2013/06/02(日) - 10:36
ツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを狙う選手たちが最終調整に入る。ツール前哨戦として知られるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)が6月2日から9日までの8日間にわたって開催。マイヨジョーヌ本命選手の他、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が初出場する。
4つの頂上ゴールとフラットな個人タイムトライアルで決着
2010年からツールと同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)が主催しているクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、通称ドーフィネ。1947年に第1回大会が開催され、長年地元新聞のドーフィネ・リベレ社によって運営されてきた。
その名の通りレースの舞台はフランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)。全長1117kmで、「ミニ・ツール」と形容されるほど内容の濃い8日間のステージレースだ。
ツールの前哨戦と呼ばれるだけに、オールラウンダーたちの脚試しに最適なステージが用意されている。今年はドーフィネ史上初めてスイスで開幕。シャンペリーを発着する121kmのコースには1級山岳をはじめ4つのカテゴリー山岳が登場。登坂距離6.7km・平均勾配3.4%の3級山岳を駆け上がり、さらに1km登ってゴールを迎える。
その後もカテゴリー山岳を含むアップダウンコースが連続して登場。32.5kmのフラットコースで行なわれる第4ステージ・個人タイムトライアルで総合争いは本格的に動き出す。ここでのタイムが、ツールにおけるマイヨジョーヌ争いの指標になる。
後半4ステージはいずれも難易度の高い山岳を含む厳しいもの。標高1369mの超級山岳ヴァルモレル(登坂距離12.7km・平均勾配7%)にゴールする第5ステージで、クライマーたちがタイム差の挽回を目指すことになるだろう。
第7ステージはさながらツール第18ステージのリハーサル。レース前半に登場する超級山岳ラルプ・デュエズ、2級山岳サレン峠、1級山岳オモン峠の組み合わせはツールと共通。ツール第18ステージはラルプ・デュエズを再び登り返してゴールを迎えるが、ドーフィネは1級山岳ノイェル峠を越え、3級山岳シュペルデヴォリュイにゴールする。
胸元に青いラインが入った黄色いリーダージャージの持ち主を決めるのが、終盤にかけて2つの1級山岳が連続する第8ステージ。ラスト36km地点で1級山岳ヴァル峠(登坂距離10.4km・平均勾配6.9%)を越え、最後は1級山岳リスル(登坂距離13.9km・平均勾配6.7%)を駆け上がってゴールを迎える。後半にかけて勾配が増すリスルの登りで第65代優勝者が誕生する。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013ステージリスト
6月2日(日)第1ステージ シャンペリー〜シャンペリー 121km
6月3日(月)第2ステージ シャテル〜オヨナ 191km
6月4日(火)第3ステージ アンベリュー・アン・ビュジェイ〜タラール 167km
6月5日(水)第4ステージ ヴィラール・デ・ドンブ〜パルク・デ・オワゾー 32.5km(個人TT)
6月6日(木)第5ステージ グレシー・シュル・エクス〜ヴァルモレル 139km
6月7日(金)第6ステージ ラ・レシェール〜グルノーブル 143km
6月8日(土)第7ステージ ル・ポン・ド・クレ〜シュペルデヴォリュイ 187.5km
6月9日(日)第8ステージ シストロン〜リスル 155.5km
ツール開幕まで残り1ヶ月弱 コンタドールとフルームの調子を探る
2011年から2年連続でドーフィネ総合優勝を果たしたのは、2012年のツール覇者ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)。今年ウィギンズはジロ・デ・イタリアに出場したが、肺の感染症によって途中リタイアを喫した。膝の調子が思わしくないため、ツール欠場が決まっている。
今年のドーフィネならびにツールで対決が注目されるのが、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)とクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)の2人だ。
2007年&2009年ツール覇者のコンタドールと、2012年ツール総合2位のフルーム。世界最高峰のグランツールレーサーと称され、マイヨジョーヌの本命と目される2人がこのドーフィネで顔を合わす。ウィギンズが出場しないため、フルームが正真正銘スカイプロサイクリングのキャプテンだ。
コンタドールとフルームは今シーズンすでに数回対決を繰り広げており、2月のツアー・オブ・オマーンではフルーム総合優勝、コンタドール総合2位。3月のティレーノ〜アドリアティコではフルーム総合2位、コンタドール総合3位。フルームに軍配が上がっている。
ここに割って入るのがスペインのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ら。ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)ら。アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)らも総合上位に絡んでくるだろう。
第4ステージの個人タイムトライアルではトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)に要注目。世界TTチャンピオンのマルティンは、今シーズン行なわれた平坦な個人TTで全勝。世界最速クロノマンとしての地位を確固たるものにしている。
シンプルな平坦ステージが設定されていないため、いわゆるピュアスプリンターは出場しない。比較的難易度の低い第6ステージはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)やナセル・ブアニ(フランス、FDJ)に代表される「登れるスプリンター」向きだ。
日本からは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が初出場する。フミはツアー・オブ・カリフォルニアでタイムアウトとなったが、コンディションは落としていない様子。ドーフィネが行なわれるのはフミが現在住んでいる地域であり、慣れ親しんだ地での奮起に期待したい。
text:Kei Tsuji
4つの頂上ゴールとフラットな個人タイムトライアルで決着
2010年からツールと同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)が主催しているクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、通称ドーフィネ。1947年に第1回大会が開催され、長年地元新聞のドーフィネ・リベレ社によって運営されてきた。
その名の通りレースの舞台はフランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)。全長1117kmで、「ミニ・ツール」と形容されるほど内容の濃い8日間のステージレースだ。
ツールの前哨戦と呼ばれるだけに、オールラウンダーたちの脚試しに最適なステージが用意されている。今年はドーフィネ史上初めてスイスで開幕。シャンペリーを発着する121kmのコースには1級山岳をはじめ4つのカテゴリー山岳が登場。登坂距離6.7km・平均勾配3.4%の3級山岳を駆け上がり、さらに1km登ってゴールを迎える。
その後もカテゴリー山岳を含むアップダウンコースが連続して登場。32.5kmのフラットコースで行なわれる第4ステージ・個人タイムトライアルで総合争いは本格的に動き出す。ここでのタイムが、ツールにおけるマイヨジョーヌ争いの指標になる。
後半4ステージはいずれも難易度の高い山岳を含む厳しいもの。標高1369mの超級山岳ヴァルモレル(登坂距離12.7km・平均勾配7%)にゴールする第5ステージで、クライマーたちがタイム差の挽回を目指すことになるだろう。
第7ステージはさながらツール第18ステージのリハーサル。レース前半に登場する超級山岳ラルプ・デュエズ、2級山岳サレン峠、1級山岳オモン峠の組み合わせはツールと共通。ツール第18ステージはラルプ・デュエズを再び登り返してゴールを迎えるが、ドーフィネは1級山岳ノイェル峠を越え、3級山岳シュペルデヴォリュイにゴールする。
胸元に青いラインが入った黄色いリーダージャージの持ち主を決めるのが、終盤にかけて2つの1級山岳が連続する第8ステージ。ラスト36km地点で1級山岳ヴァル峠(登坂距離10.4km・平均勾配6.9%)を越え、最後は1級山岳リスル(登坂距離13.9km・平均勾配6.7%)を駆け上がってゴールを迎える。後半にかけて勾配が増すリスルの登りで第65代優勝者が誕生する。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013ステージリスト
6月2日(日)第1ステージ シャンペリー〜シャンペリー 121km
6月3日(月)第2ステージ シャテル〜オヨナ 191km
6月4日(火)第3ステージ アンベリュー・アン・ビュジェイ〜タラール 167km
6月5日(水)第4ステージ ヴィラール・デ・ドンブ〜パルク・デ・オワゾー 32.5km(個人TT)
6月6日(木)第5ステージ グレシー・シュル・エクス〜ヴァルモレル 139km
6月7日(金)第6ステージ ラ・レシェール〜グルノーブル 143km
6月8日(土)第7ステージ ル・ポン・ド・クレ〜シュペルデヴォリュイ 187.5km
6月9日(日)第8ステージ シストロン〜リスル 155.5km
ツール開幕まで残り1ヶ月弱 コンタドールとフルームの調子を探る
2011年から2年連続でドーフィネ総合優勝を果たしたのは、2012年のツール覇者ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)。今年ウィギンズはジロ・デ・イタリアに出場したが、肺の感染症によって途中リタイアを喫した。膝の調子が思わしくないため、ツール欠場が決まっている。
今年のドーフィネならびにツールで対決が注目されるのが、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)とクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)の2人だ。
2007年&2009年ツール覇者のコンタドールと、2012年ツール総合2位のフルーム。世界最高峰のグランツールレーサーと称され、マイヨジョーヌの本命と目される2人がこのドーフィネで顔を合わす。ウィギンズが出場しないため、フルームが正真正銘スカイプロサイクリングのキャプテンだ。
コンタドールとフルームは今シーズンすでに数回対決を繰り広げており、2月のツアー・オブ・オマーンではフルーム総合優勝、コンタドール総合2位。3月のティレーノ〜アドリアティコではフルーム総合2位、コンタドール総合3位。フルームに軍配が上がっている。
ここに割って入るのがスペインのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ら。ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)ら。アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)らも総合上位に絡んでくるだろう。
第4ステージの個人タイムトライアルではトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)に要注目。世界TTチャンピオンのマルティンは、今シーズン行なわれた平坦な個人TTで全勝。世界最速クロノマンとしての地位を確固たるものにしている。
シンプルな平坦ステージが設定されていないため、いわゆるピュアスプリンターは出場しない。比較的難易度の低い第6ステージはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)やナセル・ブアニ(フランス、FDJ)に代表される「登れるスプリンター」向きだ。
日本からは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が初出場する。フミはツアー・オブ・カリフォルニアでタイムアウトとなったが、コンディションは落としていない様子。ドーフィネが行なわれるのはフミが現在住んでいる地域であり、慣れ親しんだ地での奮起に期待したい。
text:Kei Tsuji
Amazon.co.jp