2013年のツール・ド・フランスは例年以上に山岳の比率が高いと言われる。超級モンヴァントゥーに始まり、合計1000m登る個人タイムトライアル、史上初めて2回登る超級ラルプ・デュエズ、そしてツール初登場の超級セムノスでマイヨジョーヌ争いは決着。パリ・シャンゼリゼに至る後半ステージをチェックしておこう。




7月11日(木)第12ステージ
フォルジェール~トゥール 218km
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ツール・ド・フランス2013第12ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第12ステージ・高低図 image:A.S.O.ブルターニュ地方とノルマンディー地方でのステージを終え、ツールはアルプス山脈に向かってフランス横断を開始する。広大な平野を貫く218kmのコースは起伏に乏しく、カテゴリー山岳も無し。真っ平らなコースは当然スプリンター向きだ。

ゴール地点はパリ〜トゥールでもお馴染みのトゥールの街。しかし秋のクラシックレースで逃げ切りを演出する丘がツールのコースに組み込まれることは無かった。広くて直線的なコースレイアウトが逃げグループにチャンスを与えない。スプリンターチームは逃げを泳がせながら、ゴールまで余裕をもって吸収するだろう。スプリンターチームがゴール地点はグラモン大通りではなく、少し離れた展示会場の前だ。




7月12日(金)第13ステージ
トゥール~サンタマン・モンロン 173km
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ツール・ド・フランス2013第13ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第13ステージ・高低図 image:A.S.O.前日に引き続き、レース主催者A.S.O.はスプリンター向きの平坦コースを用意した。前日のゴール地点トゥールを発ち、南東に向かって距離を稼ぐ一日。ツール3度目の登場となるゴール地点サンタマン・モンロンは、フランス国土のど真ん中に位置する。

ちょうどレースの中盤に4級山岳が設定されているが、先頭通過選手に与えられるのは1ポイントだけ。マイヨアポワ争いにも影響を与えない。ゴール8km手前に小高い丘が登場するが、勾配も緩く、スプリンターの勢いを止めることは出来ないだろう。この第13ステージがスプリンターにとって山岳前最後のチャンスであり、ゴールスプリントに持ち込まれる可能性は極めて高い。次回スプリンターにチャンスが回ってくるのは最終日パリ・シャンゼリゼだ。




7月13日(土)第14ステージ
サンプルセン・シュル・シウール~リヨン 191km
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ツール・ド・フランス2013第14ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第14ステージ・高低図 image:A.S.O.ツールはフランスの中央山塊に差し掛かる。サンプルセン・シュル・シウールからリヨンまでの191kmに詰め込まれたカテゴリー山岳は実に7つ。いずれもカテゴリー3級か4級で、登坂距離2km前後・平均勾配4〜5%ほど。アルデンヌクラシックのようなアップダウンコースが特徴で、リズムの変化に素早く対応しなければならない。

終盤に畳み掛けるように登場する4級山岳デュシェール(登坂距離1.6km・平均勾配4.1%)と4級山岳クロワ・ルッス(登坂距離1.8km・平均勾配4.5%)を越えると、ゴールまで残り10km。ピュアスプリンターはこれらの登りで苦戦する。登りでアタックを成功させたパンチャーの逃げ切り、もしくは登りでも食らいつくペーター・サガン(スロバキア)のような軽量スプリンターによる勝負に持ち込まれるだろう。




7月14日(日)第15ステージ
ジボール~モンヴァントゥー 242.5km
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ツール・ド・フランス2013第15ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第15ステージ・高低図 image:A.S.O.今大会最長242.5kmのコースの先に「プロヴァンスの巨人」モンヴァントゥーが待つ。プロヴァンスを見下ろす標高1912mの禿げ山でマイヨジョーヌ争いに再び火がつく。登坂距離20.8km・平均勾配7.5%の超級山岳が2週目のクライマックス。頂上が近づくにつれて遮るものが無くなり、熱い太陽が照らし、荒涼とした山肌を吹き下ろす強風が選手を拒む。

フランス革命記念日だけに、レース序盤の4級山岳ではフランス人選手が使命感を持ってアタックを繰り返すだろう。このロングステージでメイン集団に対して大きなタイム差をつけることが出来れば、逃げ切りによる大金星が決まることも充分に考えられる。「魔の山」での決戦を終えると、翌日は2度目の休息日だ。




7月15日(月)休息日




7月16日(火)第16ステージ
ベゾン・ラ・ロメーヌ~ギャップ 168km
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ツール・ド・フランス2013第16ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第16ステージ・高低図 image:A.S.O.休息日明け、3週目の幕開けを告げる第16ステージには、2級山岳が2つと3級山岳が1つ設定されている。ゴールの僅か12km手前に置かれた2級山岳マンス峠(登坂距離9.5km・平均勾配5.2%)がスプリンターの進入を拒んでいる。パンチャー系の選手たちが逃げ切りを狙ってアタックを繰り返すはずだ。

2級山岳マンス峠からギャップに至る下りはテクニカルで、ヘアピンコーナーが連続する。2003年にホセバ・ベロキが落車し、後方を走っていたランス・アームストロングが草むらをショートカットして難を逃れたあのコーナー(161km地点)もある。翌日の個人タイムトライアルを前に、マイヨジョーヌ狙いのオールラウンダーたちが奇襲アタックを仕掛けてレースをかき回してくるかも知れない。2011年のツールで、コンタドールがAシュレクに対してそうしたように。




7月17日(水)第17ステージ
アンブリュン~ショルジュ 32km(個人TT)
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ツール・ド・フランス2013第17ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第17ステージ・高低図 image:A.S.O.人工湖としてはヨーロッパ第2の貯水量を誇るセール・ポンソン湖の畔、アンブリュンをスタートする個人タイムトライアル。ここでマイヨジョーヌ争いは重要な局面を迎える。距離は32kmで、個人TTとしては短めの部類に入るが、TTバイクに適しているコースとは言えない。登りと下りしかないようなコースレイアウトで、2つの2級山岳が設定されているのだ。

2級山岳ピュイ・サニエール(登坂距離6.4km・平均勾配6%)と2級山岳レアロン(登坂距離6.9km・平均勾配6.3%)はいずれも標高1200mクラスの本格山岳だ。一日の獲得標高差は約1000mで、登坂力と下りのテクニックが問われるコース。総合変動は必至で、ここでの成績が最終的な総合成績に大きく響くことは間違いない。




7月18日(木)第18ステージ
ギャップ~ラルプ・デュエズ 172.5km
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ツール・ド・フランス2013第18ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第18ステージ・高低図 image:A.S.O.アルプス3連戦の初日。超級山岳ラルプ・デュエズを2回登る最重要ステージがついに姿を現す。スタート後すぐ2級山岳マンス峠の登りが始まり、その後も断続的にアップダウンを繰り返す。そして、スプリントポイントが置かれた104km地点のブルドワザン通過と同時に、永遠に続くような九十九折りの登りが始まる。

合計21カ所のコーナーを経て超級山岳ラルプ・デュエズ(登坂距離12.3km・平均勾配8.4%)の頂上に着くと、そこから更に2級山岳サレンヌを駆け上がる。すると、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで通過した際に選手たちから不満が爆発した「ツールらしくない、ジロらしい」危険な下りが登場。この2級山岳サレンヌの下りで攻撃を仕掛ける選手も出てくるだろう。2度目のラルプ・デュエズの頂上で、マイヨジョーヌは本命の手に渡る。




7月19日(金)第19ステージ
ブール・ドワザン~ルグラン・ボルナン 204.5km
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ツール・ド・フランス2013第19ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第19ステージ・高低図 image:A.S.O.2つの超級山岳頂上ゴールに挟まれているため存在感が薄いが、とにかく登坂距離が長い第19ステージ。前半から超級山岳グランドン峠(登坂距離21.6km・平均勾配5.1%)と超級山岳マドレーヌ峠(登坂距離19.2km・平均勾配7.9%)が連続して登場する。レース前半からグルペットが形成されるだろう。距離も200kmオーバーで、完走を目指す選手たちにとって最も厳しい一日になるのは目に見えている。

ステージ優勝ならびに総合狙いの選手たちは、後半に登場する2級山岳タミエ峠、1級山岳レピーヌ峠、1級山岳クロワ・フリでバトルを繰り広げる。ゴール手前12kmは下りだが、ラスト500mからはゴールまでは登り坂。スタートからゴールまで目が離せない展開になるだろう。




7月20日(土)第20ステージ
アヌシー~アヌシー・セムノス 125km
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ツール・ド・フランス2013第20ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第20ステージ・高低図 image:A.S.O.総合優勝者を導き出す第20ステージの全長は125kmしかない。しかし、レース距離の短さは、密度の濃さ、強度の高さを意味している。パリ凱旋を翌日に控えたこの日の最後に、ツール初登場の超級山岳セムノス峠が待ち構えているのだ。

前半からカテゴリー山岳が立て続けに登場し、ゴールまで47kmを残して1級山岳モンラヴァール(登坂距離15.9km・平均勾配5.6%)をクリア。そこから一旦標高差800mを下り、最後の超級山岳セムノス峠に挑む。登坂距離10.7km、平均勾配8.5%、最大勾配10.5%という登りを攻略し、ダイナミックな山岳風景が望めるという標高1655mの頂上でマイヨジョーヌを受け取った選手が、実質的なツール100代チャンピオン。表彰台や総合トップ10、更にはマイヨアポワとマイヨブランを懸けた闘いも佳境を迎える。




7月21日(日)第21ステージ
ヴェルサイユ~パリ・シャンゼリゼ 133.5km
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ツール・ド・フランス2013第21ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第21ステージ・高低図 image:A.S.O.最終日は定番のパリ・シャンゼリゼ。パリ郊外にあるユネスコ世界遺産のヴェルサイユ宮殿の外周をグルリと周り、2つの4級山岳を経て、パリに凱旋する。先頭でシャンゼリゼ通りに入るのは当然マイヨジョーヌ擁するリーダーチームだ。

100回記念大会だけに、シャンゼリゼの周回コースにも変更が加えられている。シャンゼリゼ通りの折り返し区間が凱旋門の環状道路まで伸ばされ、さらに周回数が例年より2周多めに設定。スタート時間は例年よりかなり遅めの17時45分で、ゴール予定時間はなんと21時45分(日の入りは21時43分)。夜の帳が下りたシャンゼリゼで、100回大会はフィナーレを迎える。注目は、やはり、5年連続シャンゼリゼ制覇が懸かったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)だ。




text:Kei Tsuji

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