかった。最後の1kmでは、冷静さを保つようにしていた。集団が背後に迫っていることも感じていた。そこで最後の勝負に出た。
世界チャンピオンに勝つことは、とても難しい。でも、今日のスプリントのタイミングは完璧だった。勝つことができるなら1センチ差でも1ミリ差でもよかった。そして、勝つことができた。
(昨日のトニ・マルティンの影響は?)昨日は、ぼくたちにとって驚きの1日だった。残り5kmでは、チームメイトたちは無線経由でトニに声援を送っていた。ゴールの後で、ぼくたちは残念に思うよりも、彼がもう少しで達成できそうだったことを称えて抱きしめた。
彼は一種の伝説になるかもしれなかった。彼が優勝しなかったことを受け入れるのは本当につらかったが、チーム内の雰囲気は全員がやる気に満ちたものになっていた。
(シクロクロスのスペシャリストがグランツールで勝利を収めたことについて)ちょっと前まで開催されていたエネコツアーでステージ2勝、もう少しで3勝という成績だった。ブエルタに来たばかりのころは、まだ回復できていなかった。
(第1ステージの)チームTTで優勝できずに少し落ち込んだこともあり、最初の数ステージはかなり苦しかった。ステージ1勝を願ってはいたが、7日目にこんなに早い形で実現するとは思わなかった。ぼくたちはチームとして、目的をもってレースに挑む。ぼくに大きな課題は、グランツールでステージ1勝をあげることだった。(これでパリ〜ルーベでの雪辱を果たせたと思う?)そんなことはない! 来年のパリ〜ルーベではリベンジしたいと思う(今シーズンは6位の成績だった)。
(シクロクロスからロードレースへの転向について)毎年、わずかながら上達していることが本当にうれしい。しかし、つい最近までは、ぼくにとって本当に辛いシーズンだった。パリ〜ルーベの後は好調だった。でも、残念ながら、線戦を離脱せざるを得なかった。右膝の外科手術を受けたために、4ヵ月はまったくレースができなかった。
まったくなにも計画できない状況に置かれたが、ツール・ド・ポローニュ(ポーランド一周)の前の週には、すっかり良くなったことを自覚できた。だから、他のどの選手よりもフレッシュだ。エネコツアーで良い結果が出せて、とても満足している。でも、重要なのは、あの成績のおかげで、自分が向上していることがわかったことだ。
今年のエネコツアーの成績のように、まだまだ自分の可能性に驚いている。シクロクロスからロードレースに転向したときは、自分の目標は春のクラシックレースでの優勝だった。そのときに自分が思っていたときよりも早く、その目標に到達したい。いまの自分は、その正しい道を歩んでいると確信している。
ステージ2位のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
最後の周回路は、道が狭くてトリッキーだった。ラインも1つしか取れないので、先導バイクのスリップストリームを利用して、スティバルと一緒に集団から飛び出した。お互いに協調して逃げることができたし、彼は優勝に値する選手だ。
スプリントで彼がハンドルを投げた最後の最後に、ぼくは彼の真横に並んだが、わずかに届かなかった。今日の結果は残念だ。優勝は逃したけど、自分のコンディションには満足している。エネコツアーで落車してから、ようやく調子が戻ってきた。
手応えは感じている。このブエルタを毎日こなしながら、より自分に適したステージで結果を出そうと考えている。昨日は、落車して以来はじめて、調子の良さを体感できた日だった(ジルベールはエネコツアーで落車し、膝に深い傷を負い、最終ステージは未出走だった)。(結果には)満足している。今シーズンはまだ勝利がない。でも、あとわずかというところを何度も経験している。
ステージ3位のロバート・ワグナー(ドイツ、ベルキンプロサイクリング)
この地方の周回コースを走るのは初めてだったので、この結果は予想していなかった。ラウンドバウト(ロータリー)のおかげでかなり難易度が高くなるのがわかったので、単に先行しようとしただけだった。最後の500mは、ツイていた。
位置取りは良くなかったけど、一瞬だけ集団のスピードが落ちたので、2〜3人分ほど前方に上がることができた。集団スプリントには勝てたものの、ステージ優勝というわけではない。うれしい反面、優勝に手が届かなかったことにガッカリしている。
ステージ4位のアドリアン・プティ(フランス、コフィディス)
昨日は集団で身動きが取れなくなってスプリント勝負に参加できず、自分を責めた。今日はまったく後悔していない。スプリントでは全力で走った。スティバルやジルベールとは離れてゴールしたが、ワグナーと差が付くよりはよかった。このブエルタが、初めてのグランツールだ。だから、この結果はかなり意味があるが、まだ1勝したわけではない。
スティバルと同室のセルジュ・パウエルス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
1度めのフィニッシュ・ラインを越えたときに、監督から「今日は普通のスプリントにはならないだろう」という話があった。コースがテクニカルで危険度も高かったので、監督はスティバルに前を追いかけて、機会があればアタックしろと指示していた。
そして、彼はその指示を達成した! スティバルは素晴らしい選手だ。彼の優勝はチーム全員が喜んでいる。スティバルは、ステージ1勝をすると宣言してブエルタに参加したが、軽々と達成してしまった。(ブエルタでの)最初の数日は、スティバルはエネコツアーで総合優勝したこともあって、まだ少し疲れが残っていたけどね。
ポイント賞のマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
アタックの気配は感じていたので、ジルベールのアタックには驚かなかった。だけど、そのまま逃げ切るとは予想できなかった。チームメイトたちは、ぼくをリードアウトしようとしっかり仕事してくれた。彼らは全力を尽くしてくれたが、次の機会を願うことになった。
この緑のポイント賞ジャージを着て走るのは初めてだ。このジャージをしっかり守っていこうと思うが、クライマーを相手にした防戦は難しくなるだろう。一般的にクライマーのほうがスプリンターよりも総合成績でポイントを稼ぐ傾向があると思う。でも、できるだけ守っていきたいと思う。
山岳3連戦に期待する総合5位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
比較的楽なステージだったが、ゴール付近では熾烈な優勝争いと、周回コースの危険性もあいまって、かなり緊張感が高まっていた。集中力を維持するのに、かなり体力を使った。危険すぎたかって? そう思う。
チームメイトの数名と一緒になって、ずっと不満を漏らしていた。もう少しリスクを減らす方法が、他にもあったと思う。スプリント勝負というのは、つねに緊張感を伴うものだ。でも、今日のスプリントはちょっと行き過ぎだった。
明日からはいよいよ頂上ゴール3連戦で、重要な3日間になる--明日の第8ステージからのペニャスブランカスの山岳は走ったことはないが、話は聞いている。序盤の上りがそれなりにハードで、最後の6〜7kmでは約7%の勾配になる。これまでのところ、チームも順調だし、ぼくもしっかり走るつもりだから、明日のことは想像がつく。
日曜日の第9ステージのバルデペーニャス・デ・ハエン(最大27%の勾配を持つ本大会の難所のひとつ)では、少しタイム差が付く可能性がある。もちろん、タイム差は最小限に留めるべきだ。重要なのは、最後の上りに入るときに良い位置取りにつけるかどうかだろう。
月曜日のステージ(第10ステージ)については、よく知っている。モナチルの上りもアサリャナスの上りも両方ともハードだ。この山岳3連戦で、かなり脚を酷使することになるだろう。できれば、この3連戦で良い成績を出したい。手応えは感じているし、チームもぼくを完璧な状態になるようにサポートしてくれている。
※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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