2013/07/10(水) - 09:57
1回目を休息日を終えたツール・ド・フランスは、ブルターニュ地方に舞台を移して動き出した。大西洋からの海風に吹かれながら繰り広げられたゴールスプリントでマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)が2勝目をマーク。新城幸也(ユーロップカー)はラスト1kmを切ってからメカトラに見舞われ、勝負に絡めなかった。
ツール第10ステージ。ブルターニュ地方を北上する197kmのコースは概ねフラットで、142km地点で4級山岳ディナンを通過するものの、勝負には何ら影響しない。疑いの無い100%スプリンター向きの平坦ステージだ。
ツール第2週をスタートさせたのは182名の選手たち。地元ブルターニュ出身のジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)がファーストアタックを仕掛け、フアンホセ・オロス(スペイン、エウスカルテル)、ルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)が合流する。
最大5分のリードを得た先頭5名に対し、スプリンターチームがメイン集団を率いて追走する典型的な平坦ステージの展開。オメガファーマ・クイックステップ、ロット・ベリソル、アルゴス・シマノの集団牽引により、ツール史上初めて登場するサンシール陸軍士官学校(64km地点)を通過するころ、タイム差は4分に。
127km地点のスプリントポイントはマテマルドネスが先頭通過。3分後方のメイン集団ではスプリントバトルが繰り広げられ、キャノンデールプロサイクリングのトレインを利用したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が先頭通過を果たす。
レース終盤の横風区間を警戒する総合系チームが集団前方に上がると、逃げグループとのタイム差縮小は加速。残り29kmでタイム差が1分を切ると逃げグループ内に不協和音が流れ始め、オロスらがアタックで抵抗する。吸収間近にアタックしたシモンの健闘も虚しく、逃げはラスト5.5kmで全て吸収された。
集団スプリントに向けてトレインを組んだのはオメガファーマ・クイックステップとアルゴス・シマノ、ロット・ベリソル。この日もロット・ベリソルがタイミングよく先頭に出る。ハンセン、シーベルグ、ルーランズ、ヘンダーソン、グライペルの順でフラムルージュを駆け抜けた。
グライペルの番手を取ったのはキッテルのリードアウト役を務めるトム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)。その後ろにマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が入り、キッテルがその後方に。
スムーズにグライペルがトレインから解き放たれると、後方からキッテルがスプリントをスタート。同時にスプリント体勢に入ったカヴェンディッシュは、役目を終えたフィーラースと接触する。
高速域で落車したフィーラースが地面に叩き付けられるその前で、エースのキッテルがグライペルを追撃。伸びやかなスプリントを見せたキッテルがフィニッシュライン直前でグライペルを抜き去った。
サガン、カヴェンディッシュ、グライペルを上回るステージ2勝目を飾ったキッテル。「(第1ステージと比べて)ビッグスプリンターが揃った勝負で勝ったので満足感は大きいよ。特にグライペルを下したことを誇りに思う」と語る。今大会初の高速ジャーマンスプリンター対決を制した。
「リードアウトしてくれたチームメイトに感謝。発射台役のトム(フィーラース)が落車したのは残念。明日以降のステージに向けて落車の影響が無ければいいけど。カヴェンディッシュが故意に転倒させたとは思わない。ゴール前ではよくあることだから」。
第10ステージを終えてポイント賞トップは依然としてサガン。この日ポイント賞のリードが縮まったが、それでもリードは80ポイント以上ある。マイヨジョーヌ、マイヨアポワ、マイヨブランともに持ち主に変動は無い。
新城幸也(ユーロップカー)はスプリントに向けて集団前方に位置していたが、ラスト1kmでメカトラに見舞われてストップ。バイク交換を余儀なくされ、集団から遅れてゴールした。チームメイトのケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)がステージ8位に入っている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2013第10ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) 4J53'25"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
5位 ウィリアム・ボネ(フランス、FDJ.fr)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)
9位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
169位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
敢闘賞
ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)
個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 41h52'43"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1'25"
3位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +1'44"
4位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +1'50"
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +1'51"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
7位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +2'02"
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +2'28"
9位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +2'31"
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +2'45"
ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 269pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 186pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 166Pts
山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) 49pts
2位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング 33pts
3位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) 28pts
新人賞 マイヨブラン
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) 41h54'45"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +1'23"
3位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +5'07"
チーム総合成績
1位 モビスター 124h51'44"
2位 サクソ・ティンコフ +4'11"
3位 ベルキンプロサイクリング +5'22"
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos
ツール第10ステージ。ブルターニュ地方を北上する197kmのコースは概ねフラットで、142km地点で4級山岳ディナンを通過するものの、勝負には何ら影響しない。疑いの無い100%スプリンター向きの平坦ステージだ。
ツール第2週をスタートさせたのは182名の選手たち。地元ブルターニュ出身のジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)がファーストアタックを仕掛け、フアンホセ・オロス(スペイン、エウスカルテル)、ルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)が合流する。
最大5分のリードを得た先頭5名に対し、スプリンターチームがメイン集団を率いて追走する典型的な平坦ステージの展開。オメガファーマ・クイックステップ、ロット・ベリソル、アルゴス・シマノの集団牽引により、ツール史上初めて登場するサンシール陸軍士官学校(64km地点)を通過するころ、タイム差は4分に。
127km地点のスプリントポイントはマテマルドネスが先頭通過。3分後方のメイン集団ではスプリントバトルが繰り広げられ、キャノンデールプロサイクリングのトレインを利用したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が先頭通過を果たす。
レース終盤の横風区間を警戒する総合系チームが集団前方に上がると、逃げグループとのタイム差縮小は加速。残り29kmでタイム差が1分を切ると逃げグループ内に不協和音が流れ始め、オロスらがアタックで抵抗する。吸収間近にアタックしたシモンの健闘も虚しく、逃げはラスト5.5kmで全て吸収された。
集団スプリントに向けてトレインを組んだのはオメガファーマ・クイックステップとアルゴス・シマノ、ロット・ベリソル。この日もロット・ベリソルがタイミングよく先頭に出る。ハンセン、シーベルグ、ルーランズ、ヘンダーソン、グライペルの順でフラムルージュを駆け抜けた。
グライペルの番手を取ったのはキッテルのリードアウト役を務めるトム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)。その後ろにマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が入り、キッテルがその後方に。
スムーズにグライペルがトレインから解き放たれると、後方からキッテルがスプリントをスタート。同時にスプリント体勢に入ったカヴェンディッシュは、役目を終えたフィーラースと接触する。
高速域で落車したフィーラースが地面に叩き付けられるその前で、エースのキッテルがグライペルを追撃。伸びやかなスプリントを見せたキッテルがフィニッシュライン直前でグライペルを抜き去った。
サガン、カヴェンディッシュ、グライペルを上回るステージ2勝目を飾ったキッテル。「(第1ステージと比べて)ビッグスプリンターが揃った勝負で勝ったので満足感は大きいよ。特にグライペルを下したことを誇りに思う」と語る。今大会初の高速ジャーマンスプリンター対決を制した。
「リードアウトしてくれたチームメイトに感謝。発射台役のトム(フィーラース)が落車したのは残念。明日以降のステージに向けて落車の影響が無ければいいけど。カヴェンディッシュが故意に転倒させたとは思わない。ゴール前ではよくあることだから」。
第10ステージを終えてポイント賞トップは依然としてサガン。この日ポイント賞のリードが縮まったが、それでもリードは80ポイント以上ある。マイヨジョーヌ、マイヨアポワ、マイヨブランともに持ち主に変動は無い。
新城幸也(ユーロップカー)はスプリントに向けて集団前方に位置していたが、ラスト1kmでメカトラに見舞われてストップ。バイク交換を余儀なくされ、集団から遅れてゴールした。チームメイトのケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)がステージ8位に入っている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2013第10ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) 4J53'25"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
5位 ウィリアム・ボネ(フランス、FDJ.fr)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)
9位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
169位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
敢闘賞
ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)
個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 41h52'43"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1'25"
3位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +1'44"
4位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +1'50"
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +1'51"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
7位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +2'02"
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +2'28"
9位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +2'31"
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +2'45"
ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 269pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 186pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 166Pts
山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) 49pts
2位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング 33pts
3位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) 28pts
新人賞 マイヨブラン
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) 41h54'45"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +1'23"
3位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +5'07"
チーム総合成績
1位 モビスター 124h51'44"
2位 サクソ・ティンコフ +4'11"
3位 ベルキンプロサイクリング +5'22"
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos
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