2013/08/20(火) - 13:29
アメリカ合衆国西部のコロラド州を舞台にしたUSAプロチャレンジ(UCI2.HC)が8月19日に開幕。7つのUCIプロチームが出場するハイレベルな闘いに、日本から増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)と西薗良太(チャンピオンシステム)が出場した。
2011年に初開催され、2012年からHCクラスのステージレースとして開催されているUSAプロチャレンジ。ツアー・オブ・カリフォルニアなどに並ぶアメリカ最高峰のステージレースであり、舞台はコロラド州の高地だ。
出場する16チームのうち、UCIプロチームはBMCレーシングチーム、キャノンデールプロサイクリング、レディオシャック・レオパード、スカイプロサイクリング、アルゴス・シマノ、ガーミン・シャープ、サクソ・ティンコフの計6チーム。
増田成幸と西薗良太のように、8月上旬にユタ州で開催されたツアー・オブ・ユタ(UCI2.1)から連戦出場する選手が多いが、レースレベルはユタよりも断然高い。ツール・ド・フランス覇者のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)やマイヨヴェール獲得者ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)をはじめ、錚々たるメンバーが揃った。
第1ステージはロッキー山脈の山間の街アスペンを起点にした32.5kmの周回コースを3周。全長97.6kmのコースには合計4つのKOM(カテゴリー山岳)が登場するが、比較的その難易度は低い。
レースは、クレイグ・ルイス(アメリカ、チャンピオンシステム)の強力なアタックによって形成された3名の逃げが先行し、キャノンデールプロサイクリングがメイン集団を率いて追走する展開に。装い新たに黒基調のチームジャージに身を包んだ増田成幸も集団ローテーションに加わった。
タイム差2分前後のままレースは進行し、勝負は最終周回へ。ゴール10km手前の4級山岳マクレーンフラッツで逃げグループはばらけ、すでに3つのKOMを先頭通過していたマシュー・クック(アメリカ、ジェーミス・ハーゲンズバーマン)だけが生き残る。
マクレーンフラッツを登るメイン集団は、レディオシャック・レオパード勢のペースアップによって縮小。カウンターアタックでジョージ・ベネット(ニュージーランド、レディオシャック・レオパード)やサガンら6名が飛び出す一方で、ツール以来久々のレース出場となったフルームは脱落する。サガンらはマクレーンフラッツ通過後に先頭クックを捉えた。
こうして一時的に7名の先頭グループが形成されたが、協力体制を築けず分裂。最後まで粘り続けたベネットとカーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)の2人も、ゴールまで2kmを切って吸収。BMCレーシングチーム主導のゴールスプリント勝負に持ち込まれた。
メイン集団内でアスペンに到達したのは約40名。チームメイトにリードアウトされたフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が集団先頭で最終コーナーを曲がる。
するとその後方からサガンがスプリントを開始。ほぼ同時に踏み始めたファンアフェルマートとサガン。加速力でライバルを凌駕したサガンが勝利した。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)まで1勝に迫る今シーズン15勝目を飾ったサガンは「2週間前に現地入りしてレースに備えた。今日のステージは貴重なチャンスであり、チームメイトが最高の仕事ぶりでレースをコントロール。今日はすべてが最高の展開だった」と喜ぶ。終盤の4級山岳でアタックし、逃げグループに入ったことについてサガンは「不意打ちを避けるためにアタックしたけど、誰も協調しなかったので、スプリントに向けて脚を貯めることにした」と説明している。
リーダージャージを獲得したが、サガンは楽観的に翌日からのステージを見る。「コースプロフィールを見る限り、このステージレースはクライマー向きで、僕向きではない。だから明日からは様子を見て走るよ。9月のレース(世界選手権)に向けて、山岳レースで調整を続けたい」。
チームメイトの増田成幸は「グランデ・ピーテル!抜群の安定感。明日は3000m級の山岳が二つあるんだけど、そんなことは考えず今日の仕事に徹しました」と自身のTwitterでコメント。増田成幸やフルームと同じ4分59秒遅れの集団でゴールした西薗良太は「クレイグ(ルイス)が強力なエスケープでキャノンデールを疲弊させたものの、サガン・カルーゾペアがあまりに強過ぎたらしい。自分はポジションが取れずに最終ラップに中切れ埋め合戦になって残れず」と振り返っている。
第2ステージはアスペンからブレッケンリッジまでの203.4km。前半に標高3688m(!)の1級山岳インデペンデンスパス、後半に標高3513mの2級山岳フージャーパスと3級山岳ボリアスパスを越える難関山岳ステージだ。
選手コメントはチーム公式サイトと各選手Twitterより。
USAプロチャレンジ2013第1ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 2h26'00"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
3位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
7位 ローリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)
8位 ルーカス・ユーザー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 クリストファー・ボールドウィン(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
93位 西薗良太(チャンピオンシステム) +4'59"
108位 増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) +6'41"
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 2h26'00"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
3位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
7位 ローリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)
8位 ルーカス・ユーザー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 クリストファー・ボールドウィン(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
93位 西薗良太(チャンピオンシステム) +4'59"
108位 増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) +6'41"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
山岳賞
マシュー・クック(アメリカ、ジェーミス・ハーゲンズバーマン)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
チーム総合成績
レディオシャック・レオパード
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
2011年に初開催され、2012年からHCクラスのステージレースとして開催されているUSAプロチャレンジ。ツアー・オブ・カリフォルニアなどに並ぶアメリカ最高峰のステージレースであり、舞台はコロラド州の高地だ。
出場する16チームのうち、UCIプロチームはBMCレーシングチーム、キャノンデールプロサイクリング、レディオシャック・レオパード、スカイプロサイクリング、アルゴス・シマノ、ガーミン・シャープ、サクソ・ティンコフの計6チーム。
増田成幸と西薗良太のように、8月上旬にユタ州で開催されたツアー・オブ・ユタ(UCI2.1)から連戦出場する選手が多いが、レースレベルはユタよりも断然高い。ツール・ド・フランス覇者のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)やマイヨヴェール獲得者ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)をはじめ、錚々たるメンバーが揃った。
第1ステージはロッキー山脈の山間の街アスペンを起点にした32.5kmの周回コースを3周。全長97.6kmのコースには合計4つのKOM(カテゴリー山岳)が登場するが、比較的その難易度は低い。
レースは、クレイグ・ルイス(アメリカ、チャンピオンシステム)の強力なアタックによって形成された3名の逃げが先行し、キャノンデールプロサイクリングがメイン集団を率いて追走する展開に。装い新たに黒基調のチームジャージに身を包んだ増田成幸も集団ローテーションに加わった。
タイム差2分前後のままレースは進行し、勝負は最終周回へ。ゴール10km手前の4級山岳マクレーンフラッツで逃げグループはばらけ、すでに3つのKOMを先頭通過していたマシュー・クック(アメリカ、ジェーミス・ハーゲンズバーマン)だけが生き残る。
マクレーンフラッツを登るメイン集団は、レディオシャック・レオパード勢のペースアップによって縮小。カウンターアタックでジョージ・ベネット(ニュージーランド、レディオシャック・レオパード)やサガンら6名が飛び出す一方で、ツール以来久々のレース出場となったフルームは脱落する。サガンらはマクレーンフラッツ通過後に先頭クックを捉えた。
こうして一時的に7名の先頭グループが形成されたが、協力体制を築けず分裂。最後まで粘り続けたベネットとカーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)の2人も、ゴールまで2kmを切って吸収。BMCレーシングチーム主導のゴールスプリント勝負に持ち込まれた。
メイン集団内でアスペンに到達したのは約40名。チームメイトにリードアウトされたフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が集団先頭で最終コーナーを曲がる。
するとその後方からサガンがスプリントを開始。ほぼ同時に踏み始めたファンアフェルマートとサガン。加速力でライバルを凌駕したサガンが勝利した。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)まで1勝に迫る今シーズン15勝目を飾ったサガンは「2週間前に現地入りしてレースに備えた。今日のステージは貴重なチャンスであり、チームメイトが最高の仕事ぶりでレースをコントロール。今日はすべてが最高の展開だった」と喜ぶ。終盤の4級山岳でアタックし、逃げグループに入ったことについてサガンは「不意打ちを避けるためにアタックしたけど、誰も協調しなかったので、スプリントに向けて脚を貯めることにした」と説明している。
リーダージャージを獲得したが、サガンは楽観的に翌日からのステージを見る。「コースプロフィールを見る限り、このステージレースはクライマー向きで、僕向きではない。だから明日からは様子を見て走るよ。9月のレース(世界選手権)に向けて、山岳レースで調整を続けたい」。
チームメイトの増田成幸は「グランデ・ピーテル!抜群の安定感。明日は3000m級の山岳が二つあるんだけど、そんなことは考えず今日の仕事に徹しました」と自身のTwitterでコメント。増田成幸やフルームと同じ4分59秒遅れの集団でゴールした西薗良太は「クレイグ(ルイス)が強力なエスケープでキャノンデールを疲弊させたものの、サガン・カルーゾペアがあまりに強過ぎたらしい。自分はポジションが取れずに最終ラップに中切れ埋め合戦になって残れず」と振り返っている。
第2ステージはアスペンからブレッケンリッジまでの203.4km。前半に標高3688m(!)の1級山岳インデペンデンスパス、後半に標高3513mの2級山岳フージャーパスと3級山岳ボリアスパスを越える難関山岳ステージだ。
選手コメントはチーム公式サイトと各選手Twitterより。
USAプロチャレンジ2013第1ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 2h26'00"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
3位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
7位 ローリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)
8位 ルーカス・ユーザー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 クリストファー・ボールドウィン(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
93位 西薗良太(チャンピオンシステム) +4'59"
108位 増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) +6'41"
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 2h26'00"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
3位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
7位 ローリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)
8位 ルーカス・ユーザー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 クリストファー・ボールドウィン(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
93位 西薗良太(チャンピオンシステム) +4'59"
108位 増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) +6'41"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
山岳賞
マシュー・クック(アメリカ、ジェーミス・ハーゲンズバーマン)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
チーム総合成績
レディオシャック・レオパード
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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